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エイント・ザット・ア・シェイム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「Ain't It a Shame」
ファッツ・ドミノシングル
初出アルバム『Rock and Rollin' with Fats Domino
B面 La-La
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 1955年3月15日
Master Recorders, 535 North Fairfax Avenue, Hollywood, California, U.S.
ジャンル ロックンロール
時間
レーベル インペリアル・レコード
作詞・作曲 ファッツ・ドミノ
デイヴ・バーソロミュー
ファッツ・ドミノ シングル 年表
Don't You Know
(1955)
Ain't It a Shame
(1955)
All by Myself
(1955)
テンプレートを表示

エイント・ザット・ア・シェイム」(Ain't That a Shame) は、ファッツ・ドミノデイヴ・バーソロミューが書いた楽曲。日本語では、「悪いのはあなた」という曲名で言及されることもある[1]

ドミノが最初に吹き込んだバージョンは、「エイント・イット・ア・シェイム」(Ain't It a Shame) という曲名で、1955年インペリアル・レコードからリリースされ[2][3]、ヒットとなり、最終的には百万枚以上を売り上げた。『ビルボード』誌のR&Bチャートで首位に立ち、ポップ・チャートでも10位まで上昇した[4]。『ローリング・ストーン』誌の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では第438位に入った[5]

この録音は、ファッツ・ドミノのデビュー・アルバム『Rock and Rollin' with Fats Domino』(1956年)に収められ、次いでコンピレーション・アルバムFats Domino Swings (12,000,000 Records)』(1958年)にも収録された[6]。その後、1963年には、ボーカル・コーラスがオーバー・ダビングされて、アルバム『Let's Dance with Domino』(1963年)にも取り上げられた[7]1983年、ファッツ・ドミノはこの曲を再録音し、このバージョンは彼の最後のアルバムとなった『Alive and Kickin'』(2006年)にも「Ain't That a Shame 2000」のタイトルで収録された[8]

この曲は、パット・ブーンによってカバーされたことで、全国的に知られるようになった[9]。ドミノのバージョンは、程なくしてブーン以上の人気となり、デビュー曲「The Fat Man」を録音してから6年後にしてマス市場に彼の音楽が浸透するようになった[10]。「エイント・ザット・ア・シェイム」以降、メインストリームのアーティストたちがドミノの楽曲をカバーするようになり、例えばテレサ・ブリュワーは、ドミノが取り上げたフォーク・ソング「Bo Weevil」を歌った。

この他にも、この曲は、フォー・シーズンズ(1963年)、ジョン・レノン(1975年)、ポール・マッカートニー(1988年)などにもカバーされ、チープ・トリック(1978年)のバージョンが特に知られている。

パット・ブーンによるカバー

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「Ain't That a Shame」
パット・ブーンシングル
初出アルバム『Pat Boone
B面 Tennessee Saturday Night
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 1955年5月
Universal Recording Corporation, Chicago, Illinois, U.S
ジャンル ロックンロール
時間
レーベル ドット・レコード英語版
作詞・作曲 ファッツ・ドミノ
デイヴ・バーソロミュー
プロデュース ランディ・ウッド英語版
パット・ブーン シングル 年表
Two Hearts
(1955)
Ain't That a Shame
(1955)
At My Front Door
(1955)
テンプレートを表示

パット・ブーンは、ファッツ・ドミノのシングルが出た直後の1955年5月に、この曲を吹き込んだ。この録音は同月のうちにシングルとしてリリースされ[11]、曲名は「Ain't That a Shame」とされ、ブーンのデビューアルバム『Pat Boone』(1956年)にも収められた[12]。一説によると、ブーンは、より広い聴衆に訴求するために曲名と歌詞を「Isn't That a Shame」と変えることを提案したが、プロデューサーらに説得されて断念したという[13]。結局、ブーンが吹き込んだこの曲は、彼にとって初めて『ビルボード』誌のチャートの首位に立った曲となり「Most Played in Jukeboxes」のチャートの首位に2週間とどまった。ドミノはブーンによるカバーに感謝の意を表した[9]。ブーンは、あるコンサートの際にドミノからステージに上がるよう促され、その際ドミノが大きな金の指輪を見せながら「パット・ブーンが俺にこいつを買ってくれたんだ」と言った、というエピソードを好んで語っているが、ドミノとバーソロミューは他のアーティストたちによるレコード売り上げやラジオ放送から、作者としてのロイヤリティを得ていた[14]

チープ・トリックによるカバー

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「Ain't That a Shame」
チープ・トリックシングル
初出アルバム『チープ・トリックat武道館
B面 エロ・キディーズ英語版
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 1979年7月
東京日本武道館
ジャンル パワーポップハードロック
時間
レーベル エピック・レコード
作詞・作曲 ファッツ・ドミノ
デイヴ・バーソロミュー
プロデュース チープ・トリック
チープ・トリック シングル 年表
I Want You to Want Me
(1979)
Ain't That a Shame
(1979)
Dream Police
(1979)
ミュージックビデオ
"Ain't That a Shame" - YouTube
テンプレートを表示

チープ・トリックが、1978年のライブ・アルバム『チープ・トリックat武道館』からリリースしたバージョンはチャートの35位まで上昇した。『キャッシュボックス』誌も「ファッツ・ドミノのクラシックを素晴らしい狂乱に仕立てた (superb rave-up of the Fats Domino classic)」と評した[15]。このカバーは、ファッツ・ドミノも気に入っていたと伝えられる[16]。ドミノは、チープ・トリックに1955年のシングルのゴールド・レコードを贈り、ギタリストのリック・ニールセンがこれを受け取った[17]。もう一つ別のライブ・バージョンは、1999年に録音され、2001年のアルバム『Silver』に収録された。

Classic Rock』誌の批評家マルコム・ドーム (Malcolm Dome) は、この曲をチープ・トリックとしては4番目に偉大な楽曲だとしており、カバー曲でありながら「バンドは効果的に自分たちのものにしている (the band effectively made it their own)」と述べている[18]

2016年ロックの殿堂入りのセレモニーが行われた際、チープ・トリックはライブのフィナーレでこの曲を演奏した。この演奏には、シカゴロバート・ラムジェームズ・パンコウリー・ロックネインウォルター・パラゼイダーをはじめ、ディープ・パープルデイヴィッド・カヴァデールグレン・ヒューズ、さらに、スティーヴ・ミラーシェリル・クロウグレイス・ポッタースティーヴ・ヴァン・ザント英語版ロブ・トーマスポール・シェイファー英語版が参加した。

チャート

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チャート(1979年) 最高位
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 Billboard Hot 100 35
カナダの旗 カナダ RPM Top Singles 13
オランダの旗 オランダ シングル・チャート 25
ニュージーランドの旗 ニュージーランド シングル・チャート 24

その他のカバー・バージョン

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フォー・シーズンズのバージョンは、1963年に『ビルボード』誌のチャートで最高22位まで上昇した[19]。この曲は、彼らの1963年のスタジオ・アルバム『Ain't That A Shame and 11 Others.』にも収録された。『キャッシュボックス』誌はこのバージョンを「淫らな、ミディアム・ペースの、相手を変えながらダンスを続けるロマンティックな存在 (a raunchy, medium-paced, multi-dance romancer)」と評した[20]

「エイント・ザット・ア・シェイム」は、ジョン・レノンが演奏を学んだ最初の楽曲であった。後年、彼はアルバム『ロックン・ロール』(1975年)でこの曲をカバーした[21]。レノンのバージョンは、2007年トリビュート・アルバムGoin' Home: A Tribute to Fats Domino』(ヴァンガード・レコード)の冒頭に収められた。

ビートルズの同僚であったポール・マッカートニーもこの曲を複数回録音しており、最初は1988年の『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』に、次いで1990年の『ポール・マッカートニー・ライブ!!』にもこの曲を収録した。後者は、ザ・ポール・マッカートニー・ワールド・ツアー英語版の際に収録されたものである。

この他、ドミノのオリジナル・バージョンをカバーしたアーティストには、マイク・カーブ・コングリゲイションと共演したハンク・ウィリアムズ・ジュニア英語版[22]、アルバム『Lovin' and Learnin'』(1976年)で取り上げたタニヤ・タッカー英語版1977年セルフタイトル・アルバムに収録したブラウンズヴィル・ステーション英語版, 1982年のアルバム『Mud featuring Les Gray』でこの曲を取り上げたマッド英語版などがいる。他方では、パット・トーピーが、チープ・トリックのバージョンをアルバム『Odd Man Out: Y2K』(1999年)でカバーしている。

脚注

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  1. ^ エイント・ザット・ア・シェイム」『デジタル大辞泉プラス』https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0コトバンクより2022年10月3日閲覧 
  2. ^ Fats Domino - Ain't It a Shame / La-La (Imperial 5348 and X5348, April 1955)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。
  3. ^ Domino, Fats. “The Story of Fats Domino's 'Ain't That a Shame'”. NPR. 1 November 2015閲覧。
  4. ^ Fats Domino | Awards”. AllMusic (26 February 1928). 1 November 2015閲覧。
  5. ^ Rodman, Sarah. “Fats Domino, 'Ain't It a Shame' - 500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone. 1 November 2015閲覧。
  6. ^ Fats Domino - Fats Domino Swings (12,000,000 Records) (Imperial LP 9062, December 1958)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。.
  7. ^ Fats Domino - Let's Dance with Domino (Imperial LP-9239, May 1963)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。.
  8. ^ Fats Domino - Alive and Kickin' (Fats Domino Publishing Company CD, 2006)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。
  9. ^ a b Show 6 – Hail, Hail, Rock 'n' Roll: The Rock Revolution Gets Underway. [Part 2]”. Digital.library.unt.edu (20 October 2015). 1 November 2015閲覧。
  10. ^ Whitburn, Joel (1988). Top R&B Singles 1942–1988. Wisconsin: Record Research. p. 122. ISBN 0-89820-068-7.
  11. ^ Pat Boone - Ain't That a Shame / Tennessee Saturday Night (Dot 45-15377, 26 May 1955)”. 45cat.com. 22 January 2020閲覧。
  12. ^ Pat Boone - Pat Boone (Dot DLP-3012, 1956)”. discogs.com. 22 January 2020閲覧。
  13. ^ Cavallo, Dominick (1999). A Fiction of the Past: The Sixties in American History. New York: St. Martin's Press. p. 151. ISBN 0-312-21930-X.
  14. ^ "Biography". Pat Boone website. Archived 23 August 2009 at the Wayback Machine..
  15. ^ “CashBox Singles Reviews”. Cash Box: p. 13. (August 4, 1979). https://worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/70s/1979/CB-1979-08-04.pdf 2022年1月1日閲覧。 
  16. ^ Sullivan, Denise (May 7, 2012). “Ain't It a Shame”. 9 August 2017閲覧。
  17. ^ Rick Nielsen on Instagram: "#FatsDomino #RIP "To Fats Domino" "Ain't It A Shame" For Selling One Million Records" This Gold Record from 1955 was given to #CheapTrick…"”. Instagram. 2021年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。23 June 2019閲覧。
  18. ^ Dome, Malcolm (June 28, 2016). “The top 10 best Cheap Trick songs”. Classic Rock. Louder Sound. 2022年6月19日閲覧。
  19. ^ Whitburn, Joel (2004). The Billboard Book of Top 40 Hits (8th ed.). Record Research. p. 237 
  20. ^ “CashBox Record Reviews”. Cash Box: 8. (April 13, 1963). https://worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/60s/1963/CB-1963-04-13.pdf 2022年1月12日閲覧。. 
  21. ^ Ain't That A Shame by Fats Domino Songfacts”. Songfacts.com. 1 November 2015閲覧。
  22. ^ Hank Williams Jr. - Ain't That A Shame”. YouTube. 2021年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ25 October 2017閲覧。

関連項目

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