エネス・カンター・フリーダム
ボストン・セルティックスでのフリーダム (2021年) | |
フリーエージェント | |
---|---|
ポジション | C |
基本情報 | |
国籍 | アメリカ合衆国[注 1] |
生年月日 | 1992年5月20日(32歳) |
出身地 |
スイス チューリヒ州チューリッヒ |
身長 | 208cm (6 ft 10 in) |
体重 | 113kg (249 lb) |
キャリア情報 | |
出身 | フェネルバフチェ・ユルケル |
NBAドラフト | 2011年 / 1巡目 / 全体3位[1] |
ユタ・ジャズから指名 | |
プロ選手期間 | 2008–現在 |
経歴 | |
2008-2009 | フェネルバフチェ・ユルケル |
2011-2015 | ユタ・ジャズ |
2015-2017 | オクラホマシティ・サンダー |
2017-2019 | ニューヨーク・ニックス |
2019 | ポートランド・トレイルブレイザーズ |
2019-2020 | ボストン・セルティックス |
2020-2021 | ポートランド・トレイルブレイザーズ |
2021-2022 | ボストン・セルティックス |
Stats Basketball-Reference.com | |
代表歴 | |
キャップ | トルコ |
エネス・カンター・フリーダム(Enes Kanter Freedom, 1992年5月20日 - )は、アメリカ合衆国の元プロバスケットボール選手。スイスのチューリッヒ州チューリッヒ出身。ポジションはセンター。
経歴
[編集]2006年からTBLのフェネルバフチェ・ユルケルのジュニアチームでプレー、2008-2009年シーズンよりフェネルバフチェ・ユルケルのシニアチーム控え選手として[1]、ユーロリーグに4試合、ターキッシュリーグに5試合のみ出場した。この時チームから33,000米ドルの報酬を受け取っていたことが後の経歴に大きく影響を及ぼすこととなる[2]。フェネルバフチェやGBLのオリンピアコスBCがプロ契約を結ぼうと近づいてきたが、カンターはアメリカの大学でプレーすることを望み、このオファーを断った。
2009-2010年シーズン、カンターはカリフォルニア州シミバレーの高校でプレーした。2010年のナイキ・フープサミットでは1998年にダーク・ノヴィツキーがあげたこれまでの最高得点を上回る34点をあげた。Rivals.com[3]、Scout.comからはいずれも五つ星の高い評価を受けた[4]。
2009年11月23日、それまでUCLA、USC、インディアナ大学、UNLVからもオファーを受けていたカンターはワシントン大学に進学を決めたことを表明した。しかし2010年2月には再びリクルーティングを再開し同年4月10日、ジョン・カリパリコーチの指揮するケンタッキー大学への進学を発表した。
ここでNCAAが動き、カンターがフェネルバフチェ・ユルケルから受け取った報酬が許容範囲を超えたものと判断[5]、2011年1月7日、ケンタッキー大学の訴えも拒絶し、NCAAはカンターが無資格であると最終決定を下し[6]、カンターはケンタッキー大学でプレーすることが出来なかった。
ユタ・ジャズ
[編集]2011年のNBAドラフトにカンターはエントリーし、1巡目全体3位でユタ・ジャズに指名された。
オクラホマシティ・サンダー
[編集]2015年2月19日、オクラホマシティ・サンダーに移籍。シーズン終了後の7月9日、制限付きFAになっていたカンターは、ポートランド・トレイルブレイザーズが提示した4年7000万ドルのオファーシートにサインしたが、サンダーは3日後に同じ契約を提示し、再契約が決まった。
2015-2016年シーズンではチームで唯一の全試合出場を果たした。2016年4月7日のトレイルブレイザーズ戦でキャリアハイの33得点に加え20リバウンドをマークし、サンダーの選手として初めて"30-20"を達成した[7]。平均8.1リバウンドはベンチプレイヤーの中で最も高い数字であった。
ニューヨーク・ニックス
[編集]2017年9月23日、カーメロ・アンソニーとのトレードでニューヨーク・ニックスに移籍した[8]。2019年2月7日、強豪でのプレーを求めてニックスと契約のバイアウトに合意し、FAとなった。
ポートランド・トレイルブレイザーズ
[編集]2019年2月13日、ポートランド・トレイルブレイザーズとシーズン終了までの契約を結んだ。プレーオフでも活躍し、チームのカンファレンス決勝進出に貢献した。オフにFAとなった。
ボストン・セルティックス
[編集]2019年7月17日にボストン・セルティックスと2年1000万ドルで契約した。
ブレイザーズ復帰
[編集]2020年11月18日に3チーム間のトレードでブレイザーズに復帰した。
セルティックス復帰
[編集]2021年8月13日に前年所属したセルティックスと再び契約した[9]。
2022年2月10日にトレードでヒューストン・ロケッツへ放出され、14日に解雇された[10][11]。
個人成績
[編集]略称説明 | |||||
---|---|---|---|---|---|
GP | 出場試合数 | GS | 先発出場試合数 | MPG | 平均出場時間 |
FG% | フィールドゴール成功率 | 3P% | スリーポイント成功率 | FT% | フリースロー成功率 |
RPG | 平均リバウンド数 | APG | 平均アシスト数 | SPG | 平均スティール数 |
BPG | 平均ブロック数 | PPG | 平均得点 | 太字 | キャリアハイ |
NBA
[編集]レギュラーシーズン
[編集]シーズン | チーム | GP | GS | MPG | FG% | 3P% | FT% | RPG | APG | SPG | BPG | TO | PPG |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011–12 | UTA | 66 | 0 | 13.2 | .496 | .000 | .667 | 4.2 | .1 | .3 | .3 | 0.8 | 4.6 |
2012–13 | 70 | 2 | 15.4 | .544 | 1.000 | .795 | 4.3 | .4 | .4 | .5 | 1.4 | 7.2 | |
2013–14 | 80 | 37 | 26.7 | .491 | .000 | .730 | 7.5 | .9 | .4 | .5 | 1.8 | 12.3 | |
2014–15 | 49 | 48 | 27.1 | .491 | .317 | .788 | 7.8 | .5 | .5 | .3 | 1.9 | 13.8 | |
OKC | 26 | 26 | 31.1 | .566 | .750 | .776 | 11.0 | 1.1 | .5 | .5 | 2.0 | 18.7 | |
2015–16 | 82 | 1 | 21.0 | .576 | .476 | .797 | 8.1 | .4 | .3 | .4 | 1.4 | 12.7 | |
2016–17 | 72 | 0 | 21.3 | .545 | .132 | .786 | 6.7 | .9 | .4 | .5 | 1.7 | 14.3 | |
2017–18 | NYK | 71 | 71 | 25.8 | .592 | .000 | .848 | 11.0 | 1.5 | .5 | .5 | 1.7 | 14.1 |
2018–19 | 44 | 23 | 25.6 | .536 | .318 | .814 | 10.5 | 1.9 | .4 | .4 | 1.8 | 14.0 | |
POR | 23 | 8 | 22.3 | .577 | .250 | .735 | 8.6 | 1.4 | .6 | .4 | 1.7 | 13.1 | |
2019–20 | BOS | 58 | 7 | 16.9 | .572 | .143 | .707 | 7.4 | 1.0 | .4 | .7 | 1.0 | 8.1 |
2020–21 | POR | 72 | 35 | 24.4 | .604 | .250 | .774 | 11.0 | 1.2 | .5 | .7 | 1.1 | 11.2 |
キャリア | 713 | 258 | 22.0 | .548 | .286 | .776 | 7.9 | .9 | .4 | .5 | 1.5 | 11.5 |
プレーオフ
[編集]シーズン | チーム | GP | GS | MPG | FG% | 3P% | FT% | RPG | APG | SPG | BPG | TO | PPG |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012 | UTA | 4 | 0 | 10.8 | .438 | .000 | .000 | 4.0 | .3 | .0 | 1.0 | 1.0 | 3.5 |
2016 | OKC | 18 | 0 | 18.0 | .551 | .143 | .844 | 6.2 | .3 | .3 | .6 | 0.9 | 9.4 |
2017 | 5 | 0 | 9.1 | .385 | .000 | 1.000 | 1.8 | .2 | .0 | .8 | 0.4 | 4.8 | |
2019 | POR | 16 | 14 | 28.8 | .514 | .250 | .756 | 9.7 | 1.2 | .7 | .6 | 1.6 | 11.4 |
2020 | BOS | 11 | 0 | 9.3 | .524 | 1.000 | .500 | 3.9 | .6 | .0 | .0 | 0.4 | 4.5 |
2021 | POR | 5 | 0 | 11.2 | .500 | — | 1.000 | 2.6 | .0 | .0 | .4 | .6 | 2.0 |
キャリア | 59 | 14 | 17.5 | .514 | .211 | .777 | 5.9 | .6 | .3 | .5 | .9 | 7.6 |
トルコ代表
[編集]国際舞台では、17歳の時、U-18バスケットボールトルコ代表でプレー、バスケットボールヨーロッパジュニア選手権の準決勝、セルビア戦では32得点、25リバウンド、決勝のバスケットボールリトアニア代表戦でも35得点、19リバウンド4ブロックショットをあげ、大会の最優秀選手に選ばれた[12]。
人物
[編集]- プロレス好きであり、WWEの看板番組である「ロウ」にゲスト出演している。その際にR・トゥルースを押し倒してフォールし、彼が保持していたいつでも、どこでも、誰でも挑戦できる24/7王座を戴冠した(その後すぐにトゥルースに丸め込まれ王座を奪い返された)[13]。また、バスケを引退した後はプロレスラーを目指す意向を示している。
- 政治的な発言をすることでも知られている。2017年にはトルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンを非難し、更に2021年には中国共産党総書記習近平を非難し、中国政府当局関係者の怒りを買った。更に2022年にはIOCと同会長トーマス・バッハをも酷評[14]。更に姚明をも批判した[15]。
- 2021年にアメリカ合衆国の国籍を取得し、エネス・カンター・フリーダム (Enes Kanter Freedom)と名乗ることになった[16][17]。
家族
[編集]- 父親のメメット・カンターはチューリッヒ大学で組織学の博士号を獲得、現在はトルコのトラカヤ大学の大学教授を務めている。
- 弟のケレム・カンターもプロバスケットボール選手で、現在は秋田ノーザンハピネッツに所属している。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 元々はトルコ国籍だったが、2017年にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を「彼は21世紀のアドルフ・ヒトラーだ」などと非難した為にトルコ政府から逮捕状を請求され、国籍も剥奪された。その後、2021年にアメリカ合衆国の国籍を取得した。
出典
[編集]- ^ “Kentucky forward Enes Kanter ruled permanently ineligible”. USAトゥデイ (2010年11月12日). 2011年6月28日閲覧。
- ^ “Kentucky's Enes Kanter ruled ineligible”. ESPN (2010年11月12日). 2011年6月28日閲覧。
- ^ “Enes Kanter”. rivals.com. 2011年6月28日閲覧。
- ^ “Enes Canter Profile”. scout.com. 2011年6月28日閲覧。
- ^ “Enes Kanter Ruled Ineligible for Kentucky”. AOL (2010年11月11日). 2011年6月28日閲覧。
- ^ “N.C.A.A. Denies Kentucky’s Appeal Over Kanter’s Eligibility”. ニューヨーク・タイムズ (2011年1月7日). 2011年6月28日閲覧。
- ^ Enes Kanter records first-ever 30/20 game for a Thunder player
- ^ Enes Kanter to the Thunder after being traded to NY: Please beat the Warriors for me
- ^ “Celtics Sign Enes Kanter”. www.nba.com. 2022年2月15日閲覧。
- ^ “Rockets Complete Four Player Trade with Boston”. Houston Rockets (2022年2月10日). 2022年2月11日閲覧。
- ^ “NBA Player transactions” (英語). NBA Stats. 2022年2月15日閲覧。
- ^ “Kanter to enroll at Findlay Prep”. ESPN (2009年8月19日). 2011年6月28日閲覧。
- ^ “Enes Kanter wins WWE 24/7 title as former Knicks star trolls Madison Square Garden crowd”. www.cbssports.com. 2022年2月15日閲覧。
- ^ “『IOCは中国政府とベッドをともにしている』 NBAスター選手が猛批判…かねて人権侵害に抗議”. 中日スポーツ (2022年1月16日). 2022年1月24日閲覧。
- ^ “NBAフリーダムが姚明氏の中国招待に「一緒にウイグル族収容所へ行こう」と反撃投稿”. 東京スポーツ (2022年1月31日). 2022年1月31日閲覧。
- ^ “Enes Kanter legally changing his name to Enes Kanter Freedom”. Sportando (2021年11月28日). 2021年11月29日閲覧。
- ^ “セルティックスのエネス・カンターが改名、苗字は『フリーダム』に”. バスケットボールキング (2021年11月29日). 2021年11月29日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- エネス・カンター・フリーダムの通算成績と情報 NBA、NBA日本、Basketball-Reference、Eurobasket
- エネス・カンター・フリーダム --- ドラフト情報 --- NBADraft.net ,DraftExpress.com
- エネス・カンター・フリーダム (@EnesKanter) - X(旧Twitter)
- ユーロリーグ公式HP-エネス・カンター-