ケーゲルシュタット・トリオ
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Mozart: "Kegelstatt" Trio — Camerata Pacifica - ホセ・フランチ=バレステル(クラリネット)、リチャード・ヨンジェ・オニール(ヴィオラ)、モリー・モルコスキ(ピアノ)による演奏。Camerata Pacifica公式YouTube。 |
『ケーゲルシュタット・トリオ』(Kegelstatt Trio)は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品「ピアノ、クラリネットとヴィオラのための三重奏曲」変ホ長調 K.498の愛称。
愛称の由来は、ボウリングの原型とされる「ケーゲルン(de:Kegeln)」(九柱戯[1]とも訳される)に興じながら作曲したという言い伝えによるものである。《12の二重奏曲》K.487「ケーゲルデュエット」にも同様の逸話が伝わる。
概要
[編集]1786年8月5日にウィーンで作曲された。「ピアノ三重奏曲第2番」と呼ばれることもある。この一風変わった編成は、友人のクラリネット奏者アントン・シュタットラーら仲間うちで演奏するために作曲されたからだと言われる。モーツァルトはピアノの名手として有名だが、ヴィオラを弾いたことでも知られる。
モーツァルトは、友人にアントン・シュタットラーというクラリネットの名手がいたこともあり、当時発明されて間もないこの楽器に興味を持ち、幾つかのクラリネットの曲を残している。クラリネット五重奏曲K.581、クラリネット協奏曲K.622や、またオペラ「皇帝ティートの慈悲」K.621のクラリネット・ソロなどがあるが、この「ケーゲルシュタット・トリオ」はクラリネットを独立して扱ったおそらく最初の作品である。
また、クラリネット音楽としての重要性に隠れがちであるがヴィオラパートも魅力的であり、奏法的にも、一つの独立した声部としての取り扱い方からいっても、その能力を十分に発揮させた作品といえる。
楽曲の構成
[編集]3楽章からなり、演奏時間は約20分。
第1楽章 Andante
変ホ長調、8分の6拍子。ソナタ形式。分散和音を用いた第一主題はヴィオラとピアノのユニゾンで、順次進行を基本とした第二主題はクラリネットで提示される。短い展開部に、やや変更を加えられた再現部が続く。
第2楽章 Menuetto
変ロ長調、4分の3拍子。しっかりした足取りのメヌエット。トリオはト短調に移り、半音階的な進行と三連符の音形が活用される。
第3楽章 Rondeaux, Allegretto
変ホ長調、4分の4拍子。ロンド形式をとるフィナーレ。豊富な楽想が次々と提示され、前二楽章よりもピアノの活躍が目立つ。
関連項目
[編集]同一編成の楽曲
[編集]特殊な編成ではあるが、この作品に倣い同じ編成で下記の曲が作曲されている。
- ロベルト・シューマン - 「おとぎ話」(Märchenerzählungen)op.132(1853年)
- カール・ライネッケ - 三重奏曲 イ長調 Op.274(1903年頃)
- マックス・ブルッフ - 「8つの小品」Op.83 (1910年)