コシダカガンガラ
コシダカガンガラ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Tegula rustica (Gmelin, 1791)[3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Omphalius rusticus (Gmelin)[4] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
コシダカガンガラ(腰高岩殻) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
a kind of turban snail 中名 粗瘤黑钟螺 (cū liú hēi zhōng luó) |
コシダカガンカラ(腰高岩殻、学名Tegula rustica) は、リュウテン科(リュウテンサザエ科、サザエ科とも言う)に分類される巻貝の一種。殻高約3cm。東アジア沿岸の岩礁に棲息する。
分布
[編集]ロシア沿海地方、朝鮮半島、日本(北海道から九州)、中国沿岸の潮間帯から水深30m前後までの岩礁に棲む[4]。
形態
[編集]クボガイと似ているが、貝殻の肩部や、螺層に斜めの畝状の盛り上がりがあって、ゴツゴツとした外観。底面には臍孔が開き、緑色には彩色されない[4]。少し伸びた柄の先に眼がある。
生態
[編集]雌雄異体で藻類を食べる。北海道礼文島での調査によると、7月水温の上昇とともに生殖腺が満たされ、8月~9月に産卵期をむかえる[6]。
分類
[編集]古典的にはニシキウズ科 Trochidae に分類され、本種をタイプ種とするコシダカガンガラ属 Omphalius に置かれていたが、近年遺伝子の研究によりクボガイ科の"バテイラ属" Tegula(タイプ種はヘビカワターバン)[3]に分類されるようになったのち[7][8]、クボガイ科はリュウテン科内のクボガイ亜科 Tegulinae とするのが妥当であることが示された[2]。クボガイ亜科は中生代ジュラ紀頃にニシキウズ科と分化し、白亜紀ないし新生代に入った頃にリュウテン亜科 Turbinaeやギンタカハマ亜科 Tectinaeと分化したことが示唆されている[9]。
化石
[編集]愛知県の中部更新統渥美層群(約40万年前)や、千葉県木更津市の下総層群上泉層(約20万年前;いずれも更新世)などから化石が見つかっている[10][11]。
人との関係
[編集]江戸時代後期の武蔵石壽著『目八譜』に「腰高カンカラ」として紹介されている[12]。クボガイやクマノコガイ、バテイラとともに「磯もの」として茹でたものが海辺の旅館や料亭で出され、美味[13]。
出典
[編集]- ^ 黒田徳米・波部忠重・大山桂 (1971). 相模湾産貝類. 丸善. pp. 741+489+51, 121pls.
- ^ a b T.J. Cunha, J.D. Reimer & G Giribet (2021). “Investigating Sources of Conflict in Deep Phylogenomics of Vetigastropod Snails”. Systematic Biology 0: 1-14 .
- ^ a b “Tegula”. WoRMS. 2021年11月3日閲覧。
- ^ a b c 奥谷喬司、竹之内孝一『世界文化生物大図鑑『貝類』 p.50』世界文化社、2004年。ISBN 4-418-04904-5。
- ^ 王海艳,张涛,马培振,蔡蕾,张振 (2016). 中国北部湾潮間帯現生貝類図鑑 24. 科学出版社. ISBN 978-7-03-048557-1
- ^ 富田恭司 (1980). “ヘソアキクボガイとコシダカガンガラの産卵期”. ちりぼたん 11: 50-51.
- ^ Suzanne T. Williams et al. (2012). “Advances in systematics of the vetigastropod superfamily Trochidea”. Zoologica Scripta 41: 571-595.
- ^ Shuai Mao, Chengrui Yan, Jie Bai, Yingying Ye, Jiji Li, Yahong Guo & Jiantong Feng (2020). “The complete mitochondrial genome and phylogenetic analysis of Omphalius rusticus (Gastropoda, Tegulidae)”. Mitochondrial DNA Part B 5: 2282-2283.
- ^ Suzanne T. Williams, Satoshi Karube & Tomowo Ozawa (2008). “Molecular systematics of Vetigastropoda: Trochidae, Turbinidae and Trochoidea redefined”. Zoologica Scripta 37: 483-506.
- ^ “中部更新統渥美層群の軟体動物化石 G19”. 瑞浪市化石博物館 鵜飼修司・川瀬基弘ら. 2022年7月31日閲覧。
- ^ “下総層群 上泉層の化石”. 関東化石採集の旅. 2021年4月6日閲覧。
- ^ 武蔵石壽著・服部雪斎画 (1843). “(二十二)腰高カンカラ”. 『目八譜』 (第七巻) .
- ^ “コシダカガンガラ”. 藤原昌高. 2021年4月10日閲覧。