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サウンダー通勤鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サウンダー
ロゴマーク
基本情報
アメリカ合衆国
所在地 シアトル都市圏
開業

2000年9月18日 (S線)

2003年12月26日 (N線)
運営者 BNSF鉄道
公式サイト https://www.soundtransit.org/Rider-Guide/Sounder-train
詳細情報
路線数 2
駅数 12
輸送人員 163万人(2023年)
1日利用者数 7千人(平日、2023年)
軌間 4フィート8.5インチ (1,435 mm)
最高速度 127 km/h (79 mph)
テンプレートを表示

サウンダー通勤鉄道 (Sounder commuter rail、報告記号 SDRX) は、BNSF鉄道が運行するサウンド・トランジット英語版の鉄道路線[1][2]。ワシントン州のシアトル市から北のエバレット市と南のレイクウッド市を結ぶ2路線が、月曜日から金曜日の通勤ピーク時に運行されている。2023年の乗降人員数は年163万人、第4四半期の時点で平日毎日7千人であった。

2024年現在、ダイヤは慣習的な通勤ピーク時間に対応し、主に朝にシアトル行き、晩にシアトル発となっている。毎日3往復がタコマ市方面への通勤のために運行されている[3]。臨時列車は週末にシアトル・シーホークスシアトル・サウンダーズFCのスタジアム(ルーメン・フィールド)とシアトル・マリナーズのスタジアム(T-モバイル・パーク)での試合が開催される日に運行される。両スタジアムはキングストリート駅の徒歩圏内にある。

歴史

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S線

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地図

S線(S Line、元はSouth Line)は2000年9月18日にタコマ・ドーム駅英語版サムナー駅英語版オーバーン駅英語版に停車し、キングストリート駅で終着する2往復で運行を開始した。ピュアラップ駅英語版ケント駅英語版が2001年2月5日に、タックウィラ駅英語版が2001年3月12日に追加された。

2010年の7月にサウンド・トランジットはBNSFは1億8500万ドル相当のBNSFとの新たな合意に達し、S線が利用する線路への恒久的なアクセスを認められて、2012年から4往復が追加された[4]

2012年10月8日に、南タコマ駅英語版レイクウッド駅英語版が開業、5往復が両駅に延伸された[5]。 2016年9月、レイクウッド市とシアトル市を結ぶ日中の往復が追加された[6]。2017年の9月に、さらに2往復が追加されて、レイクウッド駅まで運行する列車は8往復となった[7][8]

景気後退の影響により、2010年のS線一日平日の乗降人員数は2009年から7%減少して、8300人であった[9]。それから平均平日乗降人員数が増加して、2013年の8月の時点で11197人となった[10]。2019年にS線の乗降人員数が毎日約1万6400人であった[11]

2024年現在シアトルへの通勤列車が10往復(1往復はレイクウッド発、タコマ着)、タコマ方面への通勤列車が3往復(1往復はレイクウッド着、タコマ発)運行されている[3]

N線

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地図

2003年5月に、サウンド・トランジットは100年間BNSFのエバレット発シアトルへの線路を使用するためのBNSFとの2億5000万ドルのリース契約を合意した。2003年12月17日、サウンド・トランジットの取締役会は永続的にエバレット発シアトルへの線路を使用するため、2億5800万ドルに変更された合意を承認した[12]

56㎞のエバレット発シアトルへの路線「N線」(元はNorth Line)は、2003年12月21日のシアトル・シーホークスの試合への臨時列車で開業した。通常の運行は12月22日朝のシアトル行き、晩のエバレット行き1往復で開始された。2005年6月6日に1往復が追加され、乗降人員数の増加に伴い、2007年9月にさらに1往復が追加され、4往復となった。ムキルテオ駅英語版が2008年5月31日に開業し、N線の停車駅はキング・ストリート駅、エドモンズ駅英語版、ムキルテオ駅、エバレット駅となった[13][14]

サウンド・トランジットはRail Plusプログラムによってアムトラック・カスケーズとの提携でサウンダーの乗客をワシントン州ベリンハム (ワシントン州)を経てブリティッシュコロンビアバンクーバーに至る1日2本の列車を使用するための合意がある。この合意により、エバレットとシアトル間では、サウンダーの料金で乗車することができるが、適用されるのは月間定期を持つ乗客に限られている。ムキルテオ駅にはアムトラック・カスケーズの電車は停車せず、アムトラックシカゴ市からのエンパイア・ビルダーも同様に停車しない。

N線の一日平日の乗降人員数は2010年に約1100人[15]、2016年の第1半期の時点では約1500人であった[16]ワシントン州交通局英語版は崩落土砂の問題を改善するための工事をしているが[17]、N線の列車は歴史的に地すべりによる運休がしばしば発生している[18]

2024年現在シアトルへの通勤列車が2往復、Rail Plusにより利用可能となるアムトラック・カスケーズの列車がシアトル行・発共に2編成運行され、アムトラック・カスケーズの1編成分はエバレット方面への通勤需要に充てられている[3]

拡張計画

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S線の将来の終点建設地点として計画されているデュポン停留所

サウンド・トランジットはS線にティリクム駅とデュポン駅を追加する計画がある。線路は既にワシントン州交通局のポイント・デファイアンス・バイパス英語版の一環として出資を受け、敷設されているが、これを複線化する[19]。2016年のサウンド・トランジット3英語版住民投票で二つの駅を建設するための資金が承認され、費用として3億ドルが見込まれている。 ティリクム駅はルイス=マコード統合基地英語版に隣接する、州間高速道路5号線とバークリー・ストリート・サウスウエストの交差点の付近に建設計画があり、デュポン駅は州間高速道路5号線とセンター・ドライブの交差点にほど近いウィルミントン・ドライブのバス停留所を拡張する計画がある[19]。さらに、輸送力向上のため現在の7両から最大10両編成に対応できるようにプラットフォームを延長する計画がある[20]

当初これらの計画は2024年から2036年にかけて完了する予定であったが、費用の増加により計画予算と差異が生じ見直しが行われた結果、プラットフォーム延長は2036年、S線の延伸は2045年完成見込みとされている[21][22][23][24]

運賃

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リンク・ライトレール英語版と同様に、信用乗車方式運賃システムで運用されている。運賃は距離を基準として算出され、2024年現在大人の運賃は3ドル25セントから5ドル75セントとなる[25]。乗客は乗車前に紙の切符を購入するか、モバイルチケットを使用するか、ORCAカード英語版をタッチする必要がある。サウンド・トランジットの運賃チェック係または警官はランダムに電車に入って支払の証明を確認して、証明できない場合には注意を行ったり罰金を徴収する。ORCAカードを使用する乗客は乗車駅では最大運賃を差し引かれ、必要であれば降車時に払い戻しを受ける。18才以下、高齢者・身体障害者・ORCA Liftプログラムに該当する低所得者のための割引運賃がある[26]

2020年のコロナウイルスパンデミック中に、運賃徴収は3月21日から6月1日まで停止された[27]。 6月1日から30日までは、ORCAカードを使用しない乗車に2ドルの割引運賃が適用された[28]

乗客数の統計

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年間 乗客数 年差%
2004 955,298
2005 1,268,291 32.8%
2006 1,692,971 33.5%
2007 2,156,652 27.4%
2008 2,668,623 23.7%
2009 2,492,362 -6.6%
2010 2,364,290 -5.1%
2011 2,543,955 7.6%
2012 2,811,891 10.5%
2013 3,035,735 8%
2014 3,361,317 10.7%
2015 3,812,040 13.4%
2016 4,165,992 9.3%
2017[29] 4,438,374 6.5%
2018[30] 4,646,408 4.7%
2019[31] 4,616,656 -0.6%
2020[32] 1,274,219 -72.4%
2021[33] 711,720 -44.1%
2022[33] 1,140,908 60.3%
出典はサウンド・トランジットからのデータによる[34]

車両

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モデル 製造年 列車番号 保有数 備考 画像
機関車
EMD F59PHI英語版 1999 901–904 4 すべての機関車は、排出ガスを削減し、燃料を節約するために、EPAの第3次基準に適合するエンジンに変更された。[35]
2000 905–906 2
2001 907–911 5
MotivePower MP40PH-3C英語版 2012 921–923 3 第3次排気ガス規制に適合するようアップグレードされた。
制御車
ボンバルディア・バイレベル制御車 1999 101–104 4
2000 105–111 7 112–118はカルトレインに売却された[36]
2003 301–307 7
2017 321–329 9
2022 330–332 3 [37]
客車
ボンバルディア・バイレベル・コーチ 2000 201–213 13
2001 214–215 2
2002 216–218, 227–228, 231–240 15 219–226 & 229–230は、カルトレインに売却された[36]
2003 401–410 10
2022 411-418 8
別記あるものを除く出典[38][39]

脚注

[編集]
  1. ^ TAKING RIDERS OFF THE ROAD AND ONTO RAIL: BNSF OPERATES TRAINS FOR PASSENGER RAIL SERVICES”. BNSF鉄道 (2022年11月2日). 2024年5月28日閲覧。
  2. ^ Sounder Commuter Rail Train Specifications”. Sound Transit (July 18, 2009). 2009年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年2月10日閲覧。
  3. ^ a b c Sounder North N Line (Everett – Seattle) and Sounder South S Line (Lakewood/Tacoma – Seattle)”. Sound Transit (2024年4月4日). 2024年5月28日閲覧。
  4. ^ “Sound Transit inks BNSF pact to add Sounder trains, picks preferred East Link route alternative”. Progressive Railroading magazine. (2010年7月26日). https://www.progressiverailroading.com/passenger_rail/news.aspx?id=23907 2023年12月23日閲覧。 
  5. ^ Hall, C.B. (2012年11月21日). “Sounder train gets a lackluster start in Lakewood”. Crosscut. 2017年5月2日閲覧。
  6. ^ “South Sounder line to start mid-day service in September”. Seattle Times. (2016年8月30日). http://www.seattletimes.com/seattle-news/transportation/mid-day-service-to-begin-in-september-on-south-sounder-line/ 2017年4月6日閲覧。 
  7. ^ Sounder south gets better than ever with new trips starting 9/25”. Sound Transit (2017年8月24日). 2018年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月8日閲覧。
  8. ^ Sound Transit: Sounder Commuter Rail Schedules”. Sound Transit. 2017年4月6日閲覧。
  9. ^ 2011 SERVICE IMPLEMENTATION PLAN”. サウンド・トランジット. pp. 8, 27-28 (2010年11月18日). 2011年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月29日閲覧。
  10. ^ August 2013 Ridership Summary”. www.soundtransit.org. 2013年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月27日閲覧。
  11. ^ Q4 2019 Service Delivery Quarterly Performance Report”. Sound Transit (2020年2月27日). 2020年7月30日閲覧。
  12. ^ Velush, Lukas (December 17, 2003). “Sounder to finally get going”. Everett Herald. https://www.heraldnet.com/news/sounder-to-finally-get-going/ December 24, 2023閲覧。 
  13. ^ Pesznecker, Scott (May 31, 2008). “Sounder begins service to Mukilteo today”. Everett Herald (Everett Herald). http://www.heraldnet.com/article/20080531/NEWS01/265248236&news01ad=1#Sounder.begins.service.to.Mukilteo.today May 31, 2008閲覧。 
  14. ^ Mukilteo Station”. Sound Transit (February 10, 2008). February 7, 2008時点のオリジナルよりアーカイブ。February 10, 2008閲覧。
  15. ^ 2011 SERVICE IMPLEMENTATION PLAN”. サウンド・トランジット. pp. 26 (2010年11月18日). 2011年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月22日閲覧。
  16. ^ 2016 Q1 Report” (2016年5月24日). 2018年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月20日閲覧。
  17. ^ Work starts on landslide solutions for Pacific Northwest Rail Corridor”. Railway Track & Structures. Simmons-Boardman Publishing (2013年8月20日). 2024年5月29日閲覧。
  18. ^ 例:Mudslides continue to plague rail traffic north of Seattle”. May 30, 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月27日閲覧。
  19. ^ a b Sounder Extension to DuPont”. Sound Transit (2016年7月21日). 2018年1月5日閲覧。
  20. ^ South Sounder Capital Improvements Program”. Sound Transit (2016年7月1日). 2017年4月6日閲覧。
  21. ^ Realigned Capital Program Pursuant to Sound Transit Board action of August 5, 2021”. Sound Transit (2021年8月12日). 2021年8月15日閲覧。
  22. ^ Sounder South Capacity Expansion”. Sound Transit. 2021年8月15日閲覧。
  23. ^ Lynn, Adam (2016年3月24日). “Several Pierce County projects in $50 billion Sound Transit plan”. The News Tribune. http://www.thenewstribune.com/news/local/traffic/article68171787.html 2016年12月20日閲覧。 
  24. ^ Luczak, Marybeth (2021年8月6日). “Sound Transit Adopts 'Realignment' Plan”. Railway Age. https://www.railwayage.com/passenger/sound-transit-adopts-realignment-plan/ 2021年8月15日閲覧。 
  25. ^ How to pay”. 2024年5月31日閲覧。
  26. ^ Sounder train fares”. Sound Transit. 2018年12月21日閲覧。
  27. ^ "Sound Transit to suspend fares on all transit modes until further notice" (Press release). Sound Transit. 20 March 2020. 2020年6月11日閲覧
  28. ^ "Reduced fare options will accompany June 1 reintroduction of fares on Link and Sounder" (Press release). Sound Transit. 18 May 2020. 2020年6月11日閲覧
  29. ^ 2017 Ridership” (2018年2月22日). 2018年2月22日閲覧。
  30. ^ December 2018 Service Performance Report” (2019年2月13日). 2019年3月8日閲覧。
  31. ^ PUBLIC TRANSPORTATION RIDERSHIP REPORT Fourth Quarter 2019”. American Public Transportation Association (2020年2月28日). 2020年5月22日閲覧。
  32. ^ Q4 2020 Service Delivery Quarterly Performance Report”. Sound Transit (February 25, 2021). March 4, 2021閲覧。
  33. ^ a b Ridership”. System performance tracker. Sound Transit. October 16, 2023閲覧。
  34. ^ Quarterly Ridership Report archive”. Sound Transit. April 12, 2017閲覧。
  35. ^ MOTION NO. M2016-123 Sounder Locomotive Overhaul Contract Amendment”. Sound Transit (December 15, 2016). February 26, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。February 25, 2017閲覧。
  36. ^ a b Sound Transit Motion No. M2001-72” (PDF). Sound Transit. 2010年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月28日閲覧。
  37. ^ New Sounder Train Cars Arrive In Seattle” (英語). Seattle, WA Patch (2022年8月22日). 2022年10月15日閲覧。
  38. ^ Draft 2015 Service Implementation Plan – Appendix B: Fleet Plans”. Sound Transit. p. 112. November 8, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。November 8, 2014閲覧。
  39. ^ Two new Sounder train cars arrive for Seattle-Lakewood line” (2022年8月23日). 2024年5月28日閲覧。