サワシロギク

サワシロギク
	サワシロギクの花（葦毛湿原）
分類（APG III）
学名
	Aster rugulosus Maxim.
和名
	サワシロギク

サワシロギク（沢白菊、学名：Aster rugulosus Maxim.）は、キク科シオン属の多年草の一種^[2]。

分布

日本の固有種。北海道、本州、四国、九州に分布する^[1]^[3]。温帯から暖帯にかけて、日当たりの良い酸性の湿地に生育する^[1]。

特徴

地下茎は細長く這い、細い茎は50-60 cmほどの高さまで直立し、無毛^[1]。舌状花は一列で、白色ののちに紅紫色を帯び、花期は8-10月^[1]。頭花の径は約27 mm^[4]。花柄は長く、苞はなく、痩果はやや円柱状^[5]。線状披針状の葉の表面に皺がある^[5]。

湿地に生育する群落
蕾と花
白色ののちに紅紫色を帯びた花
線状披針状の葉には皺がある

この変種として静岡県浜松市渋川の蛇紋岩の礫斜面に分布するのシブカワシロギク（渋川白菊、学名:Aster rugulosus var. shibukawansis）がある^[6]。シラヤマギクとの雑種として、ナガバシラヤマギク（学名：Aster X sekimotoi Makino）がある^[1]。ヤマシロギク（学名：Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz.^[7]）との雑種のヤマサワシロギク（Aster Hashimotoi KITAMURA）が、滋賀県蒲生郡布施で分布していることが確認されている^[8]。

野菊の山野草として、その苗が市販されている^[9]。

名前の由来

本種の和名は山間湿地の生育する白い菊であることに由来する^[10]。なお、別属の植物で、黄色い花をつけるサワギク^[11]の名前も、本種と同じように沢沿いなど湿り気のある場所に生育することに由来する^[12]。

種の保全状況評価

生育地が消失した例があり^[13]^[14]、個体数は減少傾向にあり以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている^[15]。

絶滅 - 群馬県^[16]、東京都区部と南多摩
絶滅危惧IA類 - 長野県、福岡県^{[注釈 1]}^[17]
- 重要保護生物（B） - 千葉県^{[注釈 2]}^[18]
絶滅危惧I類 - 徳島県^{[注釈 3]}^[19]、香川県^{[注釈 4]}^[20]
絶滅危惧II類 - 秋田県^[21]、神奈川県、大阪府、佐賀県
- Bランク - 岩手県^{[注釈 5]}^[10]
準絶滅危惧 - 三重県^[22]
- 希少種 - 奈良県^{[注釈 6]}
その他
- 情報不足 - 埼玉県
- その他重要種 - 滋賀県
- 要注目種 - 京都府^{[注釈 7]}^[13]

脚注

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注釈

^ 福岡県では北九州市に現存する開花個体数は50未満と推定されている。
^ 千葉県のレッドリストのカテゴリー「重要保護生物（B）」は、環境省の絶滅危惧IB類相当、県北部の湿地に分布し湿地が開発され著しく減少している。
^ 徳島県では三好市池田町の一地域のみで分布が確認されている。
^ 香川県では西部地域の山地に点在し、個体数が漸減している。
^ 岩手県のレッドリストのカテゴリー「Bランク」は、環境省の絶滅危惧II類相当。
^ 奈良県のレッドリストのカテゴリー「希少種」は、環境省の準絶滅危惧相当。
^ 京都府の関西文化学術研究都市の開発で多くの生育地が消滅した。

出典

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 佐竹 (1981)、195頁
^ ^a ^b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster rugulosus Maxim.”. BG Plants 和名−学名インデックス（YList）. 2013年12月5日閲覧。
^ “湿原の生物” (PDF). 三田市. 2013年12月6日閲覧。
^ 佐竹 (1985)、III-81頁
^ ^a ^b 佐竹 (1981)、193頁
^ 山中二男「静岡県蛇紋岩地帯の植生 (蛇紋岩地帯の植物群落学的研究-15,16-)」『高知大学学術研究報告自然科学編』第22号、高知大学、1973年、125-137頁、ISSN 03890244、NAID 120001358334。
^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz.”. BG Plants 和名−学名インデックス（YList）. 2013年12月6日閲覧。
^ 北村 (1934)、143頁
^ “サワシロギク”. 山野草、寄せ植え販売のやまおか碧山. 2013年12月9日閲覧。
^ ^a ^b “いわてレッドデータブック（種子植物）” (PDF). 岩手県. pp. 161 (2001年). 2013年12月9日閲覧。
^ 林 (2009)、57頁
^ 牧野 (1951)、30頁
^ ^a ^b “京都府レッドデータブック（サワシロギク）”. 京都府 (2002年). 2013年12月6日閲覧。
^ 西野貴子 (2013年11月18日). “サワシロギク Aster rugulosus における湿地と蛇紋岩地帯への生態的適応”. 日本植物分類学会. 2013年12月8日閲覧。
^ “日本のレッドデータ検索システム「サワシロギク」”. （エンビジョン環境保全事務局）. 2013年12月6日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
^ “群馬県の絶滅のおそれのある野生生物植物編（2012年改訂版）植物レッドリスト（2012年改訂版）” (PDF). pp. 1 (2012年). 2013年12月6日閲覧。
^ “福岡県の希少野生生物 RED DATA BOOK 2011 FUKUOKA（サワシロギク）”. 福岡県 (2011年). 2013年12月6日閲覧。 - 2001年版では情報不足。
^ “千葉県の保護上重要な野生生物－千葉県レッドデータブック－植物・菌類編（2009年改訂版）” (PDF). 千葉県. pp. 212 (2009年). 2013年12月6日閲覧。
^ “徳島県版レッドデータブック” (PDF). 徳島県. pp. 317 (2001年). 2013年12月6日閲覧。
^ “香川県レッドデータブック（サワシロギク）”. 香川県 (2004年3月). 2013年12月6日閲覧。
^ “秋田県版レッドデータブック2002（植物編）” (PDF). 秋田県. pp. 160 (2002年). 2013年12月6日閲覧。
^ “三重県レッドデータブック2005（サワシロギク）”. 三重県 (2005年). 2013年12月6日閲覧。

参考文献

北村四郎「日本産新菊科植物VIII.」『植物分類・地理』第3巻第3号、日本植物分類学会、1934年10月30日、NAID 110003761648。
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫編『日本の野生植物離合弁花類』平凡社〈草本III〉、1981年10月。ASIN B000J7UPCC。
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫編『日本の野生植物草木』平凡社〈フィールド版〉、1985年2月15日。ISBN 4-582-53511-9。
林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421。
牧野富太郎『牧野日本植物図鑑』（改訂版）北隆館、1951年。

外部リンク

サワシロギクの標本（神奈川県箱根山仙石原で1959年8月27日に採集）（千葉大学附属図書館）
サワシロギク（広島大学デジタル自然史博物館）
Aster rugulosus （The Plant List）（英語）

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[17] 福岡県では北九州市に現存する開花個体数は50未満と推定されている。

[19] 千葉県のレッドリストのカテゴリー「重要保護生物（B）」は、環境省の絶滅危惧IB類相当、県北部の湿地に分布し湿地が開発され著しく減少している。

[21] 徳島県では三好市池田町の一地域のみで分布が確認されている。

[23] 香川県では西部地域の山地に点在し、個体数が漸減している。

[26] 岩手県のレッドリストのカテゴリー「Bランク」は、環境省の絶滅危惧II類相当。

[28] 奈良県のレッドリストのカテゴリー「希少種」は、環境省の準絶滅危惧相当。

[29] 京都府の関西文化学術研究都市の開発で多くの生育地が消滅した。

[佐竹_(1981)、195頁-1] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 佐竹 (1981)、195頁

[YList-2] 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster rugulosus Maxim.”. BG Plants 和名−学名インデックス（YList）. 2013年12月5日閲覧。

[3] “湿原の生物” (PDF). 三田市. 2013年12月6日閲覧。

[4] 佐竹 (1985)、III-81頁

[佐竹_(1981)、193頁-5] 佐竹 (1981)、193頁

[6] 山中二男「静岡県蛇紋岩地帯の植生 (蛇紋岩地帯の植物群落学的研究-15,16-)」『高知大学学術研究報告自然科学編』第22号、高知大学、1973年、125-137頁、ISSN 03890244、NAID 120001358334。

[7] 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz.”. BG Plants 和名−学名インデックス（YList）. 2013年12月6日閲覧。

[8] 北村 (1934)、143頁

[9] “サワシロギク”. 山野草、寄せ植え販売のやまおか碧山. 2013年12月9日閲覧。

[iwate-10] “いわてレッドデータブック（種子植物）” (PDF). 岩手県. pp. 161 (2001年). 2013年12月9日閲覧。

[11] 林 (2009)、57頁

[12] 牧野 (1951)、30頁

[kyoto-13] “京都府レッドデータブック（サワシロギク）”. 京都府 (2002年). 2013年12月6日閲覧。

[14] 西野貴子 (2013年11月18日). “サワシロギク Aster rugulosus における湿地と蛇紋岩地帯への生態的適応”. 日本植物分類学会. 2013年12月8日閲覧。

[15] “日本のレッドデータ検索システム「サワシロギク」”. （エンビジョン環境保全事務局）. 2013年12月6日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。

[16] “群馬県の絶滅のおそれのある野生生物植物編（2012年改訂版）植物レッドリスト（2012年改訂版）” (PDF). pp. 1 (2012年). 2013年12月6日閲覧。

[18] “福岡県の希少野生生物 RED DATA BOOK 2011 FUKUOKA（サワシロギク）”. 福岡県 (2011年). 2013年12月6日閲覧。 - 2001年版では情報不足。

[20] “千葉県の保護上重要な野生生物－千葉県レッドデータブック－植物・菌類編（2009年改訂版）” (PDF). 千葉県. pp. 212 (2009年). 2013年12月6日閲覧。

[22] “徳島県版レッドデータブック” (PDF). 徳島県. pp. 317 (2001年). 2013年12月6日閲覧。

[24] “香川県レッドデータブック（サワシロギク）”. 香川県 (2004年3月). 2013年12月6日閲覧。

[25] “秋田県版レッドデータブック2002（植物編）” (PDF). 秋田県. pp. 160 (2002年). 2013年12月6日閲覧。

[27] “三重県レッドデータブック2005（サワシロギク）”. 三重県 (2005年). 2013年12月6日閲覧。

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[注釈 1]

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[注釈 3]

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[注釈 4]

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[注釈 5]

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[注釈 6]

[注釈 7]

分布

特徴

名前の由来

種の保全状況評価

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

外部リンク