コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン』
ジョー・サトリアーニスタジオ・アルバム
リリース
録音 カリフォルニア州サンフランシスコ アルファ・アンド・オメガ・レコーディング、ハイド・ストリート・スタジオ[1]
ジャンル ハードロックインストゥルメンタル・ロック
時間
レーベル Relativity Records
エピック・レコード(リイシュー)
プロデュース ジョー・サトリアーニ、ジョン・クニベルティ
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 10位(オーストラリア[2]
  • 16位(ニュージーランド[3]
  • 29位(アメリカ[4]
  • ジョー・サトリアーニ アルバム 年表
    ノット・オブ・ディス・アース
    (1986年)
    サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン
    (1987年)
    ドリーミング #11 (EP)
    (1988年)
    テンプレートを表示

    サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン』(Surfing with the Alien)は、アメリカ合衆国のギタリスト、ジョー・サトリアーニ1987年に発表した2作目のスタジオ・アルバム

    背景

    [編集]

    「オールウェイズ・ウィズ・ミー、オールウェイズ・ウィズ・ユー」はサトリアーニの妻に捧げられた曲で、「サッチ・ブギー」はジャズ・ドラマーのジーン・クルーパをイメージして作曲された[5]。所属レーベルのRelativity Recordsの社長バリー・コブリンは、サトリアーニから本作の制作の話を持ちかけられた際、流行のスタイルではないと訝しむ一方で、「サッチ・ブギー」のライヴ演奏を聴き「良いじゃないか、アルバム全体がこういう路線なのかい?」と尋ねたところ、サトリアーニは「大体こんな感じさ、曲のストックはまだまだある」と答えたという[6]。そして、本作は1万3千ドルという低予算で制作された[6]

    サトリアーニは当時まだアイバニーズのシグネイチャー・モデルを開発しておらず、本作のレコーディングでは、2本のクレイマー・ペイサー英語版(以前より使用してきた2つのハムバッカーピックアップを搭載した白いギターと、新たに購入した、3つのシングルコイルのピックアップを搭載したギター)や、自身のオリジナル・ギター(ブギー・ボディ・ギターのボディやESP製のネックなどが寄せ集められた)を使用した[6]。ただし、新たに購入したクレイマー・ペイサーは使い勝手が悪く、サトリアーニは2017年のインタビューにおいて「スタジオでも限定的にしか使われなくて、私は今でもそのギターを持っているけど、レコーディングが終わってからは一度も使っていないし、どう使っていいかわからない。だけど、不完全な作りのギターとはいえ安かったから、メーカーには感謝しているよ」とコメントしている[6]

    本作の仮タイトルは『ローズ・オブ・カルマ』だったが、あるイギリス人インタビュアーからタイトルが良くないと指摘されたため、『サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン』に変更された[7]。デザイナーを務めたJim Kozlowskiの案により、ジャケットにはマーベル・コミックのキャラクター「シルバーサーファー」が使用された[7]

    反響

    [編集]

    アメリカでは自身初のBillboard 200入りを果たし、最高29位を記録した[4]。なお、サトリアーニは1988年にミック・ジャガーのツアー・ギタリストを務めていた頃、本作がジャガーの最新作『プリミティヴ・クール』の全米チャート最高順位を超えたという連絡をマネージャーから受け、サトリアーニ自身は「どうすればいいのか分からなくなった」とのことだが、ジャガーからは「ジョー、本当に凄いな。その調子で頑張れよ」と励まされたという[7]。本作はその後も売り上げを伸ばし、1992年2月にはRIAAによってプラチナ・ディスクの認定を受けている[8]

    オーストラリアでは1988年10月30日付のアルバム・チャートで初登場28位となり、同年11月27日に最高10位を記録して、最終的には25週連続でトップ50入りするヒットとなった[2]。また、「オールウェイズ・ウィズ・ミー、オールウェイズ・ウィズ・ユー」は、オーストラリアのシングル・チャートで最高37位を記録している[9]

    評価

    [編集]

    第31回グラミー賞英語版では、本作が最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞にノミネートされ、収録曲「オールウェイズ・ウィズ・ミー、オールウェイズ・ウィズ・ユー」は最優秀ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞にノミネートされた[10]ジョージ吾妻は『BURRN!』誌1988年1月号のレビュー(当時は日本盤が発売されておらず「輸入盤アルバム」の枠で紹介された)で100点満点中72点を付け「ともすれば退屈になりがちなインスト・ナンバーにも、かなり多くのヴァリエーションを持ち込んでいて、このアルバムにかけるハッスルぶりがよくわかる」「そろそろ"スティーヴ・ヴァイの先生"という肩書きははずして、同じ土俵の中で見るべきだろう」と評している[11]。また、Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「1980年代中期から後期におけるギター・プレイの金字塔とみなせる作品で、速弾き全盛期における美点をすべて捉えている」と評している[12]

    「サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン」のギター・ソロは、『ギター・ワールド』誌のスタッフが2008年に選出した「最も偉大なギター・ソロ100」において30位となった[13]

    リイシュー

    [編集]

    2016年に発売された日本盤再発CD (SICP-30913)には、ボーナス・トラック「ザ・クラッシュ・オブ・ラヴ」が追加された[14]。この曲は、元々は『ギター・プレイヤー』誌1988年2月号に付属していたソノシートの収録曲で[15]、同年発表のEP『ドリーミング #11』にも、唯一のスタジオ録音の新曲として収録されていた[16]

    2019年11月29日には、本作収録曲の全曲に関してギター・ソロやメロディを除去した「ストリップト・ヴァージョン」と呼ばれるボーナス・ディスクが付属した2枚組の再発LPが、3500枚限定で発売されたが、アートワークにおけるマーベル・コミックの使用料が高額になったことから、ここでのジャケットはサトリアーニ所有のギターを描いたイラストに差し替えられた[17]

    収録曲

    [編集]

    全曲ともジョー・サトリアーニ作曲。

    1. サーフィング・ウィズ・ジ・エイリアン - Surfing with the Alien - 4:25
    2. アイス9 - Ice 9 - 3:59
    3. クラッシング・デイ - Crushing Day - 5:14
    4. オールウェイズ・ウィズ・ミー、オールウェイズ・ウィズ・ユー - Always with Me, Always with You - 3:22
    5. サッチ・ブギー - Satch Boogie - 3:13
    6. ヒル・オブ・ザ・スカル - Hill of the Skull - 1:48
    7. サークルズ - Circles - 3:28
    8. ローズ・オブ・カルマ - Lords of Karma - 4:48
    9. ミッドナイト - Midnight - 1:42
    10. エコー - Echo - 5:37

    日本盤リマスターCD(2016年)ボーナス・トラック

    [編集]
    1. ザ・クラッシュ・オブ・ラヴ - The Crush of Love - 4:18

    参加ミュージシャン

    [編集]

    脚注

    [編集]
    1. ^ Joe Satriani - Surfing With The Alien (1987, Vinyl) | Discogs
    2. ^ a b australian-charts.com - Joe Satriani - Surfing With The Alien
    3. ^ charts.org.nz - Joe Satriani - Surfing With The Alien
    4. ^ a b Joe Satriani - Awards”. AllMusic. 2015年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月2日閲覧。
    5. ^ Prato, Greg (2015年6月19日). “Joe Satriani: Songwriter Interviews”. Songfacts. 2020年8月2日閲覧。
    6. ^ a b c d Astley-Brown, Michael (2017年2月1日). “Joe Satriani talks Surfing With The Alien track-by-track”. MusicRadar. Future plc.. 2020年8月2日閲覧。
    7. ^ a b c Grow, Kory (2014年6月23日). “Joe Satriani Reflects on 30-Years of Mind-Bending Guitar Daredevilry”. Rolling Stone. 2020年8月2日閲覧。
    8. ^ Gold & Platinum”. RIAA. 2020年8月2日閲覧。
    9. ^ australian-charts.com - Joe Satriani - Always With Me, Always With You
    10. ^ Joe Satriani - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2020年8月2日閲覧。
    11. ^ 『BURRNIN' VINYL VOL.2』バーン・コーポレーション、1991年9月25日、151頁。ISBN 4-401-61347-3 
    12. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Surfing with the Alien - Joe Satriani”. AllMusic. 2020年8月2日閲覧。
    13. ^ 100 Greatest Guitar Solos: No. 30 "Surfing with the Alien" (Joe Satriani)”. Guitar World. Future plc (2008年10月28日). 2020年8月2日閲覧。
    14. ^ Satriani - Surfing With The Alien (2016, Blue-spec CD2, CD) | Discogs
    15. ^ Joe Satriani / Steve Vai - Power Cosmic - The Crush Of Love / Amazing Grace (1988, Flexi-disc) | Discogs
    16. ^ Carter, Phil. “Dreaming #11 - Joe Satriani”. AllMusic. 2020年8月2日閲覧。
    17. ^ Kielty, Martin (2019年12月1日). “Joe Satriani 'Forced' to Change 'Surfing With the Alien' Cover”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2020年8月2日閲覧。

    外部リンク

    [編集]