ザ・インサイダー
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URL |
https://theins.ru/ The Insider (@the_ins_ru) - X(旧Twitter) |
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設立者 | ロマン・ドブロホトフ |
開始 | 2013年11月 |
ザ・インサイダー(The Insider)は、ロシアに焦点を当てた独立系メディアである[1]。
2013年11月、連帯のメンバーで自由民主主義者であるロマン・ドブロホトフによって設立された。編集長はアンドリス・ヤンソンズが務める。
調査報道、ファクトチェック、特定などを専門としており、イギリスの調査報道ウェブサイトベリングキャットやBBCなどと協力関係にある。フェイクニュースの暴露[2]でも知られる。
2021年7月23日、ロシア当局はザ・インサイダーを外国エージェントに指定[3]し、同月25日にべリングキャットとともにロシアでの活動を禁止[4]。このときにドブロホトフは、ザ・インサイダーはリガで活動をしており、ロシアには駐在員事務所を持っていないと述べている[5]。2022年時点では、プラハに編集部を置いて活動を続けている[6]。
主な調査
[編集]特定への寄与
[編集]- 2014年 - マレーシア航空17便撃墜事件に関与したロシア連邦保安庁(FSB)の将軍[7](べリングキャット、BBCとの協力)
- 2018年 - 元ロシア人二重スパイセルゲイ・スクリパリ暗殺未遂事件の容疑者[8](べリングキャット、BBCとの協力)
- 2019年 - ジョージア難民ゼリムハン・ハンゴシヴィリ暗殺に関与したFSBの特殊部隊と再犯殺人犯[9](ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルとの協力)
- 2020年 - 反プーチン政治活動家アレクセイ・ナワリヌイ毒殺未遂事件に関与したFSB工作員チーム[10]。(べリングキャット、BBC、デア・シュビーゲル、ラジオ・フリー・ヨーロッパとの協力)
- 2022年 - ロシアのウクライナ侵攻中の8月28日に親クレムリンのTelegramチャンネルで共有された動画中でのウクライナ人捕虜への残虐行為・処刑に関与した人物[11](べリングキャットとの調査)
- 同年 - ウクライナの民間住宅・インフラに対する精密誘導ミサイル攻撃を管理するロシア軍部隊・隊員33人[12](べリングキャット[13]、デア・シュピーゲルとの協力[14])
その他
[編集]- 2014年10月16日にチェコで発生した兵器庫爆発(2人死亡)に関与したロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)将校2人について、チェコ当局が発表した調査内容について[17]。
- ナワリヌイ毒殺未遂に関与したFSBのチームは、2015年と2017年の反プーチン政治活動家ウラジーミル・カラムルザ毒殺未遂[18]と2019年4月16日の作家のドミトリー・ビコフ毒殺未遂にも関与しているとみられることについて[19]。
- 2015年2月27日に暗殺されたエリツィン政権で第一副首相を務めたこともある政治家ボリス・ネムツォフも、FSBに追跡されていたこと[20]。
- ジュエリー・ブランドの経営者で、NATO将校が創設したナポリのライオンズクラブ会員であった「マリア・アデラ」の正体が、べリングキャット、デア・シュビーゲル、ラ・レプッブリカとの協力によりGRU将校の娘オルガ・コロボワであると判明[21]。
- 2015年にカールトン大学を卒業[22]、2018年秋にカルガリー大学で戦略研究の修士号を取得、2021年秋よりノルウェーのトロムソ大学の客員研究員であった「ホセ・アシス・ジャンマリア」を、GRU大佐[23]のミハイル・ヴァレリエヴィッチ・ミクシンと確認していたことについての詳細情報(べリングキャットとの協力[24][25])[26]。ミクシンは、2022年10月24日にノルウェー国家公安警察(PST)に拘束された[27][28][29]。
- 2024年パリオリンピック直前の7月19日、フランス当局にスパイ容疑で逮捕されたロシア人シェフ(エージェント)キリル・グリャズノフ(1984年ペルミ生まれ)について[30][31]。アルコール依存症であったグリャズノフは、同年5月にブルガリアのリゾート地で泥酔。行きがかりの人々にパリに行く理由を話し、FSBの身分証明書を提示したばかりでなく、目的のために雇ったモルドバ人に電話をしていたと目撃者からザ・インサイダーに情報提供があった。この人物を調査した結果、GRU職員との関係も確認された[32]。(デア・シュピーゲル、ル・モンドとの協力)
- 2023年11月にパリのいくつかの地域の建物にダビデの星の落書きをした疑いで2名のモルドバ人が逮捕されている[33]。落書きのなかにはイスラエル選手団が人質に取られた1972年ミュンヘンオリンピックでのテロ(ミュンヘンオリンピック事件)の再発を示唆するものも含まれていたという[34]。
受賞
[編集]- 2017年11月 - 欧州評議会世界民主主義フォーラム評議会賞[35]
- 2017年5月 - 欧州報道賞(セルゲイ・スクリパリ暗殺未遂事件の容疑者割り出し、べリングキャットと共同受賞)[36]
- 2019年5月 - レッドコレギア賞(『奴隷制との闘いを求める声は、国家制度を脅かしています』)[37]
- 2019年8月 - フリー・メディア・アワード [38]
- 2021年2月 - レッドコレギア賞(FSB職員がウラジーミル・カラムルザを毒殺しようとした方法)[39]
脚注
[編集]- ^ “The Insider — reports, analytics, investigations”. 2024年4月3日閲覧。
- ^ “Российский Insider получил премию Форума Совета Европы за демократию” (ロシア語). www.ukrinform.ru (2017年11月10日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ Reuters (2021年7月23日). “Russia declares media outlet The Insider a 'foreign agent'” (英語). Reuters 2022年8月22日閲覧。
- ^ Times, The Moscow (2022年7月15日). “Russia Bans Bellingcat, Insider as ‘Undesirable’ Orgs” (英語). The Moscow Times. 2022年8月22日閲覧。
- ^ Inc, TV Rain (2021年7月25日). “The Insider отказался маркировать свои материалы как «иноагент»”. tvrain.ru. 2022年8月22日閲覧。
- ^ “Путеводитель по российским медиа времен тотальной цензуры”. Proekt (2022年8月15日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ Times, The Moscow (2020年4月28日). “Senior Russian FSB Officer Named as Key MH17 Figure: Bellingcat” (英語). The Moscow Times. 2022年8月22日閲覧。
- ^ 八田浩輔 (2020年1月30日). “欧州ニュースアラカルト オールドメディアに押し寄せるオープンソース調査の波<ベリングキャットの衝撃(下)>”. 毎日新聞. 毎日新聞社. 2021年4月21日閲覧。
- ^ “Киллер на велосипеде. Убийцей чеченца в Берлине оказался рецидивист Вадим Красиков, и его покрывает государство” (ロシア語). The Insider (2019年12月3日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ “プーチン氏、野党指導者の毒殺未遂疑惑を否定 「殺害は不要」”. ロイター (2020年12月18日). 2021年4月21日閲覧。
- ^ “Дело в шляпе. Cадистом, истязавшим украинского военнопленного, оказался наемник из батальона «Ахмат» Очур-Суге Монгуш” (ロシア語). The Insider (2022年8月6日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ “Убийцы на удаленке. Кто и как наводит управляемые ракеты на украинские гражданские объекты” (ロシア語). The Insider (2022年10月25日). 2022年11月2日閲覧。
- ^ “The Remote Control Killers Behind Russia’s Cruise Missile Strikes on Ukraine” (英語). bellingcat (2022年10月24日). 2022年11月2日閲覧。
- ^ “The lnsider, Bellingcat и Spiegel идентифицировали сотрудников подразделения ВС РФ, управляющего ракетными ударами по Украине” (ロシア語). Медиазона (2022年10月24日). 2022年11月2日閲覧。
- ^ “ЕС ввел санкции против наводчиков управляемых ракет из расследования The Insider и Bellingcat” (ロシア語). The Insider (2022年12月17日). 2022年12月19日閲覧。
- ^ “Official Journal of the European Union Volume 65”. europa.eu (2022年12月16日). 2022年12月19日閲覧。
- ^ “Дипломаты с бомбой. Как ГРУ взорвало склад вооружений в Чехии” (ロシア語). The Insider (2021年4月20日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ “Контрсанкции. Как сотрудники ФСБ пытались отравить Владимира Кара-Мурзу” (ロシア語). The Insider (2021年2月11日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ “Отравить пересмешника. Как ФСБ пыталась убить Дмитрия Быкова” (ロシア語). The Insider (2021年6月9日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ “Служба защиты от Конституции: перед убийством Немцова за ним ездили те же киллеры из ФСБ, которые отравили Навального, Быкова и Кара-Мурзу” (ロシア語). The Insider (2022年3月28日). 2022年8月22日閲覧。
- ^ “Подвиг разведчицы. Как сотрудница ГРУ под видом «светской львицы» втерлась в доверие к НАТОвским офицерам” (ロシア語). The Insider (2022年8月26日). 2022年9月13日閲覧。
- ^ “University of Calgary graduate accused of espionage” (英語). Calgary (2022年10月26日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ NRK (2022年10月28日). “Spionsiktet gjesteforsker” (ノルウェー語 (ブークモール)). NRK. 2022年10月29日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/christogrozev/status/1584882325585768448”. Twitter (2022年10月25日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/christogrozev/status/1585988275814428672”. Twitter (2022年10月28日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ “В Норвегии задержали исследователя из Бразилии. Полиция считает, что это российский шпион, которому создали фальшивую личность” (ロシア語). Meduza (2022年10月29日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ “«Мика-захватчик». Арестованный в Норвегии «бразильский профессор» оказался гэрэушником Михаилом Микушиным, он очень плохо скрывался” (ロシア語). The Insider (2022年10月29日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ “大学の「ブラジル人」研究員、ロシアのスパイだった疑い ノルウェー警察が逮捕”. CNN.co.jp (2022年10月26日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ “Norway arrests ‘Brazilian researcher’ accused of spying for Russia” (英語). the Guardian (2022年10月25日). 2022年10月29日閲覧。
- ^ “パリ五輪期間中の「不安定化」企てた疑い、ロシア人男性を逮捕 フランス当局”. BBCニュース (2024年7月24日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ “フランスでロシア人の男性逮捕 パリ五輪の妨害を計画した疑い”. 毎日新聞 (2024年7月25日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ “Michelin Red Star: The Insider reveals identity of arrested Russian chef-agent who planned “destabilizing” acts at Paris Olympic Games” (英語). The Insider (2024年7月25日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ “В Париже снова появились антисемитские граффити. Ранее такие провокации заказывал Кремль” (ロシア語). The Insider (2024年5月29日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ “Красная звезда Мишлен. The Insider выявил повара-агента, готовившего провокации на Олимпиаде в Париже, он арестован” (ロシア語). The Insider (2024年7月25日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ “The Council of Europe’s Democracy Innovation Award goes to Russian investigative newspaper The Insider” (英語). www.coe.int (2017年11月10日). 2022年11月11日閲覧。
- ^ “Unmasking the Salisbury Poisoning Suspects: A Four-Part Investigation”. European Press Prize. 2022年11月11日閲覧。
- ^ “«Призывы к борьбе с рабством угрожают государственному строю». Как устроен рынок «экспертов» на службе у СК — Редколлегия” (ロシア語) (2019年5月15日). 2022年11月11日閲覧。
- ^ “The Insider - Russia” (英語). Fritt Ord. 2022年11月11日閲覧。
- ^ “Контрсанкции. Как сотрудники ФСБ пытались отравить Владимира Кара-Мурзу — Редколлегия” (ロシア語) (2021年2月28日). 2022年11月11日閲覧。