ジェフ・バーリン
ジェフ・バーリン Jeff Berlin | |
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ジェフ・バーリン(2007年) | |
基本情報 | |
生誕 | 1953年1月17日(71歳) |
ジャンル |
ジャズ フュージョン プログレッシブ・ロック |
担当楽器 | ベース |
共同作業者 |
ビル・ブルーフォード アラン・ホールズワース 渡辺香津美 アンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウ |
公式サイト |
www |
著名使用楽器 | |
Dean Jeff Berlin Signature Models MarkBass Amps |
ジェフ・バーリン(Jeff Berlin、1953年1月17日 - )は、アメリカ合衆国のベーシスト。主にジャズ、フュージョン、プログレッシブ・ロックのジャンルで活躍。
生い立ち
[編集]オペラ歌手の父とピアニストの母の間に産まれ、恵まれた環境の中で5歳よりヴァイオリンを始める。幼少期からオーケストラでソリストとして演奏し、神童と呼ばれていた。ビートルズ、クリーム等からの影響により、15歳でロックに目覚めベースに転向。
高校卒業後、バークリー音楽大学に進学。同級生にはゲイリー・バートン、パット・メセニー、マイク・スターン、ビル・フリゼール、ジョン・スコフィールド、ヴィニー・カリウタ、スティーヴ・スミス、ラリー・コリエル等を持つ。
概要
[編集]ジャズ・ロック/フュージョンの傾向の演奏スタイルを有すると評されており、特にビル・ブルーフォードとのコンビネーションが有名。ブルーフォードの『ワン・オヴ・ア・カインド』や渡辺香津美の『スパイス・オブ・ライフ』など、数々のアルバムで演奏を聴くことができる。
ツーフィンガー奏法に拘り、ハーモニックでテクニカルなラインを流麗に弾きこなす。ブルーフォード時代にはツーハンド奏法(タッピング奏法)やスラップ奏法も使用しており、教則ビデオでそれらのテクニックについて自ら解説している。
そのプレイスタイルはジャコ・パストリアスに似ているとも評されている。ただしパストリアスがフレットレスベースをメインで使っているのに対し、彼はフレッテッドベースをメインで使っており、自分がパストリアスの模倣者と評されることを嫌っている[1]。
ブルーフォードを含むイエスの元メンバーが結成したアンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウが1989年に行なったアメリカ・ツアーの途中、ブルーフォードの推薦を受けて、体調を崩したサポート・メンバーのトニー・レヴィンの代役を務めた[2][注釈 1]。その模様はライブ・アルバム『イエス・ミュージックの夜』とそのビデオ・ソフトに収録されている。
ビル・エヴァンスにその才能を見出され、ビル・エヴァンス・トリオ初のエレクトリックベーシストとしてマーク・ジョンソンの後任に迎えられる予定であったが、エヴァンスが長年の薬物乱用の影響で死去したため、実現することはなかった。
1980年代初頭にはビル・ブルーフォードのコンサートの楽屋に挨拶にやってきたエドワード・ヴァン・ヘイレンに、「バンド(ヴァン・ヘイレン)に入らないか?」と話を持ちかけられたが、「デイヴィッド・リー・ロスが自分のことを気に入ってくれるとは思えないし、彼にはビリー・シーンの方が似合ってる。それに自分の方向性を曲げてまで、金を稼ぐためにプレイするのはバンドにとっても良くないだろう」とあっさり断ったエピソードがある[3]。
パストリアスが「俺よりも優れたソロイスト」と公言した他、ヴィクター・ウッテンに「地球上で最も上手いベーシスト」、ビリー・シーンに「彼のプレイを聴くと腕を切り落としたくなる」と賞賛されるなど、同世代のミュージシャンからも支持される、まさにミュージシャンズ・ミュージシャンである。ラッシュのベーシスト、ゲディー・リーが敬愛するベーシストとしても知られている。
現在は個人活動と後進の育成に専念している。
2013年には、渡辺香津美とユニットを再結成[注釈 2]し、2度の日本公演を行なっている。
2020年10月、パーシー・ジョーンズが脱退[4]した、ブランドXへのツアー参加が報じられた。[5]
使用機材
[編集]活動初期は1964年製のフェンダー・プレシジョンベースのボディにトバイアスが製作したフェンダー・ジャズベースタイプのネックに換装し、バルトリーニ製のハムバッキングピックアップを二基取り付けたベースをメインに使用していた。その後はPeaveyのジェフ・バーリンモデル「Palladium」、Dean製の「Jeff Berlin Player Bass」を経て、2021年現在はCort製の「Rhythimic」を使用している。いずれのベースも初期に使用していた改造プレシジョンベースが元となっている。
この他、1980年代にはNOVAなるメーカーに在籍していたジョン・バスカリーノ(後にバスカリーノ・ギターズを立ち上げる)が製造したカスタムメイドのベースや、ヤマハRBXを使用していた。
アンプはアンペグ、ヤマハ、Peavey等を経て、2021年現在はMark Bassと契約している。Mark Bassとはシグネチャーモデルのベースアンプを共同で開発している。
ディスコグラフィ
[編集]ソロ・アルバム
[編集]- 『チャンピオン』 - Champion (1985年) ※Jeff Berlin & Vox Humana名義
- 『パンプ・イット』 - Pump It! (1986年)
- Crossroads (1998年) ※『Champion』の1曲を除く全曲と『Pump It!』全曲を含むコンピレーション
- Taking Notes (1997年)
- In Harmony's Way (2000年)
- Lumpy Jazz (2004年)
- 『エース・オブ・ベース』 - Aneurythms (2005年) ※日本盤は『Ace of Bass』のタイトルで発売。収録曲中の1曲のみ曲名が違うが同曲、同内容。
- 『ハイ・スタンダーズ』 - High Standards (2010年)
- Low Standards (2013年)
参加アルバム
[編集]- 『フィールズ・グッド・トゥ・ミー』 - Feels Good to Me (1977年) ※ソロ名義
- Master Strokes 1978-1985 (1986年)
- Best of Winterfold (2009年)
- 『ワン・オヴ・ア・カインド』 - One of a Kind (1979年)
- 『ザ・ブルーフォード・テープス』 - The Bruford Tapes (1979年) ※ライブ・アルバム
- 『グラデュアリー・ゴーイング・トルネード』 - Gradually Going Tornado (1980年)
- 『ロック・ゴーズ・トゥ・カレッジ』 - Rock Goes To College (2006年) ※ライブ・アルバム
- 『シームズ・ライク・ア・ライフタイム・アゴー』 - Seems Like A Lifetime Ago (2017年) ※CD&DVDボックス
- 『ロード・ゲームス』 - Road Games (1983年) ※EP
- 『スパイス・オブ・ライフ』 - The Spice of Life (1987年)
- 『スパイス・オブ・ライフ 2』 - The Spice of Life Too (1988年)
- 『スピニング・グローブ』 - Spinning Globe (2013年)
プレイヤーズ (ジェフ・バーリン、スコット・ヘンダーソン、T.ラヴィッツ、スティーヴ・スミス)
- Players (1987年)
その他の参加作品
- パトリック・モラーツ: 『ストーリー・オブ・アイ』 - The Story of I (1976年)
- エスター・フィリップス: 『キャプリコーン・プリンセス』 - Capricorn Princess (1976年)
- パティ・オースティン: 『エンド・オブ・ア・レインボー』 - End of a Rainbow (1976年)
- デイヴィッド・マシューズ with Whirlwind: Shoogie Wanna Boogie (1976年)
- レイ・バレット: 『パーカッシヴ・ファンク』 - Eye of the Beholder (1977年)
- デイヴ・リーブマン: Light'n Up, Please! (1977年)
- アーニー・クリヴダ: 『サタニック』 - Satanic (1977年)
- ドン・プーレン: 『モントルー・コンサート』 - Montreux Concert (1978年)
- デヴィッド・サンシャス: Just As I Though (1979年)
- Poussez!: Leave That Boy Alone! (1980年)
- クラウス・ドルディンガー&パスポート: 『ライフライク』 - Lifelike (1980年)
- ジョー・ディオリオ: 20th Century Impressions (1981年)
- ハービー・マン:『メロー』 - Mellow (1981年)
- ジャニス・イアン: 『アンクル・ワンダフル』 - Uncle Wonderful (1983年)
- Clare Fischer and Salsa Picante: Crazy Bird (1984年)
- Schumate-Reno Jazz Quintet: Hurricane (1985年)
- T.ラヴィッツ: Storytime" (1986年)
- k.d.ラング: 『カウガール・ブルース』 - Even Cowgirls Get The Blues (1989年)
- アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ: 『イエス・ミュージックの夜』 - An Evening Of Yes Music Plus (1993年)
- ネイサン・キャヴァレリ・バンド: 『ネイサン』 - Nathan (1994年)
- リッチー・コッツェン: 『ジ・インナー・ギャラクティック・フュージョン・エクスペリエンス』 - The Inner Galactic Fusion Experience (1995年)
- マイケル・ゼントナー: 『プレイタイム』 - Playtime (1995年)
- トゥインメン: 『トゥインメン』 - Twinemen (2002年)
- Various Artists: Grand Theft Auto: Vice City (Soundtrack) (2002年)
- ケイティ・カーティス: Dreaming in Romance Languages (2004年)
- Weepies: Happiness (2004年)
- Novocento: Featuring... (2004年)
- デニス・チェンバース、ジェフ・バーリン、デヴィッド・フュージンスキー、T.ラヴィッツ : 『ボストン・ティー・パーティー』 - Boston T Party (2005年)
- Paddy Saul: One Town Tasted (2007年)
- Meg Hutchinson: Come Up Full (2008年)
- Meg Hutchinson: The Living Side (2010年)
- Dann Glenn: Eleven Eleven Orchestra (2010年)
- スコット・ヘンダーソン、ジェフ・バーリン、デニス・チェンバース: 『HBC』 - HBC (2012年)
- Nick Miller: My Memories (2012年)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 以前にも同様の代役登板があった。先述の渡辺香津美『スパイス・オブ・ライフ』において、当初参加予定だったのは渡辺と以前から交流のあったレヴィンであり、その流れでブルーフォードの参加が決定。しかし肝心のレヴィンがスケジュールの都合で参加不可能となってしまい、急遽ブルーフォードが旧知のバーリンに話を持ち掛け、無事レコーディングに至った。
- ^ 但しブルーフォードが引退しているために、ドラマーとしてヴァージル・ドナティが参加。
出典
[編集]- ^ http://www.bassinside.com/2002/september/jberlin.htmArchived 2007年3月11日, at the Wayback Machine.
- ^ Howe, Steve (2020). All My Yesterdays. London: Omnibus Press. p. 179. ISBN 978-1-785581-79-3
- ^ http://www.forbassplayersonly.com/Interviews/Jeff-Berlin.html
- ^ “Percy Jones Leaves Brand X”. NO TREBLE. (2020年10月5日) 2021年6月2日閲覧。
- ^ “Jeff Berlin to Join Brand X for Tour”. NO TREBLE. (2020年10月12日) 2021年6月2日閲覧。