ヴィニー・カリウタ
ヴィニー・カリウタ Vinnie Colaiuta | |
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基本情報 | |
出生名 | Vincent Colaiuta |
生誕 | 1956年2月5日(68歳) |
出身地 | アメリカ合衆国 ペンシルベニア州ブラウンズビル |
ジャンル | ロック、ポップス、ジャズ、ファンク、カントリー、ヘヴィメタル |
職業 | ドラマー |
担当楽器 | ドラムス |
活動期間 | 1978年 - |
レーベル |
ストレッチ・レコード ムーンジューン・レコード |
共同作業者 |
フランク・ザッパ ジェフ・ベック スティング ハービー・ハンコック ファイヴ・ピース・バンド ダミアン・ドラギシ ジョニ・ミッチェル |
公式サイト |
www |
ヴィンセント・ピーター・カリウタ(Vincent Peter Colaiuta、1956年2月5日生 - )は、世界最高峰として知られるイタリア系アメリカ人のドラマーで、多くのジャンルでスタジオ・ミュージシャンとして活動している。1970年代後半からフランク・ザッパ、ジョニ・ミッチェル、スティングなどとレコーディングやツアーを行う傍ら、多数のレコーディングやコンサートで出演をしている。
1996年にモダンドラマー誌のホールオブフェイム[1]、2014年にクラシックドラマー誌のホールオブフェイム[2]に殿堂入りした。グラミー賞は1回受賞し、2回ノミネートされている[3]。
来歴
[編集]ペンシルベニア州ブラウンズビル出身。子供の頃からドラムセットで遊び、14歳の時に両親からフルセットを贈られ、本格的にドラマーを目指す道を歩み始めた。
1974年から1年間、ボストンのバークリー音楽院で学ぶ。この時代、当時ビッグバンドに所属していたドラマーのスティーヴ・スミスと出会っている。両者はゲイリー・チェイフィーの講義を懸命に受けたり、シンバルの叩法について夜遅くまで語り合うなど、熱心な学生だった。
バークリ―で学んだ後にアル・クーパーと活動してから、1978年に住まいをロサンゼルスに移し[4]、ラウンジのバンドなどで演奏しながら糧を得つつ経験を積んだ。同年、22歳の時にフランク・ザッパのオーディションを受け[注釈 1]、難易度では悪名高い課題曲「The Black Page」[注釈 2]を見事に演奏して合格した[4]。そしてザッパのツアーのメイン・ドラマーとして1978年8月から10月までの国内ツアーと1979年2月から4月までのヨーロッパ・ツアーに参加し、スタジオ活動に専念する為に一旦ツアー活動から離れた後、1980年10月から12月までの国内とカナダのツアーに参加した[5][4]。この間のザッパのレコーディングでの有力メンバーにもなり、『ジョーのガレージ』[6](1979年)、『ティンゼル・タウン・リベリオン』[5](1981年)、『黙ってギターを弾いてくれ』(1981年)の3作のアルバムでドラムを叩いた。そのどれもが驚くべき内容だと多くのドラマーに認められ、特に『ジョーのガレージ』でのそれは1993年の『Modern Drummer』誌においてドラム演奏ベスト25に選出される程のものだった。ザッパも後年出版した自伝に、彼のプレイを自分のバンドの歴代ドラマーで最高のものと綴っている[注釈 3][7]。
ザッパの元を独立してからは、ジノ・ヴァネリ、ジョニ・ミッチェル、バーブラ・ストライサンド、サンディ&ジュニアやチャカ・カーンなどから果てはメガデスまで、多彩なミュージシャンとの仕事をこなす。一方で、ジャズ界でも八面六臂の活躍を見せ、チック・コリア、ジミー・ハスリップ、クインシー・ジョーンズ、バディ・リッチのビッグバンドやビューエル・ナイトリンガーらとも共演している。2005年には、ポール・アンカのヒット・アルバム『ロック・スウィング』にも参加している。
1990年、彼はスティングの募集に応じ、アルバム『ソウル・ケージ』発表後のライブ・ツアーに参加する。スティングのバンド加入はその後7年間に及び、レコーディングにはそれ以上の期間加わった。1996年にはスティングに同行して「English Jam」で演奏し、その模様はジョン・マクラフリンのアルバム『ザ・プロミス』に収められている。2003年、スティングのアルバム『セイクレッド・ラヴ』のセッションに参加した縁で同アルバムのプロモーション・ライブに出演したが、ワールド・ツアーへの誘いは断っている。
1994年、初ソロ・アルバム『VINNIE COLAIUTA』を発表[8]。しかしセッション・ミュージシャンの要請が相変わらず多く、また映画音楽の制作やテレビ、ラジオなどの音楽担当を数え切れず任されていることもあって、それ以後はなかなか発表されなかった。
これまで『Modern Drummer』誌の読者投票で選出されるドラマー・オブ・ザ・イヤーに通算18度選ばれ、うち10回は「Best Overall」カテゴリーでの受賞を含んでいる。1996年には、現代ドラム奏者の殿堂入りし、今を生きる最も重要なドラマーと評された。
直近では、フェイス・ヒルのレコーディングやツアーへの参加、ジェフ・ベックの公演でバックを務める傍ら、数多いミュージシャンのセッションなど、相変わらず多忙なスケジュールをこなしている。
ディスコグラフィ
[編集]リーダー・アルバム
[編集]- 『VINNIE COLAIUTA』 - Vinnie Colaiuta (1994年、Stretch)
ジン・チ
- 『ジン・チ』 - Jing Chi (2001年、Tone Center) ※ヴィニー・カリウタ、ロベン・フォード、ジミー・ハスリップ名義
- 『ライヴ!』 - Jing Chi Live at Yoshi's (2003年、Tone Center) [9]
- 『3D』 - 3D (2004年、Tone Center)
- 『スプリーモ』 - Supremo (2017年、Inakustik Quality Of Music)
連名アルバム
- Dedication (1992年、Musidisc) ※with バニー・ブルネル、マイク・スターン、ビリー・チャイルズ
- Living (2001年、Universal/EmArcy) ※with アイデン・エッセン、ミロスラフ・ヴィトウス
- Live At The Baked Potato 2000 (2001年、LMNOP Music) ※with グレッグ・マティソン、エイブラハム・ラボリエル、マイケル・ランドウ
- Cave Man (2003年、J2K Records) ※with アンティ・コティコスキ、ヨルグ・クルートゲン、スティーヴ・タヴァローニ
参加アルバム
[編集]- 『ワイルド・シングス・ラン・ファスト』 - Wild Things Run Fast (1982年)
- 『ドッグ・イート・ドッグ』 - Dog Eat Dog (1985年)
- 『ナイト・ライド・ホーム』 - Night Ride Home (1991年)
- 『ディザイア』 - Desire (1982年)
- 『ストリームラインズ』 - Streamlines (1987年)
- 『フラッシュポイント』 - Flashpoint (1988年)
- 『スモーキン・セクション』 - Smokin' Section (1999年) ※トム・スコット&ザ・L.A.エクスプレス名義
- 『テン・サマナーズ・テイルズ』 - Ten Summoner's Tales (1993年)
- 『マーキュリー・フォーリング』 - Mercury Falling (1996年)
- 『ブラン・ニュー・デイ』 - Brand New Day (1999年)
- 『セイクレッド・ラヴ』 - Sacred Love (2003年)
- 『ニューヨーク9番街57丁目』 - 57th & 9th (2016年)
- 『ジョーのガレージ』 - Joe's Garage (1979年)
- 『ティンゼル・タウン・リベリオン』 - Tinseltown Rebellion (1981年)
- 『黙ってギターを弾いてくれ』 - Shut Up 'n Play Yer Guitar (1981年)
- 『ザ・マン・フロム・ユートピア』 - The Man From Utopia (1983年)
- 『ギター』 - Guitar (1988年)
- 『オン・ステージ Vol.1』 - You Can't Do That on Stage Anymore, Vol. 1 (1988年)
- 『オン・ステージ Vol.4』 - You Can't Do That on Stage Anymore, Vol. 4 (1991年)
- 『オン・ステージ Vol.6』 - You Can't Do That on Stage Anymore, Vol. 6 (1992年)
- 『雑派大魔神パリで逆鱗』 - Any Way the Wind Blows (1991年) ※Beat the Bootsシリーズ
- 『ストリクトリー・コマーシャル - ベスト・オブ・フランク・ザッパ』 - Strictly Commercial (1995年) ※コンピレーション
- 『ロスト・エピソード』 - The Lost Episodes (1996年)
- Frank Zappa Plays the Music of Frank Zappa: A Memorial Tribute (1996年)
- 『ハヴ・アイ・オフェンディッド・サムワン?』 - Have I Offended Someone? (1997年)
- Son of Cheep Thrills (1999年)
- Halloween (2003年)
- Trance-Fusion (2006年)
- Buffalo (2007年)
- Chicago '78 (2016年)
その他
- ジノ・ヴァネリ : 『ナイトウォーカー』 - Nightwalker (1980年)
- 村田和人 : 『Showdown』 (1986年)
- ビリー・ジョエル : 『ザ・ブリッジ』 - The Bridge (1986年)
- ブライアン・フェリー : 『ベイト・ノワール』 - Bête Noire (1987年)
- 村田和人 : 『Boy's Life』 (1987年)
- 渡辺美里 : 『Flower bed』 (1989年)
- ポール・ヤング : 『アザー・ヴォイセズ』 - Other Voices (1990年)
- 鈴木雅之 : 『mood』 (1990年)
- アン・ルイス : 『K-ROCK』 (1992年)
- トニー・バンクス : 『スティル』 - Still (1992年)
- ザ・ザ : 『ダスク』 - Dusk (1992年)
- デュラン・デュラン : 『デュラン・デュラン(ザ・ウェディング・アルバム)』 - Duran Duran (1993年)
- SMAP : 『SMAP 007〜Gold Singer〜』 (1995年)
- 奥井雅美 : 『Do-can』 (1998年)
- スティーヴ・スティーヴンス : 『フラメンコ・ア・ゴー・ゴー』 - Flamenco.a.Go.Go (1999年)
- 中島みゆき : 『短篇集』 (2000年)
- T-SQUARE : 『FRIENDSHIP』 (2000年)
- エイジア : 『オーラ』 - Aura (2000年)
- クリスティーナ・アギレラ : 『マイ・カインド・オブ・クリスマス』 - My Kind of Christmas (2000年)
- 中島みゆき : 『心守歌-こころもりうた』 (2001年)
- 松任谷由実 : 『acacia(アケイシャ)』 (2001年)
- Various Artists : 『ピンク・フロイド・トリビュート』 - An All Star Lineup Performing the Songs of Pink Floyd (2002年)
- フェイス・ヒル : 『クライ』 - Cry (2002年)
- Aja Daashuur : Before the Beginning (2003年)
- 中島みゆき : 『銀の龍の背に乗って』 (2003年)
- マイク・スターン : 『ジーズ・タイムス』 - These Times (2003年)
- アンディ・サマーズ : Earth + Sky (2003年)
- 中島みゆき : 『恋文』 (2003年)
- レネー・オルステッド : Renee Olstead (2004年)
- メガデス : 『ザ・システム・ハズ・フェイルド』 - The System Has Failed (2004年)
- 中島みゆき : 『いまのきもち』 (2004年)
- 松任谷由実 : 『VIVA! 6×7 (ビバ! シックス バイ セブン)』 (2004年)
- 中島みゆき : 『歌姫 LIVE in L.A.』 (2004年)
- 中島みゆき : 『中島みゆきライヴ! Live at Sony Pictures Studios in L.A.』 (2005年)
- 中島みゆき : 『転生 TEN-SEI』 (2005年)
- ポール・アンカ : 『ロック・スウィング』 - Rock Swings (2005年)
- バックストリート・ボーイズ : 『ネヴァー・ゴーン』 - Never Gone (2005年)
- Various Artists : 『バック アゲインスト ザ ウォール・ピンクフロイド トリビュート アルバム』 - Back Against the Wall (2005年) ※ビリー・シャーウッド主宰
- チック・コリア : 『アルティメット・アドヴェンチャー』 - The Ultimate Adventure (2006年)
- 松任谷由実 : 『A GIRL IN SUMMER』 (2006年)
- 中島みゆき : 『ララバイSINGER』 (2006年)
- ジョン・マクラフリン : 『インダストリアル・ゼン』 - Industrial Zen (2006年) ※「New Blues Old Bruise」に参加
- アンドレア・ボチェッリ : 『貴方に贈る愛の歌』 - Amore (2006年)
- スコット・キンゼイ : Kinesthetics (2006年)
- マリリン・スコット : 『イノセント・オブ・ナッシング』 - Innocent of Nothing (2006年)
- 寺尾聰 : 『Re-Cool Reflections』 (2006年)
- ジェフ・ベック : 『ライヴ・ベック '06』 - Official Bootleg USA '06 (2007年)
- ハービー・ハンコック : 『リヴァー〜ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』 - River: The Joni Letters (2007年)
- ジェフ・ベック : 『ライヴ・ベック3〜ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ』 - Performing This Week: Live at Ronnie Scott's Jazz (2008年)
- 松任谷由実 : 『そしてもう一度夢見るだろう』 (2009年)
- チック・コリア & ジョン・マクラフリン : 『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』 - Five Peace Band Live (2009年)
- ハービー・ハンコック : 『イマジン・プロジェクト』 - The Imagine Project (2010年)
- 中島みゆき : 『真夜中の動物園』 (2010年)
- 松任谷由実 : 『Road Show』 (2011年)
- 中島みゆき : 『荒野より』 (2011年)
- 福原美穂 : 『The Soul Extreme EP II』 (2011年)
- 中島みゆき : 『常夜灯』 (2012年)
- ジョー・サトリアーニ : 『アンストッパブル・モメンタム』 - Unstoppable Momentum (2013年)
- ブライアン・ウィルソン : 『ノー・ピア・プレッシャー』 - No Pier Pressure (2015年)
- ジョー・サトリアーニ : 『ショックウェイヴ・スーパーノヴァ』 - Shockwave Supernova (2015年)
- 松任谷由実 : 『宇宙図書館』 (2016年)
- Kamil Rustam : Cosmopolitain (2017年)
- TOTO : 『40トリップス・アラウンド・ザ・サン 〜グレイテスト・ヒッツ〜』 - 40 Trips Around the Sun (2018年)
- スティーヴ・ペリー : 『トレイシズ』 - Traces (2018年)
- 松居慶子 : 『Echo』 (2019年)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 1975年にザッパが率いていたザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのメンバーだったトム・ファウラー(ベース・ギター)からオーディションの事を聞いた。
- ^ 『ザッパ・イン・ニューヨーク』(1978年)に収録された難曲。
- ^ ザッパは、ギタリストの即興演奏が実験領域にまで到達できるか否かはリズム・セクションが如何に高度なポリリズムを駆使できるかに依っている、と説明して、大賞に値するのはカリウタだと結んだ。
出典
[編集]- ^ “Modern Drummer’s Readers Poll Archive, 1979–2017 | Modern Drummer Magazine |” (英語). Modern Drummer Magazine. 2024年2月26日閲覧。
- ^ “Vinnie Colaiuta” (英語). classic-drummer-hof. 2024年2月26日閲覧。
- ^ “Vinnie Colaiuta | Artist | GRAMMY.com”. grammy.com. 2024年2月26日閲覧。
- ^ a b c Ulrich (2018), p. 60.
- ^ a b Miles (2004), p. 283.
- ^ Miles (2004), p. 277.
- ^ Zappa & Occhiogrosso (1990), p. 180.
- ^ “Discogs”. 2024年6月5日閲覧。
- ^ “Artist Biography by Wade Kergan”. AllMusic. September 16, 2017閲覧。
引用文献
[編集]- Zappa, Frank; Occhiogrosso, Peter (1990). The Real Frank Zappa Book. New York: Touchstone. ISBN 0-671-70572-5
- Miles, Barry (2004). Zappa. New York: Grove Press. ISBN 0-8021-4215-X
- Ulrich, Charles (2018). The Big Note: A Guide To The Recordings Of Frank Zappa. Vancouver: New Star. ISBN 978-1-55420-146-4