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ジョン・テューキー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョン・テューキー
生誕 1915年6月16日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ニューベッドフォード
死没 2000年7月26日 (85歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューブランズウィック
居住 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野 数学
研究機関 ベル研究所
プリンストン大学
出身校 ブラウン大学
プリンストン大学
博士課程
指導教員
ソロモン・レフシェッツ
博士課程
指導学生
Frederick Mosteller
Kai Lai Chung
主な業績 FFTアルゴリズム
箱ひげ図
「ビット」という造語の考案
主な受賞歴 Samuel S. Wilks Award (1965)
アメリカ国家科学賞 (1973)
シューハートメダル (1976)
IEEE栄誉賞 (1982)
Deming Medal (1982)
James Madison Medal (1984)
王立協会フェロー (1991)[1]
プロジェクト:人物伝
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ジョン・ワイルダー・テューキー(John Wilder Tukey、1915年6月16日 - 2000年7月26日)はアメリカの数学者統計学者

生涯

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1915年、マサチューセッツ州ニューベッドフォードで生まれる。ブラウン大学で化学の学士号(1936年)と修士号(1937年)を取得後、プリンストン大学数学の博士号を取得。

第二次世界大戦中は Fire Control Research Office で Samuel WilksWilliam Cochran と共に働いた。戦後プリンストンに戻り、大学とベル研究所で研究を行った。

アメリカ統計学会の委員として、キンゼイ報告と結論が対立する報告(Statistical Problems of the Kinsey Report on Sexual Behavior in the Human Male)の作成に関与した。

1982年、「確率過程のスペクトル分析と高速フーリエ変換 (FFT) アルゴリズムへの貢献に対して」IEEE栄誉賞を受賞。

1985年に現役を引退。2000年7月26日、ニュージャージー州ニューブランズウィックで亡くなった。

科学への貢献

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統計学への興味は広範囲に渡っていた。特に、ジェイムズ・クーリー英語版と共にFFTアルゴリズムを開発したことで知られている。1970年には、後に「ジャックナイフ法」と呼ばれるようになった統計手法にも多大な貢献をした。また、1977年の著書 Exploratory Data Analysis箱ひげ図を導入した。

テューキーの名を冠した用語としては、テューキー検定(テューキーの方法)、テューキーのラムダ分布、テューキー・クレーマーの方法テューキーの補題などがある。他にも、3項平均 (trimean) や線形回帰の単純な代替であるmedian-median lineなどの手法も生み出した。

統計用語と手法

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テューキーは、その後広く使われるようになった統計用語を多数生み出したが、以下の最も有名な2つの用語は計算機科学に関するものである。

ジョン・フォン・ノイマンと共同でコンピュータの設計に関わっていたとき、"binary digit" を短縮して "bit" という造語を生み出した[2]。"bit" という用語は、1948年のクロード・シャノンの論文『通信の数学的理論』で早くも使われている。

"software" という用語は Paul Niquette が1953年に作ったと主張しているが、印刷物でこの単語が最初に見られるのは1958年のテューキーの論文(American Mathematical Monthly 誌)であり、テューキーの考案した用語とする人もいる[3]

テューキーはまた、仮説検定(確証的データ解析)ばかりが重視されている風潮に反対し、探索的データ解析 (EDA) も重要だと提唱した。彼はこれらの解析手法を分離したほうがよいと信じていたが、自然科学ではそれが問題を生じることがあり、そのような状況を uncomfortable science と名付けた。

出版物

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  • Andrews, David F; Peter J Bickel; Frank R Hampel; Peter J Huber; W H Rogers & John W Tukey (1972). Robust estimates of location: survey and advances. Princeton University Press. ISBN 0-691-08113-1. OCLC 369963 
  • Basford, Kaye E & John W Tukey (1998). Graphical analysis of multiresponse data. Chapman & Hall/CRC. ISBN 0-8493-0384-2. OCLC 154674707 
  • Blackman, R B & John W Tukey (1959). The measurement of power spectra from the point of view of communications engineering. Dover Publications. ISBN 0-486-60507-8 
  • Cochran, William G; Frederick Mosteller & John W Tukey (1954). Statistical problems of the Kinsey report on sexual behavior in the human male. American Statistical Association 
  • Hoaglin, David C; Frederick Mosteller & John W Tukey (eds) (1983). Understanding Robust and Exploratory Data Analysis. Wiley. ISBN 0-471-09777-2. OCLC 8495063 
  • Hoaglin, David C; Frederick Mosteller & John W Tukey (eds) (1985). Exploring Data Tables, Trends and Shapes. Wiley. ISBN 0-471-09776-4. OCLC 11550398 
  • Hoaglin, David C; Frederick Mosteller & John W Tukey (eds) (1991). Fundamentals of exploratory analysis of variance. Wiley. ISBN 0-471-52735-1. OCLC 23180322 
  • Morganthaler, Stephan & John W Tukey (eds) (1991). Configural polysampling: a route to practical robustness. Wiley. ISBN 0-471-52372-0. OCLC 22381036 
  • Mosteller, Frederick & John W Tukey (1977). Data analysis and regression : a second course in statistics. Addison-Wesley. ISBN 0-201-04854-X. OCLC 3235470 
  • Tukey, John W (1940). Convergence and Uniformity in Topology. Princeton University Press. ISBN 0-691-09568-X. OCLC 227948615 
  • Tukey, John W (1977). Exploratory Data Analysis. Addison-Wesley. ISBN 0-201-07616-0. OCLC 3058187 
  • Tukey, John W; Ian C Ross; Verna Bertrand; et al. (1973–). Index to statistics and probability. R & D Press. ISBN 0-88274-001-6. OCLC 745715 
The collected works of John W Tukey, edited by William S Cleveland

脚注・出典

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  1. ^ "Tukey; John Wilder (1915 - 2000)". Record (英語). The Royal Society. 2012年5月19日閲覧
  2. ^ The origin of the 'bit'
  3. ^ John Tukey, 85, Statistician; Coined the Word 'Software', New York Times, Obituaries, July 28, 2000

関連項目

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外部リンク

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