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セミステンレス車両

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

セミステンレス車両(セミステンレスしゃりょう)は、内部構体に普通鋼を使用し、車体外板にのみステンレス鋼を使用した鉄道車両バスのこと。

外板のみをステンレス鋼板としたことからスキンステンレス車両帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)での公式名称)ともいわれる。

1950年代から出現したが、その後、構体や台枠までステンレス鋼製のオールステンレス車両が普及したことから、日本における製造は基本的に1960年代から1980年代までにとどまっている[1]

利点

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  • 鋼製車では必要な塗装が不要で、塗料代、塗装作業費等の保守経費が節約できる。
  • ステンレスを使用する外板については鋼製車のようなによる腐蝕代を見込む必要がなく、また張力が高い(ハイテンション)ため外板を薄くでき、その分重量を軽減できる。
    • 上記2点の長所はオールステンレス車両と共通するものである。
  • 骨格については普遍性のある普通鋼製車両の基本構造を応用でき、多くの専門的ノウハウを要するオールステンレス車両に比べると、開発・製造技術のハードルが低い。製造コストの面でも、以前はオールステンレス車両に比べて低く抑えることができた。
    • このため、オールステンレス車両の製造ライセンスやノウハウを持たないメーカーも多かった1980年代以前、公営の地下鉄公共企業体経営のニュータウン鉄道などは、発注メーカーをオールステンレス車両製造技術のある企業に絞ることができない(公開入札発注を図る必要がある)立場上、メンテナンス軽減やコストダウンと、入札参加企業の門戸を広くするための両立策として、セミステンレス車を導入した事例が多く見られた。

欠点

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  • オールステンレス車両に比して絶対的耐久性で劣り、普通鋼製車両に比して製造コスト面で不利である。
  • 車体外板はステンレスのため腐食に強いが、内部構体が普通鋼であることから異種金属接触腐食が発生するため、構体部分の劣化は普通鋼製車両より早い。寿命面でのメリットに乏しい。
  • 部材が硬い、溶接痕が目立つなどの理由で、板金などによる部分補修が難しい。これは後に、パネルごと交換する方法の導入で、広範な対応が可能となった。
  • ステンレス鋼材と普通鋼材の異種材スポット溶接部分の引張剪断強度の管理が難しく、またこの部分の腐食による剥離が発生しやすい。
  • 冷房装置の後付けが困難。

日本のセミステンレス製の鉄道車両

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セミステンレス車両の例(営団5000系電車)。外見からはオールステンレス車両との区別は不可能である

セミステンレス製のバス

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「東京→夢の下町」で使用されているセミステンレス製バス

アメリカ合衆国台湾韓国などでは主に観光バス・長距離バスにおいて外板をステンレス製とした車両が採用されている例がある。

日本国内では過去に札幌市交通局観光バス・寝台バス昭和自動車でステンレス製外板の採用例があった。
現在では東京都交通局の観光路線バス「東京→夢の下町」や京成トランジットバスの東京ディズニーリゾートパートナーホテルシャトルバスなど一部に限られている。いずれも、前者は日野・レインボーを、後者は日野・ブルーリボンをベースに東京特殊車体で改造されたものである。

脚注

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  1. ^ 東京急行電鉄では東急世田谷線用として1999年から2001年にかけてデハ300形を軽量セミステンレス車体として設計・導入したが、これは江ノ島電鉄の車両のように防錆上および外観デザイン上の要請で骨組と外板にそれぞれ普通鋼とステンレスを混用したものではなく、単純に鋼製(ごく一部はステンレス製)の骨組にステンレス板を貼り付けていた、過去のセミステンレス車体とは同等の構造で製造された最後のセミステンレス車両といえる。

関連項目

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