名古屋市交通局3000形電車 (鉄道)
名古屋市営地下鉄3000形電車 | |
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3000形電車 (2019年7月14日 上小田井駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 名古屋市交通局 |
製造所 |
日本車輌製造 日立製作所笠戸事業所 |
製造年 | 1977年 - 1984年[1] |
製造数 | 23編成92両 |
運用開始 | 1977年3月18日 |
運用終了 | 2023年2月9日[2] |
投入先 | 鶴舞線 |
主要諸元 | |
編成 |
4両編成(登場時) 6両編成(廃車直前) |
軌間 | 1,067 mm(狭軌)[1] |
電気方式 | 直流1,500 V(架空電車線方式)[1] |
最高運転速度 |
75 km/h[1](鶴舞線) 100 km/h(名鉄線) |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 3.0 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.0 km/h/s |
車両定員 |
先頭車(3100形/3800形/3100A形/3800A形)130人(48席)[3] 中間車(3200形/3700形)140人(54席)[3] |
自重 |
先頭車38.0 t (3800形/3800A形)・39.1 t (3100形/3100A形) [3] 中間車36.4 t (3200形)・37.9 t (3700形)[3] |
長さ | 20,000 mm[1][3] |
幅 | 2,746 mm[3] |
高さ |
先頭車4,128 mm 中間車4,023 mm |
車体 | ステンレス鋼製[3](内部は普通鋼製) |
台車 |
S形ミンデン式台車[3][4] 住金(現在の日鉄)製FS394 |
主電動機 | 分割界磁式直流直巻電動機 |
主電動機出力 | 135 kW[1] × 4[3] |
駆動方式 | WNドライブ |
編成出力 | 3,240 kW × 4 |
定格速度 | 49 km/h |
制御方式 | 電機子チョッパ制御[1] |
制御装置 | 回生ブレーキ付き |
制動装置 |
MBS-R形デジタル演算電気指令式電空併用ブレーキ 耐雪ブレーキ付き |
保安装置 |
車内信号式ATC(地下鉄線内)[3] M式ATS(名鉄線内)[3] |
名古屋市交通局3000形電車(なごやしこうつうきょく3000がたでんしゃ)は、1977年(昭和52年)[注釈 1][1]から2023年(令和5年)にかけて鶴舞線で使用されていた名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)の通勤形電車である[2]。
鶴舞線のほか、名古屋鉄道の犬山線・豊田線・三河線へ直通運転を行っている。ただし、三河線では梅坪 - 豊田市間以外、営業運転内での直通は行われていない。
概要
鶴舞線開業時に4両編成9本(36両)が竣工[3]し、八事 - 赤池間および伏見 - 浄心 - 庄内緑地公園間各延伸開業分として4両組成14本(56両)が増備された。
両数は1993年(平成5年)8月11日まで4両編成だったが、12日からは6両編成に組成変更した[1][3]。また、余剰となった2両は新造の3050形3159編成に組み込まれていた。
車両概説
名古屋市営地下鉄の車両で初めて冷房装置を搭載[3][5][1]し、電機子チョッパ制御とセミステンレス車体と2連窓と固定窓と7人掛け座席を採用し、荷物棚が全座席上部、蛍光灯が天井に設置され、つり革が客用ドア付近に増設された。
また従来の名古屋市営地下鉄では長さ15.5 m × 幅2.5 m × 高さ3.4 mが車両の標準寸法となっていたのに対し、当車両は両開きの客用ドアを片側あたり4箇所に配した標準的な20 m級通勤形車両(全長19.3 m)であり[3]、車体全高および室内高(平天井構造)の寸法も一般的なものとなっており、同じ目的で同時期に製造された名鉄100系よりも高い。全幅も外板間は2740 mm、最大幅当初は2805 mmで、地方鉄道車両定規を超えていた(現在は2746 mm[3])。全長がJRなどの20 m車よりも200 mm短い関係で、客用ドア間隔も50 mm短く、客用ドア間座席の1人当り占有幅は443 mmとなっている。これは桜通線6000形、3050形や名鉄100系についても同様である。また、運転台の平面窓ガラス構成のパノラミックウインドウや客室窓の天地が小さめで、幕板の広い側面見付けに名鉄の影響が窺えるほか、本形式からは名古屋市営地下鉄のシンボルマークが正面上段に入るようになった。また、方向幕は落成当初は白地に黒文字の物が用いられていたが、80年代に交換され、更に犬山線直通開始時に犬山線内の行き先と急行幕が追加された。普通運用時の幕は種別は書かれず、黒地に白文字で行き先とそのローマ字のみだが、急行運用時は左側に急と漢字単体で出るほか、青地に白文字の幕となっている。
制御装置は1C8M方式で、容量1,800 kW、合成周波数486 Hzである。主電動機の定格値は端子電圧375 V、電流395 A、出力135 kW、定格回転数1,960 rpm(80%界磁)、最弱め界磁率39%である。最長編成をMT比6M2Tの8両編成と設定したため、大出力の主電動機を採用した。
名鉄豊田線(当時豊田新線)との相互直通運転のため、保安装置は鶴舞線内での車内信号式ATCに加え、名鉄線内でのM式ATSも搭載している[3]。
車内放送には自動放送装置を採用し、名鉄線内でも使用されている。また、名鉄線対応設備として中間車にも車掌スイッチを設置している。これは名鉄線内において車内を巡回する車掌が任意の車両においてドア扱いを行うために設置されていたが、同社の駅員無配置駅における出改札自動化(駅集中管理システム)の進展により、運用線区全線において原則的に車内改札を省略するようになったことから、豊田線区間での車内巡回以外では利用されていない。
運用開始時は発車予告ベルを用いられており、後に発車予告ブザーに交換された。その関係上、他形式とはブザー音が異なる。
-
新造の3050形(3159編成)に組み込まれた2両
-
朝ラッシュ時の犬山線内で一部急行運用に就く3000形
編成
登場時
← 豊田市・赤池 上小田井 →
| ||||
形式 | 3100 | 3200 | 3700 | 3800 |
---|---|---|---|---|
区分 | Mc1 | M2 | M1 | Mc2 |
車両番号 | 3101 | 3201 | 3701 | 3801 |
: | : | : | : | |
3123 | 3223 | 3723 | 3823 |
6両編成化後
- 3100形と3200形を4両の中間に組み込んだパターン
← 豊田市・赤池 上小田井・犬山 →
| ||||||
形式 | 3100 | 3200 | 3100A | 3200 | 3700 | 3800 |
---|---|---|---|---|---|---|
区分 | Mc1 | M2 | M1 | M2 | M1 | Mc2 |
車両番号 | 3101 | 3201 | 3104 | 3204 | 3701 | 3801 |
3107 | 3207 | 3105 | 3205 | 3707 | 3807 | |
3111 | 3211 | 3103 | 3203 | 3711 | 3811 | |
3112 | 3212 | 3106 | 3206 | 3712 | 3812 | |
3113 | 3213 | 3109 | 3209 | 3713 | 3813 | |
3114 | 3214 | 3119 | 3219 | 3714 | 3814 | |
3118 | 3218 | 3117 | 3217 | 3718 | 3818 | |
3122 | 3222 | 3121 | 3221 | 3722 | 3822 |
- 3700形と3800形を4両の中間に組み込んだパターン
← 豊田市・赤池 上小田井・犬山 →
| ||||||
形式 | 3100 | 3200 | 3700 | 3800A | 3700 | 3800 |
---|---|---|---|---|---|---|
区分 | Mc1 | M2 | M1 | M2 | M1 | Mc2 |
車両番号 | 3102 | 3202 | 3703 | 3803 | 3702 | 3802 |
3108 | 3208 | 3705 | 3805 | 3708 | 3808 | |
3110 | 3210 | 3704 | 3804 | 3710 | 3810 | |
3115 | 3215 | 3709 | 3809 | 3715 | 3815 | |
3116 | 3216 | 3717 | 3817 | 3716 | 3816 | |
3120 | 3220 | 3719 | 3819 | 3720 | 3820 | |
3123 | 3223 | 3721 | 3821 | 3723 | 3823 |
- 3159編成
← 豊田市・赤池 上小田井・犬山 →
|
備考 | ||||||
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形式 | 3150 | 3250 | 3700 | 3800A | 3750 | 3850 | |
区分 | Mc | T | M1 | M2 | M | Tc | |
車両番号 | 3159 | 3259 | 3706 | 3806 | 3759 | 3859 | 中間2両 |
廃車
本形式のうち、開業当初から在籍している車両は車齢が約30年を数えており、車体と機器類の老朽化が進んでいるため、3050形の再増備に伴い、2006年(平成18年)から2010年(平成22年)にかけて順次廃車される計画だったが、交通局の予算の関係上、計画は2011年(平成23年)に延期され、代替で導入する車両についても、新形式であるN3000形に変更された。
N3000形の導入に伴い、2012年(平成24年)以降[1]廃車が進み、2023年(令和5年)2月9日に最後の3114編成が営業運転を終了し、本系列の定期運用が終了した[2]。
廃車編成は順次解体されている。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k “名古屋市営地下鉄|地下鉄車両ガイド|日本地下鉄協会”. www.jametro.or.jp. 2023年4月6日閲覧。
- ^ a b c 『鉄道ファン』760号(2024年8月号) p.29
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q “鶴舞線車両 3000形の概要・主要諸元”. 名古屋市交通局 (city.nagoya.jp). 名古屋市. 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
- ^ 『鉄道ファン』交友社、1987年12月、56頁。
- ^ “市営交通100年祭(名古屋市)のツイート(2022年3月18日午後0時)”. 名古屋市交通局. 名古屋市 (2022年3月18日). 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
参考文献
- 電気学会「チョッパ制御ハンドブック(第2版)」1980年1月15日発行
- 柴田東吾「地下鉄最新事情2024」『鉄道ファン』760号(2024年8月号)、交友社、29頁。
関連項目
- 神戸市営地下鉄西神・山手線1000形 - ほぼ同時期に導入された、冷房装置を新製時より搭載した電機子チョッパ制御の地下鉄車両。
外部リンク
- 鶴舞線車両 3000形の概要・主要諸元 - 名古屋市交通局
- 日立製作所『日立評論』1977年11月号「チョッパ制御装置付新形電車 (PDF) 」