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シンカンセンスゴイカタイアイス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「シンカンセンスゴイカタイアイス」こと「スジャータ スーパープレミアムアイスクリーム」(2010年パッケージ)

シンカンセンスゴイカタイアイスは、主に新幹線車内販売で売られている非常に硬いアイスクリーム通称。当初はインターネット発の愛称として広まったが[注 1]、その後公式に販売名称として用いられるようになった[1]

概要

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当該商品はスジャータの製品。保管方法と品質の関係から車内販売のアイスクリームは一般的なものよりも低温かつ硬く、買ってすぐの状態では食べることが極めて困難であるため話題となった[2]。商品の正式名称は「スジャータ スーパープレミアムアイスクリーム」だが[3]、販売者のジェイアール東海パッセンジャーズも、遅くとも2021年(令和3年)の時点で商品パッケージ(セット販売用パッケージ)に「シンカンセンスゴイカタイアイス」の名称を使用している[4][5]

主にTwitter2013年(平成25年)ごろから断続的にブームとなっている[6]

硬さと対策

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車内販売ではアイスクリームの品質保持のために保冷剤としてドライアイスを使用しており、加えて空気含有量が低く乳脂肪分が高いことから、強固に冷え固まる[7]。車内ではプラスチック製のスプーンが付属するが購入時の状態では刺さらないほど硬く[8]、蓋さえ開かなくなることもある[9]

スジャータ側は食べられるようになるまで10分を目安に待つ必要があるとしている[3]。なお、ドライアイスでなく業務用冷凍庫が使用できる駅売店などで購入した場合は食べやすい状態で購入できる[3]。また、後述の通販等にて購入し自宅等で冷凍保存した場合も車内販売のドライアイス保冷ほど温度が下がらず、同様に食べやすい状態になる。

消費者は様々な対策を試してSNSに投稿しており、一例として「アイスクリームに棒を突き刺してそのままカップから抜き取り、棒アイスのように食べる」という方法も考案されている[3]。ホットコーヒーを注ぐことでアフォガート風に喫食しようと試した者もいたが[7][6]、その報告によればムペンバ効果によりコーヒーのほうが凍ってしまい、上手くいかなかったという[7][6]

アイスクリーム用スプーン

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N700Sデザインのアイス用スプーン

熱伝導率が高いアルミニウム製の「N700Sアルミアイスクリームスプーン」が2020年12月26日に発売されている[10]

この種のスプーンを販売することは当時からジェイアール東海パッセンジャーズ(当時:ジェイダイナー東海フーズ)で検討されていたが、金属加工品の常として「洗ってから使うように」との注意書きが欠かせず、車内販売に適さないのが課題となってお蔵入りした[11]。しかし2020年(令和2年)になってその条件に適う製品が発見され[注 2]、商品化された[11]

最初の発売時には大きな話題を呼び、わずか3日で売り切れた[11][12]。その後は当初予定に無かったシリーズ化が決定し[11]、カラーを変更した新商品が複数展開されている[13]

なお、本商品の発売以降「アイスがとけるスプーン」は日本で売れ筋商品になっていった[14][15]JR西日本も同様の商品を発売しているが、こちらは「カモノハシのイコちゃん」グッズとして発売されている。

販売箇所とラインナップ

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東京駅の東海道新幹線ホームにある自動販売機 デリカステーション京都駅店のショーケース
東京駅の東海道新幹線ホームにある自動販売機
デリカステーション京都駅店のショーケース

2022年7月15日には、JR東京駅東海道新幹線プラットホームの2か所(14・15番線ホームの2号車付近と16・17番線ホームの6号車付近)に自動販売機が設置された[16][17]。2022年現在、東海道・山陽新幹線東北新幹線山形新幹線秋田新幹線北陸新幹線、特急「あずさ」「ひたち」の列車内のほか、一部駅の売店、愛知県名古屋市リニア・鉄道館でも販売されている[18]。また、ジェイアール東海パッセンジャーズのネット通販サイト「JRCPオンラインショップ」では2022年1月より[注 3]、公式に「シンカンセンスゴイカタイアイス」として販売されている[21][12]

2019年半ばからJR東日本管内の新幹線や特急列車では一時的に終売していたが、2022年12月1日までに販売を再開した[18]。多くは2019年3月中に終売し、同年6月30日まで続けた北陸新幹線の「かがやき」および「はくたか」を最後に全線で終売していた[22]。なお上越新幹線は販売再開後も、当製品に加え他のアイスクリームも販売している[18]。新幹線車内のワゴン販売が終了した背景には、深刻な人手不足が原因であるとされ、JR東日本管内の新幹線車内におけるホットコーヒーやシンカンセンスゴイカタイアイスの終売と販売再開に見られるように、試行錯誤をしているとされている[23]

基幹商品として通年バニラ抹茶が販売されているほか、期間限定のフレーバーもある[12]。また、かつては路線限定商品もあった[3]。開始時期は不明だがJR東海の運営するリニア・鉄道館内の売店でも販売されている[24]。また、かつては近鉄特急車内で同一の品物が販売されていたこともあった。

2023年10月以降、東海道新幹線ではワゴン販売が休止されたため[25]、上述する自動販売機や売店で購入するかたちとなる。ただし、グリーン車に限り車内の「モバイルオーダー」で購入可能であり、パーサーが席まで届けてくれる形となる。

インターネットスラングとして

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2013年ごろからX(旧Twitter)で使用が見られ[注 1]、付属のスプーンをアイスに突き刺した画像を共に投稿することが流行していた[6]アメリカの小説『ニンジャスレイヤー』に登場する建造物「マルノウチ・スゴイタカイビル」に由来する[6]

なお日本語文法上では「スゴイカタイ(凄い硬い)」ではなく「スゴクカタイ(凄く硬い)」とすべきだが[26]、Twitterではどちらの表記も見られる[6][注 4]。 2024年10月1日に東海道新幹線60周年のフアンメイドとしてボカロPshannonから『シンカンセンスゴイカタイアイス』という楽曲が公開された。10月17日時点で25万回再生を突破。

コラボレーション

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スマートEXの1周年を記念して2018年に行われたくじキャンペーン(座席番号がくじ番号となる)にて、D席の景品として車内販売のアイスと井村屋あずきバー1年分(計365個)が設定された[28][3]。担当者は硬さ比べを提案している[28][3]

その他の呼称

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  • シンカンセンスゴクカタイアイス
  • シンカンセンスゴクカタイアイス
  • シンカンセンスゴイカタイアイス
  • シンカンセンスゴイカタイアイス

脚注

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注釈

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  1. ^ a b その段階では半角カナ表記(シンカンセンスゴイカタイアイス)が主流であった。
  2. ^ 出荷前に純水を使って洗浄するなどしているため洗う必要がない[11]
  3. ^ タブに表示される名称がこの期間に変更になっている[19][20]
  4. ^ 「スゴク」ではなく「スゴイ」となっているのは、由来であるニンジャスレイヤーにおける、いわゆる「忍殺語」と呼ばれる独特の文体に準じている[27]

出典

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  1. ^ JRCP-shop, 2022年9月16日閲覧.
  2. ^ 大久保歩「シンカンセンスゴイカタイアイス VS 溶かすスプーン 新幹線の車内でくり広げられた攻防に反響→勝者は...?」『Jタウンネット』ジェイ・キャスト、2021年11月14日。2022年5月30日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g agar「「シンカンセンスゴイカタイアイス」って何であんなに硬ったいの? メーカーに聞いてみた」『ねとらぼ』アイティメディア、2019年1月1日。2022年6月2日閲覧。
  4. ^ 名古屋グルメ探偵 アスカイ [@gourmet_nagoya] (2021年9月18日). "#シンカンセンスゴイカタイアイス 新幹線に乗らなくても名古屋駅のお土産売り場で買える". X(旧Twitter)より2022年9月17日閲覧
  5. ^ シンカンセンスゴイカタイアイス”. ジェイアール東海パッセンジャーズ. 2022年6月2日閲覧。
  6. ^ a b c d e f Togetter編集部「「シンカンセンスゴイカタイアイス」はなぜ愛されるのか Twitter流行の歴史から考えてみた」『J-CASTニュースジェイ・キャスト、2021年7月5日。2022年6月2日閲覧。
  7. ^ a b c 恵知仁新幹線のアイス、なぜ固い? イタリアンな食べ方をする「通」も」『乗りものニュース』メディア・ヴァーグ、2016年8月21日。2022年9月5日閲覧。
  8. ^ #シンカンセンスゴイカタイアイス「硬さ」「美味しさ」の3つのヒミツ”. ジェイアール東海パッセンジャーズ (JRCP). 2022年9月17日閲覧。
  9. ^ 花澤瑠衣「カッチカチ!「開けるだけで一苦労、新幹線のアイスは難易度高め!?」のツイートに対処法集まる」『オトナライフ』メディアソフト、2022年5月14日。2022年6月2日閲覧。
  10. ^ 株式会社ジェイアール東海パッセンジャーズ「東海道新幹線車内販売限定「N700Sアルミアイスクリームスプーン」新発売!」『株式会社JR東海リテイリング・プラス ニュースリリース』2020年12月24日、PDF。2023年12月26日閲覧。
  11. ^ a b c d e 恵知仁一度は断念 売れ行き10倍「シンカンセンスゴイカタイアイス」用スプーン誕生秘話」『乗りものニュース』メディア・ヴァーグ、2021年5月3日。2022年6月8日閲覧。
  12. ^ a b c 「固さ」に秘められた物語 新幹線の名物アイス、カチカチ食感を生んだJRとスジャータの“固い”絆とは?」『ITmedia ビジネスオンライン』アイティメディア、2022年6月7日。2022年6月8日閲覧。
  13. ^ 幸せの黄色いスプーン? 「ドクターイエローアイスクリームスプーン」再販へ!」『乗りものニュース』メディア・ヴァーグ、2022年9月16日。2022年6月16日閲覧。
  14. ^ こんなの初めて! 氷も切れると噂のアイス専用スプーンを使ってみたら驚いた!”. grape. 株式会社グレイプ (2016年8月8日作成、2022年1月14日更新). 2022年9月17日閲覧。
  15. ^ 皆川 (2019年11月11日作成、2020年12月23日更新). “熱伝導のアイスクリームスプーンで食べるアイスはなぜ美味しくなるのか?”. U+RooLee. 株式会社 SHINDO. 2022年9月17日閲覧。
  16. ^ 「シンカンセンスゴイカタイアイス」乗車前に買えるぞ! 東京駅新幹線ホームに自販機登場
  17. ^ シンカンセンスゴイカタイアイスが新幹線に乗る前に買えるよ。東京駅ホームに自販機登場【7月15日から】
  18. ^ a b c 車内販売のご案内”. JR東日本サービスクリエーション. 2022年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月7日閲覧。
  19. ^ アイスクリーム | JR東海パッセンジャーズ(JRCP)オンラインショップ”. web.archive.org (2022年1月2日). 2023年5月13日閲覧。
  20. ^ シンカンセンスゴイカタイアイスの公式通販サイト【JRCPオンラインショップ】”. web.archive.org (2022年1月16日). 2023年5月13日閲覧。
  21. ^ JRCP-shop.
  22. ^ “シンカンセンスゴイカタイアイスはどうなる!?2019年JR車内販売は冬の時代へ” (日本語). 鉄道新聞 (鉄道新聞社). (2019年2月18日). https://tetsudo-shimbun.com/article/topic/entry-1636.html 2022年6月8日閲覧。 
  23. ^ 大坂直樹 (2023年9月11日). “JR東日本社長「新幹線の車内販売は当分続ける」: 運賃制度やローカル線の今後までトップに直撃 2ページ目”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2024年8月27日閲覧。
  24. ^ リニア・鉄道館デリカステーション”. ジェイアール東海パッセンジャーズ. 2023年8月11日閲覧。
  25. ^ 【速報】東海道新幹線でのワゴン販売終了へ”. www.47news.jp. www.47news.jp (2023年8月8日). 2023年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月8日閲覧。
  26. ^ すごい”. m.media-amazon.com. m.media-amazon.com. 2023年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月27日閲覧。
  27. ^ 「シンカンセンスゴイカタイアイス」という愛称 実はとあるニンジャが語源だった!”. 乗りものニュース. 2023年5月13日閲覧。
  28. ^ a b 波多野大介「新幹線アイスVSあずきバー 1年分で「比べてみて」」『朝日新聞デジタル朝日新聞社、2018年10月7日。2022年6月2日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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