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テノホビル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テノホビル
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
法的規制
  • 劇薬、処方箋医薬品、℞-only (U.S.), POM (UK)
薬物動態データ
生物学的利用能25%
血漿タンパク結合< 1%
半減期17 時間
排泄Renal
データベースID
CAS番号
147127-20-6
ATCコード J05AF07 (WHO)
PubChem CID: 464205
DrugBank APRD01248
化学的データ
化学式C9H14N5O4P
分子量287.213 g/mol
テンプレートを表示
テノホビルジソプロキシル
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Viread
Drugs.com monograph
胎児危険度分類
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能25%
データベースID
CAS番号
201341-05-1
ATCコード J05AF07 (WHO)
PubChem CID: 5481350
ChemSpider 4587262
UNII F4YU4LON7I
ChEBI CHEBI:63717
NIAID ChemDB 080741
化学的データ
化学式C19H30N5O10P
分子量519.443 g/mol
テンプレートを表示
テノホビルアラフェナミド
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Genvoya (with elvitegravir, cobicistat and emtricitabine
法的規制
  • (Prescription only)
薬物動態データ
血漿タンパク結合~80%[1]
半減期0.51 hours
排泄Feces (31.7%), urine (<1%)
データベースID
CAS番号
379270-37-8
ATCコード J05AR17 (WHO) J05AR18 (WHO) J05AR19 (WHO) (combination codes)
PubChem CID: 9574768
DrugBank DB09299
ChemSpider 7849225
UNII EL9943AG5J チェック
KEGG D10428
ChEBI CHEBI:90926 チェック
ChEMBL CHEMBL2107825
化学的データ
化学式C21H29N6O5P
分子量476.466 g/mol
テンプレートを表示

テノホビル(Tenofovir、テノフォビルとも)は抗ウイルス薬の一つ。ジソプロキシルエステルまたはアラフェナミド(アラニンイソプロピルエステルとのアミド+フェノールとのエステル)のフマル酸塩として販売されている。

製剤

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HIV-1感染症(■)やB型肝炎(▲)の治療に用いられる。ギリアド・サイエンシズが開発し、日本では下記の製薬会社へ導出している。

テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
■ビリアード錠300 mg(日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売)→(ギリアド・サイエンシズ)[2]
▲テノゼット錠300 mg(グラクソ・スミスクライン
■ツルバダ配合錠(日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売)→(ギリアド・サイエンシズ)
■コムプレラ配合錠(ヤンセンファーマ
■スタリビルド配合錠(日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売)→(ギリアド・サイエンシズ)
テノホビル アラフェナミドフマル酸塩
▲ベムリディ錠25 mg(ギリアド・サイエンシズ)
  • エムトリシタビンとの2剤合剤
■デシコビ配合錠LT/デシコビ配合錠HT(日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売)→(ギリアド・サイエンシズ)
■オデフシィ配合錠(ヤンセンファーマ)
  • ビクテグラビルナトリウム・エムトリシタビンとの3剤合剤
■ビクタルビ配合錠(ギリアド・サイエンシズ)
  • エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビンとの4剤合剤
■ゲンボイヤ配合錠(日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売)→(ギリアド・サイエンシズ)
  • ダルナビル エタノール付加物・コビシスタット・エムトリシタビンとの4剤合剤
■シムツーザ配合錠(ヤンセンファーマ)

薬理

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HIVHBVはその生活環の中で、逆転写と呼ばれるRNAからDNAへと遺伝情報を複写する過程がある。テノホビルは核酸アナログ製剤であり、この逆転写を行う酵素を阻害することで、ウイルスの複製を阻害する抗ウイルス化学療法薬である。

B型肝炎治療においてエンテカビル(ETV)はDNA変異ウイルスの出現により耐性を獲得されることがある。テノホビルは、そういった多剤耐性獲得ウイルスに対しても効果を示す[3]

テノホビル ジソプロキシル(TDF)とテノホビル アラフェナミド(TAF)がある。TAFは、TDFと同じテノホビルのプロドラッグ製剤。TDFよりも血漿中において安定していて、加水分解されることで薬剤活性を示す代謝物テノホビル二リン酸となる。テノホビル二リン酸が標的細胞内にて高濃度で産生されるため、TDFの1/10程度の投与量で、同等の抗HBV作用を発揮することが認められている、と北村正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)は述べている[4]

副作用

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テノホビルジソプロキシルエステル単剤で重大な副作用とされているものは、腎不全、重度の腎機能障害、膵炎、乳酸アシドーシス、重度の肝腫大(脂肪肝)[5][6]である。

2015年天津爆発事故の影響

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2015年8月に中国天津で発生した倉庫爆発事故の影響で製造業者の製造工場が操業を停止した[7]。この影響で日本肝臓学会は同剤の新規処方を控え1回処方量を少量とする様に声明を発表した[8]

出典

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  1. ^ GENVOYA (elvitegravir, cobicistat, emtricitabine, and tenofovir alafenamide) Tablets, for Oral Use. Full Prescribing Information”. Gilead Sciences, Inc. Foster City, CA 94404. 2016年6月23日閲覧。
  2. ^ JTと鳥居薬品、抗HIV薬6品のギリアド・サイエンシズ社への製造販売承認の承継について発表”. 日経新聞 (2019年9月2日). 2020年2月26日閲覧。
  3. ^ 新薬紹介 No.53 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩. 井廻道夫. 日医雑誌 2015: 144(2);282-283.
  4. ^ 腎と骨への安全性を改善したB型慢性肝炎治療薬 - 日経メディカル
  5. ^ ビリアード錠300mg 添付文書” (2016年1月). 2016年6月23日閲覧。
  6. ^ テノゼット錠300mg 添付文書” (2016年4月). 2016年6月23日閲覧。
  7. ^ GSK天津工場被災に伴うB型慢性肝疾患治療薬「テノゼット錠300mg」出荷調整のお知らせ”. グラクソ・スミスクライン (2015年8月31日). 2015年9月3日閲覧。
  8. ^ テノゼット錠300の出荷調整に関するご協力のお願い”. 日本肝臓学会 (2015年9月1日). 2015年9月3日閲覧。