デ・ハビランド ジプシー・クイーン
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デ・ハビランド ジプシー・クイーン(英語: de Havilland Gipsy Queen)は、イギリスのデ・ハビランド・エアクラフト(後にデ・ハビランド・エンジン)が1936年に開発したエンジン。デ・ハビランド ジプシー・シックスの軍用機に用いられた派生型である[1]。
型式
[編集]型式 | 開発年 | 出力 | 説明 |
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ジプシー・クイーンI | 1936年 | 205 hp (153 kW) | ジプシー・シックス2の軍用型。クランクシャフトには溝が設けられていたが、固定ピッチプロペラがアダプターを介して取り付けられ、可変ピッチプロペラには適合しなかった。生産はごく少数であった。 |
ジプシー・クイーンII | 1936年 | 210 hp (160 kW) | ジプシー・シックス2の軍用型。クランクケースを強化し、溝付きのクランクシャフトにより可変ピッチプロペラを運用した。 |
ジプシー・クイーンIII | 1940年 | 200 hp (150 kW) | ジプシー・シックスの軍用型。クランクケースを強化し、テーパー部があるクランクシャフトを用いた。1358機が生産された。ほとんどのエンジンの上部カバーは初期のジプシー・シックスと同様にとても簡素なもので、カバー後方の付属品がないものであった。 |
ジプシー・クイーンIV | 1941年 | 当初ジプシー・クイーンIIISとされた、スーパーチャージャー搭載型。1944年6月にジプシー・クイーン50として類別された。少数が製造され、当時広く宣伝されたが生産に入ることはなく、完全に再設計されたジプシー・クイーン30が後継機となった。 |
型式 | 開発年 | 出力 | 説明 |
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ジプシー・クイーン30 | 1946年 | 240 hp (180 kW) | 再設計型(直径120mm、ストローク150mm、体積10.18 L)[3]。1762機が生産された。 |
ジプシー・クイーン30-2 | 1946年 | 240 hp (180 kW) | |
ジプシー・クイーン30-3 | 1946年 | 240 hp (180 kW) | |
ジプシー・クイーン30-4 | 1946年 | 240 hp (180 kW) | |
ジプシー・クイーン32 | 1946年 | 250 hp (190 kW) | |
ジプシー・クイーン33 | ジプシー・クイーン30と同等の推進式配置用エンジン | ||
ジプシー・クイーン34 | ジプシー・クイーン30と同等 | ||
ジプシー・クイーン50 | 1944年 | 295 hp (220 kW) | 固定速、スーパーチャージャー1機のエンジン。14機が生産された。 |
ジプシー・クイーン51 | 1944年 | 295 hp (220 kW) | ジプシー・クイーン50と同等 |
ジプシー・クイーン70-1 | 1946年 | 295 hp (220 kW) | ジプシー・シックスS.Gから改名された、スーパーチャージャーと減速機を備えたエンジン。1889機が生産された。 |
ジプシー・クイーン70-2 | 380 hp (280 kW) | スーパーチャージャーと減速機を備えたエンジン。 | |
ジプシー・クイーン70-3 | 380 hp (280 kW) | スーパーチャージャーと減速機を備えたエンジン。 | |
ジプシー・クイーン70-4 | 340 hp (250 kW) | スーパーチャージャーと減速機を備えたエンジン。 | |
ジプシー・クイーン71 | 1950年 | 330 hp (250 kW) | スーパーチャージャーと減速機を備えたエンジン。 |
ジプシー・クイーン136 | ジプシー・クイーン30-2に国防省が付した型式。 |
搭載した機種
[編集]- W.9
- ショート シーランド
- スコティッシュ・アビエーション パイオニア
- デ・ハビランド DH.104 ダブ
- デ・ハビランド DH.89 ドラゴン・ラピード
- デ・ハビランド DH.114 ヘロン
- ハンドレページ マラソン
- パーシヴァル プレンティス
- パーシヴァル プロクター
- パーシヴァル マーガンサー
- パーナル 382
- パーナル ヘック
- プラネット サテライト
- ヘストン JC.6
- マイルズ マーチャントマン
- マイルズ メンター
- ヤングマン=ベインズ ハイ・リフト
- フィアット G.46:G.46 bis及びG.46-2B
- ブレダ Ba.44
展示されているエンジン
[編集]イギリス空軍博物館コスフォード館にジプシー・クイーン175(デ・ハビランド DH.89 ドラゴン・ラピード用)が展示されている[4]
要目 (ジプシー・クイーン I)
[編集]出典: Lumsden [5]
諸元
- タイプ: 倒立直列6気筒
- シリンダー直径: 4.646 in (118 mm)
- ストローク: 5.512 in (140 mm)
- 体積: 560.6 cu in (9.186 L)
- 全長: 63.5 in (1,587 mm)
- 全幅: 20.5 in (513 mm)
- 全高: 33.5 in (838 mm)
- 重量: 486 lbs (220 kg)
機構
- バルブ: オーバーヘッドバルブ
- 燃料: ガソリン(87オクタン)
- 潤滑システム: ドライサンプ
- 冷却システム: 空冷
性能
出典
[編集]- ^ Janes 1989, p. 275.
- ^ a b List from Lumsden 2003, pp. 145-146
- ^ Gunston 1999, pp. 139
- ^ “de Havilland Gipsy Queen 175”. イギリス空軍博物館. 2021年4月4日閲覧。
- ^ Lumsden 2003, p.145.
参考文献
[編集]- Jane's Fighting Aircraft of World War II. London. Studio Editions Ltd, 1989. ISBN 0-517-67964-7
- Lumsden, Alec. British Piston Engines and their Aircraft. Marlborough, Wiltshire: Airlife Publishing, 2003. ISBN 1-85310-294-6.
- Gunston, Bill. Development of Piston Aero Engines. Patrick Stephens Limited, 1999. ISBN 978-1-85260-619-0.