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ブラック・スキャンダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブラック・スキャンダル
Black Mass
監督 スコット・クーパー
脚本 ジェズ・バターワース英語版
マーク・マルーク
原作 ディック・レイア&ジェラード・オニール『Black Mass: The True Story of an Unholy Alliance Between the FBI and the Irish Mob
製作 スコット・クーパー
ジョン・レッシャー英語版
パトリック・マコーミック
ブライアン・オリヴァー英語版
タイラー・トンプソン
製作総指揮 ブレット・ラトナー
ジェームズ・パッカー
ピーター・マルーク
レイ・マルーク
クリストファー・ウッドロウ
ブレット・グランスタッフ
ゲイリー・グランスタッフ
フィル・ハント
コンプトン・ロス
出演者 ジョニー・デップ
ジョエル・エドガートン
ベネディクト・カンバーバッチ
ロリー・コクレーン
ケヴィン・ベーコン
ジェシー・プレモンス
コリー・ストール
ピーター・サースガード
ダコタ・ジョンソン
音楽 ジャンキーXL
撮影 マサノブ・タカヤナギ
編集 デヴィッド・ローゼンブルーム英語版
製作会社 クロス・クリーク・ピクチャーズ
ラットパック=デューン・エンターテインメント
配給 ワーナー・ブラザース
公開 イタリアの旗 2015年9月4日
ヴェネツィア国際映画祭
アメリカ合衆国の旗 2015年9月18日
日本の旗 2016年1月30日
上映時間 122分[1]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $53,000,000[2]
興行収入 世界の旗 $99,775,678[2]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $62,575,678[2]
日本の旗 4億7500万円[3]
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ブラック・スキャンダル』(原題: Black Mass)は、2015年アメリカ合衆国犯罪映画。監督はスコット・クーパー、主演はジョニー・デップが務めた。原作はディック・レイアとジェラード・オニールのノンフィクションBlack Mass: The True Story of an Unholy Alliance Between the FBI and the Irish Mob』(2001年出版)。

概要

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本作はマサチューセッツ州ボストン南部で活動していた犯罪組織のリーダー、ジェームズ・ジョセフ・バルジャー(ホワイティ・バルジャー)を主人公としている。ジェームズはマサチューセッツ州上院議長を務めたビリー・バルジャー英語版の兄でもある。ジェームズは数々の犯罪に携わる一方で、自分の縄張りを荒らすマフィアを追い払うために30年間にわたってFBIにマフィアの情報を提供した。

本作では1970年代後半から1980年代のジェームズに焦点を当て、彼がアイルランド系アメリカ人によって構成される「ウィンターヒル・ギャング英語版」のリーダーの座に上り詰める様子を描く。

あらすじ

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1975年。ボストン南部に住むジミー(ジェームズ・ジョセフ・バルジャー)はウィンターヒル・ギャングの構成員である。FBI本部はボストン南部で激化するマフィアの抗争を危険視しており、彼らを一掃するため捜査官のジョン・コノリーを現地に送り込んでいた。ジョンはジミーと、彼の弟で上院議員であるビリー(ウィリアム・M・バルジャー)の旧友であり、ジミーに接触して対立するアンジュロ・ファミリーの情報を提供してくれないかと提案する。一度は問答無用で断ったジミーだが、アンジュロ・ファミリーに情報を売ったと思われる身内のトミーを殺した後、ジョンに連絡し協力を申し出ていた。

ジョンは上司のチャールズ・マグワイアを説得し、麻薬や殺人を行わないという条件付きでジミーを情報提供者として認めさせる。ジミーは旧知の仲であるスティーブン・フレミだけにFBIと協定を結んだことを明かし、FBIを利用する思惑があることを説明していた。

再会を祝ってジミー達がパーティーを開いていると、突然電話が掛かってくる。電話を受けて病院に駆けつけたジミーは妻のリンジー・シルから、息子がライ症候群を発症して既に脳死状態だと告げられる。2人は息子への対処を巡って口論となり、そのまま喧嘩別れとなる。

1981年。ジミーがリーダーとなったウィンターヒル・ギャングは様々な犯罪に手を染め、縄張りを無視して派手に活動し、手に入れた金で豪遊すると同時に方々へと賄賂を送っていた。FBIではマグワイアが一向にアンジュロ・ファミリーの情報を提供する気配のないジミーに苛立っており、ジョンはジミーを守るため即座に情報を提供するように催促する。翌朝、出勤するジョンの手にはアンジュロ・ファミリーの情報が握られていた。邪魔者や裏切り者は容赦なく殺害するジミーの残忍さを危険視する声も出始めるが、ジミーからの情報を切っ掛けにアンジュロを検挙するに至ったことで、ジミーの立場は確固たる物となる。

1982年。ジミー達はジョンと共にマイアミのビーチを訪れ、バカンスを楽しんだ後で邪魔者を殺していた。同行したジョンはこれを黙認し、妻のマリアンヌには「ジミーと会って変わった」と非難される。

1985年。母の他界を切っ掛けにジミーは塞ぎ込むようになっていた。その頃、FBIボストン支部に検事のフレッド・ワイシャックが配属され、ジミーが何者かに守られていると勘付き始める。ジミーとの関係が表沙汰になることを恐れたジョンはビリーに助けを求めるが、強い言葉で拒絶されてしまう。

一方でマグワイアは、部下から「ジミーの情報は既に他の情報提供者によって提供された後の物だ」という報告を受けていた。情報提供者として保護されながら実態が伴っていなかったことで内偵が始まり、ジョンと共にジミーと繋がりを持った捜査官ジョン・モリスは危機感を募らせると、ボストン・グローブの記者に自分が知る全ての情報を話してしまう。ワイシャックも独自に捜査を進め、州警察が捕まえた犯罪者達からジミーの行ってきた悪事を聞き出していた。やがてジョンが逮捕された事を皮切りに、近しい者が逮捕され始める。

1995年。ジミーはボストンを離れて逃亡生活を始めるが、2011年6月22日カリフォルニア州サンタモニカで逮捕された。

キャスト

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※括弧内は日本語吹替[4]

シエナ・ミラーがキャサリン・グレイグ(ジェームズの恋人)を演じていたが、物語の流れの都合で本編からその出演シーンがカットされた[6]

製作

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プリ・プロダクション

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2013年3月、バリー・レヴィンソンがジェームズ・バルジャーを主人公とした映画を監督すると報じられた[7]。同年9月にはボストン・グローブの記者であるディック・レイアとジェラード・オニールのノンフィクション『Black Mass: The True Story of an Unholy Alliance Between the FBI and the Irish Mob』を原作として、ジェズ・バターワースとマーク・マルークの2人が脚本を執筆したとの報道があった[8]2014年1月、レヴィンソンが降板し、スコット・クーパーがメガホンをとることになったと報じられた[9]。同年2月27日、ワーナー・ブラザースが2015年10月公開を期して本作の全世界配給権を購入した[10]

キャスティング

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2013年2月の段階でジョニー・デップが本作の主演を務めることは決まっていた。その段階では、レヴィンソンが5月から始まる主要撮影でメガホンをとる予定だった。しかし、5月に開催された第66回カンヌ国際映画祭での売り込みの際に、デップは製作会社のクロス・クリーク・ピクチャーズと出演料の額で折り合いをつけられず一時降板した。2014年2月、デップが本作に復帰したときにはレヴィンソンが降板しており、クーパーが監督を務めることになっていた。主要撮影の開始も2014年2月からに変更されていた[9][11][12][13][14]。4月にはジェシー・プレモンスジュノー・テンプルの出演が決まった。プレモンスはケヴィン・ウィークスを演じるにあたって、その訛りと所作を習得した[15][16]

2014年5月22日、ウィリアム・バルジャーを演じる予定だったガイ・ピアースが降板し、その代役としてベネディクト・カンバーバッチが選ばれた[17]。同年6月1日、デヴィッド・ハーバーが本作に出演することが報じられた[18]。同月10日、ジェレミー・ストロング英語版の出演が決まった[19]。14日、ジェームズ・ルッソがスコット・ガリオラ役に決まった[20]。26日、ケヴィン・ベーコンがチャールズ・マグワイアを演じると報じられた[21]

ジョン・コノリーとマリアンヌ・コノリーにはそれぞれジョエル・エドガートンジュリアン・ニコルソンがキャスティングされた。クーパーはニコルソンを選んだ理由について「クレア・ヴァン・ダー・ブーム英語版の後任としてサム・シェパード原作の舞台『Heartless』に出演しているジュリアンの演技の見事さに感動した」からだと述べている。ジョン・コノリーを演じるにあたって、エドガートンは本人の映像を見ながら演技を構築していった。ただし、ジョン・コノリー本人には会わなかったという。その理由についてエドガートンは「コノリー氏の事件に対する見方は、この映画の事件に対する見方と異なっている」ためだと述べている[22][23][24][25]

デップもジェームズ・バルジャーの映像を見て演技を構築していった。デップは犯罪者としてのバルジャーとプライベートのバルジャーの双方を徹底的に再現しようとした。そのために、デップはバルジャー本人に会おうとしたが、バルジャーに断られた。そこで、バルジャーの法的代理人を務めるジェイ・カーニーの協力を仰いだ。カーニーは撮影現場に数回足を運び、デップの演技についての感想を述べた[25][26][27][28]

撮影

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本作の主要撮影は2014年5月19日から同年8月1日までボストンを中心に行われた[29][30]

公開

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2014年6月30日、配給元のワーナー・ブラザースは本作の全世界公開日を2015年9月18日に設定した[31]。また、本作は第72回ヴェネツィア国際映画祭第41回テルライド映画祭第40回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーションで上映された[32]

マーケティング

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2015年4月23日、本作のファースト・トレイラーが公開され、5月22日にはセカンド・トレイラーが公開された[33][34]。7月30日にはサード・トレイラーが公開された[35]

受賞

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映画賞 対象 結果
2016 第22回全米映画俳優組合賞[36] 主演男優賞 ジョニー・デップ ノミネート
第20回サテライト賞[37] 作品賞 未決定
主演男優賞 ジョニー・デップ 未決定
脚色賞 ジェズ・バターワース
マーク・マルーク
未決定
第15回大人のための映画賞[38]
(Movies for Grownups Awards)
主演男優賞 ジョニー・デップ 未決定

脚注

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出典

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  1. ^ BLACK MASS”. 2015年9月13日閲覧。
  2. ^ a b c Black Mass” (英語). Box Office Mojo. 2016年5月23日閲覧。
  3. ^ キネマ旬報 2017年3月下旬号』p.43
  4. ^ ブラック・スキャンダル ブルーレイ&DVD”. 2016年5月23日閲覧。
  5. ^ ギャングと「秘密の協定」を結んだFBI捜査官に隠された野望とは?【映画『ブラック・スキャンダル』集中連載⑤】”. AOL News (2015年12月29日). 2016年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月17日閲覧。
  6. ^ Director confirms Sienna Miller cut from ‘Black Mass’”. 2015年9月11日閲覧。
  7. ^ Barry Levinson Talks Whitey Bulger and the Black Mass Movie”. 2015年9月13日閲覧。
  8. ^ Who Should Play Whitey Bulger in Black Mass?”. 2015年9月13日閲覧。
  9. ^ a b ‘Out Of The Furnace’ Helmer Scott Cooper In Talks For ‘Black Mass;’ Johnny Depp Talks To Play Whitey Bulger Reignite”. 2015年9月13日閲覧。
  10. ^ UPDATE: Warner Bros’ Next Whitey Bulger Move: Ease Rift With Ben Affleck And Matt Damon”. 2015年9月13日閲覧。
  11. ^ Johnny Depp to Star as Gangster Whitey Bulger”. 2015年9月13日閲覧。
  12. ^ Johnny Depp Exits Whitey Bulger Biopic Over Salary Dispute”. 2015年9月13日閲覧。
  13. ^ http://www.hollywoodreporter.com/news/inside-johnny-depps-black-mass-562767”. 2015年9月13日閲覧。
  14. ^ Berlin: Johnny Depp Seals Deal To Play Whitey Bulger In ‘Black Mass’; Tom Hardy In Talks To Play FBI Pal John Connolly”. 2015年9月13日閲覧。
  15. ^ Jesse Plemons Joins ‘Black Mass'; What Does This Mean for ‘Star Wars’?”. 2015年9月13日閲覧。
  16. ^ Heea We Go Again. How to Speak Boston, in ‘Black Mass’ and Utha Movies”. 2015年9月13日閲覧。
  17. ^ Benedict Cumberbatch to Take On Bulger Role in ‘Black Mass’”. 2015年9月12日閲覧。
  18. ^ David Dastmalchian Joins ‘Ant-Man’, David Harbour Adds To ‘Black Mass’; ‘Ride Along 2’ Taps Olivia Munn”. 2015年9月12日閲覧。
  19. ^ Sarah Paulson Joins Nic Cage In ‘The Runner’; Matt Craven Suits Up For ‘Stonewall’; Jeremy Strong Joins ‘Selma,’ ‘Black Mass,’ ‘Time Out Of Mind’”. 2015年9月13日閲覧。
  20. ^ James Russo Will Slap the Cuffs on Johnny Depp’s Whitey Bulger in ‘Black Mass’ - See more at: http://www.thewrap.com/james-russo-will-slap-the-cuffs-on-johnny-depps-whitey-bulger-in-black-mass/#sthash.nXTMeHXZ.dpuf”. 2015年9月13日閲覧。
  21. ^ Kevin Bacon Joins ‘Black Mass,’ ‘Cop Car’ In Busy Three-Film Hiatus From ‘The Following’”. 2015年9月11日閲覧。
  22. ^ Medford native Julianne Nicholson on role in ‘Black Mass’”. 2015年9月14日閲覧。
  23. ^ Claire Van Der Boom Replaces Julianne Nicholson in Sam Shepard’s Heartless Off-Broadway”. 2015年9月14日閲覧。
  24. ^ Joel Edgerton’s Sudden Spotlight, in ‘Black Mass’ and ‘The Gift’”. 2015年9月14日閲覧。
  25. ^ a b ‘Black Mass’ Resurrects Boston’s Long Memories of Whitey Bulger”. 2015年9月13日閲覧。
  26. ^ SCOOP: Black Mass Director Scott Cooper Talk Johnny Depp's 'Utterly Transfixing' Physical Transformation (VIDEO)”. 2015年9月14日閲覧。
  27. ^ Johnny Depp Talks Transforming into Whitey Bulger in ‘Black Mass’ (and His Dogs)”. 2015年9月13日閲覧。
  28. ^ Venice: Johnny Depp Talks Becoming James "Whitey" Bulger in 'Black Mass'”. 2015年9月14日閲覧。
  29. ^ First confirmed location for ‘Black Mass’, starring Johnny Depp, in Boston!”. 2015年9月10日閲覧。
  30. ^ Whitey movie eerie experience for ‘Black Mass’ coauthor”. 2015年9月14日閲覧。
  31. ^ Johnny Depp’s Whitey Bulger Movie Set for Sept. 18, 2015”. 2015年9月12日閲覧。
  32. ^ Toronto to open with 'Demolition'; world premieres for 'Trumbo', 'The Program'”. 2015年9月13日閲覧。
  33. ^ Black Mass (2015) Trailer”. 2015年9月13日閲覧。
  34. ^ Black Mass (2015) Feature Trailer”. 2015年9月14日閲覧。
  35. ^ Black Mass (2015) Theatrical Trailer”. 2015年9月14日閲覧。
  36. ^ 米俳優組合賞ノミネート発表 ブライアン・クランストン主演「Trumbo」が最多3部門”. 映画.com (2015年12月11日). 2015年12月11日閲覧。
  37. ^ サテライト賞ノミネート発表”. 映画.com (2015年12月3日). 2015年12月8日閲覧。
  38. ^ 第15回大人のための映画賞 ノミネーション発表”. シネマトゥデイ (2016年1月4日). 2016年1月6日閲覧。

外部リンク

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