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ブレンダ (砲艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ブレンダ」の模型
「ブレンダ」(1918年)

ブレンダ(Blenda)は、スウェーデン海軍がかつて保有していた砲艦(一等砲艇[1])。

1870年時点でスウェーデン海軍の主力は沿岸部用のモニター艦ジョン・エリクソン」「トルデン」「ティルフィン」、「ローケ」などで、洋上で敵を迎え撃つ能力を欠いていた[2]。海軍はレンデル式砲艦の考えを採用し、海軍工廠長のゲーテ・ヴィルヘルム・スヴェンソン(Gote Wilhelm Svensson)に、航洋性と操艦性に優れた艦の設計を命じた[3]。そうしてできたものが「ブレンダ」である[4]。「ブレンダ」には同型艦「ディーサ」があり、さらにその後、同種の艦が7隻(ウルド級6隻と「エッダ」)建造されている[1]

建造場所はイェーテボリのリンドホルメン造船所で、1873年10月に起工されて、1874年10月16日に進水[5]、1875年5月21日に引き渡された[4]

鉄製の船体で二重船底を有し、排水量496トン、全長52.4m、最大幅8.0m、満載吃水3.0m。または排水量496.3トン、全長52.42m、最大幅8.05m[4]。船体に装甲はなく、機関室は石炭庫で守られている[4]

主兵装は艦砲で、前部にフィンスポング27.44cmM/74型施条砲(またはフィンスポング20口径27.4cmM/76型砲)を1門、後部にフィンスポング22口径12.2cmM/73型前装施条砲を1門搭載した[6]。前部の砲は正面を除く左右それぞれ50度の範囲に指向できた[1]。他に、12mm10銃身機銃2挺も搭載した[5]。12.2cm砲は1884年から1886年の間に同口径の後装砲に換装された[5]

機関は2段膨張式蒸気往復動機関2基と煙菅缶6基で、出力590指示馬力[1]。2軸推進で、最大走力は12ノット[1]公試で13ノットを発揮した[4]、とも。また、帆装を有した[1]。1898年に新型ボイラー4基に交換され、煙突が3本から2本になった[5]

「ブレンダ」は露土戦争中、オスマン帝国の帝都コンスタンティノープルに派遣された[4]。1887年以降、水雷艇母艦、工作艦潜水艦母艦となった[5]戦間期の1931年、機雷学校の宿泊艦となる[7]第二次世界大戦中の1942年に除籍され、民間に売却されたが、海軍が借りてノーショーピング閉塞船として使用した[7]。船齢80年になる頃には南米で目撃されている[7]。「ブレンダ」の最後は不明である[7]

脚注

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  1. ^ a b c d e f 『海防戦艦』105ページ
  2. ^ "The Swedish 1st Class Gunboats", p.13
  3. ^ "The Swedish 1st Class Gunboats", pp.13-14
  4. ^ a b c d e f "The Swedish 1st Class Gunboats", p.14
  5. ^ a b c d e "The Swedish 1st Class Gunboats", p.16
  6. ^ 『海防戦艦』105ページ、"The Swedish 1st Class Gunboats", pp.14-16
  7. ^ a b c d "The Swedish 1st Class Gunboats", p.18

参考文献

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  • 橋本若路『海防戦艦 設計・建造・運用 1872~1938』イカロス出版、2022年、ISBN 978-4-8022-1172-7
  • Curt Borgenstam Jr., "The Swedish 1st Class Gunboats", Warship International, Vol. 36, No. 1, 1999, pp. 13-25