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プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン』
ライ・クーダースタジオ・アルバム
リリース
録音 カリフォルニア州チャッツワース ワイアーランド・スタジオ、カリフォルニア州バーバンク オーシャン・スタジオ、カリフォルニア州ノースハリウッド ドライヴ・バイ・スタジオ[1][3]
ジャンル ロックフォークアメリカーナ
時間
レーベル ノンサッチ・レコード
プロデュース ライ・クーダー
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 9位(ノルウェー[7]
  • 12位(スウェーデン[8]
  • 21位(ベルギー・フランデレン地域[9]
  • 24位(オランダ[10]
  • 26位(イギリス[11]
  • 28位(ニュージーランド[12]
  • 40位(フィンランド[13]
  • 54位(イタリア[14]
  • 64位(スイス[15]
  • 66位(ドイツ[16]
  • 74位(オーストリア[17]
  • 77位(スペイン[18]
  • 94位(日本[2]
  • 123位(アメリカ[19]
  • ライ・クーダー アルバム 年表
    サン・パトリシオ(with チーフタンズ
    (2010年)
    プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン
    (2011年)
    エレクション・スペシャル
    (2012年)
    テンプレートを表示

    プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン』(Pull Up Some Dust and Sit Down)は、アメリカ合衆国ギタリストライ・クーダー2011年に発表したスタジオ・アルバム

    背景

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    2000年代後半の「カリフォルニア三部作」(『チャヴェス・ラヴィーン』、『マイ・ネーム・イズ・バディ』、『アイ・フラットヘッド』)が歴史的な題材を取り上げていたのに対し、本作はリアルタイムの政治批判が押し出された作風で、その路線は次作『エレクション・スペシャル』(2012年)にも引き継がれた[20]

    収録曲「ノー・バンカー・レフト・ビハインド」のタイトルは、ニュースサイト「Truthdig」の記事に由来しており[21]、ロバート・シアーが2010年2月24日に配信した元記事は、財務省および連邦準備制度理事会が、ウォール街の金融機関を支援するため公的資金で住宅ローンを買い取るプログラムを「盗みのライセンス」「恩恵を受けたのはほとんど大手の銀行家たちだけ」と批判した内容である[22]。なお、この曲を含む本作収録曲の一部がTruthdig Radioでオン・エアされた際、前述のロバート・シアーはアルバムの全体像を「ジョン・レノンの"Working Class Hero"にも匹敵する」と語っている[23]

    「クイック・サンド」はアリゾナ州不法移民取締法(SB1070)に反対した曲で、本作に先がけてiTunesで配信されたヴァージョンの売り上げはメキシコ系アメリカ人法的擁護・教育基金英語版に寄付され、本作には別ヴァージョンが収録された[24]。「クリスマス・タイム・ディス・イヤー」と「ベイビー・ジョインド・ジ・アーミー」は、外国の戦場へ駆り出された米軍兵士を題材としている[24]

    「ジョン・リー・フッカーを大統領に」はクーダーのギター弾き語りのみの録音で[3]、もしブルース・ミュージシャンのジョン・リー・フッカー(2001年死去)が大統領選挙に出馬したら、どんな演説をするかを想像して作られ、フッカーの曲のフレーズや演奏スタイルも取り入れられている[21]。「イフ・ゼアズ・ア・ゴッド」は共和党を批判した曲で、歌詞に登場する「Republiklan」という言葉は「共和党(Republican)」と「クー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan)」合わせた造語であり[21]、クーダーは「Republiklan」がジム・クロウ法を再制定しようとしていると歌っている[1]

    反響

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    アメリカでは総合アルバム・チャートのBillboard 200で123位に達し、『ビルボード』のロック・アルバム・チャートでは28位に達した[19]。ノルウェーのアルバム・チャートでは6週トップ40入りして最高9位を記録し、同国において自身6作目のトップ10アルバムとなった[7]

    評価

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    第54回グラミー賞では最優秀アメリカーナ・アルバム賞にノミネートされた[25]。イギリスの音楽雑誌『アンカット』が選出した「2011年のベスト・アルバム50」では20位にランク・インし、1年後の改訂では21位となった[26]

    Thom Jurekはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「ライ・クーダーのアルバムの中では、最も公然と政治的題材を取り上げた作品である一方、特に愉快で、音楽的説得力のあるアルバムの一つでもある」「時事問題を扱った音楽が退屈だなんて誰が言った?」と評している[1]。Robin Denselowは2011年9月1日付の『ガーディアン』紙のレビューで満点の5点を付け「彼がキャリア初期の1970年代に発表したアルバムと同様、爽快で大胆で独創的」と評している[4]。ニール・スペンサーは2011年9月4日付の『The Observer』紙で満点の5点を付け「音楽的には、彼が1970年代に探求してきたブルース、フォーク、テックス・メックスに立脚しているが、歌そのものは現代的である」「彼は当代のウディ・ガスリーとなった」と評している[5]。また、Philip MajorinsはPopMattersにおいて10点満点中8点を付け「一貫した物語ではないかもしれないが、明らかな主題がある」と評している[6]

    収録曲

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    特記なき楽曲はライ・クーダー作。

    1. ノー・バンカー・レフト・ビハインド - No Banker Left Behind - 3:36
    2. エル・コリド・ドゥ・ジェシー・ジェイムス - El Corrido de Jesse James - 4:17
    3. クイック・サンド - Quick Sand - 3:17
    4. ダーティ・シャトー - Dirty Chateau - 5:29
    5. ハンプティ・ダンプティ・ワールド - Humpty Dumpty World - 4:18
    6. クリスマス・タイム・ディス・イヤー - Christmas Time This Year - 2:49
    7. ベイビー・ジョインド・ジ・アーミー - Baby Joined the Army - 6:35
    8. ロード・テル・ミー・ホワイ - Lord Tell Me Why (Ry Cooder, Jim Keltner) - 3:01
    9. アイ・ウォント・マイ・クラウン - I Want My Crown - 2:37
    10. ジョン・リー・フッカーを大統領に - John Lee Hooker for President - 6:08
    11. ドリーマー - Dreamer - 5:06
    12. シンプル・ツールズ - Simple Tools - 5:07
    13. イフ・ゼアズ・ア・ゴッド - If There's a God - 3:06
    14. ノー・ハード・フィーリングス - No Hard Feelings - 5:52

    参加ミュージシャン

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    脚注

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    1. ^ a b c d e Jurek, Thom. “Ry Cooder - Pull Up Some Dust and Sit Down Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2024年1月11日閲覧。
    2. ^ a b プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン - ライ・クーダー”. オリコン. 2020年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月11日閲覧。
    3. ^ a b CD英文ブックレット内クレジット
    4. ^ a b Denselow, Robin (2011年9月1日). “Ry Cooder: Pull Up Some Dust and Sit Down - review”. The Guardian. Guardian News & Media. 2024年1月11日閲覧。
    5. ^ a b Spencer, Neil (2011年9月4日). “Ry Cooder: Pull Up Some Dust and Sit Down - review”. The Observer. Guardian News & Media. 2024年1月11日閲覧。
    6. ^ a b Majorins, Philip (2011年10月10日). “Ry Cooder: Pull Up Some Dust and Sit Down”. PopMatters. 2024年1月11日閲覧。
    7. ^ a b norwegiancharts.com - Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down
    8. ^ swedishcharts.com - Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down
    9. ^ Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down - ultratop.be
    10. ^ Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down - dutchcharts.nl
    11. ^ RY COODER songs and albums | full Official Chart history
    12. ^ charts.org.nz - Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down
    13. ^ finnishcharts.com - Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down
    14. ^ italiancharts.com - Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down
    15. ^ Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down - hitparade.ch
    16. ^ Offizielle Deutsche Charts
    17. ^ Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down - austriancharts.at
    18. ^ spanishcharts.com - Ry Cooder - Pull Up Some Dust And Sit Down
    19. ^ a b Ry Cooder - Awards”. AllMusic. 2016年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月11日閲覧。
    20. ^ 大場正明 (2018年5月6日). “ライ・クーダー(Ry Cooder)、ゴスペルに取り組んだ新作『The Prodigal Son』で現代アメリカと対峙する”. Mikiki. Tower Records Japan. 2024年1月11日閲覧。
    21. ^ a b c 日本盤CD (WPCR-14218)ライナーノーツ(五十嵐正、2011年7月)
    22. ^ Scheer, Robert (2010年2月24日). “No Banker Left Behind”. Truthdig. 2024年1月11日閲覧。
    23. ^ Ry Cooder Listening Party With Robert Scheer”. Truthdig (2011年10月3日). 2024年1月11日閲覧。
    24. ^ a b Kidney, David (2011年9月8日). “Telling Us What He Thinks: Ry Cooder, Pull Up Some Dust and Sit Down (Nonesuch Records, 2011)”. Critics At Large. 2024年1月11日閲覧。
    25. ^ Ry Cooder - Artist”. GRAMMT.com. Recording Academy. 2024年1月11日閲覧。
    26. ^ Mulvey, John (2013年1月10日). “Uncut’s Top 50 of 2011; One Year On…”. Uncut. NME Networks. 2024年1月11日閲覧。

    外部リンク

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