コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ペーター・ザイゼンバッハー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
獲得メダル
 オーストリア
柔道
オリンピック
1984 ロサンゼルス 86kg級
1988 ソウル 86kg級
世界柔道選手権
1985 ソウル 86kg級
ヨーロッパ柔道選手権
1980 ウィーン 86kg級
1983 パリ 86kg級
1984 リエージュ 86kg級
1985 ハーマル 86kg級
1986 ベオグラード 86kg級
1986 ベオグラード 無差別級
1987 パリ 86kg級
1988 パンプローナ 86kg級

ペーター・ザイゼンバッハー(Peter Seisenbacher、1960年3月25日- )は、オーストリアウィーン出身の柔道家。身長186cm[1]。得意技は大外刈[2]。1984年ロサンゼルスオリンピック、1988年ソウルオリンピックの金メダリストである。

人物

[編集]

柔道は6歳の時に始めた[3]。 20歳で出場した1980年のモスクワオリンピックでは19位に終わったが、その後ロサンゼルスオリンピックに向け最適の練習環境を求めて来日。東海大学筑波大学で練習を積んだ。オリンピックでは86kg級でオーストリアの柔道家として初のオリンピックの金メダルを獲得[3]

1985年には世界選手権でも優勝した。1988年のソウルオリンピックでも2大会連続の金メダルを獲得。オリンピックの柔道で史上初の2大会連続金メダルを獲得した選手となった。これらの活躍により1984年、1985年及び1988年にオーストリアのスポーツマンオブザイヤーを受章している[3]

オリンピックで2連覇を達成すると、引退を表明した。その後、スポーツエイドの事務局長及びオーストリア男子ナショナルチームのコーチに就任した。しかし、1991年のオーストリア国際において、自チームの選手と口論の末に暴力を振るったことでコーチを辞めることになった。また、この件では法廷から罰金刑も言い渡された[3]

2010年から2012年のロンドンオリンピックまでグルジアナショナルチームのヘッドコーチを務めた。ロンドンオリンピックではラシャ・シャフダトゥアシビリに金メダルをもたらした。その後、アゼルバイジャンナショナルチームのヘッドコーチに2016年リオデジャネイロオリンピックまで就任する契約を結んだ[4]。2013年にはIJFの殿堂入りを果たした[5]。さらには世界選手権ではエルハン・ママドフに金メダルをもたらした。しかし、2013年の終盤に辞任することになった[3][6][7]

2015年には再びアゼルバイジャン代表チームのヘッドコーチに就任した。2020年の東京オリンピックまでが任期だという[8][9]

2016年8月のリオデジャネイロオリンピックでは指導していた73kg級のルスタム・オルジョフと100kg級のエルマール・ガシモフが銀メダルを獲得した。10月にはウィーンのクラブでコーチをしていた1999年から2004年にかけて、2名の少女に性的虐待を加えていたとして検察当局に告発された。被害者はすでに2014年に訴え出ていた。そのうちの一人は当時まだ11歳だった1999年から14歳になる2002年までの間に度々虐待を受けていたという。もう一人の少女は13歳だった2004年に虐待を蒙ったと言われている。また、2001年にはクロアチアで16歳の少女にも性的虐待を試みようとしたと見られる。もし有罪になれば最高10年の懲役刑となる[3][6][10][11][12]。その後12月にはオーストリアの検察当局の出頭要請に応じなかったことから、逮捕状が発行されて国際手配をされるに至った。2016年末まではアゼルバイジャンに滞在していたと見られるが、以降の消息は不明となっており[13][14]、オーストリアとの犯罪人引渡し条約を締結していないUAEドバイに滞在しているとも言われていたが[15]、2017年8月1日にウクライナキエフにて逮捕された[16]。しかし、ウクライナもまたオーストリアとの犯罪人引渡し条約を締結していなかったためオーストリアへの引き渡しを拒否して、ザイゼンバッハーも釈放された。その後、2019年9月にポーランドへ偽造旅券で入国しようと試みるも逮捕されて、ようやくオーストリアへ身柄が引き渡されることとなった[17][18]。12月には禁固5年の判決が言い渡された[19]。2022年11月には仮釈放された[20]

主な戦績

[編集]
  • 1977年 - ヨーロッパカデ選手権 5位(75kg級)
  • 1979年 - プレオリンピックトーナメント 3位(78kg級)
  • 1979年 - ヨーロッパジュニア 3位(78kg級)
  • 1980年 - ヨーロッパ選手権 2位 
  • 1980年 - 世界軍人選手権 2位
  • 1980年 - モスクワオリンピック 9位
  • 1981年 - ハンガリー国際 2位
  • 1981年 - 世界軍人選手権 優勝
  • 1981年 - ポーランド国際 3位
  • 1982年 - 東ドイツ国際 2位
  • 1982年 - 世界軍人選手権 86kg級 優勝 無差別 3位
  • 1982年 - ポーランド国際 3位
  • 1982年 - オーストリア国際 3位
  • 1983年 - ハンガリー国際 優勝
  • 1983年 - ヨーロッパ選手権 2位
  • 1983年 - オーストリア国際 優勝
  • 1983年 - 世界選手権 5位
  • 1984年 - フランス国際 優勝
  • 1984年 - ドイツ国際 優勝
  • 1984年 - ヨーロッパ選手権 3位
  • 1984年 - ロサンゼルスオリンピック 優勝
  • 1984年 - 世界軍人選手権 86kg級 優勝 無差別 優勝
  • 1984年 - オーストリア国際 2位
  • 1985年 - 正力国際 優勝
  • 1985年 - 大陸別対抗戦 優勝
  • 1985年 - ドイツ国際 優勝
  • 1985年 - ヨーロッパ選手権 3位
  • 1985年 - 世界軍人選手権 86kg級 優勝 無差別 優勝
  • 1985年 - 世界選手権 優勝
  • 1986年 - ハンガリー国際 3位
  • 1986年 - ヨーロッパ選手権 86kg級 優勝 無差別 2位
  • 1987年 - フランス国際 3位
  • 1987年 - ドイツ国際 優勝
  • 1987年 - 世界軍人選手権 優勝
  • 1987年 - ヨーロッパ選手権 3位
  • 1988年 - ドイツ国際 優勝
  • 1988年 - ハンガリー国際 2位
  • 1988年 - ヨーロッパ選手権 3位
  • 1988年 - オーストリア国際 3位
  • 1988年 - ポーランド国際 2位
  • 1988年 - ソウルオリンピック 優勝

脚注

[編集]
  1. ^ Peter Seisenbacher Biography and Olympic Results Archived 2014年10月27日, at the Wayback Machine.
  2. ^ Peter Seisenbacher accusé d'abus sexuels sur mineures
  3. ^ a b c d e f Peter Seisenbacher unter Missbrauchsverdacht
  4. ^ Foreigner headed first time Azerbaijani judo team after its infamous performance at London Olympics”. 2013年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月9日閲覧。
  5. ^ European Judo heroes inducted into IJF Hall of Fame
  6. ^ a b Judo- Idol Seisenbacher unter Missbrauchsverdacht
  7. ^ Sexueller Missbrauch: Ermittlung gegen Seisenbacher”. 2014年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月11日閲覧。
  8. ^ Peter Seisenbacher back in judo
  9. ^ Job für Peter Seisenbacher”. 2015年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月25日閲覧。
  10. ^ 柔道五輪連覇の王者に少女暴行疑惑 産経新聞 2016年10月6日
  11. ^ Double Olympic judo champion charged with sexual assault
  12. ^ Seisenbacher wegen Kindesmissbrauchs angeklagt!
  13. ^ 柔道五輪金メダリストに逮捕状=オーストリア 時事通信 2017年1月17日
  14. ^ Arrest warrant issued for double Olympic judo champion over alleged child abuse
  15. ^ Diese Firma fuhrt Peter Seisenbacher als CEO
  16. ^ 柔道男子の五輪金メダリストを逮捕、少女への性的虐待容疑で”. AFPBB NEWS (2017年8月2日). 2017年8月3日閲覧。
  17. ^ Seisenbacher: U-Haft imposed because of flight danger[リンク切れ]
  18. ^ Wegen Fluchtgefahr U-Haft für Peter Seisenbacher
  19. ^ 柔道元金メダリストに禁錮5年 教え子に性的虐待 AFP 2019年12月3日
  20. ^ Former judoka Peter Seisenbacher is free again

外部リンク

[編集]