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ミヤマキタアザミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミヤマキタアザミ
山形県月山 2012年8月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : アザミ亜科 Carduoideae
: トウヒレン属 Saussurea
: ミヤマキタアザミ
S. franchetii
学名
Saussurea franchetii Koidz.[1]
和名
ミヤマキタアザミ(深山北薊)[2][3]

ミヤマキタアザミ(深山北薊、学名:Saussurea franchetii)は、キク科トウヒレン属多年草[3][4][5]高山植物[2]

特徴

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は直立し、高さは40-80cmになる。茎は上部で2-4回分枝し、褐色の多細胞毛が生え、幅0.5mmのごく狭い翼がある。花時には根出葉は生存しない。茎の下部につく葉は草質、葉身は三角状卵形でほこ形になり、長さ8-13cm、幅6-11cm、先は尾状にとがり、基部は浅い心形から心形になり、縁に粗い鋸歯がある。葉の表面に軟細毛が生え、裏面の葉脈に沿って毛が生える。葉柄は長さ13-20cmになり、翼はない。茎の上部につく葉は小型になり、葉身は卵形になる[3][4][5]

花期は8-9月。頭状花序は茎先または枝先に散房状に5-8個が密集してつき、頭花の径は15-17mmになる。花柄は無いかまたは長さ2-5mmと短く、帯紫色になり、複花序の基部に長さ3cm以上になる苞葉がある。総苞は長さ11-13mm、径8-14mmになる鐘形から筒形で、暗紫褐色になり、白色のくも毛が密生する。総苞片は5-6列あり、外片は広卵形で先は短く尾状に伸び、長さ11-13mm、幅4-5mmになり、先端は短くゆるやかに反曲するか斜上する。内片は線形で黒褐色、長さ11-14mmになり、短毛がある。頭花は筒状花のみからなり、花冠の長さは10mm、色は淡紫色になる。果実は長さ4.5-5.5mmになる痩果。冠毛は2輪生で、落ちやすい外輪は長さ0.5-3mm、花後にも残る内輪は長さ9mmになる[3][4][5]

分布と生育環境

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日本固有種[6]。本州の東北地方の月山朝日山地飯豊山地に分布し、亜高山帯から高山帯の草地に生育する[3][4]

タイプ標本の採集地は、朝日岳である[2]

名前の由来

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和名ミヤマキタアザミは、「深山北薊」の意[2][3][5]

種小名(種形容語)franchetii は、フランス人で東亜植物を研究した植物分類学者のアドリアン・ルネ・フランシェへの献名である[7]

分類

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本種の従来の分布地は、現在の分布地より広い、東北地方の宮城県秋田県山形県とされてきた[2]。それまで、本種と混同されてきたものに、次の3種がある。

2009年に門田裕一国立科学博物館)によって、宮城県の蔵王連峰の不忘山など、および福島県吾妻連峰磐梯山に分布するものの1種は、新種のフボウトウヒレン Saussurea fuboensis として記載発表された[8]。また、2015年には、門田によって、秋田県と山形県の県境に位置する神室山丁山地に分布するものの1種は、新種のカムロトウヒレン S. sawae として、秋田駒ケ岳焼石岳真昼山地、丁山地、鳥海山に分布するものの1種は、新種のウゴトウヒレン S. ugoensis としてそれぞれ記載発表された[9]

種の保全状況評価

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絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

(2017年、環境省)

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ ミヤマキタアザミ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』p.61
  3. ^ a b c d e f 『東北のアザミとその仲間たち』p.97
  4. ^ a b c d 『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.265-266
  5. ^ a b c d 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1134
  6. ^ 『日本の固有植物』p.148
  7. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.1493-1494
  8. ^ Systematic Studies of Asian Saussurea (Asteraceae) III. Saussurea fuboensis, a New Species from the Southernmost Part of Tohoku District, Northern Japan,「門田裕一:アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究 III. 東北地方南部からの1新種,フボウトウヒレン」, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.84, No.3, pp.177-183, (2009).
  9. ^ Systematic Studies of Asian Saussurea (Asteraceae) VII. A New Species from Hokkaido and Four New Species from Northern Honshu, Japan,「門田裕一:アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究VII.北海道産の1新種と本州産の4新種」, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.90, No.3, pp.158-178, (2015).

参考文献

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