メタクリル酸メチル
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メタクリル酸メチル | |
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Methyl 2-methylprop-2-enoate | |
別称 Methyl 2-methylpropenoate methyl methacrylate MMA 2-(methoxycarbonyl)-1-propene | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 80-62-6 |
PubChem | 6658 |
ChemSpider | 6406 |
UNII | 196OC77688 |
EC番号 | 201-297-1 |
国連/北米番号 | 1247 |
KEGG | C14527 |
ChEBI | |
ChEMBL | CHEMBL49996 |
RTECS番号 | OZ5075000 |
バイルシュタイン | 605459 |
Gmelin参照 | 2691 |
| |
特性 | |
化学式 | C5H8O2 |
モル質量 | 100.12 g mol−1 |
外観 | 無色の液体 |
匂い | 刺激臭、果実臭[1] |
密度 | 0.94 g/cm3 |
融点 |
−48 °C |
沸点 |
101 °C |
水への溶解度 | 1.5 g/100 ml |
log POW | 1.35 [2] |
蒸気圧 | 29 mmHg (20 °C)[1] |
磁化率 | -57.3·10−6 cm3/mol |
粘度 | 0.6 cP at 20 °C |
構造 | |
双極子モーメント | 1.6–1.97 D |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | Methyl methacrylate MSDS |
GHSピクトグラム | |
GHSシグナルワード | 危険(DANGER) |
Hフレーズ | H225, H315, H317, H335 |
Pフレーズ | P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P271, P272, P280, P302+352, P303+361+353, P304+340 |
主な危険性 | Flammable |
NFPA 704 | |
引火点 | 2 °C (36 °F; 275 K) |
発火点 | 435 °C (815 °F; 708 K) |
爆発限界 | 1.7%-8.2%[1] |
許容曝露限界 | TWA 100 ppm (410 mg/m3)[1] |
最低致死濃度 LCLo | 4400 ppm (ラット, 8時間) 4400 ppm (ウサギ, 8時間) 4207 ppm (ウサギ, 4.5時間) 4567 ppm (モルモット, 5時間)[3] |
半数致死量 LD50 | 8420-10000 mg/kg (ラット, 経口) 5000-7500 mg/kg (rabbit, dermal) |
半数致死濃度 LC50 | 18750 ppm (ラット, 4時間) 4447 ppm (マウス, 2時間) 3750 ppm (ラット) 4808 ppm (哺乳類)[3] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
メタクリル酸メチル(—さん—、methyl methacrylate、略称 MMA)は、有機化合物の一種で、メタクリル酸のメチルエステルにあたる。主にメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、アクリル樹脂の代表例)を製造するための原料モノマーとして用いられる。消防法による第4類危険物 第1石油類に該当する[4]。
製造
[編集]メタクリル酸メチルの世界での年間生産量は約 210 万トンに達する。
工業的に用いられる主な製造法ではアセトンとシアン化水素(青酸)を原料とし、アセトンシアンヒドリンを中間体とする。この手法ではメタクリル酸メチルのほかに硫酸アンモニウムが副産する(ACH法)。
- (CH
3)
2C=O + HCN → (CH
3)
2C(OH)CN - (CH
3)
2C(OH)CN + H
2SO
4 → CH
3C(=CH
2)C(=O)NH
2・H
2SO
4 - 2CH
3C(=CH
2)C(=O)NH
2・H
2SO
4 + 2CH
3OH → 2CH
3C(=CH
2)COOCH
3 + (NH
4)
2SO
4 + H
2SO
4
新しい手法では、エチレンにメタノール、一酸化炭素を付加させてプロピオン酸メチルとし、ホルムアルデヒドと脱水縮合させてメタクリル酸メチルを得る。
- CH
2=CH
2 + CH
3OH + CO → CH
3CH
2COOCH
3 - CH
3CH
2COOCH
3 + HCHO → CH
3C(=CH
2)COOCH
3 + H
2O
製造者
[編集]用途
[編集]メタクリル酸メチルは各種ポリマー合成の原料として用いられる。
- メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)
メタクリル酸メチルだけを重合させたポリマーがアクリル樹脂の代表例であるメタクリル酸メチル樹脂で、ガラスの代替に用いられるほど透明性の高いプラスチックの代表例である。
- メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(MBS)
メタクリル酸メチル、ブタジエン、スチレンの共重合で得られるMBS樹脂は、ポリ塩化ビニル (PVC) の改質剤として用いられる。
- スチレン-メタクリル酸メチル-無水マレイン酸共重合樹脂(SMM)
SMM樹脂は、PMMAに添加し相溶させると、特性を損なわずに耐熱性を向上させる改質剤となり、自動車のメーターパネル、光学フィルム、発光ダイオード用レンズなどに利用される[5]。
脚注
[編集]- ^ a b c d NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0426
- ^ “Methyl methacrylate”. Chemsrc.com. 30 November 2021閲覧。
- ^ a b “Methyl methacrylate”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH). 2024年12月21日閲覧。
- ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
- ^ 「電気化学 SMM樹脂海外開拓」『化学工業日報』、2014年2月20日、P1、化学工業日報社