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メタクリル酸メチル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メタクリル酸メチル
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識別情報
CAS登録番号 80-62-6 チェック
PubChem 6658
ChemSpider 6406 チェック
UNII 196OC77688 チェック
EC番号 201-297-1
国連/北米番号 1247
KEGG C14527 ×
ChEBI
ChEMBL CHEMBL49996 チェック
RTECS番号 OZ5075000
バイルシュタイン 605459
Gmelin参照 2691
特性
化学式 C5H8O2
モル質量 100.12 g mol−1
外観 無色の液体
匂い 刺激臭、果実臭[1]
密度 0.94 g/cm3
融点

−48 °C

沸点

101 °C

への溶解度 1.5 g/100 ml
log POW 1.35 [2]
蒸気圧 29 mmHg (20 °C)[1]
磁化率 -57.3·10−6 cm3/mol
粘度 0.6 cP at 20 °C
構造
双極子モーメント 1.6–1.97 D
危険性
安全データシート(外部リンク) Methyl methacrylate MSDS
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(低毒性)
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H225, H315, H317, H335
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P271, P272, P280, P302+352, P303+361+353, P304+340
主な危険性 Flammable
NFPA 704
3
2
 
引火点 2 °C (36 °F; 275 K)
発火点 435 °C (815 °F; 708 K)
爆発限界 1.7%-8.2%[1]
許容曝露限界 TWA 100 ppm (410 mg/m3)[1]
最低致死濃度 LCLo 4400 ppm (ラット, 8時間)
4400 ppm (ウサギ, 8時間)
4207 ppm (ウサギ, 4.5時間)
4567 ppm (モルモット, 5時間)[3]
半数致死量 LD50 8420-10000 mg/kg (ラット, 経口)
5000-7500 mg/kg (rabbit, dermal)
半数致死濃度 LC50 18750 ppm (ラット, 4時間)
4447 ppm (マウス, 2時間)
3750 ppm (ラット)
4808 ppm (哺乳類)[3]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

メタクリル酸メチル(—さん—、methyl methacrylate、略称 MMA)は、有機化合物の一種で、メタクリル酸メチルエステルにあたる。主にメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、アクリル樹脂の代表例)を製造するための原料モノマーとして用いられる。消防法による第4類危険物 第1石油類に該当する[4]

製造

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メタクリル酸メチルの世界での年間生産量は約 210 万トンに達する。

工業的に用いられる主な製造法ではアセトンシアン化水素(青酸)を原料とし、アセトンシアンヒドリンを中間体とする。この手法ではメタクリル酸メチルのほかに硫酸アンモニウムが副産する(ACH法)。

(CH
3
)
2
C=O + HCN → (CH
3
)
2
C(OH)CN
(CH
3
)
2
C(OH)CN + H
2
SO
4
→ CH
3
C(=CH
2
)C(=O)NH
2
・H
2
SO
4
2CH
3
C(=CH
2
)C(=O)NH
2
・H
2
SO
4
+ 2CH
3
OH → 2CH
3
C(=CH
2
)COOCH
3
+ (NH
4
)
2
SO
4
+ H
2
SO
4

新しい手法では、エチレンメタノール一酸化炭素を付加させてプロピオン酸メチルとし、ホルムアルデヒドと脱水縮合させてメタクリル酸メチルを得る。

CH
2
=CH
2
+ CH
3
OH + CO → CH
3
CH
2
COOCH
3
CH
3
CH
2
COOCH
3
+ HCHO → CH
3
C(=CH
2
)COOCH
3
+ H
2
O

製造者

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用途

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メタクリル酸メチルは各種ポリマー合成の原料として用いられる。

  • メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)

メタクリル酸メチルだけを重合させたポリマーがアクリル樹脂の代表例であるメタクリル酸メチル樹脂で、ガラスの代替に用いられるほど透明性の高いプラスチックの代表例である。

  • メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(MBS)

メタクリル酸メチル、ブタジエンスチレン共重合で得られるMBS樹脂は、ポリ塩化ビニル (PVC) の改質剤として用いられる。

  • スチレン-メタクリル酸メチル-無水マレイン酸共重合樹脂(SMM)

SMM樹脂は、PMMAに添加し相溶させると、特性を損なわずに耐熱性を向上させる改質剤となり、自動車のメーターパネル、光学フィルム、発光ダイオード用レンズなどに利用される[5]

脚注

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  1. ^ a b c d NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0426
  2. ^ Methyl methacrylate”. Chemsrc.com. 30 November 2021閲覧。
  3. ^ a b Methyl methacrylate”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2024年12月21日閲覧。
  4. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  5. ^ 「電気化学 SMM樹脂海外開拓」『化学工業日報』、2014年2月20日、P1、化学工業日報社