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メチルマロン酸血症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メチルマロン酸血症
メチルマロン酸
概要
診療科 内分泌学
分類および外部参照情報
ICD-10 E71.1
ICD-9-CM 270.3
OMIM 251000 251100 251110 277380 277400 277410 606169
DiseasesDB 29509 29510
MedlinePlus 001162
eMedicine neuro/576

メチルマロン酸血症(メチルマロンさんけっしょう、: methylmalonic acidemia)とは、メチルマロン酸性尿症とも呼ばれており、劣性の常染色体代謝異常の疾患であり、指定難病に指定されている[1][2][3]

メチルマロン酸血症は、いくつかの遺伝子型に由来する[4]。メチルマロン酸血症は、典型的な酸性血症であり、この疾患は新生児であるときに進行性の脳障害と診断され、次に高アンモニア血症と診断されることが多い。適切な診断がされなかったり治療をしない場合、この病気は死をもたらすことがある。

原因

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遺伝

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メチルマロン酸血症常染色体劣性遺伝疾患である。青が健常者、紫が発症しない保因者、赤が発症者。

遺伝性のメチルマロン酸血症は、酵素であるメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)によりメチルマロニルCoAスクシニルCoAへ代謝される経路に欠陥が生じることによって引き起こされる病気である[5]

メチルマロニルCoAがスクシニルCoAへ代謝される際にビタミンB12も必要とされる。ビタミンB12の代謝や吸収の障害をもたらす遺伝子変異がメチルマロン酸血症を発症させる。

この疾患は、常染色体劣性遺伝の性質を有しており、両親から1つずつ受け継いだ常染色体上の2つの遺伝子の双方に欠陥があることを意味する。この疾患を持った子供の両親は欠陥遺伝子を含む染色体1本持っているがヘテロ接合であるため通常はこの疾患を発症しない。

 ---> 
メチルマロン酸         コハク酸
MUT反応メカニズム

栄養

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ビタミンB12の極端な欠乏でもメチルマロン酸血症を引き起こすことがある[6]。 メチルマロニルCoAがスクシニルCoAへ代謝される際にビタミンB12を必要とする。メチルマロニルCoAがスクシニルCoAへ代謝されるに必要なビタミンB12が不足している場合、消費されないメチルマロニルCoAが蓄積され、結果としてメチルマロン酸血症を引き起こす。この診断には、血清中のビタミンB12の濃度測定が用いられる[7]

プロピオン酸からの代謝

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哺乳動物では、プロピオン酸CoAが結び付いたプロピオニルCoAは、ビオチン依存性酵素であるプロピオニルCoAカルボキシラーゼによって(S)-メチルマロニルCoAに変換される。この酵素反応では炭酸水素イオンATPを要する。この生成物はさらにメチルマロニルCoAエピメラーゼによって(R)-メチルマロニルCoAに変換される。(R)-メチルマロニルCoAは、メチルマロニルCoAムターゼによってクエン酸回路で代謝されるスクシニルCoAに変換されるが、この酵素は炭素-炭素結合の移動を触媒するためのコバラミン(ビタミンB12)を要する。 メチルマロニルCoAムターゼの欠如は、メチルマロン酸の蓄積をもたらし血液pHが低下するメチルマロン酸血症を引き起こす[8]

プロピオニルCoAは、イソロイシンバリンスレオニンメチオニンチミンコレステロールや奇数鎖脂肪酸の代謝と消化により形作られる。

アミノ酸からプロピオン酸への代謝分解については、アミノ酸の代謝分解を参照のこと。

奇数鎖脂肪酸からプロピオン酸への代謝分解については、β酸化を参照のこと。

治療法

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医師による診断が確定するまでは、必要によりブドウ糖輸液を実施する。
診断確定後の治療は以下の通りである。

病因論

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メチルマロン酸血症は、この疾病を引き起こす特定の遺伝変異に応じて異なる診断、治療法、対処法がある[4]。次の表はメチルマロン酸血症の原因として知られている遺伝子タイプである。

en:OMIM Name Gene
251100 cblA type en:MMAA
251110 cblB type en:MMAB
277400 cblC type en:MMACHC
277410 cblD type en:MMADHC[9]
277380 cblF type en:LMBRD1[10]
251000 mut type MUT

脚注

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  1. ^ Radmanesh, A; Zaman, T; Ghanaati, H; Molaei, S; Robertson, Rl; Zamani, Aa (July 2008). “Methylmalonic acidemia: brain imaging findings in 52 children and a review of the literature”. Pediatric radiology 38 (10): 1054. doi:10.1007/s00247-008-0940-8. PMID 18636250. 
  2. ^ Dionisi-Vici C, Deodato F, Raschinger W, Rhead W, Wilcken B (2006). “Classical organic acidurias, propionic aciduria, methylmalonic aciduria, and isovaleric aciduria: long-term outcome and effects of expanded newborn screening using tandem mass spectrometry”. en:J Inherit Metab Dis. 29 (2-3): 383-389. doi:10.1007/s10545-006-0278-z. PMID 16763906. 
  3. ^ 難病と診断された皆さまへ”. 厚生労働省. 2021年3月30日閲覧。
  4. ^ a b Matsui, Sm; Mahoney, Mj; Rosenberg, Le (April 1983). “The natural history of the inherited methylmalonic acidemias” (Free full text). The New England journal of medicine 308 (15): 857-61. doi:10.1056/NEJM198304143081501. ISSN 0028-4793. PMID 6132336. http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search/r?dbs+hsdb:@term+@rn+68-19-9. 
  5. ^ Sakomoto O, Ohura T, Matsubara Y, Takayanagi M, Tsuchiya S (2007). “Mutation and haplotype analyses of the MUT gene in Japanese patients with methylmalonic acidemia”. J Hum Genet. 52 (1): 48-55. doi:10.1007/s10038-006-0077-2. PMID 17075691. 
  6. ^ Higginbottom MC, Sweetman L, Nyhan WL (1978). “A syndrome of methylmalonic aciduria, homocystinuria, megaloblastic anemia and neurological abnormalities in a vitamin B12-deficient breast-fed infant of a strict vegetarian”. N Engl J Med. 299 (7): 317-323. doi:10.1056/NEJM197808172990701. PMID 683264. 
  7. ^ http://www.biology.arizona.edu/biochemistry/problem_sets/b12/04t.html
    Vitamin B12 deficiency - The methylmalonic aciduria connection
  8. ^ メチルマロン酸血症”. 厚生労働省難治性疾患克服研究班報告. 難病医学研究財団/難病情報センター. 2010年10月31日閲覧。
  9. ^ Gene identification for the cblD defect of vitamin B12 metabolism. Coelho D, Suormala T, Stucki M, Lerner-Ellis JP, Rosenblatt DS, Newbold RF, Baumgartner MR, Fowler B. N Engl J Med. 2008 Apr 3;358(14):1454-64. PMID: 18385497
  10. ^ Identification of a putative lysosomal cobalamin exporter altered in the cblF defect of vitamin B12 metabolism. Rutsch F, Gailus S, Miousse IR, Suormala T, Sagné C, Toliat MR, Nürnberg G, Wittkampf T, Buers I, Sharifi A, Stucki M, Becker C, Baumgartner M, Robenek H, Marquardt T, Höhne W, Gasnier B, Rosenblatt DS, Fowler B, Nürnberg P. Nat Genet. 2009 Feb;41(2):234-9. Epub 2009 Jan 11. PMID: 19136951

関連項目

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外部リンク

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