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メッシュフリー法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

メッシュフリー法 (Meshfree method) は、偏微分方程式(PDE)の境界値問題を離散化近似で従来の有限要素法(FEM)の様なメッシュ無しで近似解を得る数学的アプローチの総称である。多くのアプローチが存在する。

歴史と概要

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積分形式(弱形式)FEMの延長線上という意味では、仏研究者のDEM法(Defused Element Method)がデータ補間に使われた移動最小二乗法(MLS)(Moving Least Square)を形状関数作成に応用した事による。DEMは形状関数計算に必要なモーメント逆行列を効率化の為厳密な逆行列を求めず、近似の方法を採用した。その後モーメント逆行列を普通に時間を費やし計算し、後述の変位境界条件設定にラグランジュの未定乗数法を採用したEFG(Element Free Galerkin)が米ノースウェスタン大学の研究者から提案されたことに始まる。従来のFEMは対象を微小要素(メッシュ)分割し、弱形式の重みつき残差法のガラーキン法等を使う。一方メッシュフリー法では要素分割を行わず、Node(節点)配置をし同様に弱形式のガラーキン法で解く方法と、微分形式(強形式)を直接解く節点法(collocation)がある。

FEMとの違い

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EFGやRKPM形状関数はグローバル近似であり、ローカル近似のFEMとは異なる。従って、"support size""domain of influence"というような周囲のnode検索範囲を指定するパラメーターが存在する。これが小さい場合局所の性質が顕著となり、大きい場合は全体としてなだらかな近似となるが、余り大きくすると精度が低下する。 同じ弱形式の場合、数学的にはFEMとの違いは形状関数作成法であり、当然積分が必要になる為バックグランドセルと呼ばれるガウス積分用のセルが必要である場合がある。これは真のメッシュフリー法とは言えない。それを解決する為に、節点積分によりバックグランドセルを不要とした方法も提案されている。対してcollocation法は完全なメッシュフリー法で積分不要で効率的な方法であるが、低精度の問題がある。

主なメッシュフリー法

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弱形式(微分方程式積分方程式に置き換え解く)
  • Diffuse Element Method(DEM)
  • Element Free Galerkin(EFG)
  • Reproducing Kernel Particle Method(RKPM)
  • Natural Element Method(NEM)

etc

強形式(微分方程式を解く)

etc

メリットとデメリット

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メリット(主に弱形式)
  • 要素分割を行わないので、プリプロセス時間を節約でき、複雑な形状も扱える。
  • 亀裂伝播や大変形等、メッシュが解析に影響する問題も扱える。
  • C1補間が容易でシェル解析に強い。重み関数(weight/kernel/window function)と同じ連続性で補間が可能。
  • エンリッチ関数の挿入が容易。
  • node増加による解の収束はFEMより早い。
デメリット(主に弱形式)
  • 要素単位の積分が出来ず形状関数(trial function)が有理関数になるためガウス積分でも多くの評価点が必要となる。節点積分(SCNI等)も提案されガウス積分精度をより効率的に計算できるようになったが、各nodeで形状関数は異なるため複数回の積分が必要になる。また形状関数作成に、周辺nodeのサーチにかなりの時間を要し、結果解析時間はFEMより長くなる。最初に要素連結情報を作成するFEMと、逐次周囲のnodeをサーチするメッシュフリー法では、一概に計算時間が短いとは言えない。
  • 変位境界条件の適用がFEMの様に容易に出来ない。ラグランジュの未定乗数法ペナルティ法等が必要。
  • 節点値をFEMの様に厳密には満たさない。最小二乗法の様に平均して満たす近似解となるため、FEMの様にクロネッカーのデルタプロパティを基本的に持たない。従って、FEMの様に係数行列=節点変位とならない。

今後の応用

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メッシュフリー法の応用分野は、大変形問題、破砕問題、複雑形状問題、亀裂等の不連続問題、応力特異性などメッシュによる解析制限が無い事である。FEMに代わる理論として期待されたが、現実問題上述の問題からFEMに変わる理論とはなり得ていない。FEMが不得意なメッシュにより不具合が生じる現象を解析する方法として限定して発展すると思われる。

関連項目

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