メーヴェ (競走馬)
メーヴェ | |
---|---|
欧字表記 | Mowen[1][2] |
品種 | サラブレッド[1] |
性別 | 牝[1][2] |
毛色 | 黒鹿毛[1][2] |
生誕 | 2008年5月8日(16歳)[1][2] |
抹消日 | 2013年8月30日[2] |
父 | Motivator[1][2] |
母 | Top Table[1][2] |
母の父 | Shirley Heights[1][2] |
生国 | イギリス[1][2] |
生産者 | D.D. and Mrs Jean P. Clee[1][2] |
馬主 | 岡田牧雄[1][2] |
調教師 | 栗田博憲(美浦)[1][2] |
競走成績 | |
生涯成績 | 22戦5勝[1] |
獲得賞金 | 8719万4000円[1][2] |
メーヴェ(欧字名:Mowen、2008年5月8日 - )は、イギリスで生産された日本の競走馬、繁殖牝馬[1]。
競走馬としてはオープン特別戦を勝利したが、重賞競走のタイトルには届かなかった。引退後は繁殖牝馬となり、受胎率の低さに悩まされながらもタイトルホルダー、メロディーレーンと2頭のステイヤーを出した。
馬名の由来は、ドイツ語においてカモメを意味する、風の谷のナウシカに登場する架空の飛行用装置(メーヴェを参照)[3][2]。
経歴
[編集]出生
[編集]父モティヴェーターは無敗でエプソムダービーを制した馬[4]。母トップテーブルはイギリスで8戦未勝利であった[5]。メーヴェもイギリスで生産され、岡田牧雄によって日本へ持ち込まれた。
競走馬時代
[編集]2010年8月14日、札幌競馬場第4競走の2歳新馬戦で、横山典弘を鞍上にデビュー。芝1500m戦のこのレースではのちにGIを2勝するグランプリボスの5着に敗れる。その後、鞍上と距離を試行錯誤しながら、年が明けた2011年の6戦目の未勝利戦ではダート1200m戦に出走。2着に半馬身差をつけて、ここでようやく初勝利を挙げた。続く重賞初参戦のクイーンカップでは10番人気ながらホエールキャプチャの5着と健闘するも、チューリップ賞、カルミア賞(500万下)ではどちらも着外に終わる。だが次走の3歳500万下を三浦皇成とともに勝利すると、さらに2戦目を挟み立冬特別(1000万下)を三浦とのタッグで勝利。このまま勝ち上がると思われたが、福島牝馬ステークスを含む5連戦をするも勝てない競馬が続き、特に常総ステークス(1600万下)は9頭立て8着というブービーの結果に終わり、フリーウェイステークス(1600万下)3着のあとに降級してしまう。しかし、降級2戦目のマレーシアカップ(1000万下)では3番人気から半年以上ぶりの勝利を掴み、さらにその流れで丹頂ステークス(OP)も制し[6]、一気にオープン馬へと登りつめた。だが、続けて挑んだ府中牝馬ステークスとアルゼンチン共和国杯でどちらも惨敗。このレースをもって競走馬を引退することとなった。
繁殖牝馬時代
[編集]引退後は岡田スタッドで繁殖入り。初年度はヴィクトワールピサを種付けしたものの、不受胎であった。
翌年はオルフェーヴルを種付けし、ここで誕生したのがメロディーレーンであった。メロディーレーンは生まれつき非常に体格が小さく、競走馬になれるかも危ぶまれており、デビュー戦時の馬体重も336kgと競走馬としては規格外といえる小ささであった。しかし、10戦目の未勝利戦をテン乗りの岩田望来と共に9馬身差の圧勝で勝利。JRAにおける史上最軽馬体重勝利の記録を更新した。その後の活躍も目を見張るものがあり、菊花賞では12番人気という低評価ながら5着となり、1995年のダンスパートナーの5着ぶりとなる牝馬の菊花賞入着を果たした。その後、2021年の古都ステークスを勝利し、ついにオープン馬となった。
その翌年はドゥラメンテを種付けし、受胎。無事出産し、誕生した仔がタイトルホルダーである。タイトルホルダーはデビュー戦を1番人気に応え制し、東京スポーツ杯2歳ステークスとホープフルステークスをダノンザキッドの2、4着と好走する。そして年が明けた2021年の弥生賞ディープインパクト記念では、1番人気に支持されていたダノンザキッド、NHKマイルカップを制することになるシュネルマイスターらを破って勝利。タイトルホルダー自身の重賞初制覇、そしてメーヴェも2頭目の仔にしてようやく初の産駒の重賞制覇を果たした。その後も皐月賞ではエフフォーリアの2着となるなど活躍し、同年の菊花賞ではスタートからハナを切り、見事に逃げ切り勝ちを収めGⅠ初制覇を果たした[注 1]。その後、有馬記念ではメロディーレーンと初共演。タイトルホルダーは5着であった。2022年は日経賞1着を挟み、天皇賞・春に再びメロディーレーンともに出走。ここでも逃げの戦法を取り、圧倒的1番人気のディープボンドに7馬身も差をつけ圧勝した。
このように産駒は長距離を中心に活躍を見せるものの、メーヴェ自身は受胎率が圧倒的に低い状況が続き、ドゥラメンテをつけた翌年は圧倒的な受胎率を誇るゴールドシップを種付けしたものの不受胎。更に翌年はヴィクトワールピサを付けるもまた不受胎となる。
2020年に至っては、キズナを種付けして不受胎であったため、その翌月にドゥラメンテを種付けするも不受胎。2021年もドゥラメンテを種付けしたものの不受胎であり、同月のうちにキズナを種付けしている。
この受胎率の悪さゆえに、2019年に死亡したディープインパクトとの仔の誕生、タイトルホルダーの活躍直後に死亡したドゥラメンテとの仔(タイトルホルダーの全兄弟となる)の誕生は叶わなくなってしまっている。
2022年にはエピファネイアを付けたが不受胎で、ベンバトルを付け直し[7]、5年ぶりの受胎となった。
2023年、5年ぶりに牝馬の子供が誕生した。岡田牧雄代表は「ファンの方々からのお守りやお手紙のおかげで、元気な仔が生まれました」とコメントした[8]。
競走成績
[編集]以下の内容は、netkeiba.com[9]およびJBISサーチ[10]に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 馬場・距離 (馬場状態) |
頭数 | 枠番 | 馬番 | オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2010. 8.14 | 札幌 | 2歳新馬 | 芝1500m(良) | 12 | 1 | 1 | 4.7(3人) | 5着 | 1:30.8 (36.0) | 1.3 | 横山典弘 | 54 | グランプリボス | 462 | |
8.29 | 札幌 | 2歳未勝利 | 芝1200m(良) | 10 | 7 | 7 | 6.6(2人) | 3着 | 1:10.6 (35.3) | 0.3 | 横山典弘 | 54 | テイエムジョニクロ | 454 | |
11.28 | 東京 | 2歳未勝利 | 芝1400m(良) | 18 | 2 | 4 | 14.7(5人) | 2着 | 1:22.5 (34.1) | 0.2 | C.ルメール | 54 | ダンシングロイヤル | 448 | |
12.19 | 中山 | 2歳未勝利 | 芝1600m(良) | 16 | 1 | 1 | 2.6(1人) | 5着 | 1:38.4 (35.5) | 0.3 | C.ルメール | 54 | ドラゴンライズ | 452 | |
12.25 | 中山 | 2歳未勝利 | 芝1200m(良) | 16 | 7 | 13 | 3.7(2人) | 2着 | 1:10.9 (35.0) | 0.0 | 蛯名正義 | 54 | アポロフィオリーナ | 452 | |
2011. 1.15 | 中山 | 3歳未勝利 | ダ1200m(良) | 16 | 8 | 15 | 3.9(2人) | 1着 | 1:12.6 (37.8) | -0.1 | 蛯名正義 | 54 | (フェアユース) | 454 | |
2.12 | 東京 | クイーンC | GIII | 芝1600m(稍) | 16 | 1 | 2 | 86.4 (10人) | 5着 | 1:35.7 (34.4) | 0.3 | 蛯名正義 | 54 | ホエールキャプチャ | 450 |
3. 5 | 阪神 | チューリップ賞 | GIII | 芝1600m(良) | 12 | 8 | 12 | 41.7(5人) | 7着 | 1:35.8 (35.1) | 1.3 | 四位洋文 | 54 | レーヴディソール | 446 |
5.28 | 新潟 | カルミア賞 | 500万下 | 芝1400m(良) | 16 | 2 | 3 | 3.1(1人) | 10着 | 1:24.5 (36.2) | 1.9 | 丸山元気 | 54 | サトノフローラ | 454 |
6.11 | 東京 | 3歳500万下 | 芝1800m(重) | 11 | 8 | 11 | 7.5(5人) | 1着 | 1:49.8 (34.9) | -0.0 | 三浦皇成 | 54 | (プレミアムテースト) | 450 | |
9.10 | 中山 | 紫苑S | OP | 芝2000m(良) | 15 | 3 | 4 | 38.0(10人) | 4着 | 1:58.6 (34.7) | 0.4 | 木幡初広 | 54 | カルマート | 454 |
10.15 | 京都 | 堀川特別 | 1000万下 | 芝1800m(稍) | 16 | 1 | 1 | 13.0(5人) | 5着 | 1:46.7 (34.5) | 0.7 | 藤田伸二 | 53 | ビッグスマイル | 456 |
11. 6 | 東京 | 立冬特別 | 1000万下 | 芝1800m(良) | 9 | 8 | 8 | 2.6(1人) | 1着 | 1:47.3 (34.3) | -0.1 | 三浦皇成 | 52 | (ヤマカツゴールド) | 456 |
11.27 | 東京 | 東京ウェルカムプレミアム | 1600万下 | 芝2000m(良) | 16 | 7 | 14 | 23.7(9人) | 4着 | 2:00.4 (34.0) | 0.9 | 丸山元気 | 53 | フェデラリスト | 452 |
2012. 3.25 | 中山 | 常総S | 1600万下 | 芝2000m(稍) | 9 | 3 | 3 | 13.4(6人) | 8着 | 2:03.9 (34.5) | 0.4 | 三浦皇成 | 53 | タムロスカイ | 464 |
4.21 | 福島 | 福島牝馬S | GIII | 芝1800m(良) | 16 | 5 | 9 | 38.7(10人) | 9着 | 1:46.8 (35.3) | 0.8 | 宮崎北斗 | 53 | オールザットジャズ | 458 |
5.20 | 東京 | フリーウェイS | 1600万下 | 芝1400m(良) | 17 | 8 | 17 | 16.5(7人) | 3着 | 1:20.4 (33.9) | 0.8 | 浜中俊 | 53 | ミトラ | 458 |
6. 9 | 東京 | 江の島特別 | 1000万下 | 芝1600m(重) | 9 | 5 | 5 | 11.8(5人) | 4着 | 1:38.8 (36.0) | 1.0 | 北村宏司 | 55 | ルルーシュ | 456 |
8.12 | 札幌 | マレーシアC | 1000万下 | 芝2000m(良) | 9 | 6 | 6 | 5.8(3人) | 1着 | 2:00.3 (34.9) | -0.1 | 宮崎北斗 | 55 | (ホッコーガンバ) | 448 |
9. 2 | 札幌 | 丹頂S | OP | 芝2600m(良) | 14 | 2 | 2 | 10.6(6人) | 1着 | 2:40.6 (35.7) | -0.0 | 宮崎北斗 | 50 | (コスモロビン) | 456 |
10.13 | 東京 | 府中牝馬S | GII | 芝1800m(良) | 17 | 5 | 10 | 51.4(12人) | 13着 | 1:46.3 (33.6) | 0.8 | 宮崎北斗 | 54 | マイネイサベル | 460 |
11. 4 | 東京 | アルゼンチン共和国杯 | GII | 芝2500m(良) | 15 | 8 | 14 | 71.6(11人) | 9着 | 2:31.3 (35.2) | 1.4 | 宮崎北斗 | 52 | ルルーシュ | 458 |
- 競走名のCはカップ、Sはステークスの略。
繁殖成績
[編集]馬名 | 誕生年 | 性 | 毛色 | 父 | 厩舎 | 馬主 | 戦績 | 出典 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(2014年 不受胎) | ヴィクトワールピサ | ||||||||
初仔 | メロディーレーン | 2016年 | 牝 | 鹿毛 | オルフェーヴル | 栗東・森田直行 | 岡田牧雄 | 36戦4勝(繁殖) | [11] |
(死産) | 2017年 | ディープインパクト | |||||||
2番仔 | タイトルホルダー | 2018年 | 牡 | 鹿毛 | ドゥラメンテ | 美浦・栗田徹 | 山田弘 | 19戦7勝(種牡馬) | [12] |
(2018年 不受胎) | ゴールドシップ | ||||||||
(2019年 不受胎) | ヴィクトワールピサ | ||||||||
(2020年 不受胎) | キズナ | ||||||||
ドゥラメンテ | |||||||||
(2021年 不受胎) | |||||||||
キズナ | |||||||||
(2022年 不受胎) | エピファネイア | ||||||||
3番仔 | (メーヴェの2023) | 2023年 | 牝 | ベンバトル | (デビュー前) | [13] |
- 2024年12月18日現在
血統表
[編集]メーヴェの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サドラーズウェルズ系 |
[§ 2] | ||
父 Motivator 2002 鹿毛 |
父の父 Montjeu1996 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer | |
Fairy Bridge | ||||
Floripedes | Top Ville | |||
Toute Cy | ||||
父の母 Out West1994 黒鹿毛 |
Gone West | Mr. Prospector | ||
Secrettame | ||||
Chellingoua | Sharpen Up | |||
Uncommitted | ||||
母 Top Table 1989 鹿毛 |
Shirley Heights 1975 鹿毛 |
Mill Reef | Never Bend | |
Milan Mill | ||||
Hardiemma | *ハーディカヌート | |||
Grand Cross | ||||
母の母 Lora's Guest1984 栗毛 |
Be My Guest | Northern Dancer | ||
What a Treat | ||||
Lora | Lorenzaccio | |||
Courtessa | ||||
母系(F-No.) | 9号族(FN:9-c) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer S4×M4 = 12.50% | [§ 4] | ||
出典 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “メーヴェ(GB)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2023年4月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “競走馬情報 (外) メーヴェ Mowen(GB)”. jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2023年4月3日閲覧。
- ^ “メーヴェ(GB)”. インターネット血統書データベースサービス. 公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル. 2023年4月3日閲覧。
- ^ “Motivator | Race Record & Form | Racing Post” (英語). racingpost.com. Racing Post. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “Top Table I | Race Record & Form | Racing Post” (英語). racingpost.com. Racing Post. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “【丹頂S】(札幌)〜軽量メーヴェ 僅かに凌いで5勝目”. ラジオNIKKEI. 株式会社日経ラジオ社 (2012年9月2日). 2022年7月17日閲覧。
- ^ “【天皇賞・春】タイトルホルダーの馬主山田弘氏「次は状態を見て宝塚記念が目標」”. サンスポZBAT!. 株式会社産経デジタル (2022年5月2日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ “タイトルホルダーの母メーヴェに5年ぶりの産駒誕生 父ベンバトルの牝馬 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ (2023年3月30日). 2023年4月3日閲覧。
- ^ “メーヴェの競走成績 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2022年5月2日閲覧。
- ^ “競走成績:全競走成績|メーヴェ(GB)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年5月2日閲覧。
- ^ “メロディーレーン”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会 (2022年6月19日). 2022年6月26日閲覧。
- ^ “タイトルホルダー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会 (2022年6月19日). 2022年6月26日閲覧。
- ^ “繁殖牝馬情報:牝系情報|メーヴェ(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2023年4月2日閲覧。
- ^ a b c “血統情報:5代血統表|メーヴェ(GB)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年5月1日閲覧。
- ^ a b c d “メーヴェの血統表 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2022年7月17日閲覧。
- ^ “メーヴェ - Mowen(GB) - 競走馬データベース”. 競馬ラボ. 株式会社do Innovation. 2022年7月17日閲覧。
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post