モールコームステークス
モールコームステークス Molecomb Stakes[1] | |
---|---|
開催国 | イギリス |
競馬場 | グッドウッド競馬場 |
創設 | 1829年 |
2014年の情報 | |
距離 |
芝直線5ハロン (約1006メートル) |
格付け | G3[2] |
賞金 | 賞金総額5万ポンド[2] |
出走条件 | 2歳 |
負担重量 |
9ストーン(約57.2kg)
|
モールコームステークス(英: Molecomb Stakes)はイギリスのグッドウッド競馬場で行われる2歳馬の重賞競走。5ハロンのスプリント戦で2013年の格付けはG3。毎年7月下旬から8月上旬に行なわれる。
概要
[編集]モールコームステークスは、2歳馬の最短距離の重賞として定着している。グッドウッド競馬場で夏に開かれるグロリアスグッドウッド開催(7月下旬か8月上旬)の初日の競走で、近年は、9月にドンカスター競馬場で開催されるフライングチルダーズステークス(5ハロン)のための前哨戦の性格を持っている[3]。
モールコームステークスは1829年に創設され、1931年までの約100年間、すべての2歳馬(牡馬・騸馬・牝馬)の出走が可能だった。1932年から1980年までの約50年間は牝馬限定で行われた。1981年以降は再び牡馬・騸馬の出走が可能になっている。
1932年以前の優勝馬の中には、イギリス三冠馬のガルティーモア(en:Galtee More)、三冠牝馬のラフレシ(La Fleche)や、セントブレース(St. Blaise)、テトラテマ(Tetratema)、ムムタズマハル(Mumtaz Mahal)などの繁殖面で大成功をおさめた種牡馬・牝馬がいる。
競走名の由来
[編集]モールコームステークスの名称は、グッドウッドにあるカントリーハウスの一つ、モールコーム(Molecomb)からとられている。モールコームは、第3代リッチモンド公爵が、妹のレディ・サラのために建築したものである。
彼女は幼い頃から宮廷に上がり、やがて15歳でジョージ3世の王妃候補になった。しかし、結局1762年に17歳で第6代バンベリー準男爵と結婚した。
バンベリー准男爵は競馬の愛好者で、後にイギリスダービーの共同創設者の一人となり、初代優勝馬のダイオメドや二冠牝馬エレノアなどのオーナーとなる人物である[注 1]。
しかし、結婚の後に夫婦は不和になり、サラは1769年に不義の子を出産した。サラの不貞行為を理由にした離婚は1776年にようやく議会の承認を得た。サラの兄のリッチモンド公爵は、独身となった妹のために、1777年にモールコームを建てた[4]。その後、サラは再婚し、8人の子をもうけている。
日本との関連
[編集]日本との関連では、第一次世界大戦後に優勝馬が4頭たて続けに輸入されており、いずれも種牡馬として大成功している。なかでもシアンモアとダイオライトはいずれも日本でチャンピオンサイヤーとなって、第二次世界大戦前後の大種牡馬として、シアンモア記念、ダイオライト記念という重賞競走に名を残している。また、レヴューオーダーも統計によっては1940年の日本のチャンピオンサイヤーとなっている。プライオリーパークも現在の菊花賞や皐月賞に相当する競走の優勝馬を輩出した。
歴代勝馬
[編集]1829 - 1931年
[編集]- 1829: Convert
- 1830: ※牝馬(父Emilius)
- 1831:
- 1832:
- 1833: Defensive
- 1834: Waresti
- 1835: Elis
- 1836: Defender
- 1837: Grey Momus
- 1838: Wapiti
- 1839: Crucifix
- 1840: Decision
- 1841: Barrier
- 1842: The Caster
- 1843: The Ugly Buck
- 1844: Nutbourne
- 1845: Sting
- 1846: Planet
- 1847: Glendower
- 1848: Mr Milner
- 1849: William the Conqueror
- 1850: Teddington
- 1851: Glenluce
- 1852: Elmsthorpe
- 1853: Andover
- 1854: Polydore
- 1855: Enchanter
- 1856: Lambourn
- 1857: The Lord of Lorn
- 1858: Merryman
- 1859: Buccaneer
- 1860: Diophantus
- 1861: Ace of Clubs
- 1862: ※牡馬(父Lord of the Isles)
- 1863: Fille de l'Air
- 1864: Koenig
- 1865: The Student
- 1866: Marksman
- 1867: Banditto
- 1868: Belladrum
- 1869: Mantilla
- 1870: General
- 1871: Vanderdecken
- 1872: Somerset
- 1873: Packington
- 1874: Craig Millar
- 1875: Red Cross Knight
- 1876: Shillelagh
- 1877: Red Hazard
- 1878: ※牡馬(父Cambuscan)
- 1879: Brotherhood
- 1880: Paw Paw
- 1881: Adrastus
- 1882: St Blaise
- 1883: La Trappe
- 1884: Luminary
- 1885: The Devil to Pay
- 1886: Freedom
- 1887: Friar's Balsam
- 1888: Seclusion
- 1889: Le Nord
- 1890: Cleator
- 1891: La Fleche
- 1892: Harbinger
- 1893: La Nievre
- 1894: Bentworth
- 1895: Rampion
- 1896: Galtee More
- 1897: Royal Footstep
- 1898: Vara
- 1899: O'Donovan Rossa
- 1900: Princess Melton
- 1901: ※牝馬(父Melton)
- 1902: Quintessence
- 1903: Islesman
- 1904: Vedas
- 1905: Colonia
- 1906: My Pet
- 1907: Sea King
- 1908: Perdiccas
- 1909: Tressady
- 1910: Beaurepaire
- 1911: White Star
- 1912: Rock Flint
- 1913: Black Jester
- 1914: Redfern
- 1915: 中止-第一次世界大戦
- 1916: 中止-第一次世界大戦
- 1917: 中止-第一次世界大戦
- 1918: 中止-第一次世界大戦
- 1919: Tetratema
- 1920: Trash
- 1921: Lembach
- 1922: Town Guard
- 1923: Mumtaz Mahal
- 1924: *プライオリーパーク
- 1925: *レヴューオーダー
- 1926: *シアンモア
- 1927: Black Watch
- 1928: Belle Mere
- 1929: *ダイオライト
- 1930: Jacopo
- 1931: Safe Return
1932 - 1980年(牝馬限定)
[編集]- 1949: Diableretta
- 1950: Crawley Beauty
- 1951: Tayeh
- 1952: Tessa Gillian
- 1953: Urshalim
- 1954: Brave Venture
- 1955: Palariva
- 1956: Pharsalia
- 1957: Abelia
- 1958: Krakenwake
- 1959: Queensberry
- 1960: Cynara
- 1961: La Tendresse
- 1962: Royal Indiscretion
- 1963: Crimea II
- 1964: Regal Pink
- 1965: Reet Lass
- 1966: Smooth
- 1967: Lowna
- 1968: Flying Legs
- 1969: Mange Tout
- 1970: Cawston's Pride
- 1971: Pert Lassie
- 1972: Miss Slip
- 1973: Bitty Girl
- 1974: Lady Rowley
- 1975: Hayloft
- 1976: Be Easy
- 1977: Hatta
- 1978: Greenland Park
- 1979: Keep Off
- 1980: Marwell
- ^ ※注:ニューマーケット競馬場で代替開催
1981年 - 現在
[編集]- 1981: Prowess Prince
- 1982: Kafu
- 1983: Precocious
- 1984: Absent Chimes
- 1985: Hotbee
- 1986: Gemini Fire
- 1987: Classic Ruler
- 1988: Almost Blue
- 1989: Haunting Beauty
- 1990: Poets Cove
- 1991: Sahara Star
- 1992: Millyant
- 1993: Risky
- 1994: Hoh Magic
- 1995: Almaty
- 1996: Carmine Lake
- 1997: Lady Alexander
- 1998: Inya Lake
- 1999: Misty Miss
- 2000: Misty Eyed
- 2001: Whitbarrow
- 2002: Wunders Dream
- 2003: Majestic Missile
- 2004: Tournedos
- 2005: Strike Up the Band
- 2006: Enticing
- 2007: Fleeting Spirit
- 2008: Finjaan
- 2009: Monsieur Chevalier
- 2010: Zebedee
- 2011: Requinto
- 2012: Bungle Inthejungle
- 2013: Brown Sugar
- 2014: Cotai Glory[5]
- 2015: Kachy[6]
- 2016: Yalta[7]
- 2017: Havana Grey[8]
- 2018: Rumble Inthejungle[9]
- 2019: Liberty Beach[10]
- 2020: Steel Bull
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 2014 International Cataloguing Standards Book2014年11月19日閲覧。
- ^ a b IFHA 2014Bet365 Molecomb Stakes 2014年11月19日閲覧。
- ^ HRUK モールコームステークスの歴史2013年12月11日閲覧。
- ^ 英国の建築 モールコーム2013年12月11日閲覧。
- ^ 2014年レース結果 - racingpost、2014年7月30日閲覧
- ^ 2015年レース結果 - racingpost、2015年7月30日閲覧
- ^ 2016年レース結果 - racingpost、2016年7月29日閲覧
- ^ 2017年レース結果 - racingpost、2017年8月3日閲覧
- ^ 2018年結果 - racingpost、2018年8月2日閲覧
- ^ “2019年レース結果”. racingpost (2019年7月31日). 2019年8月1日閲覧。
- ^ “2022年モールコームステークス”. レーシングポスト (2022年7月27日). 2022年7月29日閲覧。
- ^ 2023年モールコームステークスレーシングポスト、2023年8月2日閲覧
- ^ 2024年モールコームステークスレーシングポスト、2024年7月31日配信・閲覧
参考文献
[編集]- IFHA格付・モールコームステークス(2013年)
- HRUK モールコームステークスの歴史2013年12月4日閲覧。
- ギャロップジーガー モールコームステークス歴代優勝馬2013年12月4日閲覧。
関連項目
[編集]イギリス・2歳主要5ハロン戦
[編集]- ナンソープステークス - 2歳上のG1戦。
- フライングチルダーズステークス - G2戦。かつてはG1戦。
- ノーフォークステークス - G2
- コーンウォリスステークス - G3
- ブロックレスビーステークス - シーズン最初の2歳戦。3月に行なわれる。
- ウェザビースーパースプリント - 2歳戦としてはデューハーストステークスに次ぐ賞金25万ポンドのスプリント戦。ミドルパークステークスやフューチュリティトロフィーよりも高賞金である。公開セリで売買された2歳馬にしか出走資格が無いためグループ制上はノングレードとなっている。