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ヨーロッパライオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヨーロッパライオン
地質時代
不明 - 西暦100年
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
階級なし : (未整理[1]北方真獣類 Boreoeutheria
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
: ネコ目 Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ネコ科 Felidae
亜科 : ヒョウ亜科 Pantherinae
: ヒョウ属 Panthera
: ライオン P. leo
亜種 : ヨーロッパライオン
P. l. europaea
学名
Panthera leo europaea
シノニム

Panthera leo tartarica

和名
ヨーロッパライオン
英名
European lion

ヨーロッパライオンPanthera leo europaea)は、ヨーロッパ大陸南部のほぼ全域にかつて生息していた、ライオンの1絶滅亜種。西暦100年ごろまでは生存が確認されるものの、その後、地上から姿を消した。

系統は一般的に persica 亜種(P. l. persicaインドライオン)の分派(同一種)と考えられているが、別系統の europaea 亜種(P. l. europaea、ヨーロッパライオン)であるとする説もある(本項の体裁はこの説に準拠している)。あるいはまた、spelaea 亜種(P. l. spelaeaホラアナライオン)、もしくは、fossilis 亜種(P. l. fossilisヨーロッパホラアナライオン)の、最後の生き残りではないかとも考えられている。 [2]

分布

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先史時代および有史時代の半ばにおいて、ヨーロッパライオンは、西はイベリア半島から、南フランスイタリア半島バルカン半島を経てギリシャ北部に至る、ヨーロッパ大陸南部のほぼ全域(南ヨーロッパ全域および西ヨーロッパ南西部〈南フランス〉)に分布していたことが知られている[3]。当時これらの地域では、ヘラジカなどのシカ科、および、オーロックスヨーロッパバイソンなどといったウシ科を始めとする、多様な有蹄動物を含む大型と中型の草食獣が数多く生息したと見られ、本種はそれらを捕食する大型肉食獣のニッチ(生態的地位)を担ってヨーロッパ側の地中海沿岸地域および温暖な森林地帯に暮らしていたと考えられる。

絶滅

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絶滅は有史時代に入ってからのことではあるが、このライオンの亜種について後世に伝えられていることは少ない。

まず、古代ギリシアアリストテレスヘロドトスが著したところによれば、本種と思われるライオンはバルカン半島で紀元前1000年ごろ(cf.)に発見されたという。また、ペルシアクセルクセス1世ペルシア戦争マケドニアを進軍しているさなかの紀元前480年(cf.)に数頭のライオンと遭遇したとしている[4][5]。イタリアにおいては本種は紀元前20年より前に絶滅したらしく、西ヨーロッパ南部および南ヨーロッパ西部でも紀元1世紀の間には絶滅したと思われる[6]。そうして紀元70年ごろにもなると、ヨーロッパライオンの生息域は、ギリシア北部のハリアクモン川メスタ川に挟まれた地域に限られ、最終的には100年ごろに絶滅したと考えられる[6]

その後、ヨーロッパ大陸におけるライオンは、アジアライオンの系統が10世紀までコーカサス地方に生き残るのみとなった。

ヨーロッパライオンは過剰な狩猟ライオン狩りはギリシア人やローマ人にとって一般的なものであった)、生息地の開発、そして野犬との競合のせいで絶滅したとされる。バーバリライオン、アジアライオンとともにヨーロッパライオンは古代ローマ円形闘技場で使われ、そこで闘獣士en剣闘士の一種)やカスピトラクマ、オーロックスなどといった他の猛獣と闘わされた。ローマ人にとって、北アフリカや中東のライオンに比べて本種は生息地が近隣にあって都合良く、この入手の容易さが早期の絶滅へとつながった。ヨーロッパライオンが複数因子によって絶滅への道を歩んでいたころ、ローマ人は闘技場で闘わせる目的で北アフリカと中東からライオンの輸入を始めている。

なお、ヨーロッパライオンの絶滅に至る詳細な経緯は不明である。

近縁種

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基本的表記は左から順に、学名、和名および和訳名、英語名を示す。 は「絶滅」の意。

脚注

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  1. ^ 分類学上、未整理の階級。階級未定の分類群(タクソン)
  2. ^ J., Burger; Rosendahl W, Loreille O, Hemmer H, Eriksson T, Götherström A, Hiller J, Collins MJ, Wess T, Alt KW. (2004). “Molecular phylogeny of the extinct cave lion Panthera leo spelaea”. Mol. Phylogenet. Evol. (30): pp. 841–849. . Online pdf Archived 2006年10月13日, at the Wayback Machine. ※文章構成に編集あり。
  3. ^ (ロシア語) http://www.ecoinform.ru/public/release/?id=14682
  4. ^ Asiatic Lion Information Centre. 2001 Past and present distribution of the lion in North Africa and Southwest Asia. Downloaded 1 June 2006 from アーカイブされたコピー”. 2009年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月6日閲覧。
  5. ^ Guggisberg, C.A.W. (1961). Simba: the life of the lion. Cape Town: Howard Timmins . 。
  6. ^ a b Lion Coins
  7. ^ 正式な和名は未定。ここでは英語名を意訳したに過ぎない。とは言え、これら2つの名称はすでに散見される。

関連項目

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