リズム&ヒューズ・スタジオ
種類 | 非公開企業 |
---|---|
本社所在地 |
アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロサンゼルス エルセグンド |
設立 | 1987年 |
業種 |
視覚効果 CGIアニメーション |
代表者 | ジョン・ヒューズ(社長) |
従業員数 | 201-500名[1] |
関係する人物 | ビル・ウェステンホファー(同社のVFXアーティスト) |
外部リンク | http://www.rhythm.com |
リズム&ヒューズ・スタジオ(Rhythm & Hues Studios)は、アメリカ合衆国のVFX制作会社である。アメリカ国内のVFX会社の中では最も古参の部類であり[2]、設立当時から可能な限り自社開発ツールによるVFX制作を行っている[2]。また、社長のジョン・ヒューズは同社を立ち上げた創業メンバーのうちの一人でもある。
概要
[編集]映像作家ロバート・エイブルが設立したプロダクション「ロバート・エイブル&アソシエイツ」の社員であったキース・ゴールドファーブ、ポーリーン・ツォ、ジョン・ヒューズ、チャールズ・ギブソン、フランク・ワッツ、クリフ・ブールら6人によって1987年に設立された[2]。当初は主にテレビCMやテーマパーク映像を手掛けていたが、その頃から高品質な映像を制作する技術を武器にしていた[2]。特に1993年にコカ・コーラ社の広告キャンペーンとして展開された白熊の登場するCMシリーズでは、当時まだ珍しかったリアルな白熊のCGで注目を集めた[2][3]。以来、『マウス・ハント』(1997年)、『スクービー・ドゥー』(2002年)、『ガーフィールド』(2004年)、『アルビン/歌うシマリス3兄弟』(2007年)などといった動物が主人公の映画作品で優れたVFXを世に贈り出し、動物やアニメーションに強い会社として認知されるようになった[2]。一方で、ハリウッド作品での大規模なVFXも手掛けており、これまでにアカデミー視覚効果賞を3度受賞している。また、勤続歴の長い社員が比較的多いことでも知られている[2]。
社名は音楽のリズム・アンド・ブルースの「ブルース」をもじり、ジョン・ヒューズの姓名「Hughes」(ヒューズ)と同音であり、別の単語で色相を意味する「Hues」(ヒューズ)に変更したもの。
かつてはアメリカ国外に、バンクーバー(カナダ)、ハイデラバードおよびムンバイ(インド)、サイバージャヤ(マレーシア)、高雄(台湾)の計5つの制作拠点を構えていたが[2]、2020年現在、本社を除くすべてのオフィスが閉鎖されている[4]。
歴史
[編集]- 1993年:コカ・コーラ社が展開した広告キャンペーンの一環として放送されたCM「白熊シリーズ」での仕事で実績を得る。
- 1998年:PlayStation用のアクションアドベンチャーゲーム、『Eggs of Steel: Charlie's Eggcellent Adventure(邦題:ハローチャーリー!! )』を開発。
- 2001年:インド・ムンバイに初の海外オフィスを設立。
- 2007年:『ライラの冒険/黄金の羅針盤』でのVFXにより、2度目のアカデミー視覚効果賞を受賞。同年、インド・ハイデラバードに制作オフィスを設立。
- 2009年:マレーシア・サイバージャヤに制作オフィスを設立。
- 2012年:台湾の電気通信企業・中華電信およびパソコンメーカー大手クアンタ・コンピュータとの提携によりクラウドコンピューティング施設CAVE(Cloud Animation and Visual Effects)を設立する協定に調印[8][9]。同年4月25日に創立25周年を迎える[2]。
- 2013年:経営状態の悪化に加え、インドの大手VFX制作会社プライム・フォーカス社から2000万ドルの融資を得るために行なっていた交渉が決裂。同年2月、連邦倒産法第11章により倒産[10]。その後、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』でのVFXにより、第85回アカデミー賞において3度目のアカデミー視覚効果賞を含む11部門で受賞。3月、売却先を決定するオークションにて、同じくロサンゼルスに本社を置くプラナ・スタジオ社が1780万ドルで落札[11][12]。同社の関連会社により買収される[13]。
ドキュメンタリー『Life After Pi』
[編集]2014年2月25日、リズム&ヒューズ・スタジオのスタッフ2人が自主制作のドキュメンタリー動画『Life After Pi』をYouTubeにて公開した。この30分の動画ではヒューズ社長も含むスタッフらの証言を交えながら、同社が設立してから倒産するまでの経緯を辿り、同時にアメリカのVFX業界が抱える問題を指摘するという内容になっている[14][15]。
参加作品
[編集]※インターネット・ムービー・データベースの情報より参照[16]。
映画
[編集]- 1991年~1999年まで
- 1991年『イントルーダー 怒りの翼』 Flight of the Intruder
- 1992年『ル・ビジョナリアム(アトラクション)』
- 1995年『ウォーターワールド』 Waterworld
- 1995年『ベイブ』(アカデミー視覚効果賞受賞)Babe
- 1996年『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』 The Nutty Professor
- 1997年『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』 Batman & Robin
- 1997年『スピード2』Speed 2: Cruise Control
- 1997年『スポーン』 Spawn
- 1997年『マウス・ハント』 Mousehunt
- 1998年『ベイブ/都会へ行く』 Babe: Pig in the City
- 1999年『ノイズ』 The Astronaut's Wife
- 1999年『エンド・オブ・デイズ』 End of Days
- 1999年『スチュアート・リトル』 Stuart Little
- 1999年『グリーンマイル』 The Green Mile
- 1999年『アンナと王様』 Anna and the King
- 1999年『ファンタジア2000』 Fantasia/2000
- 2000年代
- 2000年『フリントストーン2/ビバ・ロック・ベガス』 The Flintstones in Viva Rock Vegas
- 2000年『バトルフィールド・アース』 Battlefield Earth: A Saga of the Year 3000
- 2000年『X-メン』 X-Men
- 2000年『悪いことしましョ!』 Bedazzled
- 2000年『シックス・デイ』 The 6th Day
- 2000年『グリンチ』 How the Grinch Stole Christmas
- 2000年『スパイダー』 Along Came a Spider
- 2001年『キャッツ&ドッグス』 Cats & Dogs
- 2001年『PLANET OF THE APES/猿の惑星』 Planet of the Apes
- 2001年『ハリー・ポッターと賢者の石』 Harry Potter and the Philosopher's Stone
- 2001年『エネミーライン』 Behind Enemy Lines
- 2001年『ロード・オブ・ザ・リング』 The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring
- 2002年『トータル・フィアーズ』 The Sum of All Fears
- 2002年『スクービー・ドゥー』 Scooby-Doo
- 2002年『メン・イン・ブラック2』 Men in Black ll
- 2002年『スチュアート・リトル2』 Stuart Little 2
- 2002年『ザ・リング』 The Ring
- 2002年『ソラリス』 Solaris
- 2003年『デアデビル』 Daredevil
- 2003年『X-MEN2』 X2
- 2003年『ディボース・ショウ』 Intolerable Cruelty
- 2003年『ハットしてキャット』 The Cat in the Hat
- 2003年『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』 The Lord of the Rings: The Return of the King
- 2004年『スクービー・ドゥー2 モンスター パニック』 Scooby-Doo 2: Monsters Unleashed
- 2004年『リディック』 The Chronicles of Riddick
- 2004年『ガーフィールド』 Garfield
- 2004年『80デイズ』 Around the World in 80 Days
- 2004年『フライト・オブ・フェニックス』 Flight of the Phoenix
- 2005年『エレクトラ』 Elektra
- 2005年『ザ・リング2』 The Ring Two
- 2005年『ザ・インタープリター』 The Interpreter
- 2005年『ロンゲスト・ヤード』 The Longest Yard
- 2006年『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(アカデミー視覚効果賞ノミネート) The Chronicles of Narnia: The Lion, The Witch, and the Wardlobe
- 2006年『X-MEN:ファイナル ディシジョン』 X-Men: The Last Stand
- 2006年『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』 The Fast and the Furious: Tokyo Drift
- 2006年『スーパーマン リターンズ』 Superman Returns
- 2006年『ハッピー フィート』 Happy Feet
- 2006年『シャーロットのおくりもの』 Charlotte's Web
- 2006年『ナイト ミュージアム』 Night at the Museum
- 2006年『エバン・オールマイティ』 Evan Almighty
- 2007年『キングダム 見えざる敵』 The Kingdom
- 2007年『光の六つのしるし』 The Seeker: The Dark is Rising
- 2007年『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(アカデミー視覚効果賞受賞)The Golden Compass
- 2007年『アルビン/歌うシマリス3兄弟』 Alvin and the Chipmunks
- 2008年『インクレディブル・ハルク (映画)』 The Incredible Hulk
- 2008年『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』 The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor
- 2009年『ワイルド・スピード MAX』 Fast & Furious
- 2009年『消されたヘッドライン』 State of Play
- 2009年『屋根裏のエイリアン』 Aliens in the Attic
- 2009年『ナイトミュージアム2』 Night at the Museum: Battle of the Smithsonian
- 2009年『マーシャル博士の恐竜ランド』 Land of the Lost
- 2009年『きみがぼくを見つけた日』 The Time Traveler's Wife
- 2009年『ダレン・シャン』 Cirque du Freak: The Vampire's Assistant
- 2009年『アルビン2 シマリス3兄弟 vs. 3姉妹』 Alvin and the Chipmunks: The Squeakquel
- 2010年~現在
- 2010年『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』 Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief
- 2010年『ウルフマン』 The Wolfman
- 2010年『サーフィン ドッグ』 Marmaduke
- 2010年『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』 Hot Tub Time Machine
- 2010年『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』 The A-Team
- 2010年『ナイト&デイ』 Knight and Day
- 2010年『きみがくれた未来』 Charlie St. Cloud
- 2011年『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』 X-Men: First Class
- 2011年『赤ずきん』 Red Riding Hood
- 2011年『ヨギ & ブーブー わんぱく大作戦』 Yogi Bear
- 2011年『マネーボール』 Moneyball
- 2011年『イースターラビットのキャンディ工場』 Hop
- 2011年『空飛ぶペンギン』 Mr. Popper's Penguins
- 2011年『アルビン3 シマリスたちの大冒険』 Alvin and the Chipmunks: Chipwrecked
- 2012年『クロニクル』 Chronicle
- 2012年『だれもがクジラを愛してる。』 Big Miracle
- 2012年『キャビン』 The Cabin in the Woods
- 2012年『スノーホワイト』 Snow White & the Huntsman
- 2012年『ハンガー・ゲーム』 The Hunger Games
- 2012年『ボーン・レガシー』 The Bourne Legacy
- 2012年『レッド・ドーン』 Red Dawn
- 2012年『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(アカデミー視覚効果賞受賞)Life of Pi
- 2012年『ジャンゴ 繋がれざる者』 Django Unchained
- 2013年『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』 R.I.P.D.
- 2013年『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々/魔の海』 Percy Jackson: Sea of Monsters
- 2013年『マチェーテ・キルズ』 Machete Kills
- 2013年『LIFE!』 The Secret Life of Walter Mitty
- 2014年『ニューヨーク冬物語』 Winter's Tale
- 2014年『300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜』 300: Rise of an Empire
- 2014年『X-MEN:フューチャー&パスト』 X-Men: Days of Future Past
- 2014年『タミー/Tammy』 Tammy
- 2014年『イントゥ・ザ・ストーム』 Into the Storm
- 2014年『セブンス・サン 魔使いの弟子』 Seventh Son
- 2015年『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』 The SpongeBob Movie: Sponge Out of Water
- 2018年『スレンダー・マン 奴を見たら、終わり』 Slender Man
- 2019年『ヘルボーイ』 Hellboy
- 2019年『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』 Jexi
- 2020年『デスペラードス -崖っぷち女子旅-』 Desperados
- 2021年『キングスマン:ファースト・エージェント』 The King's Man
テレビドラマ
[編集]- 2014年 - ザ・ラストシップ(シーズン1) The Last Ship
- 2015年~2017年 - ゲーム・オブ・スローンズ(シーズン5~7) Game of Thrones
- 2015年 - フィアー・ザ・ウォーキング・デッド Fear the Walking Dead
- 2017年 - ザ・ミスト The Mist
- 2018年 - ウエストワールド(シーズン2) Westworld
- 2018年 - ロスト・イン・スペース(シーズン1)[17] Lost in Space
- 2018年 - X-ファイル (シーズン11) The X-Files
- 2019年 - ザ・ボーイズ(シーズン1より) The Boys
- 2019年 - カーニバル・ロウ Carnival Row
脚注
[編集]- ^ Rhythm & HuesLinkedInページ
- ^ a b c d e f g h i j k l “【プロダクション】米国VFXプロダクション大手 リズム&ヒューズ社が創立25周年を迎える”. Inter BEE Online (2012年7月12日). 2016年3月20日閲覧。
- ^ “The Enduring History of Coca-Cola's Polar Bears”. The Coca-Cola Company (2012年1月1日). 2016年3月20日閲覧。
- ^ R&H - Contact Page会社サイト、2020年2月22日閲覧。
- ^ “Rhythm & Hues rounds up VIFX”. Highbeam Business (1999年3月3日). 2016年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月20日閲覧。
- ^ リズム&ヒューズ 自社ビルの新社屋へお引越し. 鍋 潤太郎☆ハリウッド映像トピックス
- ^ “Exclusive: VFX studio in Taiwan pact”. Variety (2011年12月29日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “US visual effects company R&H investing in Taiwan”. 台北市電影委員會 (2012年1月1日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “ハリウッドの有名VFXスタジオ、台湾に拠点開設へ”. 中央社フォーカス台湾 (2012年11月21日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “映画業界を代表する名門VFX工房が破産”. 映画.com (2013年2月14日). 2016年3月17日閲覧。
- ^ “Prana Studios' Winning Bid for Rhythm & Hues Valued at About $17.8 Million”. The Hollywood Reporter (2013年3月29日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “米老舗VFX工房の売却先、LAのプラナ・スタジオに決定”. 映画.com (2013年4月4日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “Rhythm & Hues Acquired By Affiliate Of Prana Studios, Inc.”. PR Newswire (2013年3月29日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “YouTube Documentary ‘Life After Pi’ Chronicles Collapse of Rhythm & Hues (Video)”. TheWrap (2014年2月26日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ “米VFX業界の闇。『ライフ・オブ・パイ』製作チームがアカデミー賞前夜の倒産ドキュメンタリーを公開、会場前でデモ(動画あり)”. ギズモード・ジャパン (2014年3月3日). 2016年3月21日閲覧。
- ^ With Rhythm & Hues StudiosInternet Movie Database、2020年2月22日閲覧。
- ^ Lost in SpaceThe Art of VFX、2020年2月22日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式HP
- リズム&ヒューズ・スタジオ - IMDb
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