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レーダーサイト (航空自衛隊)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
航空自衛隊のレーダーサイト配置。数字は警戒隊

航空自衛隊におけるレーダーサイトについて解説する。航空自衛隊は、空中早期警戒機空中警戒管制機・地上レーダーサイトの各種対空レーダーにより、日本及びその周辺の空域を監視している[1]。地上レーダーサイトは28ヶ所が整備されている。

概要

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軍事・安全保障上、敵対的な航空機の監視は重要であり、軍用機が開発された初期には、目視や聴音により航空機の警戒・監視を行っていた。第二次世界大戦頃にレーダーが実用化されると、それを用いた対空警戒も行われるようになった。第二次世界大戦末期に日本本土空襲が始まると本土防空が課題となり、日本陸海軍においても、防空監視哨等の整備のみならず、レーダーの実用化及び配備が行われた。特に防空が主任務の陸軍においては、超短波警戒機甲及び超短波警戒機乙の配備が行われている[2][3]

第二次世界大戦後、日本に進駐したアメリカ軍は冷戦の激化に伴い、日本各地においてレーダーサイトを整備・運用した。航空自衛隊の発足後は、それらが日本側に移管され、運用するに至っている[4]沖縄返還に伴い、沖縄に所在していたアメリカ空軍のレーダーサイトも航空自衛隊に移管された[5]

高尾山分屯基地

レーダー機材については、当初はアメリカ製であったが、徐々に国産のレーダー装置に更新されており、弾道ミサイルの脅威が謳われるようになってからは、対弾道ミサイル探知能力の向上も行われてきている。

解説

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航空自衛隊のレーダーサイト(航空警戒管制部隊)は、以下の通りである。レーダーサイトは、山頂又は海岸沿いといった僻地に設置されることが多く、航空救難団飛行群ヘリコプター空輸隊が三沢・入間春日・那覇に配備されており、CH-47J大型輸送ヘリコプターが、特に離島等のレーダーサイトへの物資補給などを行っているが、近年の交通網等の発達によりレーダーサイトも都市部へのアクセスは容易となっている。

隊員を輸送するため民生品のマイクロバスなどをサイト用人員輸送車として配備している。

航空自衛隊のサイト用人員輸送車

幹部の兵器管制官と空曹空士の警戒管制員が配置されているが、主に要撃戦闘機との交信は無線機等を遠隔操作し、DCと呼ばれる防空指令所で行われている。日本のレーダーサイトには、警戒監視を行う監視小隊、レーダー・通信機器の整備・管理を行う通信電子小隊や、基地の施設管理や炊事・警備を行う業務小隊等が編成されており、常に配置に就いている。重要影響事態が突発的に発生した場合に備え、宮古島などの一部のレーダーサイトには、平素から外国の軍隊が使用中の電波を傍受・分析するための設備として「地上電波測定装置」が併設され、稼働している。現に、航空自衛隊の地上電波測定装置は、大韓航空機撃墜事件の真相解明に活躍したことがある。

レーダー装置の整備時には、地上の移動式レーダーがカバーを行うこともある[6]

レーダーサイト部隊一覧

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各レーダサイトには、航空方面隊航空管制団隷下の警戒隊がそれぞれ割り当てられている。

北部航空方面隊 北部航空警戒管制団
中部航空方面隊 中部航空警戒管制団
西部航空方面隊 西部航空警戒管制団
南西航空方面隊 南西航空警戒管制団


※上記以外にも、訓練・教育用として以下のサイトがある。

脚注

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出典

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  1. ^ 陸・海・空で活躍する自衛隊のレーダー&部隊を一挙公開!”. mamoru (2022年2月16日). 2024年7月15日閲覧。
  2. ^ 防衛研修所戦史室『戦史叢書 第19巻 本土防空戦』朝雲新聞社、付図第四 電波警戒機配置要図頁。 
  3. ^ 服部雅徳「データで見る決戦準備期の本土防空」『本土決戦 歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 60』、学習研究社、68-82頁、ISBN 978-4056048902 
  4. ^ 45警戒隊の沿革”. 航空自衛隊. 2024年7月15日閲覧。
  5. ^ 宮古島分屯基地. “宮古島分屯基地の歴史”. 航空自衛隊. 2024年7月15日閲覧。
  6. ^ 柘植優介 (2022年7月2日). “ミサイル!? いえ探知する方です 空自の「移動式レーダーサイト」第2移動警戒隊に密着”. 乗りものニュース. 2024年7月15日閲覧。
  7. ^ 第18警戒隊の沿革”. 2022年7月20日閲覧。
  8. ^ 航空自衛隊襟裳分屯基地から「メロン」が消えた!!”. 第36警戒隊. 2024年7月17日閲覧。

外部リンク

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