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ワンダーウォール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ワンダーウォール」
オアシスシングル
初出アルバム『モーニング・グローリー
B面
  • ラウンド・アー・ウェイ
  • ザ・スワンプ・ソング
  • ザ・マスタープラン
リリース
規格
録音 1995年5月
ジャンル ブリットポップ[1]
時間
レーベル
作詞・作曲 ノエル・ギャラガー
プロデュース
ゴールドディスク
後述を参照
チャート最高順位
後述を参照
オアシス シングル 年表
  • ワンダーウォール
  • (1995年)
モーニング・グローリー 収録曲
ロール・ウィズ・イット
(2)
ワンダーウォール
(3)
ドント・ルック・バック・イン・アンガー
(4)
ミュージックビデオ
「Wonderwall」 - YouTube
テンプレートを表示

ワンダーウォール」(Wonderwall)は、イギリスロックバンドオアシスの楽曲である。1995年10月2日にクリエイション・レコーズから発売されたアルバム『モーニング・グローリー』に収録された楽曲で、作詞作曲はノエル・ギャラガーによるもの。2002年にノエルは、本作の歌詞について「自分を救ってくれる架空の友人について歌ったもの」と明かしている[2]

本作は1995年10月30日にアルバムから第3弾シングルとしてリカットされ、日本盤は同年11月23日にEpic/Sony Recordsからリリースされた。オーストラリアとニュージーランドのシングルチャートで首位[3][4]全英シングルチャートとアイルランドのシングルチャートで2位[5][6]、カナダのシングルチャートで5位[7]、アメリカのBillboard Hot 100で8位[8]を獲得した。シングルは、英国レコード産業協会から4×プラチナ[9]アメリカレコード協会からゴールド認定[10]を受けた。

2013年にオーストラリアのラジオ局Triple Jが発表した「Triple J Hottest 100 of the Past 20 Years, 2013」では1位に選出され[11]ライアン・アダムスキャット・パワーブラッド・メルドーなど多数のアーティストによってカバーされた[12]。2020年10月には、Spotifyの再生回数が90年代の楽曲として初めて10億回を突破した[13]

背景

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本作は当初「Wishing Stone」というタイトルの楽曲で、1996年のNME誌のインタビューで、ノエルは本作について(当時の彼女でのちに妻となった)メグ・マシューズに向けて書いたものであると話していた[14][15]。その後2001年にノエルとメグが離婚して以降は、メグに向けた歌であることを否定し、「自分を救ってくれる架空の友人について歌ったもの。」としている[2]。現行のタイトルは、ジョージ・ハリスンのソロ・アルバム『不思議の壁』(Wonderwall Music)にインスパイアされたもの[16]

本作は、アルバム『モーニング・グローリー』のレコーディング・セッションが行われていた1995年5月に、ウェールズにあるロックフィールド・スタジオでレコーディングされた。オーウェン・モリス英語版は、ノエルと共に半日かけて曲の制作を行い、ブリックウォールを駆使して音を増強させた[17]。なお、リード・ボーカルはノエルが「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のリードを務める関係から、リアム・ギャラガーが務めた[15]

「ワンダーウォール」は、F minorで書かれており、穏やかなダンスグルーヴをもたせた普通拍子で構成されている。なお、本作におけるリアムの声域は、E3からF4となっている[18]

ミュージック・ビデオ

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本作のミュージック・ビデオは、ジョアンナ・バウティスタによって考案され、1995年9月30日にUnit 217Bで撮影されたもの。監督はナイジェル・ディック英語版。撮影当時、ベーシストのポール・ "ギグジー" ・マッギーガン神経衰弱によりバンドを一時的に脱退していたため、代役としてスコット・マクロード英語版が他のメンバー4人と共に出演した[19]。このミュージック・ビデオは、ブリット・アワード1996の最優秀ブリティッシュ・ビデオ賞を受賞した。

なお、ミュージック・ビデオは2種類が制作されており、そのうちの一つがYouTubeVEVOチャンネルで公開されて再生回数3億5800万回、もう一つがオアシスの公式チャンネルで公開されて再生回数2億5700万回を突破した。

アートワーク

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本作のアートワークは、ルネ・マグリットの絵画に触発されたものでマイケル・スペンサー・ジョーンズ英語版によってプリムローズ・ヒルで撮影された写真が使用された。なお、フレームを持っている手は、アートディレクターのブライアン・キャノン英語版の手。フレームの中に入っている女性は、クリエイション・レコーズのスタッフであるアニータ・ヘリエットで[20]、当初はノエルがフレームを持ち、そのフレームの中にリアムが入るというアイデアが挙がっていた[21]

演奏

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シングル収録曲(オアシス版)

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CD(イギリス・日本)
全作詞・作曲: ノエル・ギャラガー
#タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
1.「ワンダーウォール」(Wonderwall)ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー 
2.「ラウンド・アー・ウェイ」(Round Are Way)ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
3.「ザ・スワンプ・ソング」(The Swamp Song)ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー 
4.「ザ・マスタープラン」(The Masterplan)ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
  • ニック・イングマン
  • ノエル・ギャラガー(ブラス編曲)
合計時間:
  • 「ザ・スワンプ・ソング」と「ザ・マスタープラン」は1998年に発売された裏ベストアルバム『ザ・マスタープラン』にも収録された。
CD(アメリカ)
#タイトル作詞・作曲編曲時間
1.「ワンダーウォール」(Wonderwall)ノエル・ギャラガー 
2.「ラウンド・アー・ウェイ」(Round Are Way)ノエル・ギャラガー
  • ニック・イングマン
  • ノエル・ギャラガー(ブラス編曲)
3.「トーク・トゥナイト」(Talk Tonight)ノエル・ギャラガー 
4.「ロッキンチェアー」(Rockin' Chair)ノエル・ギャラガー 
5.アイ・アム・ザ・ウォルラス(I Am the Walrus (Live Glasgow Cathouse June 1994))レノン=マッカートニー 
合計時間:
7inchシングル(イギリス・アメリカ)
全作詞・作曲: ノエル・ギャラガー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「Wonderwall (Album Version)」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
2.「Round Are Way」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
合計時間:
12inchシングル(イギリス)
全作詞・作曲: ノエル・ギャラガー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「Wonderwall」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
2.「Round Are Way」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
3.「The Swamp Song」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
合計時間:
12inchシングル(イギリス)
全作詞・作曲: ノエル・ギャラガー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「Wonderwall」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
2.「Round Are Way」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
3.「Wonderwall」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
4.「Round Are Way」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
合計時間:
カセット(イギリス)
全作詞・作曲: ノエル・ギャラガー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「Wonderwall」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
2.「Round Are Way」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
3.「Talk Tonight」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
4.「Wonderwall」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
5.「Round Are Way」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
6.「Talk Tonight」ノエル・ギャラガーノエル・ギャラガー
合計時間:

チャート成績(オアシス版)

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週間チャート

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チャート (1995年 - 1996年) 最高位
オーストラリア (ARIA)[3] 1
オーストリア (Ö3 Austria Top 40)[22] 6
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[23] 7
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[24] 7
カナダ トップシングルス (RPM)[7] 5
カナダ ロック/オルタナティヴ (RPM)[25] 1
デンマーク (Tracklisten)[26] 9
ヨーロッパ (Eurochart Hot 100)[27] 8
フィンランド (Suomen virallinen lista)[28] 11
フランス (SNEP)[29] 10
ドイツ (GfK Entertainment charts)[30] 17
ハンガリー (Mahasz)[31] 8
アイスランド (Íslenski Listinn Topp 40)[32] 2
アイルランド (IRMA)[33]
2
アイルランド (IRMA)[6] 2
オランダ (Dutch Top 40)[34] 9
オランダ (Single Top 100)[35] 8
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[4] 1
ノルウェー (VG-lista)[36] 5
ポーランド (LP3)[37] 15
スコットランド (Official Charts Company)[38] 2
スウェーデン (Sverigetopplistan)[39] 12
スイス (Schweizer Hitparade)[40] 17
UK シングルス (OCC)[5] 2
US Billboard Hot 100[8] 8
US Adult Alternative Songs (Billboard)[41]
5
US Adult Contemporary (Billboard)[42]
36
US Adult Top 40 (Billboard)[43]
30
US Alternative Airplay (Billboard)[44]
1
US Hot Dance Singles Sales (Billboard)[45] 17
US Mainstream Rock (Billboard)[46]
9
US Mainstream Top 40 (Billboard)[47]
10
US Cash Box Top 100[48] 6
ジンバブエ (ZIMA)[49] 9

年間チャート

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チャート (1995年) 順位
アイスランド (Íslenski Listinn Topp 40)[50] 28
スウェーデン (Sverigetopplistan)[51] 82
イギリス (Official Charts Company)[52] 10
チャート (1996年) 順位
オーストラリア (ARIA)[53] 19
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[54] 37
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[55] 38
カナダ (RPM)[56] 26
カナダ ロック/アルタナティヴ (RPM)[57] 2
ヨーロッパ (Eurochart Hot 100)[58] 31
ドイツ (Official German Charts)[59] 80
オランダ (Dutch Top 40)[60] 52
オランダ (Single Top 100)[61] 98
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[62] 29
スウェーデン (Sverigetopplistan)[63] 90
イギリス (Official Charts Company)[64][65] 51
全米 Billboard Hot 100[66] 56
チャート (2018年) 順位
ポルトガル (AFP)[67] 168
チャート (2019年) 順位
ポルトガル (AFP)[68] 177
チャート (2021年) 順位
イギリス (OCC)[69] 76
チャート (2022年) 順位
イギリス (OCC)[70] 80

年代末チャート

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チャート (2010年 - 2019年) 順位
イギリス (Official Charts Company)[71] 78

認定(オアシス版)

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国/地域 認定 認定/売上数
オーストラリア (ARIA)[72] 8× Platinum 560,000double-dagger
イタリア (FIMI)[73] 2× Platinum 100,000*
メキシコ (AMPROFON)[74] Gold 30,000*
ニュージーランド (RMNZ)[75] Gold 5,000*
ノルウェー (IFPI Norway)[76] Gold  
イギリス (BPI)[9] 4× Platinum 1,995,940[77]
アメリカ合衆国 (RIAA)[10] Gold 500,000^

* 認定のみに基づく売上数
^ 認定のみに基づく出荷枚数
double-dagger 認定のみに基づく売上数と再生回数

カバー・バージョン

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マイク・フラワーズ・ポップスによるカバー

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「ワンダーウォール」
マイク・フラワーズ・ポップス英語版シングル
初出アルバム『グルーヴィー・プレイズ』
B面
  • サン・オブ・ゴッド
  • メモリー・マンのテーマ
リリース
ジャンル イージーリスニング
時間
レーベル ロンドン・レコード
作詞・作曲 ノエル・ギャラガー
プロデュース
ゴールドディスク
後述を参照
チャート最高順位
後述を参照
マイク・フラワーズ・ポップス英語版 シングル 年表
  • ワンダーウォール
  • (1995年)
ミュージックビデオ
「Wonderwall」 - YouTube
テンプレートを表示

マイク・フラワーズ・ポップス英語版によるカバー・バージョンは、オアシスによるオリジナル・バージョンが発売された2か月後に、1作目のシングルとして発売された。このカバー・バージョンは、全英シングルチャートで最高位2位を獲得[78]するなどのヒットを記録した。

BBCラジオ1でこのカバー・バージョンが初めてオンエアされた際に、ノエル・ギャラガーは「『ワンダーウォールのオリジナル・バージョン』を見つけたよ」と冗談めかして紹介した[注釈 1]

2008年にトータル・ギター英語版誌が発表した「世界のワーストカバー曲」ランキングで、マイク・フラワーズ・ポップスによるカバー・バージョンが5位にランクインした[79]

シングル収録曲(マイク・フラワーズ・ポップス版)

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#タイトル作詞・作曲時間
1.「ワンダーウォール」(Wonderwall)ノエル・ギャラガー
2.「サン・オブ・ゴッド」(Son Of God)マイク・ロバーツ
3.「メモリー・マンのテーマ」(Theme From Memory Man)マイク・ロバーツ
合計時間:

チャート成績(マイク・フラワーズ・ポップス版)

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週間チャート
チャート (1995年 - 1996年) 最高位
オーストラリア (ARIA)[80] 48
デンマーク (IFPI)[81] 5
オランダ (Single Top 100)[82] 40
ヨーロッパ (Eurochart Hot 100)[83] 8
アイスランド (Íslenski listinn Topp 40)[84] 18
アイルランド (IRMA)[33]
10
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[85] 1
ノルウェー (VG-lista)[86] 13
スコットランド (Official Charts Company)[87] 1
スウェーデン (Sverigetopplistan)[88] 5
UK シングルス (OCC)[78] 2
チャート (1995年) 順位
UK Singles (Official Charts Company)[89] 47

認定(マイク・フラワーズ・ポップス版)

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国/地域 認定 認定/売上数
イギリス (BPI)[90] Silver 200,000^

^ 認定のみに基づく出荷枚数

他のアーティストによるカバー・バージョン

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ライアン・アダムスは、2001年にカバー・バージョンを発表し、2003年に発売したEP『Love Is Hell pt. 1』に収録した。このEPについてノエル・ギャラガーは賞賛しており、アダムスによるカバー・バージョンについて「ライアン・アダムスだけが、この曲を正しく理解している」と語っている[91]

ポール・アンカは、2005年に発売したアルバム『Rock Swings』にカバー・バージョンを収録。アンカによるカバー・バージョンは、2018年の平昌オリンピックでフィギュアスケート選手のパウル・フェンツによって競技中のBGMとして使用した[92]

ジェイ・Zは、2008年にグラストンベリー・フェスティバルにラッパーが出演することを批判したノエル・ギャラガーへの言及とする「Jockin' Jay-Z」[93]を歌唱する際に、しばしば観客に「ワンダーウォール」を歌わせている。ゲム・アーチャーは、ジェイ・Zのこの行動を「8歳の少女のようだ」と評している[94]

また、アメリカのDJであるパーティ・ベン英語版は、2004年に本作とグリーン・デイの「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス[注釈 2]」をマッシュアップした「Boulevard of Broken Songs」、ニール・シチェレガ英語版は本作をサンプリングした「Wndrwll」と「Wallspin」を発表している[97][98]

出典

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注釈

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  1. ^ 2006年に発売された『ストップ・ザ・クロックス』(スペシャルBOXエディション)に収録の「ロック・ザ・ボックス」でも確認できる。
  2. ^ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」は、「ワンダーウォール」との類似点があることを指摘されており、ノエル・ギャラガーは「グリーン・デイが『ワンダーウォール』を盗んだ」「聴いてみれば、まったく同じアレンジだと言うことがわかる。どうせ盗むなら、俺が死ぬまで待て。それが礼儀というものだ」と批判している[95][96]

出典

[編集]
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外部リンク

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