グラストンベリー・フェスティバル
グラストンベリー Glastonbury | |
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グラストンベリー会場 | |
概要 | |
開催時期 | 毎年6月後半 |
開催年 | 1970年 - |
会場 | イギリス サマセット ピルトン |
主催 |
Michael Eavis Glastonbury Festivals Ltd. |
グラストンベリー・フェスティバル (Glastonbury Festival) は、イングランドのピルトンで1970年から行われている世界最大規模の野外音楽フェスティバル。正式名称はグラストンベリー・フェスティバル・オブ・コンテンポラリー・パフォーミング・アーツ (Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts) だが、一般的にはグラストンベリー (Glastonbury) またはグラスト (Glasto) と簡略化されて呼ばれている。
歴史
[編集]1970年9月19日に初めて開催され、その時の名称は「ピルトン・ポップ・アンド・ブルース・フォーク・フェスティバル」であった。この名称の通りコンテンポラリーミュージックだけに限定されず、サーカスや演劇、ジャズ、ダンス、レゲエのサウンドシステムや映画上映までされている。
初年度の観客数は1,500人であったが、徐々に規模を拡大し、1981年に正式に名称を「グラストンベリー・フェスティバル」と改めた。2005年には、会場の広さは900エーカー(約3.6 km²)になり、385のライブが行われ15万人の観客が来場し、2007年には700を超えるライブが80を超えるステージで行われ18万人が来場した。
会場は広大な農場であることから、踏み荒らされた牧草の回復のため、およそ5 - 6年の間隔で不定期に休催年を設けており、一例として2006年・2012年・2018年がこれに当たる。また、新型コロナウイルス感染症の流行の際は、2020年と2021年の開催が中止となった。
会場位置
[編集]フェスティバルは、イングランド南西部の小さな村であるピルトンと、その6マイル東にあるグラストンベリーの間に存在するワージー・ファーム (Worthy Farm) で行われている。近辺には、グラストンベリー・トーとよばれる小高い丘がある。この地域は、多くの神話的・霊的な伝統を持っており、ニューエイジ・ムーブメントや考古学の分野では興味深い場所である。いくつかのレイラインが丘に集まっていると考えられている。また丘は、古来よりアーサー王らが眠るアヴァロン島の場所とも考えられている。
組織
[編集]フェスティバルを構成する組織は、地元の農業者と土地のオーナーであるマイケル・イービスから成っており、フェスティバル初期から変わらない。マイケルは彼の妻ジーンが1999年に亡くなるまで2人でフェスティバルを運営し、その後は娘のエミリー・イービスがマイケルの補助にあたっている。
2018年2月、主催者のエミリーはBBCのインタビューで、環境上の理由から、2019年はペットボトルを禁止すると発言した。これに先立ち、来場者が持参するボトルに補充できるウォーターキオスクが2014年に導入されていた[1]。
2008年のジェイ・Zヘッドライナー出演を巡る騒動
[編集]2008年、オアシスのノエル・ギャラガーは不振が続いていたチケットセールスに関して、この年のヘッドライナーに抜擢されたジェイ・Zに言及し、「“壊れてないものは修理するな”だ。(主催者がフェスティバルの伝統を)壊してこれまでと違うことをし始めるなら、観衆はみんな行かなくなるだろう。ジェイ・Zはあり得ない」「グラストンベリーはギター・ミュージックという伝統がある」「俺はグラストンベリーにヒップホップは求めてない。間違ってる」と、ジェイ・Zのヘッドライナー出演に苦言を呈し、ロックの聖地と考えられているグラストンベリーの路線変更を嘆いた。
ノエルのこの発言によって方々で議論が巻き起こる中、主催者のイービス親子は、「ノエルが口を出してきたことに失望した。彼は(グラストンベリーは)ギター・バンドの場だと言ったが、その通り、たくさんのギター・バンドがプレイすることになっている」と反論し、コールドプレイのクリス・マーティンは「彼は世界一のラッパー。この騒ぎにはちょっと恥ずかしいとさえ思っている」とジェイ・Zを擁護するコメントを発した。
ジェイ・Z自身は、ロックやヒップホップに境界線があるほうがおかしいとする持論を展開。「音楽を分類したがる奴らもいる。でも、今の若者は音楽をそういう風に聴いてない。俺はどんなタイプのものでも聴く。そうであるべきだと思ってる。それが今の世界だ。いろんなカルチャーがミックスされているべきだ。(分けるとしたら)いい音楽か、悪い音楽かってだけだ」「新しいものを受け入れないで、どうやって発展していくっていうんだ? 全くもって古い考え方だ。世の中の動きについていってない。(批判されて)本当に驚いた」と反論した。
ノエルは、この騒動に関し「そもそもチケットセールスに関して意見を求められ、自分の考えを話しただけだ」「レコードに関して言えばジェイ・Zは気に入ってる。それが俺の意見だ。もし俺の発言が人を傷つけるというなら、もう質問なんかするな」と話し、マスコミの大げさな報道を批判した。
ジェイ・Zは当日、BBCのテレビ番組でジェイ・Z批判を行っているノエルの映像をスクリーンに映し出しながら、ギターを抱えてステージに登場し、オアシスの楽曲「ワンダーウォール」をカバー。観客が大合唱しジェイ・Zコールを繰り返す中で、AC/DCのギターリフをサンプリングした自身の楽曲「99 Problems」になだれ込むパフォーマンスを行った。
しかしながら、結果的にこの年のチケットは数百枚が売れ残り、その原因をグラストンベリーの路線変更に求める声も少なくなかったが、翌年からはチケット発売を前倒ししてのセールス展開を試み成功を収めている。
これらの動きに関して、カサビアンのトム・ミーガンは「ジェイ・Zのパフォーマンスは最高に素晴らしかった。あいつはすごい。今年のグラストンベリーが売り上げともども不評だった問題は、全体的なラインナップの迫力不足が原因だろう」とコメント。トラヴィスのダギー・ペインも「彼のパフォーマンスを実際に観たけど、すごく良かった。ノエルとは友達だけど、さすがにあれは失言だった」と話した。また、ジェイ・Zが披露した「Wonderwall」と「99 Problems」は、いずれも旧譜でありながら翌日からUKシングルチャートに復活し、大きなリバイバルヒットを記録した。これに対してノエルは「俺の曲がチャートに入った。ジェイ・Zの人気は天井知らずだな。みんなの勝ちだ。彼は俺の発言が間違って伝えられたって分かってるだろう」と発言した[2]。
主なステージ
[編集]約60のステージや会場がある。
- Pyramid Stage - メインステージ。12万人以上を収容可能[3][4]。
- Other Stage - 2番目に大きなステージ。会場南側に位置する。
- West Holts - 第3のステージ。約35,000人を収容可能[3]。
2019年の会場全体の収容人数は、最大21万人(スタッフ、出演者63,000人を含む)[5]。
主な出演者
[編集]一番上に表記されているバンド名が、ヘッドライナー(ピラミッド・ステージ)である。以下、他のステージの出演者も含む。
2024年
[編集]6月26日から30日に行われた。
28日 | 29日 | 30日 |
2023年
[編集]6月21日から25日に行われた。
23日 | 24日 | 25日 | |
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Pyramid Stage |
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2022年
[編集]6月22日から26日に行われた。
24日 | 25日 | 26日 |
2019年
[編集]6月26から30日に開催された。
28日 | 29日 | 30日 |
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2017年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2016年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2015年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
※1日目ヘッドライナーの予定だったフー・ファイターズはデイヴ・グロールの負傷により出演キャンセル[6]
2014年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2013年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2011年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2010年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
※1日目ヘッドライナー予定だったU2は出演キャンセル
2009年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2008年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2007年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2005年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
※3日目ヘッドライナー予定だったカイリー・ミノーグは出演キャンセル
2004年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2003年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2002年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
2000年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
1999年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
1998年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
1997年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
※3日目ヘッドライナー予定だったスティーヴ・ウィンウッドは出演キャンセル
1995年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
※2日目ヘッドライナー予定だったザ・ストーン・ローゼズは出演キャンセル
1994年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
1993年
[編集]1992年
[編集]1日目 | 2日目 | 3日目 |
1990年
[編集]1989年
[編集]1987年
[編集]1986年
[編集]1985年
[編集]1984年
[編集]1983年
[編集]1982年
[編集]1981年
[編集]1979年
[編集]1978年
[編集]不詳
1971年
[編集]- デヴィッド・ボウイ
- ゴング
- ホークウインド
- トラフィック
- ピンク・フェアリーズ
- フェアポート・コンヴェンション
- キングダム・カム
- テリー・リード
- ファミリー
- クインテッセンス
- エドガー・ブロートン・バンド
- メラニー
- リンダ・ルイス
1970年
[編集]ギャラリー
[編集]-
1985年
-
1993年
-
2002年
-
2002年
-
2003年
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2004年
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2000年
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2004年
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2007年
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2008年
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2011年
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2016年
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2016年
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2016年
脚注
[編集]- ^ “Glastonbury Festival plans plastic bottle ban”. BBC News. (2018年2月16日) 2018年8月31日閲覧。
- ^ http://bmr.jp/news/54868
- ^ a b “By Capacity · Areas & Stages · Glastopedia” (英語). Glastopedia. 2023年12月10日閲覧。
- ^ “The sun goes down on Elton John's UK touring career with record-breaking Glastonbury set” (英語). (2023年6月25日) 2023年12月10日閲覧。
- ^ “Glastonbury capacity increase to 210,000 approved”. The Festivals. (2019年2月28日) 2019年7月3日閲覧。
- ^ “グラストンベリー・フェスティヴァル、フー・ファイターズの代理を発表”. BARKS (2015年6月18日). 2015年6月19日閲覧。
- ^ 所属メンバーのうち数人が集結したスペシャル編成
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- グラストンベリー・フェスティバル - YouTubeチャンネル
- グラストンベリー・フェスティバル (@glastonbury) - X(旧Twitter)
- グラストンベリー・フェスティバル (@glastofest) - Instagram
- グラストンベリー・フェスティバル (glastonburyofficial) - Facebook