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不可説不可説転

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)とは、華厳経に登場する自然数数詞である。仏典に現れる具体的な数詞としては最大で、無量大数より大きい単位とされている。

定義

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八十華厳

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の『華厳経(八十華厳)』(訳:実叉難陀[1]第45巻「阿僧祇品第三十」に次のように書かれている[2]

100洛叉(らくしゃ)を1倶胝(くてい)とする。倶胝の倶胝倍(2乗)を1阿庾多(あゆた)とする。阿庾多の阿庾多倍を1那由他(なゆた)とする。那由他の那由他倍を1頻波羅(びんばら)とする。(中略)不可説転の不可説転倍を1不可説不可説とする。このまた不可説不可説倍を1不可説不可説転とする。

つまり洛叉(10万)の100倍(107=千万)である倶胝を基準とし、倶胝の2乗(107×211014=百兆)を阿庾多、阿庾多の2乗(107×221028)を那由他(一般数詞の那由他(1060)とは異なる)、那由他の2乗(107×231056阿僧祇)を頻波羅としている。不可説不可説転はこの系列の最後(122番目)であり、以下の数式で示される。

1不可説不可説転=107×21221037218383881977644441306597687849648128(≒1037乗)[3]

このように単位を2乗すると新しい単位となるものを上数といい、二重指数関数に当たる増え方である。

大きさ

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1無量大数は1068、1グーゴルは10100である。1不可説不可説転は無量大数のおよそ 5400乗で、これらよりも遥かに大きい。

1不可説不可説転の270那由他乗が、およそ1グーゴルプレックス)になる。

これはあくまでも実用の値ではなく、計算もできないほど莫大な数を示して、悟り功徳の大きさを表す意図がある。

二重指数関数の増え方をしたり、テトレーションレベルに接近するほど巨大な数を想定しており、華厳経が書かれた当時の数少ない例の一つでもある。

別の華厳経による「不可説不可説転」と「不可説転転」

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四十華厳

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の『華厳経(四十華厳)』(訳:般若三蔵)[4]には、八十華厳のものとは異なる体系の命数が記載されており、この経典では105洛叉、100洛叉(107)を倶胝とし、倶胝以上を上数として144の命数が列挙されている。その体系で最大の命数も「不可説不可説転」と称するが、これは次のように、八十華厳のものとは値が異なる。

1不可説不可説転(四十華厳)=107×21421039026304097428590497687506977134632635465728103.9×1043

六十華厳

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また、東晋の『華厳経(六十華厳)』(訳:仏駄跋陀羅[5]にもまた別体系の命数が記載されており、この経典では1010を拘梨とし、拘梨以上を上数として121の命数が列挙されている。その体系で最大の命数は「不可説不可説転」ではなく「不可説転転」と称し、値は次の数式で示す。

1不可説転転(六十華厳)=1010×21201013292279957849158729038070602803445760101.3×1037

脚注

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  1. ^ 新訳華厳経、唐経、大正蔵279)
  2. ^ 華厳経第45巻、阿僧祇品第三十”. web.archive.org. buddhist-canon.com. 2016年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月20日閲覧。
  3. ^ 記数法の単位(日中対照)”. www.gaoshukai.com (2015年1月24日). 2022年5月15日閲覧。
  4. ^ 貞元経、大正蔵293)の第10巻「入不思議解脱境界普賢行願品」。
  5. ^ 旧訳華厳経、晋経、大正蔵278)の第29巻「心王菩薩問阿僧祇品第二十五」。

関連項目

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外部リンク

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