中村融 (SF)
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中村 融(なかむら とおる、1960年 - )は、日本のSF翻訳家、SF研究者、アンソロジスト[1]。
経歴
[編集]愛知県豊橋市出身。幼少時からSF好きだったが、一方で中学、高校時代は陸上部に所属し、100m走で県の3位に入ったこともあった。
中央大学法学部卒業。大学時代から、中央大学SF研究会の他、多くのSFファングループに参加し、海外SFの研究、評論、翻訳活動を行う。
1984年に評論「鏡の国の反在士」でSFファンジン大賞・評論部門を受賞。1988年、『SFマガジン』主催の「SF評論コンテスト」佳作第二席(「ネクロマンティック・ニューロマンス」)。
大日本印刷に2年間の勤務後退社し、翻訳学校に通い翻訳家に。
古典的な作品の改訳も多く手がける。また過去のSF・ファンタジーの短編を掘り起こした、独自の視点のアンソロジーを多数、編集している。河出書房新社の奇想コレクションの企画も担当している。
2001年、山岸真と共同編集の『20世紀SF』で日本SF大賞候補。2011年、個人編集の『ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選』で、名古屋文庫大賞候補。
野生イルカの観察が趣味で、イルカを主人公としたロバート・シーゲルのファンタジー小説三部作も、翻訳している。
日本推理作家協会会員。2021年4月より、日本SF作家クラブ会員[2]。
翻訳
[編集]- 『惑星壊滅サービス』(M・Z・ブラッドリー、東京創元社) 1987.3
- 『ストームクイーン』(M・Z・ブラッドリー、東京創元社) 1988.3
- 『闇がつむぐあまたの影』(カール・エドワード・ワグナー、東京創元社) 1991.10
- 『幻影の航海』(ティム・パワーズ、早川書房) 1991.9
- 『世界の果てまで何マイル』(テリー・ビッスン、早川書房) 1993.10
- 『第七の空母1 真珠湾突撃作戦』(ピーター・アルバーノ、徳間書店) 1993.12
- 『赤い惑星への航海』(テリー・ビッスン、早川書房) 1995.9
- 『モロー博士の島』(H.G.ウェルズ、東京創元社) 1996.9
- 『白銀の聖域』(マイケル・ムアコック、東京創元社) 1996.10
- 『水の国を見た少年』(マイケル・ドリス、新潮社) 1998.2
- 『アンドリューNDR114』(アイザック・アシモフ, ロバート・シルヴァーバーグ、東京創元社) 2000.4
- 『模造世界』(ダニエル・F・ガロイ、東京創元社) 2000.1
- 『マンモス / 反逆のシルヴァーヘア』(スティーヴン・バクスター、早川書房) 2001.7
- 『凶獣リヴァイアサン』上・下(ジェイムズ・バイロン・ハギンズ、創元SF文庫) 2003.4
- 『魔法の眼鏡』(ジェイムズ・P・ブレイロック、早川書房) 2004.3
- 『ファンタジーの歴史 空想世界』(リン・カーター、東京創元社) 2004.11
- 『宇宙戦争』(H・G・ウェルズ、東京創元社) 2005.5
- 『時と神々の物語』(ロード・ダンセイニ、中野善夫, 安野玲, 吉村満美子訳、河出文庫) 2005.9
- 『どんがらがん』(アヴラム・デイヴィッドスン、河出書房新社) 2005.10、河出文庫 2014
- 『時の眼 タイム・オデッセイ』(アーサー・C・クラーク, スティーヴン・バクスター、早川書房) 2006.12
- 『太陽の盾』(アーサー・C・クラーク, スティーヴン・バクスター、早川書房) 2008.4
- 『ブラッドベリ年代記』(サム・ウェラー、河出書房新社) 2011.3
- 『時が新しかったころ』(ロバート・F・ヤング、東京創元社) 2014.3
- 『寄港地のない船』(ブライアン・オールディス、竹書房文庫) 2015
- 『宇宙への序曲』新訳版(アーサー・C・クラーク、ハヤカワ文庫) 2015
- 『クロックワーク・ロケット』(グレッグ・イーガン、山岸真共訳、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 2015
- 『エターナル・フレイム』(グレッグ・イーガン、山岸真共訳、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 2016
- 『ゴッド・ガン』(バリントン・J・ベイリー、大森望共訳、ハヤカワ文庫) 2016
- 『天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険』(ジャック・ヴァンス、国書刊行会、ジャック・ヴァンス・トレジャリー) 2016
- 『アロウズ・オブ・タイム』(グレッグ・イーガン、山岸真共訳、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 2017
- 『トリフィド時代 (食人植物の恐怖)』【新訳版】(ジョン・ウィンダム、創元SF文庫) 2018
- 『パラドックス・メン』(チャールズ・L・ハーネス、竹書房文庫) 2019
- 『死んだら飛べる』 (スティーヴン・キング/ベヴ・ヴィンセント 編、白石朗ほか共訳、竹書房文庫) 2019
- 『黒魚都市』(サム・J・ミラー、早川書房、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 2020
- 『キャプテン・フューチャー 最初の事件』(アレン・スティール、創元SF文庫) 2020
- 『シオンズ・フィクション:イスラエルSF傑作選』(シェルドン・テイテルバウム/エマヌエル・ロテム 編、編者代表、竹書房文庫) 2020
- 『大宇宙の魔女 ノースウェスト・スミス全短編』(C・L・ムーア、市田泉共訳、創元SF文庫) 2021
- 『ノヴァ・ヘラス:ギリシャSF傑作選』(フランチェスカ・T・バルビニ/フランチェスコ・ヴァルソ 編、編者代表、竹書房文庫) 2023
レイ・ブラッドベリ
[編集]- 『塵よりよみがえり』 レイ・ブラッドベリ、河出書房新社 2002.10。河出文庫 2005
- 『猫のパジャマ』 レイ・ブラッドベリ、河出書房新社 2008.1。河出文庫 2014、新版2024
- 『万華鏡 ブラッドベリ自選傑作集』 創元SF文庫 2016
- 『何かが道をやってくる【新訳版】』 レイ・ブラッドベリ、創元SF文庫 2023
ロバート・シーゲル
[編集]- 『クジラの歌』(ロバート・シーゲル、東京創元社) 1995.3、改題『歌うクジラ』創元推理文庫 2000
- 『白いクジラ』(東京創元社) 1998.3
- 『世界の果ての氷』(東京創元社) 1998.6
- 『氷海のクジラ』(東京創元社) 2000.8
「コナン全集」
[編集]- 『新訂版コナン全集1 黒い海岸の女王』(ロバート・E・ハワード、宇野利泰共訳、創元推理文庫) 2006.10
- 『新訂版コナン全集2 魔女誕生』(宇野利泰共訳、創元推理文庫) 2006.12
- 『新訂版コナン全集3 黒い予言者』(宇野利泰共訳、創元推理文庫) 2007.3
- 『新訂版コナン全集4 黒河を越えて』(宇野利泰共訳、創元推理文庫) 2007.7
- 『新訂版コナン全集5 真紅の城砦』(創元推理文庫) 2009.3
- 『新訂版コナン全集6 龍の刻』(創元推理文庫) 2013.5 - 各・カバー画は後藤啓介
- 「愛蔵版 コナン全集」
- 『愛蔵版 英雄コナン全集1 風雲篇』(宇野利泰共訳、新紀元社) 2022.6
- 『愛蔵版 英雄コナン全集2 征服篇』(宇野利泰共訳、新紀元社) 2022.10
- 『愛蔵版 英雄コナン全集3 降魔篇』(宇野利泰共訳、新紀元社) 2023.7
- 『愛蔵版 英雄コナン全集4 覇王篇』(新紀元社) 2024.8 - 各・全面改稿、資料新訳、カバー画は寺田克也
編訳
[編集]- 「20世紀SF」全6巻(山岸真共編、河出文庫) 2000 - 2001
- 『20世紀SF1 1940年代 星ねずみ』
- 『20世紀SF2 1950年代 初めの終わり』
- 『20世紀SF3 1960年代 砂の檻』
- 『20世紀SF4 1970年代 接続された女』
- 『20世紀SF5 1980年代 冬のマーケット』
- 『20世紀SF6 1990年代 遺伝子戦争』
- 『影が行く ホラーSF傑作選』(創元SF文庫) 2000.8
- 『不死鳥の剣 剣と魔法の物語傑作選』(河出文庫) 2003.3
- 『フェッセンデンの宇宙』(エドモンド・ハミルトン、河出書房新社) 2004.4、増補・河出文庫 2012
- 『願い星、叶い星』(アルフレッド・ベスター、河出書房新社) 2004.10
- 『イヴのいないアダム』(創元SF文庫) 2017、2編を追加・改題
- 『ふたりジャネット』(テリー・ビッスン、河出書房新社) 2004.2
- 『反対進化』(エドモンド・ハミルトン、創元SF文庫) 2005.3
- 『眠れる人の島』(エドモンド・ハミルトン、創元SF文庫) 2005.12
- 『ページをめくれば』(ゼナ・ヘンダースン、編、安野玲, 山田順子訳、河出書房新社) 2006.2
- 『地球の静止する日 SF映画原作傑作選』(創元SF文庫) 2006.3
- 『悪魔の薔薇』(タニス・リー、編、安野玲, 市田泉共、河出書房新社) 2007.9
- 『千の脚を持つ男 怪物ホラー傑作選』(創元SF文庫) 2007.9
- 『太陽系最後の日 ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク1』(編、浅倉久志他訳、ハヤカワ文庫) 2009.5
- 『90億の神の御名 ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 2』(編、浅倉久志他訳、ハヤカワ文庫) 2009.7
- 『洋梨形の男』(ジョージ・R・R・マーティン、河出書房新社) 2009.9
- 『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』(編、創元SF文庫) 2009.10
- 『メデューサとの出会い ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 3』(編、浅倉久志他訳、ハヤカワ文庫) 2009.10
- 『跳躍者の時空』(フリッツ・ライバー、編、河出書房新社) 2010.1
- 『平ら山を越えて』(テリー・ビッスン、編訳、河出書房新社) 2010.9
- 『ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)』(編、浅倉久志他訳、ハヤカワ文庫) 2010.9
- 『時を生きる種族 ファンタスティック時間SF傑作選』(編、創元SF文庫) 2013.7
- 『黒い破壊者 宇宙生命SF傑作選』(A・E・ヴァン・ヴォークト, R・F・ヤング他、編、創元SF文庫) 2014.11
- 『街角の書店 : 18の奇妙な物語』(F・ブラウン, S・ジャクスン他著、編、創元推理文庫) 2015
- 『失われた者たちの谷 : ハワード怪奇傑作集』(ロバート・E・ハワード、編訳、アトリエサード、ナイトランド叢書) 2015
- 『夜の夢見の川 : 12の奇妙な物語』(シオドア・スタージョン, G・K・チェスタトン他、創元推理文庫) 2017.4
- 『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』(シオドア・スタージョン, フリッツ・ライバー他、竹書房文庫) 2017.8
- 『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』(シェルドン・テイテルバウム他、竹書房文庫) 2020.9
脚注
[編集]- ^ 中村融『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』編者あとがき(2021年2月11日閲覧)
- ^ @sfwjのtweet(2021年4月12日)
外部リンク
[編集]- SFスキャナー・ダークリー - ブログ