若島正
若島 正 わかしま ただし | |
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誕生 | 1952年8月10日(72歳) |
職業 | 英文学者、翻訳家、詰将棋作家、チェス・プロブレム作家 |
国籍 | 日本 |
主題 | 小説 |
主な受賞歴 |
本格ミステリ大賞評論・研究部門(2002年) 読売文学賞随筆・紀行賞(2004年) 塚田賞 看寿賞 |
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若島 正(わかしま ただし、1952年8月10日 - )は、日本の英文学者・翻訳家。京都大学名誉教授。日本ナボコフ協会運営委員。翻訳者としては、ナボコフを専門とするが、SF、ミステリ、ファンタジー、ホラーからB級C級小説までジャンルを問わずマニアである。
略歴
[編集]京都市生まれ。1968年洛星高等学校、1972年京都大学理学部卒。当初は数学者を目指していたが、英米文学に転向し、京都大学文学部英文科卒、同大学院文学研究科修士課程修了。1984年神戸大学教養部助手、1985年専任講師、1987年京大教養部助教授、1992年総合人間学部助教授、1995年文学部助教授、1996年文学研究科助教授、2001年教授。2018年定年退官、名誉教授となる。
人物
[編集]詰将棋作家[1]、チェス・プロブレム作家でもある[2]。中学生の頃から詰将棋の世界にのめりこみ、1966年「詰将棋パラダイス」誌で入選。詰将棋の二大賞である塚田賞を7回、看寿賞を9回それぞれ受賞。詰将棋作家の親睦団体「創棋会」の会長も務めた。
チェス・プロブレム作家としては、チェス・プロブレム専門誌 "Problem Paradise" 編集長。日本チェスプロブレム協会会長。『NPOチェス将棋交流協会』理事長。チェス・プロブレムを解く世界大会の日本代表でもあり、チェス・プロブレムの解答者として、最高資格の「グランド・マスター」に次ぐ「インターナショナル・マスター」の資格を、1997年に日本人で初めて獲得。世界ランキング8位にまでなった。プロブレム創作の国際審査員(フェアリー作局限定)でもある。
また、チェス・プロブレムの解答選手権をヒントに、2004年から『チェス将棋交流協会』主宰で「詰将棋解答選手権」を創設した[3]。実行委員長であったため[3]、自らは出場していなかったが、2014年には初めて選手として出場。久保利明や広瀬章人などのトッププロや、宮田敦史や船江恒平などの歴代優勝者を抑えて、61歳で初優勝(最年長記録)した[3]。
『将棋世界』昭和63年4月号にて、詰将棋初級編(3手・5手詰)40題をどれだけ早く解けるかを競う「タイムトライアル112」にトッププロに混じって参加した際には、トッププロの倍のスピードで解答し、2分29秒で1位であった(谷川4分21秒、森内4分26秒、村山4分39秒、羽生4分40秒、佐藤4分59秒、田中5分28秒、浦野5分48秒、清水女流7分55秒、塚田8分35秒、沼15分20秒、山田女流22分52秒)。
指将棋でも、1975年にアマチュアの全国大会の一つである、赤旗名人戦で優勝したことがある。同1975年から将棋観戦記者としても活躍。1982年には、第六回読売アマ日本一決定戦の決勝で、真剣師といわれた小池重明と戦って敗れている。この対戦は『真剣師小池重明 疾風三十一番勝負』(団鬼六・宮崎国夫、1996年、幻冬舎、ISBN 978-4877281168) に描かれている。
また、「葵」の名義で読売新聞の将棋観戦記を執筆した。2005年には将棋ペンクラブ大賞選考委員も務めた。
2023年、『黄金虫変奏曲』(リチャード・パワーズ著)の翻訳により、森慎一郎とともに、第9回日本翻訳大賞・最終候補。
竹本健治が創設した変格ミステリ作家クラブの会員[4]。
著書
[編集]単著
[編集]- 『盤上のパラダイス 詰将棋マニアのおかしな世界』(三一書房) 1988年/増訂版(河出文庫) 2023年 - 詰将棋ファンが長年に渉って制作している同人誌『詰将棋パラダイス』の歴史を扱う。
- 『華麗な詰将棋 盤上のラビリンス』(光文社文庫) 1993年
- 『盤上のファンタジア 若島正詰将棋作品集』(河出書房新社) 2001年、新装版 2017年
- 『盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集』(河出書房新社) 2019年 - 将棋ペンクラブ大賞技術部門大賞[1]
- 『詳解 詰将棋解答選手権 チャンピオン戦 2004~2019』(マイナビ出版) 2020年
- 『詳解 詰将棋解答選手権 初級・一般戦 2009~2019』(マイナビ出版) 2020年
- 『詰将棋の誕生 『詰むや詰まざるや』を読み解く』(平凡社) 2024年8月
- 以下は文学関連
- 『乱視読者の冒険 奇妙キテレツ現代文学ランドク講座』(自由国民社、読書の冒険シリーズ) 1993年
- 『乱視読者の帰還』(みすず書房) 2001年 - 本格ミステリ大賞受賞(評論・研究部門)
- 『乱視読者の英米短篇講義』(研究社) 2003年 - 第55回読売文学賞受賞(随筆・紀行部門)[2]
- 『乱視読者の新冒険』(研究社) 2004年
- 『殺しの時間 乱視読者のミステリ散歩』(バジリコ) 2006年
- 『ロリータ、ロリータ、ロリータ』(作品社) 2007年
- 『乱視読者のSF講義』(国書刊行会) 2011年
共著
[編集]監修
[編集]- 『将棋ファンにも楽しめる初めてのチェス1手・2手詰集』(監修、湯川博士著、山海堂) 2003年
責任編集(横山茂雄と編者代表)<ドーキー・アーカイヴ>全10巻予定
[編集]- 『虚構の男』(L・P・デイヴィス、矢口誠訳、国書刊行会) 2016年5月
- 『人形つくり』(サーバン、館野浩美訳、国書刊行会) 2016年5月
- 『鳥の巣』(シャーリイ・ジャクスン、北川依子訳、国書刊行会) 2016年11月
- 『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』(マイクル・ビショップ、小野田和子訳、国書刊行会) 2017年11月
- 『さらば、シェヘラザード』(ドナルド・E・ウェストレイク、矢口誠訳、国書刊行会) 2018年6月
- 『死者の饗宴』(ジョン・メトカーフ、横山茂雄・北川依子訳、国書刊行会) 2019年5月
- 『アフター・クロード』(アイリス・オーウェンス、渡辺佐智江訳、国書刊行会) 2021年9月
- 『缶詰サーディンの謎』(ステファン・テメルソン、 大久保譲訳、横山茂雄と編・監修、国書刊行会) 2024年9月
編訳書
[編集]- 『海を失った男』(シオドア・スタージョン、晶文社) 2003年、河出文庫 2008年
- 『アジアの岸辺』(トマス・M・ディッシュ、浅倉久志ほか共訳、国書刊行会) 2004年
- 『ベータ2のバラッド』(サミュエル・R・ディレイニーほか、国書刊行会) 2006年
- 『狼の一族 アンソロジー / アメリカ篇』(早川書房、異色作家短篇集18) 2007年
- 『棄ててきた女 アンソロジー / イギリス篇』(早川書房、異色作家短篇集19) 2007年
- 『エソルド座の怪人 アンソロジー / 世界篇』(早川書房、異色作家短篇集20) 2007年
- 『〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ』(シオドア・スタージョン、小鷹信光,霜島義明,宮脇孝雄共訳)、河出書房新社、2007年、河出文庫 2010年
- 『モーフィー時計の午前零時』(国書刊行会) 2009年 - チェス小説のアンソロジー
- 『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』(沼野充義と共編、研究社) 2011年
- 『アップダイクと私 アップダイク・エッセイ傑作選』(ジョン・アップダイク、編訳、森慎一郎共訳、河出書房新社) 2013年
- 『ベスト・ストーリーズI ぴょんぴょんウサギ球』(編訳、早川書房) 2015年
- 『ベスト・ストーリーズII 蛇の靴』(編訳、早川書房) 2016年
- 『ベスト・ストーリーズIII カボチャ頭』(早川書房) 2016年
訳書
[編集]- 『わが家の武器庫』(ポール・セロー、喜志哲雄共訳、講談社) 1988年
- 『マイクロチップの魔術師』(ヴァーナー・ヴィンジ、新潮文庫) 1989年
- 『幻想と文学』(エリック・S・ラブキン、東京創元社) 1989年
- 『ゴースト・ストーリー』上・下(ピーター・ストラウブ、ハヤカワ文庫) 1994年
- 『「志向姿勢」の哲学 人は人の行動を読めるのか?』(ダニエル・C・デネット、河田学共訳、白揚社) 1996年
- 『ハイパーテクスト 活字とコンピュータが出会うとき』(ジョージ・P・ランドウ、板倉厳一郎,河田学共訳、ジャストシステム) 1996年
- 『完全チェス読本』 (1)・(3)(マイク・フォックス / リチャード・ジェイムズ、毎日コミュニケーションズ) 1998年。(2)は松田道弘訳
- 『告発者』(ジョン・モーティマー、早川書房) 1999年
- 『アラビアン・ナイトメア』(ロバート・アーウィン、国書刊行会) 1999年
- 『ガラテイア2.2』(リチャード・パワーズ、みすず書房) 2001年
- 『壜の中の手記』(ジェラルド・カーシュ、晶文社) 2002年、新編(角川文庫) 2006年
- 『どんがらがん』(アヴラム・デイヴィッドスン、殊能将之編)、河出書房新社 2005年、河出文庫 2014年
- 『エドマンド・ウィルソン批評集 (2) 文学』(エドマンド・ウィルソン、中村紘一,佐々木徹共訳、みすず書房) 2005年
- 『煙に巻かれて』(ギリェルモ・カブレラ=インファンテ、青土社) 2006年
- 『蒸気駆動の少年』(ジョン・スラデック、柳下毅一郎編、河出書房新社) 2008年
- 『ボビー・フィッシャーを探して』(フレッド・ウェイツキン、みすず書房) 2014年
- 『私のカトリック少女時代』(メアリー・マッカーシー、河出書房新社、須賀敦子の本棚7) 2019年
- 『愛なんてセックスの書き間違い』(ハーラン・エリスン、渡辺佐智江共訳、国書刊行会、未来の文学) 2019年
- 『黄金虫変奏曲』(リチャード・パワーズ、森慎一郎共訳、みすず書房) 2022年
ウラジーミル・ナボコフ
[編集]- 『ディフェンス』(ウラジーミル・ナボコフ、河出書房新社) 1999年、新装版 2008年。河出文庫 2022年
- 『透明な対象』(ナボコフ、中田晶子共訳、国書刊行会) 2002年
- 『ナボコフ=ウィルソン往復書簡集』(中村紘一共訳、作品社) 2004年
- 『ロリータ』(ナボコフ、新潮社) 2005年、新潮文庫 2006年(大江健三郎解説)。新潮社「ナボコフ・コレクション5」 2019年
- 『ローラのオリジナル』(ナボコフ、作品社) 2011年
- 『ナボコフ全短篇』(作品社、2011年)
- 『記憶よ、語れ 自伝再訪』(ナボコフ、作品社) 2015年
- 『新訳版 アーダ』上・下(ナボコフ、早川書房) 2017年
雑誌連載
[編集]- 「殺しの時間」(『ハヤカワ・ミステリマガジン』1991年 - 1995年)
- 「失われた小説を求めて」(『ハヤカワ・ミステリマガジン』1996年 - 2000年)
- 「乱視読者のSF短篇講義」(『S-Fマガジン』)
- 「乱視読者の小説千一夜」(『S-Fマガジン』)
- 「夢想の研究」(『詰将棋パラダイス』2014年8月号 - )
- 「乱視読者の読んだり見たり」(『紙魚の手帖』vol.02 DECEMBER 2021 - )
脚注
[編集]- ^ a b “若島正さん作品集、将棋ペンクラブで大賞 詰め将棋で新境地開く:中日新聞Web”. 中日新聞Web. 2022年4月13日閲覧。
- ^ a b “若島正 | 著者プロフィール”. www.shinchosha.co.jp. 新潮社. 2022年4月13日閲覧。
- ^ a b c “作者の名は「藤井聡太」でSNSざわつく…藤井二冠と斎藤慎太郎八段「年1度の詰将棋」がつないだ美しき関係(諏訪景子)”. Number Web - ナンバー. 2022年4月13日閲覧。
- ^ https://henkakumystery.hatenablog.com/entry/2021/08/21/224516