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森の情景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
予言の鳥から転送)
『森の情景』作品82
ドイツ語: Waldszenen, op.82
ジャンル ピアノ独奏曲集
作曲者 ロベルト・シューマン

森の情景』(もりのじょうけいWaldszenen)作品82は、ロベルト・シューマンが作曲した全9曲からなるピアノ独奏曲集。

ロマン主義においては森林が重要な要素のひとつであるが(ドイツの森ドイツ語版英語版)、シューマンのピアノ曲で森を題材にしたものはこの作品のみである[2]西原稔は作曲にあたってのヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフからの影響を指摘している[2]

曲の構成

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第3曲「寂しい花」の自筆譜

各曲が変種調(変記号の調性)を主調にしているのが特徴であり、作曲当時は各曲に短い詩が載せられていたが、出版に際して第4曲以外の詩が除かれた。予定されていた詩はそれぞれ、第1曲と第9曲がグスタフ・プファリウスドイツ語版の『森の歌』(Waldlieder)、第2曲と第8曲がハインリヒ・ラウベ英語版の『狩の文集』(Jagdbrevier)、第7曲はアイヒェンドルフの『詩集』から「薄明」(Zwielicht, 「リーダークライス」作品39の第10曲に用いられた)、からの抜粋である[3]

  1. 森の入口Eintritt
    4/4拍子変ロ長調
    「急速でなく(Nicht zu schnell)」と指示された三部形式の曲。静かにゆったりと森に足を踏み入れる気分が巧妙に描かれている。
  2. 待ち伏せる狩人Jäger auf der lauer
    4/4拍子、ニ短調
    「最高に生き生きと(Höchst lebhaft)」と指示された序奏と二部形式からなる曲。
  3. 寂しい花Einsame Blumen
    2/4拍子、変ロ長調。
    「単純に(Einfach)」と指示された曲。タイトルの「Blumen」は複数形であることから、対話風の書法を織り込んだ優雅な趣をもっている。冒頭の中心動機は他の曲でも用いられ、曲集の核となる[1]
  4. 気味の悪い場所Verrufene Stelle
    4/4拍子、ニ短調。
    「かなりゆっくりと(Ziemlich langsam)」と指示されたこの曲の冒頭部分には、ドイツの詩人フリードリヒ・ヘッベルの詩が掲げられており、曲は晩年のシューマンの怪異さと暗さを示す典型的なものといえる。
  5. なつかしい風景Freundliche Landschaft
    2/4拍子、変ロ長調。
    「急速に(Schnell)」と指示された三部形式の曲。
  6. 宿屋Herberge
    4/4拍子、変ホ長調
    「モデラート(Mässig)」と指示された三部形式の曲。
  7. 予言の鳥Vogel als Prophet
    4/4拍子、ト短調
    「ゆるやかに、きわめて柔かに(Langsam, sehr zart)」と指示されており、全曲中最も有名な曲。
  8. 狩の歌Jagdlied
    6/8拍子、変ホ長調。
    「急速に、力強く(Rasch kräftig)」と指示された三部形式の曲。この曲集の中で唯一複合拍子で書かれている。
  9. 別れAbschied
    4/4拍子、変ロ長調。
    「急がずに(Nicht schnell)」と指示された長い結尾を持つ三部形式の曲。「別れ」というタイトルだが、森を去って元の場所へ帰ることであり、感傷味や淋しさをみせない。

出典

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  1. ^ a b シューマン全ピアノ作品の研究 下 pp.310-311
  2. ^ a b シューマン全ピアノ作品の研究 下 pp.306-307
  3. ^ シューマン全ピアノ作品の研究 下 pp.307-309

参考文献

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外部リンク

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音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
Schumann Waldszenen - イェルク・デームスによる演奏。YouTube。
音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
R. Schumann Waldszenen, op. 82 - Georgy Tchaidze による演奏。奏者公式YouTube。