二十歳の原点
二十歳の原点 | ||
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著者 | 高野悦子 | |
イラスト | 杉浦康平 | |
発行日 | 1971年5月10日 | |
発行元 | 新潮社 | |
ジャンル | 日記 | |
国 | 日本 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 200 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『二十歳の原点』(にじゅっさいのげんてん[注 1])は、1971年(昭和46年)に新潮社から発行された高野悦子による日記。およびそれを原作とした映画。2009年(平成21年)4月にカンゼンから「新装版」が発行された。
概要
[編集]1969年1月2日(大学2年)から同年6月22日(大学3年)までの、立命館大学での学生生活を中心に書かれている。理想の自己像と現実の自分の姿とのギャップ、青年期特有の悩みや、生と死の間で揺れ動く心、鋭い感性によって書かれた自作の詩などが綴られている。
学生運動が盛んだった1960年代末期を代表する作品であり、現在でも取り上げられることが多い。
出版までの経緯
[編集]高野の自殺後、彼女の下宿先を訪れた遺族が、十数冊の大学ノートに書かれた日記を発見した。日記は父親の手によりまとめられ、同人誌『那須文学』に掲載。後に新潮社より発売されベストセラーになった。その後、より若い頃の日記をまとめた『二十歳の原点序章』『二十歳の原点ノート』も刊行された。
タイトルの由来
[編集]当時の成人の日である1月15日に書いた、「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」という一節から取られている。
内容
[編集]日記は高野が20歳の誕生日を迎えた1969年1月2日から始まっている。学生運動・失恋・人間関係での葛藤と挫折が記され、自殺2日前の6月22日まで続いている。
「旅に出よう」
[編集]6月22日の最後の日記の最後に、「旅に出よう」で始まる詩が書かれている。運命を暗示するかのような象徴的な内容、高い完成度などから、作品中でも特に印象に残る静謐な一篇とされている。
出版
[編集]- 『二十歳の原点』(新潮社、1971年5月、絶版)
- 『二十歳の原点』(新潮文庫、1979年5月、改版2003年5月、解説吉行理恵)ISBN 978-4-10-118301-5
- 『二十歳の原点 新装版』(カンゼン、2009年4月)、ISBN 978-4-86255-032-3
- ※巻末に、新潮社版の単行初版に収録された、著者の父親による解説・後書きとも言うべき「失格者の弁」を再録
映画
[編集]原作をモチーフにしているが、登場人物・事実関係は脚色している。1973年10月公開。DVDやビデオは発売されていない。
スタッフ
[編集]- 監督:大森健次郎
- 企画:小林八郎
- 製作:金子正旦
- 製作担当者:内山甲子郎
- 脚本:重森孝子、森谷司郎
- 撮影:中井朝一
- 音楽:小野崎孝輔
- 美術:樋口幸男
- 録音:原島俊夫
- 照明:羽田昭三
- 整音:西尾昇
- 編集:山地早智子
- 監督助手:松沢一男
- スクリプター:橋山直己
出演
[編集]高野の家族には仮名が用いられている(原作では実名)。友人・アルバイト先の人々は、原作の仮名そのままである。
- 高野悦子:角ゆり子
- 高野昌彦:鈴木瑞穂
- 高野妙子:福田妙子
- 高野芳子:高林由紀子
- 高野昌男:丹波義隆
- 渡辺:大門正明
- 鈴木:地井武男
- 中村:富川澈夫
- 牧野:川島育恵
- 松田:津田京子
- 下宿のおばさん:京千英子
- 「ろくよう」のマスター:北浦昭義
- ウェイトレス:渡辺ふみ子
- ウェイトレス:八木啓子
- 外人客:モーデン・ティム
サウンドトラック
[編集]- 四人囃子『ある青春/二十歳の原点』(オリジナルLP盤は1973年、2002年に『二十歳の原点(+2)』というタイトルでCD盤再発)
他作品での引用・影響
[編集]- 「チェーン・ポイズン」(本多孝好)- 自殺志願者が同書を手に取る描写がある。
- 「ハタチの原点―仕事、恋愛、家族のこれから」(阿部真大)- 特に本文中での引用は無いが、タイトルの元ネタが本作である。
- ブロガーのちきりんが大きな影響を受けたと述べており、11歳の時に本作をきっかけに日記をつけ始めた。ブログ「Chikirinの日記」はこの延長であり、そのためタイトルに「日記」とついている[2]。
- 舞台「アカシアの雨が降る時」(作・演出:鴻上尚史) - 作中で重要なモチーフとして扱われ、本書から複数の引用がなされている
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “高野悦子『二十歳の原点』”. 新潮社. 2014年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月28日閲覧。
- ^ Hidden agenda 2011年2月10日 Chikirinの日記