二木幸生

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ふたつぎ ゆきお

二木 幸生
生誕 1970年(53 - 54歳)
兵庫県神戸市
国籍 日本人
職業 ゲームクリエイター
団体 グランディング
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二木 幸生(ふたつぎ ゆきお、1970年 - )は、日本のゲームクリエイターセガサターン用ソフト『パンツァードラグーン』、『パンツァードラグーン ツヴァイ』、『AZEL -パンツァードラグーン RPG-』や、Xboxの『ファントムダスト』のディレクターを務めたことで知られている。『クリムゾンドラゴン英語版』などのゲームを開発したグランディング代表取締役である[1]

略歴[編集]

神戸で育ち、神戸の高校に通った。 小学校時代にサンフランシスコで1年間過ごしたとき、ポンスペースインベーダーなどのゲームの虜になり、後に他の趣味である映画製作よりもビデオゲームのキャリアを追求することを選んだ。これについて二木は、「自分の人生をかけるならば、当時斜陽産業と言われていた映画業界に行くよりも、将来的に大きな可能性を秘めたゲーム業界に行きたいとその時に思いました[2]」と語っている。彼は筑波大学に通い、コンピューターサイエンスの学位を取得した[3]。 1991年に大学を卒業し、セガに就職した。2年間ほど「単調な仕事」をこなした後、『パンツァードラグーン』の開発を提案した。セガ側が承認したため、提案者として開発責任者となり、1995年のセガサターンの販売開始までに開発することが目標となった[3]。元々シューティングゲーム及びレースゲームの開発を許可されていて、レースゲームとして作ることを考えていたが、『ゲイルレーサー』に開発許可が与えられたため、シューティングゲームとしての開発を余儀なくされた[4]。当時AM2研が開発していた『バーチャファイター』で、ポリコンで作られたキャラクターのやわらかい動きを見て、「これだ!」と感じたという[5]。また、元々は乗り物として車を使う予定だったが、開発チームで何に乗ってみたいか話し合い、自機がドラゴンに決定した[6]。制作中、二木は『スターブレード』に大きな影響を受けた[4]

『パンツァードラグーン』のヒットを受け、開発チームは続編である『パンツァードラグーン ツヴァイ』と『AZEL -パンツァードラグーン RPG-』の同時制作に取り掛かった[7][8]

『AZEL -パンツァードラグーン RPG』の発売後、二木はセガを退職した。コナミに就職し、『RING of RED』の開発にかかわった後、SIEジャパンスタジオに転職し、PlayStation 2のゲーム『げんしのことば』を開発した。その後二木はマイクロソフトに転職し、ゲーム『ファントムダスト』を提案。開発ディレクターとなり、2004年にXbox用ソフトとして発売した[3]。発売後、二木はデザインマネージャーとなり、Xbox 360初期に開発されたゲームが日本での発売に適切か判断した[9]。2013年11月、『ファントムダスト』の続編への考えがあり、マイクロソフトが要請したら開発すると言及していた[10]。彼はKickstarterを使って資金を集めることに興味を示していたが、地理的な制限によって実現しなかった[11]

グランディング[編集]

2007年、二木は株式会社グランディングを共同設立。同社の最初のゲームとして、Wiiウェアの『あそべる絵本 とびだスゴロク!英語版』とDSiウェア用の『あそべる絵本 マインド テン』をリリース[12][13]。その他、3DS用の『ひらり 桜侍』など、数多くゲームをリリースした[12][14]

2010年、二木は、グランディングがXbox 360Kinectを利用したゲームを開発中であると発表[15][16]。このゲームは後に『クリムゾン ドラゴン英語版』と名付けられ、一部はパンツァードラグーンの後継のようなものであると言った[17]Xbox 360へのリリースを断念するなど、予定よりも少々遅れたが、2013年11月22日、Xbox One用に発売が開始された[18][19]。二木は、RPGの続編を作るため、このゲームが成功することを望んでいた。また、『パンツァードラグーン』を高画質でリメイクしたいとも発言した[20]

二木曰く、グラウンディングは同社のゲームの結果として任天堂・マイクロソフトの両方と良好な関係を築いており、モバイルゲームでの仕事や、任天堂と再び協力することに興味がある[21]。二木は、自分の経歴を振り返り、「前は全ての事を自分だけでやりたいと思っていたが、周りの人の才能を頼って、総和を上回るものを作った方が良いと学んだ」と発言した[3]

2018年、グランディングは、末広秀隆の『グッドライフ英語版』の開発に参加することを発表した。その後Kickstarterキャンペーンを始め、2021年10月15日に発売された[22]。2020年9月、Apple Arcade で『ワールズエンドクラブ』がリリースされ、翌年5月にNintendo Switch対応版の発売も開始された。

脚注[編集]

  1. ^ Company Info”. グランディング. 2022年10月29日閲覧。
  2. ^ “ゲームを作りたい人が幸せになれる会社”グランディング株式会社の開発技術力と、求められる人物像に迫ります!”. GAME CREATORS (2021年4月5日). 2022年9月14日閲覧。
  3. ^ a b c d Robson (2013年4月8日). “Flying through life: Meet the man behind Panzer Dragoon”. Eurogamer. 2013年8月30日閲覧。
  4. ^ a b Minotti, Mike (2019年3月22日). “The RetroBeat: 5 fun facts about Panzer Dragoon’s creation”. VentureBeat. https://venturebeat.com/2019/03/22/the-retrobeat-5-fun-facts-about-panzer-dragoons-creation/ 2019年8月11日閲覧。 
  5. ^ 「無謀な挑戦がゲームという文化を成長させてきたんだと思っています」――『パンツァードラグーン』シリーズの開発秘話が語られた、二木幸生氏&吉田謙太郎氏セッションリポート【GDC 2019】”. ファミ通. 2019年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月14日閲覧。
  6. ^ Cork (2013年7月3日). “Riding Dragons – A Talk With Grounding's Yukio Futatsugi”. Game Informer. 2013年8月30日閲覧。
  7. ^ Robson (2013年4月8日). “Flying through life: Meet the man behind Panzer Dragoon”. Eurogamer. 2013年8月30日閲覧。
  8. ^ Mielke (2007年9月11日). “Panzer Dragoon Zwei Sega Saturn Retrospective”. 1UP.com. 2013年8月30日閲覧。
  9. ^ Mielke (2007年9月7日). “Yukio Futatsugi Speaks”. 1UP.com. 2013年8月30日閲覧。
  10. ^ Hale (2013年11月14日). “Yukio Futatsugi Wants Phantom Dust II, Talks Xbox One in Japan”. Hardcore Gamer. 2013年11月28日閲覧。
  11. ^ Sinclair, Brendan (2013年6月15日). “Phantom Dust Creator Wants to Kickstart a Sequel”. USGamer. https://www.usgamer.net/articles/phantom-dust-creator-wants-to-kickstart-a-sequel 2019年8月31日閲覧。 
  12. ^ a b Robson (2013年4月8日). “Flying through life: Meet the man behind Panzer Dragoon”. Eurogamer. 2013年8月30日閲覧。
  13. ^ Mielke (2007年9月7日). “Yukio Futatsugi Speaks”. 1UP.com. 2013年8月30日閲覧。
  14. ^ Parish, Jeremy (2017年5月29日). “Grounding Introduces Beat Legion, the Secret Successor to Phantom Dust”. USGamer. https://www.usgamer.net/articles/grounding-introduces-beat-legion-the-secret-successor-to-phantom-dust 2019年8月31日閲覧。 
  15. ^ Yoon (2010年9月15日). “Project Draco brings dragons to Kinect in 2011”. Joystiq. 2013年8月30日閲覧。
  16. ^ Sheffield (2011年12月19日). “From Panzer To Draco: Yukio Futatsugi Speaks”. Gamasutra. 2013年12月30日閲覧。
  17. ^ Dyer (2012年2月27日). “Project Draco Becomes Crimson Dragon”. IGN. 2013年8月30日閲覧。
  18. ^ Mitchell (2013年6月18日). “Crimson Dragon is Panzer Dragoon with a side of laser-gravy”. Joystiq. 2013年8月30日閲覧。
  19. ^ Robinson (2013年11月21日). “Crimson Dragon review”. Eurogamer. 2013年12月29日閲覧。
  20. ^ Cook (2013年6月18日). “Crimson Dragon: Panzer Dragoon creator hopes to make RPG sequel”. VG247. 2013年8月30日閲覧。
  21. ^ Cook (2013年9月20日). “Panzer Dragoon creator: "Microsoft has been great to us", keen to work with Nintendo again”. VG247. 2013年12月30日閲覧。
  22. ^ The Good Life on Steam” (英語). store.steampowered.com. 2021年10月15日閲覧。