円卓 (小説)
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円卓 | ||
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著者 | 西加奈子 | |
発行日 | 2011年3月5日 | |
発行元 | 文藝春秋 | |
ジャンル |
長編小説 ユーモア | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判上製本 | |
ページ数 | 192 | |
公式サイト | books.bunshun.jp | |
コード |
ISBN 978-4-16-329980-8 ISBN 978-4-16-786101-8(文庫判) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『円卓』(えんたく)は、西加奈子による日本の小説。『別冊文藝春秋』(文藝春秋)にて2010年9月号・11月号・2011年1月号に連載、2011年3月5日に文藝春秋より刊行された。家族に愛されながらも、不満ばかりが募り、「孤独」を愛する小学3年生の琴子(通称:こっこ)が、ひと夏を通じて成長していく物語。
及びそれを原作とし、2014年6月21日より東宝系で公開の日本映画。
あらすじ
[編集]この作品記事はあらすじの作成が望まれています。 |
登場人物
[編集]渦原家
[編集]祖父(68歳)、祖母(72歳)、父(35歳)、母(39歳)、三つ子の姉(14歳)と琴子の8人家族。公団住宅のB棟の3階に住んでいる。六畳の居間には、駅前の潰れた中華料理店「大陸」から譲り受けた深紅の円卓(ターンテーブル)がある。
- 渦原 琴子(うずはら ことこ)
- 家族全員から愛される、本作の主人公。3年2組。好きな言葉は「孤独」。公団住宅の3階に住んでおり、賑やかな家族にしばしば辟易し孤独に過ごしたい、「可哀想」な状況に置かれたい気持ちに駆られる。「あの三つ子の妹」と呼ばれることが何よりも嫌い。
- 石太とぽっさん以外は皆「こっこ」と呼ぶが、男子からは「こけこっこ」などとからかわれる。
- 初めて聞いた言葉をノートに書き留めるなど知識の吸収に貪欲で賢いところもあるが、口癖は「うっさいボケ!」で、キレると手がつけられないと学級内では有名。
- 渦原 理子(うずはら りこ)・眞子(まこ)・朋美(ともみ)
- 琴子の三つ子の姉。14歳。美人。理子はバスケ部に、眞子はソフトボール部に、朋美は手芸部に所属している。琴子が大好き。
- 渦原 寛太(うずはら かんた)
- 琴子の父。35歳。便利屋で働いている。学生時代はラグビーの選手として活躍した。左上腕部に、若気の至りで入れた碇のマークの入れ墨がある。7人きょうだいの末っ子。琴子を天使のように可愛がる。
- 渦原 詩織(うずはら しおり)
- 琴子の母。学生ラグビーのチアリーダーをしていた。寛太とは合コンで知り合った。琴子が可愛くて仕方がない。豪快ながら美味しい料理を作る。
- 渦原 紙子(うずはら かみこ)
- 琴子の祖母。8人きょうだいの長女で、早くに亡くなった母に代わり、弟妹の世話に追われながらも、皆を成人させた後、30歳で結婚した。その後、7人を年子で出産した。琴子を目に入れても痛くないほど可愛がる。石太曰わく、デリカシーがない。
- 渦原 石太(うずはら いした)
- 琴子の祖父。頑固でひねくれ者。活字が大好きで、印刷工になった。詩織と紙子の相性が良いため、末っ子の寛太と同居している。
- 琴子が家族の中で唯一尊敬している人物。
登北(のぼきた)小学校3年2組
[編集]- 香田 めぐみ(こうだ めぐみ)
- 琴子が憧れるクラスメイト。年齢の割に言動が大人びているため、男女問わず人気がある。
- ジビキ
- 3年2組の担任教諭。31歳。学生時代から付き合っている彼女がいる。
- ぽっさん
- 琴子の新生児の時からの幼なじみで、同じ公団住宅のC棟の3階に住んでいる。両親と5歳年上の兄との4人家族。吃音症であるが、その独特のリズムの話し方に琴子は憧れる。七福神の一人、寿老人が大好きで、彼が持っている杖を欲しがっている。
- 横山 セルゲイ(よこやま セルゲイ)
- 琴子の隣の席の男子。ロシアと日本のハーフ。女子から大変人気がある。
- 幹 成海(みき なるみ)
- 琴子の前の席の女子。琴子とは1年生の頃から同じクラス。おかっぱ頭で黒目がちの丸い目をしている。
- 鼻糞鳥居(はなくそとりい)
- いつも鼻糞をほじっては机の縁に付け、女子から嫌われている。
- 菅原 ありす(すがわら ありす)
- 幹成海の前の席の女子。ホルモンの病気で既に生理がある。
- ゴックん(グウェン・ヴァン・ゴック)
- ベトナム人。両親は在日ベトナム難民。ボートピープルとして出航し、日本海沖で転覆したところを日本の漁船に助けられた。駅前でベトナム料理店「ハナ」を経営する。日本で生まれ育ったため、日本語しか話せない。
- ちゅーやん(矢内)
- 父親は有名家電量販店カネホシ電機の社長で、母親はその愛人。
- 朴 圭史(パク けいし / 朝鮮語読み:ギュサ)
- 学級委員。大学教授の父・秀然(スーヨン)は現在、女子学生と関係があった廉で休職中で、更に母・朋美(ともみ / ブンミ)に家を追い出され別居中である。左目の下に知床半島のような痣がある美少年。大人びた優等生。
その他
[編集]- 玉坂(たまさか)
- 登北西中学校手芸部の部長。四角いアナログ時計のような顔。割烹着に不死鳥の、晴雨兼用傘に十一面観音像の刺繍を見事に施し、「姑」というあだ名を付けられている。
- 森上(もりがみ)
- 登北西中学校生徒。理子の彼氏。男子バスケ部。阿呆だがイケメン。
- 竹田 冨美枝(たけだ とみえ)
- A棟の1階に住む、スナック「きさらぎ」に勤める女性。
- 沢(さわ)
- 登北小学校保健教諭。レズビアン。50歳。
書誌情報
[編集]- 円卓(2011年3月5日、文藝春秋、ISBN 978-4-16-329980-8)
- 円卓(2013年10月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-786101-8)
映画
[編集]円卓 こっこ、ひと夏のイマジン | |
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監督 | 行定勲 |
原作 | 西加奈子 |
出演者 |
芦田愛菜 伊藤秀優 青山美郷 入江甚儀 丸山隆平 八嶋智人 羽野晶紀 いしだあゆみ 平幹二朗 |
製作会社 | 「円卓」製作委員会 |
配給 | 東宝映像事業部 |
公開 | 2014年6月21日 |
上映時間 | 113分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(えんたく こっこ、ひとなつのイマジン)が映画版のタイトル。2014年6月21日に[1]全国63スクリーンで公開された[2]。
映画『うさぎドロップ』やテレビドラマ『マルモのおきて』で主演を務めてきた芦田愛菜は単独としては映画初主演[3]。これまでピュアな役どころが多かった[4]芦田が本作では、偏屈で口が悪く、関西弁で毒づく少女役を演じる。
ぴあによる6月20日、21日公開映画初日満足度調査で1位を獲得している[5]。
キャスト
[編集]- 渦原 琴子 - 芦田愛菜
- 渦原 寛太 - 八嶋智人
- 渦原 詩織 - 羽野晶紀
- 渦原 理子・眞子・朋美 - 青山美郷
- 森上 - 入江甚儀
- ジビキ - 丸山隆平
- 渦原 石太 - 平幹二朗
- 渦原 紙子 - いしだあゆみ
- ぽっさん - 伊藤秀優
- ぽっさんの5つ上の兄さん - 吉田晴登
- 朴くんのお母さん - 中村ゆり
- 朴 圭史 - 古谷聖太
- 香田 めぐみ - 草野瑞季
- ゴックん - 野澤柊
- 幹 成海 - 内田彩花
- 菅原 ありす - 吉岡伽蓮
- たっちん - 藤田更紗
- 鼻糞鳥居 - 向井悠悟
- 横山 セルゲイ- 木村帆尊
- 五年生女子 - 蔵前美郁
- 五年生男子 - 村瀬透和
- 石田先生 - 三浦誠己
- 竹田 富美枝 - 谷村美月
- 鼠人間 - 森山開次
- 野次馬のおっさん - 浜村淳
- みどりのおじさん - 川藤幸三
- リポーター - タージン
- クラスメート
- 江藤 - 佐々木一途
- 玉山詩
- 石原誠剛
- 寺川宗汰
- 福栄新
- 森遥野
- 永田きら
- 徳永風歌
- 岸田雅
- 林卓
- 江上凌平
- 新居明果
- 舘岡和奏
スタッフ
[編集]- 監督 - 行定勲
- 脚本 - 伊藤ちひろ
- 原作 - 西加奈子
- 撮影 - 福本淳
- 美術 - 相馬直樹
- 装飾 - 田中宏[要曖昧さ回避]
- 小道具 - 矢野浩加
- 音楽 - めいなCo.
- 録音 - 伊藤裕規
- 音響効果 - 岡瀬晶彦
- 照明 - 市川徳充
- 編集 - 今井剛
- 衣裳デザイン - 高橋さやか
- ヘアメイク - 倉田明美
- キャスティング - 杉野剛
- 助監督 - 足立博
- スクリプター・記録 - 中西桃子
- SFX・VFXスーパーバイザー - 園川励志
- 制作担当 - 児嶋冬樹
- 制作プロダクション - セカンドサイト、ザフール
- 製作 - 「円卓」製作委員会(讀賣テレビ放送、毎日放送、朝日放送、テレビ大阪、関西テレビ放送、読売新聞社、電通、東宝、ポニーキャニオン、WOWOW、セカンドサイト、ザフール)
- 配給 - 東宝映像事業部
脚注
[編集]- ^ “芦田愛菜の単独初主演映画、タイトル&公開日公表!”. ぴあ映画生活. 2014年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月21日閲覧。
- ^ “「円卓」初日に正装の芦田愛菜&行定勲監督は親子参観!?”. 映画.com (2014年6月21日). 2018年10月30日閲覧。
- ^ 中山雄一朗 (2013年7月26日). “芦田愛菜、映画単独初主演!行定勲監督『円卓』で「うるさい!ぼけ!」と関西弁で毒づく!”. シネマトゥデイ. 2013年11月5日閲覧。
- ^ “芦田愛菜ちゃん、行定勲監督「円卓」で映画初主演 関西弁で毒づきまくる!”. 映画.com (2013年7月26日). 2013年11月5日閲覧。
- ^ “芦田愛菜主演の『円卓…』が満足度第1位に!”. ぴあ映画生活. ぴあ (2014年6月23日). 2014年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月23日閲覧。
外部リンク
[編集]- 『円卓』西 加奈子 - 文藝春秋BOOKS
- 文春文庫『円卓』西 加奈子 - 文藝春秋BOOKS
- 「言葉」がテーマであり主役の小説 - ウェイバックマシン(2013年11月5日アーカイブ分) - 松田哲夫による書評
- かつて子供だった大人たちが忘れてはならない大事なこと - ウェイバックマシン(2013年11月5日アーカイブ分) - 行定勲による書評
- 映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』 - 映画公式サイト。2014年12月17日時点のアーカイブ。
- 忘れてしまう童心をいきいきと描いた映画『円卓』はキャスティングで成功した - CREAWEB