円周率ノート
円周率ノート(えんしゅうりつノート)は、キングジムが制作し、ロフトが販売しているノートの商品名。2017年6月に販売を開始した。
概要
[編集]罫線が円周率の羅列(3.1415926535…)になっていることが特徴のノートである[1]。もともとは没になった商品だったが、円周率の日である2017年3月14日にTwitterに投稿したところ、商品化を望む声が相次いで寄せられ[1][2]、同年6月にロフトとのコラボ商品として発売された[3]。
歴史
[編集]発売までの経緯
[編集]円周率ノートは2016年ごろに会議で上がった企画であり、2016年6月12日放送のTBSの番組『がっちりマンデー!!』ではその会議の様子が放映されていたが[4]、商品化プレゼンに上がる前の段階で没になっていた[2]。
しかし、2017年3月14日の円周率の日に合わせて写真と共にTwitterに投稿したところ、反響があり[5]、ツイートから3日後の3月17日時点でリツイート数は1万2千を超えた[2]。この投稿についてキングジムは「自由な発想で商品を作ることを心掛けています。その雰囲気が伝わればいいと思って投稿しました。」と答えている[1]。
すると、このツイートを目にしたロフトの担当者から連絡があり、3月14日のうちに商品化が決定した[3]。その後、キングジムのデザイナーが表紙と細部のデザインなどを考案した[3]。
そして同年6月19日、キングジムとロフトから各2000冊の数量限定で商品化することが発表された[3][6][7]。
発売後
[編集]発売することが発表された4日後の6月23日に、ロフトのECサイトである「ロフトネットストア」と同日オープンした「銀座ロフト」にて税別314円で先行販売された[8]。なお、銀座ロフトでは314冊限定で販売し[9]、キングジムのTwitter担当者(いわゆる中の人)が手描きしたPOPが置かれた[10]。そして、同日11時[8]に販売を開始したロフトネットストアでは僅か17分後の11時17分に売り切れ[11]、銀座ロフトでも発売日のうちに完売した[12]。
その後の7月25日には、全国のロフト全店とロフトネットストアで税別380円で発売を開始した[13]。
円周率ノートの大ヒットを受け、2018年3月9日より、それの第2弾となる「元号」「百人一首」「素数」「国名」「市名」がノートの罫線になっている『雑学罫線ノート』の発売を開始した[14][15]。さらに2020年7月・8月にロフトにて行われたイベント「文フェス2020」では、第3弾となる「元素記号」「新元号」「常用漢字」が罫線になっているノートを発売した[16]。
反響と評価
[編集]2018年1月に週刊朝日がロフトに取材した「ロフト平成ヒットアイテム」では、文具部門に円周率ノートが挙げられた[17]。また、それの第2弾として発売された雑学罫線ノートは、発売から2018年5月末までの約3ヶ月間で累計売上数は2万5,000冊を突破し、売上に直結した[18]。
このように没になった企画でも商品化に繋がったのは、キングジムの公式Twitterが日頃からユーザーと積極的に交流してファンを作り出した結果だという見解がある[19]。
製品
[編集]- 円周率ノート
- 2017年6月に販売開始。カラーは黒板とホワイトボードをイメージした緑と白の2色があり、定価はそれぞれ税抜380円[20]。ページ枚数は50枚で、サイズはA5、綴じ方はツインリング綴じとなっている[21]。ノートの表紙には円周率のほか、さまざまな円にちなんだ数式や図形が描かれている[6][7]。
- ノートの罫線には円周率の羅列(3.1415926535…)が書かれており、目立ち過ぎず、かつ数字が読める大きさに調整されている[10]。このノートの1ページに書かれている数字は約3800桁にものぼる[22]。また、日付の部分には「3.14」と書かれている[20]。
- 雑学罫線ノート
- 第2弾は2018年3月、第3弾は2020年7月に販売開始。サイズはいずれもA5。第2弾のものである「元号」は大化から平成まで、「百人一首」は100人の歌人の和歌を全て記載、「素数」は2から5107までの素数を記載、「国名」は2017年5月時点の国際連合加盟国である193ヶ国を記載、「市名」は日本の市名が全国地方公共団体コード順ですべて記載、というような内容となっている[23]。第3弾は「元素記号」「新元号」「常用漢字」の3種類がある[16]。
脚注
[編集]- ^ a b c “「ボツなんて勿体無い」キングジムの"円周率ノート" 斜め上すぎる発想が話題に”. ハフポスト. BuzzFeed Japan (2017年3月17日). 2021年11月29日閲覧。
- ^ a b c “罫線が円周率のノート…没ネタに商品化望む声続々 キングジムに聞く”. withnews. 朝日新聞社 (2017年3月17日). 2021年11月29日閲覧。
- ^ a b c d “キングジム、「円周率ノート」本当に発売 けい線が数字の羅列”. ITmedia ビジネスオンライン. アイティメディア (2017年6月19日). 2021年12月2日閲覧。
- ^ “2016年6月12日(過去の放送内容):がっちりマンデー!!”. TBSテレビ. 2021年12月5日閲覧。
- ^ “「残念ながらボツになりました」 キングジムの「円周率ノート」が『Twitter』で話題”. ガジェット通信 (2017年3月15日). 2021年12月5日閲覧。
- ^ a b “キングジムのボツになっていた「円周率ノート」が商品化決定! 数量限定販売で先着314冊分は314円で販売”. ねとらぼ. アイティメディア (2017年6月19日). 2022年1月16日閲覧。
- ^ a b “ノートの罫線が「3.14159265359…」と永遠に続く「円周率ノート」、ロフトで限定販売へ”. MdN Design Intractive. エムディエヌコーポレーション (2017年6月20日). 2022年1月23日閲覧。
- ^ “円周率ノートから地元パングッズまで!銀座ロフトはこだわり雑貨だらけ”. &GP by GoodsPress. 徳間書店. p. 3 (2017年6月23日). 2022年1月16日閲覧。
- ^ a b “没ネタ「円周率ノート」、まさかの商品化 ツイッターの反響が後押し”. withnews. 朝日新聞社 (2017年6月22日). 2022年1月16日閲覧。
- ^ キングジム [@kingjim] (2017年6月23日). "本日発売の「円周率ノート」ですが、ロフトネットストアではすでに売り切れになってしまったようです。…". X(旧Twitter)より2022年1月16日閲覧。
- ^ “「円周率ノート」なぜバカ売れ?キングジム、社員の「ノリ良い」ツイートとユーザのコラボ”. Business Journal. サイゾー (2017年7月18日). 2022年1月16日閲覧。
- ^ “ロフトは商品化したくて・・! 「円周率ノート」ついに誕生!”. コトキジ KOTOKIJI. ロフト (2017年7月24日). 2022年1月16日閲覧。
- ^ “暇な会議のお供にも…“円周率”が罫線の『雑学ノート』、広報が語るボツ案からの復活劇”. ORICON NEWS. オリコン (2018年5月24日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ 『ロフト✕キングジム 罫線が気になるノート「雑学罫線ノート」新発売』(PDF)(プレスリリース)ロフト、2018年2月 。2022年1月17日閲覧。
- ^ a b “ロフトで文房具の祭典「文フェス2020」開催。技あり付箋やカタカナ文房具など続々登場”. MdN Design Intractive. エムディエヌコーポレーション (2020年7月7日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ “100均「キャンドゥ」のベストヒットNo.1は? 一挙公開”. AERA dot.. 朝日新聞社 (2018年1月23日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ “Twitterがきっかけで没ネタが商品化!話題性と売上が直結した『雑学罫線ノート』、大反響の裏側とは (要登録)”. MarkeZine. 翔泳社. p. 2 (2018年6月21日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ “没ネタから人気製品となった"円周率ノート"にみるキングジムのTwitter運用”. ferret. ベーシック. p. 2 (2018年6月28日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ a b “【女子文具】理系男子のウケ抜群!今、話題の理系文具”. Suits woman Produced by @DIME. 小学館 (2017年7月26日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ “まさかの製品化―円周率が罫線になった「円周率ノート」、使うほど身につく?”. インターネットコム (2017年6月19日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ “円周率ノート 遂に発売”. ユアタイム. フジテレビ (2017年6月23日). 2022年1月17日閲覧。
- ^ “ノートの罫線に雑学がみっちり!キングジムの新商品「雑学罫線ノート」”. MdN Design Intractive. エムディエヌコーポレーション (2018年3月12日). 2022年1月17日閲覧。