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シマフクロウ[編集]

メモ[編集]

これを受け、環境庁は1984年に保護増殖事業を開始した[1]

シマフクロウ保護増殖事業
事業内容 実施者
餌環境の改善 給餌場の設置 環境省[2]、日本野鳥の会[3]
餌の調達・給餌 環境省[1]、根室市[4]、日本野鳥の会[3]、日本鳥類保護連盟[3]、シマフクロウエイド[3]
河川工作物改良工事 斜里町[5]、北海道[5]、北海道森林管理局[5]
魚類の放流 虹別コロカムイの会[3]
住環境の改善 巣箱の設置 環境省[6]、林野庁[6]、地方自治体[6]、日本鳥類保護連盟[3]、虹別コロカムイの会[3]
除間伐 北海道森林管理局[7]、日本野鳥の会[7]、森林組合[7]
針広混合林・広葉樹林化 北海道森林管理局[8]、日本野鳥の会[3]、虹別コロカムイの会[3]、別海町[3]、標茶町[3]
生息地の保護 保護区・保護林の設置 日本国[9]、北海道森林管理局[8]、北海道[4]、日本野鳥の会[3]
侵入防止・巡視 環境省[6]、北海道森林管理局[8]、根室市[4]、シマフクロウエイド[3]
研究・調査 傷病個体の治療・原因究明 釧路湿原野生生物保護センター[6]
事故防止対策 北海道[4]、根室市[4]、北海道開発局[10]、北海道電力[11]、養魚場[11]

餌環境の改善[編集]

餌資源が不十分な生息地において、繁殖率向上を目的とした給餌が行われている[6]。給餌場や保護林には侵入防止柵や看板等が設置され、定期的な巡視や監視員の配置、モニタリング調査が行われている[6][5]

住環境の改善[編集]

一部生息地では、針葉樹人工林の間伐や枝払い、広葉樹植栽により、シマフクロウにとって好適な森林環境となることを目指した施業が行われている[6]。北海道森林管理局や日本野鳥の会、森林組合によって、太い木が育つよう除間伐や針広混交林化を行っている[7]。また、民間団体による植樹も行われている[3]

餌となる魚類の遡上量を増やすため、河川工作物の改良工事も行われている[6]。斜里町、北海道、北海道森林管理局は、一部の河川で魚道の設置やダムのスリット化を実施した[6][5]

天然営巣木の不足を補うため、巣箱の設置が行われている[6][注釈 1]

生息地の保護[編集]

鳥獣保護区や保護林の指定、民間団体による土地買い取りによって、生息地の保護が図られている[6]

1982年(昭和57年)に知床半島が、1989年(平成元年)に釧路湿原がそれぞれ国指定鳥獣保護区に指定された[9]。知床については2001年(平成13年)に特別保護地区の一部が特別保護指定区域(1156ha)に指定され、立入や撮影が制限されている[9]

1990年に北海道森林管理局はシマフクロウの生息地1ヵ所を森林生態系保護地域(45989ha)に指定、9ヶ所を特定動物生息地保護林(計 9157ha)に指定した[8]。2002年に北海道はシマフクロウの繁殖地88haを道指定鳥獣保護区に指定[4]。2004年から日本野鳥の会は個人や企業からの寄付を財源に土地を買い取って保護区を開設[3]、2011年5月末時点で8ヶ所、総面積337haの保護区を設置している[3]


調査[編集]

研究者によって調査が行われている[6]。2011年に、富士通は日本野鳥の会のシマフクロウ生息状況調査に協力するため、夜間の音声データからシマフクロウの鳴き声を自動検出するプログラムを開発した[11]。釧路湿原野生生物保護センターでは傷病個体を収容し、傷病要因と事故原因の究明が行われている[6]

事故防止対策[編集]

道路管理者、電気事業者等により、事故発生地点を中心に事故防止対策が行われている[6]

北海道や根室市、北海道開発局は、事故発生地点や生息河川をまたぐ道路において、ポール、フェンス、のぼり、ワイヤーロープ等を設置している[4]

北海道電力は感電事故発生の際の通報、傷病個体の収容を迅速に行うとともに、現場検証の上でバードチェッカーや止まり木の設置を行っている[11]。シマフクロウの頻繁な利用があるなどする場所では、事故が起きていない場所でも未然防止策が取られる場合がある[11]

シマフクロウが溺死したり、採餌場として利用する個体がいる養魚場では、浮島やスロープ、網、防鳥テープの設置等によって事故防止を図っている[11]

工事に伴う調査や生息環境の改善[編集]

シマフクロウの生息が確認された場合、影響の緩和や環境改悪を避けるために計画内容の変更や事故対策、工事時期の調整などが図られている[6]

工事に伴うアセスメント調査により得られた生息情報は保護増殖事業に活かされている[6]


啓発[編集]

民間団体によって講演会やパネル写真展が開催され、シマフクロウ保護に関する啓発が行われている[3]

分散[編集]

生息地の拡大は自然分散が基本としている[12]。自然分散の促進のためには、生息地の周辺や生息地の間など「生息地の拡大上重要な地域」を中心に生息環境を整備する方針[12]

生息拡大の重要地域を中心に、環境改善によって比較的早期に生息適地となる可能性の高い場所を抽出[13]。環境省と林野庁が中心となって

  • 基本的な環境条件等の調査
  • 巣箱の設置
  • 河畔林の保全と整備
  • 事故対策未実施箇所等の調査、感電・交通事故ハザードマップの作成
  • 関係機関との連携協議、関係者との連携体制作り

を行う[13]。 関係機関と連携して適宜

  • 鳥獣保護区、保護林、民間の保護区等による生息地の保全
  • 民有地における河畔林の保全、連続性の確保及び整備
  • 河川環境整備(河畔林の整備、遡上・回遊阻害要因の解消、

魚類の生息環境改善、溺死対策等)

  • 放棄農地における河畔林の復元
  • 釣りによる捕獲圧の低減
  • ハザードマップに基づく事故予防措置、放置漁網について注意喚起

を行う[13]

年表[編集]

1971(S46) 国の天然記念物に指定[14]
1982(S57) 知床を国指定鳥獣保護区に指定[14]
1984(S59) 環境庁が保護増殖事業を開始[1]
1988(S63) IUCNレッドリストで「Threatened」と評価[15]
1989(H1) 釧路湿原が国指定鳥獣保護区に指定[9]
1990(H2) 北海道森林管理局が森林生態系保護地域、特定動物生息地保護林を指定[8]
1993(H4) 国内希少野生動植物種に指定
環境庁、農林水産省が『シマフクロウ保護増殖事業計画』を策定[1]
1994(H5) IUCNレッドリストで「Endengered」に指定[15]
2000(H11) 環境省が『シマフクロウ野外つがい形成促進計画 (アクションプラン)』を策定[1]
2001(H13) 国指定知床鳥獣保護区の一部が特別保護指定区域に指定[9]
2002(H14) 繁殖地が北海道指定鳥獣保護区に指定[4]
2011(H22) 『飼育下個体群の維持・充実計画書(案)』を作成[1]
2014(H25) 『シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画』を策定[1]
2015(H26) 環境省が『シマフクロウ放鳥手順』を策定[1]
2016(H27) IUCNレッドリストで「Endengered C2a(i)」に指定[15]
2017(H28) 『シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標』を策定[1]

出典[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 主に環境省により行われているが、林野庁、地方自治体、民間団体が行っている場所もある。

出典[編集]