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利用者:Benzoyl/テンプレ砂箱4

人気投票(にんきとうひょう、: a popularity vote[1])は、一般から投票を一定期間募り、世間の評判を調査する投票のこと[2]。また、各人が好きなものや人に投票し、人気の有無で結果が決まる投票を指す[3]。逆に、世間一般に不人気な評判を調査することを不人気投票という。

政治と投票[編集]

19世紀フランスで、ナポレオン3世が自らの統治を正当化するために国民投票を多用したことが、人気投票とされている。戦後も、ドゴールが自身の政治基盤強化を目的とし、人気投票的な国民投票を数多く行うなど[4]、政治の統治手段として投票が悪用された。日本では国民投票が行われていないため、為政者による政治統治の手段として使われたことはない。

政治の分野では、各人の好みで投票されてしまうことのデメリットや危険性が指摘されており、主にネガティブな意味で用いられる。

日頃、政治に無関心で十分な知識をもたない人が好みで投票を行うと不適切な投票結果を招き、その結果、不適切な政策が実施されることがありうる。とくに、国民投票が、単に人気に基づく投票(プレビシット)となり、ポピュリズムに陥る危険性が指摘されている。

また、選挙では、仮に、事前に立候補者の人気を公表すると、選挙の当選結果を左右する危険性がある。そのため、公職選挙法138条の3により「人気投票の公表の禁止」が制定されている。近年では、ネットメディアにより「意図せざる人気投票」がネット上で公開されたも同然となり、どの立候補者が人気であるかがたやすく予想されて選挙結果を左右する危険性も指摘されている[5]

金融理論[編集]

金融の分野では、他人が投票する行動を予想する投票ゲームのことを呼ぶ。

経済学者のジョン・メイナード・ケインズは『雇用・利子および貨幣の一般理論』第12章第5節で、金融市場における投資家の行動パターンを、美人投票という一種の人気投票の概念を用いて説明した。ケインズのいう美人投票とは「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」というゲームのたとえである。この場合、自分が美人だと思う人ではなく、周りの人が美人だと思う人を予想し、他人の投票行動を考慮して投票しなければならない[6]

このケインズによる美人投票の概念を応用し、しばしば、初心者に株式の取引について説明をする際に、株式は一種の人気投票であると語られることがある[7]。また、為替取引についても、ケインズが提唱した美人投票と同様の意味で、「人気投票」「不人気投票」という概念が用いられることがある[8]

イベント的投票[編集]

現代では、マス・メディアの発達やインターネットの普及とともに事前告知や投票行為が容易になったため、公共団体や一般企業など多くの組織が、一般大衆の嗜好を調査してより適した商品や対策を選択するために、日常的に様々な投票を行っている。投票を一つのウリとするアイドルグループゲームなども登場し、投票ありきの大衆文化も出現している。

新聞社主催の懸賞投票[編集]

日本では、マス・メディアの発達とともに、新聞社により、読者獲得を目的とし「大衆の人気や評判を調査する投票」が行われ始めた。後世、研究者によって、メディアイベントの一種であったという捉え方もされている[9][10]

1885年(明治18年)、今日新聞(後の都新聞)が「現今日本十傑投票」を行っている。これは野崎左文ペルメル・ガゼット紙(イギリス)の「ベスト・テン」という企画を真似たものという説がある[11]

1900年(明治33年)には、大阪毎日新聞桐原捨三が読者を対象とした人気による懸賞投票(投票用紙が新聞紙面に刷り込まれている)企画を連発して話題を集め、「桐原式」と呼ばれた[12]。「桐原式」の人気による懸賞投票は、ライバルの大阪朝日新聞からは富籤類似行為だなどと批判された。また、販売部数を伸ばすことが目的だったなどと言われることもあるが、実際は「芸道奨励」という目的意図による実施であったという[13]

「人気」という語を冠した投票の古いものには、1908年(明治41年)に讀賣新聞社主催で行われた、ビールの「人氣競べ投票」という例がある[14][15]

その後、観光と結びつく投票も登場。1927年(昭和2年)に東京日日新聞大阪毎日新聞の主催で鉄道省が後援した「日本新八景」(ただし最終決定は審査委員)や、1929年(昭和4年)から翌年にかけて国民新聞主催で実施された「全国温泉十六佳選」などがあった[10]

プロスポーツのファン投票[編集]

プロスポーツ界では、ファンサービスの一環として、主に事前投票によって選手を選抜し、オールスターゲームとして競技・競走のイベントの事前投票を指して用いらることがある。一般にファン投票とも呼ばれる。これは、必ずしも選手の実績や実力によって選抜する投票ではなく、ファンが好きな選手に投票するものである。たとえば、プロ野球で毎年行われるオールスターゲームでは、近年、地元チームを応援する一般のファンが増えて高齢化しており、現時点での成績というよりはひいきのチームの実績がある選手に投票が集まる傾向がある。その結果、今年のオールスターゲームにふさわしい選手というよりは、過去実績があった選手が選ばれることも多く、選手がファン投票のステータスを感じなくなってオールスターゲームの価値を下げているという指摘もある[16]

ゲームの投票[編集]

マル勝PCエンジン誌に「女神スタジアム」という読者参加型ゲームが登場して以降、読者投票を主体とする読者参加型ゲームが増加した。1999年には、電撃G's magazineで開始した投票型ゲームの「シスタープリンセス」がメディアミックス展開で大ヒットし、キャラクターグッズが大量に販売された。美少女キャラクターを使った投票型読者参加ゲームは、萌え系キャラクタービジネスの一つのモデルとなっている。

芸能界の投票[編集]

近年では、「総選挙」や「国民投票」等と称する、アイドルグループAKB48に代表される投票イベントがブームとなった。そのブームにあやかろうとし、様々な企業や団体による投票も実施された[17]

PRとしての投票[編集]

話題性や集客などを期待し、一般的に、PR活動の一環として様々な企業や団体に実施されている[18]2010年から翌2011年にかけて、人気投票の上位商品を復刻限定販売するキャンペーンイベントが相次いだ。また、西友の「サゲリク」(Twitter上で希望を募集し上位100品目を値下げ)などもある[19]

脚注[編集]

出典
  1. ^ にんきとうひょう【人気投票】の英語・英訳 goo辞書(プログレッシブ和英中辞典)
  2. ^ 人気投票 とは コトバンクデジタル大辞泉
  3. ^ 広辞苑. 岩波書店. (2008). pp. 2153 
  4. ^ 164-衆-日本国憲法に関する調査-2 号” (PDF). 笠井亮 (2006年2月). 2014年1月10日閲覧。
  5. ^ 西田亮介 (2013). ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容. 東洋経済新報社 
  6. ^ 伊藤元重 (2002). マクロ経済学. 日本評論社. pp. 324 
  7. ^ FP高山一恵の投資コラム”. エイチ・エス証券株式会社. 2014年1月9日閲覧。
  8. ^ 安間伸 (2013). バブル期に始める株式投資の勝ち方: 超絶バブルの安全な投資術. 東洋経済新報社 
  9. ^ 「大衆新聞と国民国家」 2000, p. 66.
  10. ^ a b メディア・イベントと温泉―「国民新聞」主催 - 群馬大学教育学部紀要 人文・社会科学編 第 54巻 67―83頁 2005 関戸明子
  11. ^ 「大衆新聞と国民国家」 2000, p. 58.
  12. ^ 桐原捨三とその時代 奥武則
  13. ^ 「大衆新聞と国民国家」 2000, p. 54-55, 75-77.
  14. ^ 新聞集成明治編年史. 第13巻 第13巻/1936-1940 国立国会図書館 リサーチナビ
  15. ^ 讀賣新聞、1908年(明治41年)11月8日紙面
  16. ^ “選手も興味薄れる? オールスター戦の課題”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2013年7月14日). http://www.nikkei.com/article/DGXZZO57275000S3A710C1000000/?df=3 2014年1月10日閲覧。 
  17. ^ 人気投票ブームに乗る企業、問われる対応力(担当:白井京子) TBSラジオ 『森本毅郎・スタンバイ!』 現場にアタック、2013年06月17日
  18. ^ 各地の百貨店で「ご当地キャラ総選挙」 ゆるキャラ人気で集客当て込む MSN産経ニュース、2013年2月26日
  19. ^ 『AKB48手法! 食の人気投票&総選挙がブーム』 トレキャ!“裏”編集部、2011年10月7日

参考文献[編集]