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空飛ぶ車(英語: Flying car)は、飛行可能な自動車、もしくは、個人が簡単に利用できる空飛ぶ乗り物[1][2]。
未来予想の中の空飛ぶ車
[編集]フランスのイラストレーターアルベール・ロビダは、1882年に発表した『オペラからの帰宅』の中で空飛ぶ車に乗って移動する2000年の人々を描いた[2]。ロビダの空飛ぶ車は、何らかの技術によって飛行する魚雷形の乗り物である[3]。
1923年、SF作家のヒューゴー・ガーンズバックはScience and Invention誌の中で自動車とヘリコプターを組み合わせたヘリカー(Helicar)を発表した[4]。構想によれば、2つの車両で走行し好きな場所に離着陸できた[4]。
ヘリカーは当時ニューヨークで問題になっていた交通渋滞の解消を可能にする乗り物として表現された[4]。ガーンズバックが設定したヘリカーの実用化年は1973年だった[4]。
20世紀に入ると、原子力の利用が盛んになり、原子力自動車や原子力飛行機などのアイデアが生まれ、空飛ぶ車にも影響を与えた。1955年のスミソニアン・マガジンは、2000年には原子力で駆動する空飛ぶ車が普及しているであろうと書いた[5]。
1957年のポピュラー・メカニクス誌にエアリアル・セダン (Aerial Sedan) と称される空飛ぶ車の記事が掲載された[6]。開発者はスタンレー・ヒラーという人物で、機体の前後にあるダクトファンで飛行する仕組みだった[6]。この記事に影響を受けたScience et Vie誌とMeccano Magazine誌はダクトファンで飛行する空飛ぶ車のカバーアートを掲載した[6]。
日本においては、1959年に小松崎茂が『大空のドライブ』の中でプロペラで飛行する空飛ぶ車を描いている[7]
Where's my flying car?
[編集]空飛ぶ車は、未来(21世紀のような近未来を含めた)を連想させる乗り物である[8]。
1999年、アメリカ人ジャーナリストのゲイル・コリンズは以下のように指摘している。
我々はここにいる。ミレニアムの変わり目まで、残り1ヶ月を切った。私が知りたいのは、空飛ぶ車に何が起こったのか?ということである。我々はもうすぐ21世紀のアメリカ人になろうとしている。人々は100年以上も前から21世紀の世界がどのようになるかを予測してきたが、我々の周りを見渡す限り、完全に予測を実現できたとは言い難い。( ... ) 未来予測の中心にあった空飛ぶ車の実現に失敗したことは、特別な裏切りのように思える[9]。 Here we are, less than a month until the turn of the millennium, and what I want to know is, what happened to the flying cars? We're about to become Americans of the 21st century. People have been predicting what we'd be like for more than 100 years, and our accoutrements don't entirely live up to expectations. (...) Our failure to produce flying cars seems like a particular betrayal since it was so central to our image.[10]
その結果、空飛ぶ車は「Where's my flying car?」という質問で冗談交じりに言及されるようになった。これは、現代技術がそれ以前の数十年間に行われた未来予測に追い付いてないことを象徴している[notes 1]。
ピーター・ティール率いるファウンダーズ・ファンドは「空飛ぶ車を夢見ていたのに、手にしたのは140文字だ」というマニフェストをサイト上に掲載した[12]。ティールは過去の未来予想に代わって到来した情報社会は新たな雇用を生み出していないと批判している[13]。
現実の空飛ぶ車
[編集]空飛ぶ車は、未来を象徴する乗り物であり古くから開発が行われている。
鈴木真二は、実用化可能な空飛ぶ車の条件として、車と同じ値段で購入でき、安全性が担保された4人乗りの小型飛行機を上げている[14]。ヘリコプターの専門家Matt Garrattは、映画に登場するような空飛ぶ車には、ある種の反重力が必要であり、現在の技術で実現するのは難しいと語っている[11]。
1950年代には飛行機と自動車を合体させた空飛ぶ車の一種である空陸両用車が開発されたが、実用性に乏しく、広く普及することはなかった[14]。また、50年代には空気を地面に噴射して走行するエアカーが開発されたが実用化されることはなかった[15]。
2010年代に入ると空飛ぶクルマの開発が盛んに進められるようになった。2011年にドイツのe-voloがマルチコプターに人を乗せる実験に成功、2016年にはアメリカのUberが空飛ぶクルマを使ったエアタクシーサービスUberAirを打ち出したことで空飛ぶクルマ業界に人や資金が流入した。
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空飛ぶ車 (空陸両用車)
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空飛ぶ車 (エアカー)
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空飛ぶ車 (eVTOL)
フィクション
[編集]空飛ぶ車は、ファンタジーやSFなどでは一般的な存在である[16]。SF作品ではローターなどで飛行する乗り物ではなく、車がそのまま空を飛ぶように描かれることが多い[17]。
実写映画
[編集]- Blade Runner (1982) and Blade Runner 2049 (2017)
- Back to the Future and Back to the Future Part II (1985/1989)
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のエンディングでは、ドク・ブラウンが主人公マーティと恋人のジェニファーを改造した空飛ぶデロリアンのタイムマシンに誘い、2015年の空飛ぶホバーカーが当たり前の世界にタイムトラベルした。
- The Fifth Element (1997)
- 2263年のニューヨークが舞台の映画『フィフス・エレメント』では、主要な交通手段として空飛ぶ車が使用されている。この映画の映画美術は、フランスの漫画家ジャン・ジロー[18]とジャン=クロード・メジエールによって作られた[19]。
アニメ
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “How Flying Cars Will Work” (英語). HowStuffWorks (2000年12月1日). 2021年5月21日閲覧。
- ^ a b LaFrance, Adrienne (2014年6月6日). “How Jetpacks and Flying Cars Turned Into Cliches About the Future” (英語). The Atlantic. 2021年5月14日閲覧。
- ^ Prosser, Marc (2016年5月1日). “Forget Flying Cars—Last Century's Artists Wanted Whale Buses (and More)” (英語). Singularity Hub. 2021年5月14日閲覧。
- ^ a b c d Novak, Matt. “1923 Envisions the Two-Wheeled Flying Car of 1973” (英語). Smithsonian Magazine. 2021年6月22日閲覧。
- ^ “The Smithsonian on Futurism”. Small Business Labs. 2021年5月14日閲覧。
- ^ a b c “STANLEY HILLER - THE REAL TOM SWIFT” (英語). flying-cars. 2021年5月16日閲覧。
- ^ “Nスタ - 2020年3月5日放送”. kakaku.com. 2021年5月16日閲覧。
- ^ Vinciguerra, Thomas (2009年4月11日). “Flying Cars: An Idea Whose Time Has Never Come” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2019年4月21日閲覧。
- ^ “Future shock: Why there'll be no flying cars”. The Post and Courier. Google News Archive (12 December 1992). 15 September 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。15 September 2013閲覧。
- ^ “Future shock: Why there'll be no flying cars”. The Post and Courier. Google News Archive (12 December 1992). 15 September 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。15 September 2013閲覧。
- ^ a b Scott, Katy (11 September 2007), “Where is my flying car?”, 3rd Degree 16 September 2013閲覧。
- ^ 松島倫明 (2017年6月10日). “ピーター・ティールがトランプ支持の本当の意味——テクノロジーが政治を飲み込み始めた”. www.businessinsider.jp. 2021年6月15日閲覧。
- ^ “不機嫌な「天使」、かく語りき”. WIRED.jp. 2021年6月15日閲覧。
- ^ a b “2015年10月21日は「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」の日!”. ニュースイッチ Newswitch. 2021年5月13日閲覧。
- ^ Holderith, Peter. “Curtiss-Wright's Hovering Air Cars Were the Future of Transportation in 1960” (英語). The Drive. 2021年5月11日閲覧。
- ^ Onosko, Tim (2020-12-27). Wasn't the Future Wonderful?: A View of Trends and Technology From the 1930s. Dutton. pp. 24, 51, 152–153. ISBN 0-525-47551-6
- ^ “クラスターファンVTOL技術による「空飛ぶクルマ」の提案”. JAXA (2010年7月29日). 2021年6月15日閲覧。
- ^ “R.I.P. Moebius, comics legend and Métal Hurlant co-founder”. The A.V. Club (10 March 2012). 11 May 2013閲覧。
- ^ “Luc Besson adapting classic time-travel comic created by Fifth Element concept artist”. io9 (1 July 2012). 11 November 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。11 May 2013閲覧。
- ^ “Voice Of 01 Versatran Spokesman”. Behind The Voice Actors. 2 March 2015閲覧。
- ^ Julio Francisco Dantas De Rezende (2008). Transpersonal Management: lessons from the Matrix trilogy. Editora E-papers. p. 29. ISBN 978-85-7650-151-0
外部リンク
[編集]- “It's the 21st Century, So Where Are the Flying Cars? The Flying Car Myth”. Paul Campanella’s Auto & Tire Center (2021年1月24日). 2021年6月22日閲覧。