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利用者:JuthaDDA/カネコアヤノ

カネコアヤノ
別名 カネコアヤノ(バンドセット)
生誕 (1993-01-30) 1993年1月30日(31歳)
出身地 日本の旗 日本神奈川県横浜市
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間 2012年 -
レーベル
事務所
共同作業者#バンド・メンバー」を参照
公式サイト カネコアヤノ OFFICIAL SITE

カネコ アヤノ1993年1月30日 - )は日本のシンガー・ソングライター俳優モデル。神奈川県横浜市出身の女性[7]。バンド・セット、ギター弾き語りの両形態で音源発表・ライブ活動をおこなっており、平明でありながら着眼点が鋭く日記のようでも詩的でもある歌詞や、呟きや囁きのような声から力強い声まで振り幅が大きい歌声などを評価されている。

和光大学在学中の2012年ごろに音楽活動を開始し、2014年キティエンターテインメントより「今、一番生まれる時代を間違えた女」のキャッチコピーとともに『来世はアイドル』を発表。2016年よりフリーランスを経てwe areレーベルに移籍。2018年には本当の1stアルバムと位置づけられる『祝祭』を発表し、芸術性・大衆性を兼備した音楽家としての評価を確立。翌2019年に1994レーベルから発表した『燦々』で、CDショップ大賞〈青〉を受賞している。

来歴[編集]

生い立ち(1993年 - 2011年)[編集]

カネコアヤノは1993年1月30日に生まれた[8]。出身地は神奈川県横浜市で、あまり音楽を聞かない家庭(両親と6歳上の姉)で育った[8][9]。幼少時は恥ずかしがり屋で、親の前でも歌を歌うことはなかったという[10]。ギターは中学3年生のころにチャットモンチーなどの影響で始め[注 1]、高校1年生のころまで熱心に練習をしたという[12][13]。高校時代はPOLYSICS毛皮のマリーズSEBASTIAN Xシャムキャッツ東京カランコロンに傾倒し、2年生のころから下北沢新宿のインディーズ・バンドのライヴに足を運ぶようになる[8][12][4]。そこで知り合った友人の影響などで町田康はっぴいえんど戸川純なども聴くようになった[8][12][4]。高校卒業直前にはライブハウスで知り合った友人とバンドを組み、このころ作曲を開始した[8][4]。バンドは長続きせず、以降はエレキ・ギターの弾き語りというスタイルで演奏するようになる[8][4]

デビュー前後(2011年 - 2016年)[編集]

和光大学進学後、ライブハウス通いをしていたころは途絶えていたギターの練習を本格的に再開[14][12]。同学の友人で後にカネコのサポート・ギタリストも務める濱野夏椰に「はっぴいえんどを聴かせておくれよ(仮)」を聴かせたことをきっかけに、濱野の父で後にカネコのサポート・ドラマーとレコーディング・エンジニア伊豆スタジオも務める濱野泰政も交え同曲の宅録英語版音源を作成[12][15][16]。その後濱野泰政にマネージャーを紹介され、大学2年時の2012年5月にミニアルバム『印税生活』を自主制作で発表することになる[14][12][4]。同作録音時点のカネコはライブ活動をまだ開始しておらず、高良 (2014) によるインタビューにおいてカネコは、ライヴ活動を通して自分は“ワー!”って歌う人であることに気付いた後と比べてみると発声が弱いと同作を振り返っている。同年6月、同作を聴いたSCANDALの東京公演(Zepp Tokyo)でオープニング・アクトを務め、ライブ・デビューを果たす[17][12]

その後翌年のライブをきっかけに本村拓磨(Gateballersゆうらん船)がバックバンドのベーシストして加入[18][19][15]。2013年2月には舞台『ソラオの世界』(西田シャトナー原作)で主人公の幼少時を演じ、俳優としてもデビューした[20]。またこのころ、SCANDALも所属するキティエンターテインメントと契約している[14][20][21]

2014年5月にアルバム『来世はアイドル』[注 2]を「今、一番生まれる時代を間違えた女」のキャッチコピーとともに発表[22][17][注 3]。この作品は〈昭和のフォーク音源?〉とも思わせるディープな音像と評された[23]。同年には映画『恋文X』の主演も務め、音楽×映画の祭典『MOOSIC LAB 2014』においてベストミュージシャン賞を受賞した[24][25]。大学卒業後の2015年11月にはアルバム『恋する惑星』を発表[22][26]。この作品はバックバンドは前作と同じだが、編曲者が新たに参加しており、そのアレンジのおかげでフォークとは異なる音楽性になっていると澤本嘉光は述べており[9]、またaokinoko (2015)新たなポップセンスが開花したと評した。

「カネコアヤノ シーズン2」(2016年 - 2018年)[編集]

2016年、キティーエンターテインメントとの契約を解除し、フリーランスで活動している間に弾き語りアルバム『hug』(4月)を発表[13][27]。歌うことに対する恥ずかしさがなくなったのはこの頃であるという[10]。その後SEBASTIAN Xのマネージャーでもある粟生田悟が代表を務めるwe areに移籍[28][4]。カネコ自身の希望によりギタリストに林宏敏(元踊ってばかりの国)を迎えた[18][19][15]。所属事務所、バンド、マネージャー、カメラマンといった体制が大きく変化したこの時期について、カネコ自身は「カネコアヤノ シーズン2」を称している[28][27]。同年11月にはとEP『さよーならあなた』を発表[5]

翌2017年4月には人々との出会いや繋がりへの思いを『ひかれあい』という題に込めたEPを発表[29][18]。同作には3つの楽曲がバンド編成・弾き語りの2バージョンで収録されている[18]。このころカネコは、自身のバンドについてすごく前進していて完成に近づいてきたと語っており、金子厚武 (2017:2) はかわいらしさとか、儚さ、切なさが先に立ってたような印象から強い印象に変化したと、西澤 (2017a)より洗練されたサウンドになったと評している。また性格的にも、以前より明るく積極的になった[注 4]と本人やバンド・メンバーは語っており[27]、編曲についてもより積極的に意見を述べるようになったという[19][2]

同年9月には、A面に『hug』のリマスタリング音源、B面に新曲を収めたLPレコード『群れたち』を発表。同作について森 (2017) は、ドラマティックに動いてきたこの1年間の集大成であるとし、どの楽曲からも風景と感情がはっきりと感じられて、まるで短編映画のオムニバスを観ているような気分になる。実体験と物語が混ざり合うようなこの感覚は、彼女の新たな作風と言えるかもしれないと評した。

Bob(HAPPY)をドラマーとして迎えた後[30][15]、翌2018年4月にカネコアヤノの第2章を総括するアルバム『祝祭』を発表し、芸術性・大衆性を兼備した音楽家としての評価を確立[7][31]、翌年の「CDショップ大賞」において入賞を果たした[32]。なにげない日常をこそ祝祭と捉えたいという思いが表題に込められた本作についてカネコは、ドキュメンタリーだし、エッセイで、私小説だと思ってると延べ、自分で試行錯誤しながら作った……本当の1stアルバムと位置づけている[7]。また、収録曲の「グレープフルーツ」は、カネコの代表曲となっている[33][1]。なお濱野泰政はドラマーの席を譲って以降もレコーディング・エンジニアとして、編曲などへの参加も含めカネコの作品に関わっている[30][15][16]

この間上記を含めCD、LPレコード、カセットテープなど複数の媒体で作品を発表[注 5]し、それらの作品やライブのチケットは発売後すぐに完売という結果を収めており、このことについて北沢 (2018:2) はアーティスト本人とスタッフが知恵を凝らした地道な(多額の宣伝費を掛けたJ-POPとは異なる)努力が表れたものであると分析している。このほか同時期には、映画『退屈な日々にさようならを』(2016年、主題歌も提供)、『光の光の光の愛の光の』(2016年)に出演し、俳優としても活躍している[24][5][35][4]

1994との契約以降(2018年 - )[編集]

2018年10月ごろに1994所属となった後、翌2019年9月には包み込むようなタイトルにしたかったからという思いのもと『燦々』と名付けられたアルバムを発表[36][37][38]。この作品は澤田 (2019)から前作以上にプレーンなロックンロールを志向した作品に仕上がっていると評され、北沢 & 山元 (2019b:3) からはアレンジがすごく緻密に、しかもカラフルになって、それぞれの曲のよさを引き立てながら、プレイヤーたちの才能もますます発揮されている点において前作からの音楽的成長が感じられると評された。本作は翌年のCDショップ大賞の大賞〈青〉を受賞し[39]、収録曲の「光の方へ」がSpotifyのプレイリスト「My Top Songs 2019」において日本語曲の最上位にランクインする[40]など[注 6]、2019年を代表する作品・アーティストとして評価を受けた[41][42][38]

音楽性[編集]

他のアーティストからの影響[編集]

前述のとおり高校生のころに町田康INU)に傾倒し、以降はっぴいえんどたまの影響を受けるようなる。歌詞については町田の他、草野マサムネスピッツ)が好きであるという[29]岡村 (2020) に対しては、普段はあまり音楽を聴くわけではなく、『こういうものを取り入れてみよう』みたいなことはわからないと語っている。

初期の評価[編集]

高良 (2014) は、かわいらしい歌声なのに、どこか懐かしさや哀愁が漂う楽曲と評し、Uta-Net (2015)四畳半フォークに通じる何気ない日常のひとコマを描くことができるアーティストとカネコを紹介し、懐かしさを感じさせるサウンドを纏った、“普段着”の歌声と歌詞と評している。また澤本嘉光も、北山修ザ・フォーク・クルセダーズ)の詞との類似性を指摘している[9]。エレキ・ギターの弾き語りというスタイルについては、当初はただ面白いからやっていたが、高良 (2014) によるインタビューの時点では自分の曲とか声がエレキギターに合っているという積極的な思いの元続けていると述べている。Uta-Net (2015) においてはポップで異質でどこまでも正直な音楽体験と表現された。

作詞作曲とプロダクション[編集]

作曲にはギターを使っており、会話の中で出てきた中から携帯電話やノートに書き留めた言葉を軸として作詞をおこない、同時進行的にメロディも作っていく[注 7]と語っている[43][41][38][44]。曲は途中でテンポや拍子が変わるものが多く[2]西澤 (2016b) と林宏敏は、メロディーや譜割り、リズム・センスが独特であると述べている。そのほか西澤 (2017a) はサウンドワークについてカラリとした点が魅力であるとも述べ、滝沢 (2017) はメロディについて混じり気のないと表現している。編曲の際には、まずカネコが抽象的なイメージや身振り手振りによって伝え[注 8]、エンジニアの濱野泰政やバンド・メンバーに頼って作っていくという[8][30][46][44]

歌詞は平明で奇をてらわず[47]気取らず飾り立てないまっすぐな言葉遣いでありながら[48][35][10]、大学時代に詩を学んでいたこともあり、金子厚武 (2017:1f.) がいわゆるJ-POPの歌詞よりも詩的であるとするなど、歌詞としてだけでなく詩としての鑑賞にも耐えると評価されている[2][47]北沢 (2018:4) は歌詞について、日記のように綴られており、ひとりごとの連続のように見えるとし、メロディーリズムが合わさることで聴く者はカネコに秘密を打ち明けられたような気持ちになると描写している[注 9]。カネコ本人も、自身にとって曲を作ることは日記や私小説を書くようなことであり[10]日記を書くみたいに曲を書くのは、齢を重ねるごとに見えなくなっていくものを忘れないようにするためだと述べている[2]。カネコの歌における重要な主題としては人間関係といった関係性が挙げられ、北沢 & 山元 (2019b:2) は着眼点の鋭さとストーリーテリングの妙によってとの関係性[注 10]に想像力をふくらませることができると指摘している。そのように日常を生々しい言葉で綴った歌詞は、恋愛や生活といった局面を乗り越えるための「お守り」[注 11]のようであるとも表現される[47][40][注 12]

歌唱と演奏[編集]

歌声は、独り言や呟き・囁きのような声から[32][10]感情剥き出し[32][49]切り張った声まで振り幅が大きい[10]村尾 (2020:2) によるとそこに込められた感情は、直感的で剥き出しで特定の感情に限定されない様々なものが、濁りなく澄み渡ったかたちで混ざりあったものである。また村尾は、グラマラスであり音楽によって開放されているようなカネコの表情や身のこなしにリスナーは惹かれるのであろうと推測している。そのほか歌声については、滝沢 (2017)少年のような金子厚武 (2018)どこかアンニュイで、強い存在感を放つ西澤 (2018)朴訥としながらも芯のあると評している。白崎 (2016)舌足らずで甘えるような声と表現しており、滑舌の悪さが指摘された際にはカネコ本人もそのことを認めている[50]

ライブは、バンド編成・弾き語りの双方で行っており、バンド編成で発表したアルバムの弾き語り版を別途発表することもある[32]。バンド編成での演奏については、カントリーサイケロックンロール、フォーク、ソウルなどの要素が含まれたアーシーでインディー・ロック的なサウンドであり、歌の添え物としての単なるサポート・バンドにとどまらず、カネコ自身も加えた4人編成のバンドとして成立していると評される[51][1][52][49]。また西澤 (2017b) は、喉を全開で歌っている点が弾き語りとは異なり、緩急の妙が特徴で、会場の空気がカネコに服従しているかのようであると表現する。カネコ本人は、本秀康による漫画とイラストレーションの違いについての発言を引き、バンド編成においてはとにかく楽しくやるという空気感が重要であるのに対し、弾き語りでは歌詞を一つひとつ読み上げるような気持ちで丁寧に歌っていると述べている[19]

ライブにおいては基本的にMCを挟むことはなく、そのことにより集中力が高まりライブのクオリティが上がるのだと2018年当時のマネージャーは証言している[53]山元 (2020:3) は、MCを省いた研ぎ澄ますようなライブ・スタイルは2018年2月のライブを境に確立されたものであるとし、カネコと観客一人一人との間の音楽を通じたコミュニケーションの濃密においてMCは確かに無粋であろうと述べている。

演技[編集]

漫画家の西島 (2015) はカネコのナチュラルな演技が素晴らしいと評している。また、マヒトゥ・ザ・ピーポーGEZAN)は『退屈な日々にさようならを』におけるカネコの演技について虚実を行き来してる感じがし、カネコが素に返る瞬間にドキッとすると述べている[54]

人物評・活動に対する思い[編集]

「かわいい」という評価がなされることについては2017年ごろに、作品に関しては創作には男女関係がないという思いから抵抗感があるとする一方で[29]、服装や容姿に関してそのように言われることについては嬉しいとも語っている[43][注 13]北沢 & 山元 (2019b:3) はカネコについて、刹那を燃焼し尽くしながら生きていて苦しいなかにも常に希望を見出そうとしてるとの印象を語っている。また同インタビュー(p. 4)においてカネコは、自分の音楽がだれかを救うのであれば、音楽活動をおこなう理由などにおいてずっと変わらないでいるといったかたちの責任を自らは負わなければならないと述べている。

おもな使用機材[編集]

左:メロディー・メーカー 右:カントリー・ウェスタン 左:メロディー・メーカー 右:カントリー・ウェスタン
  • 左:メロディー・メーカー
  • 右:カントリー・ウェスタン
1966年製ギブソンメロディ・メーカー英語版D
2016年以降愛用し、『よすが』発表のころにはレコーディングの7割ほどで使用している。ビブラート・ユニットは取り外し、セレクターはフロントに固定している[11][55]
1963年製ギブソン・カントリー・ウェスタン英語版
『祝祭』制作中に購入[2][56][55]。レコーディングにおいては、きらびやかな音用に使用している[55]
1965年製ギブソン・J-50
2019年ごろに購入。弾き語り時のメイン・ギターとして使用し、レコーディングではガッツのある音用に使用している[55]

バンド・メンバー[編集]

担当 時期 他の参加バンド等 出典
林 宏敏(ギター ギター 2016年 - 踊ってばかりの国 [18]
本村 拓磨 2013年 - [41][15]
Bob
2018年ごろ - HAPPY [19][41]
濱野 夏椰
  • ギター
  • コーラス
2017年以前 Gateballers [12][18]
濱野 泰政
  • ドラムス
  • ベース
  • コーラス
2018年ごろまで レコーディング・エンジニア [30][15]

脚注[編集]

  1. ^ この際母に買ってもらったのはイシバシ楽器の初心者セットであるという[11]
  2. ^ アイドルについてカネコは、ハロー!プロジェクトキャンディーズピンク・レディー麻丘めぐみが好きであると語っている[9]
  3. ^ 発表前の3月に初企画『カネコアヤノ1st ALBUM「来世はアイドル」(リリース遅れてごめんなさい…)パーティー!』を下北沢ベースメントバーにて開催し、リリースが遅れたお詫びとして来場者に、CD-R音源「中華街」が無料配布された。
  4. ^ カネコ本人曰く、変化していないのはわがままなところであるという[27]
  5. ^ たとえば『祝祭』はCD発表(2018年4月)後の9月にLPレコードでも販売され、その際弾き語り版の『祝祭 ひとりでに』をカセットテープで発表している[34]
  6. ^ このほか本作は、OTOTOY (2020) スタッフ12人中5人が2019年を代表する10作に含めており、柴 (2019:1) から2019年の第1位として選ばれている。
  7. ^ 廣田 (2016a:5) においては、基本的には詞先であると述べている。
  8. ^ 海のイメージで[45]ここは肩でフラダンスを踊ってる人がいる気持ちになって[41]山っぽいジャングル[46]などの表現を用いる。
  9. ^ このような特徴が顕著に現れている楽曲の例として「グレープフルーツ」(『祝祭』所収)を挙げている[7]
  10. ^ 北沢 & 山元 (2019b:2)は、「ごあいさつ」(『祝祭』)の
    今となりの君のまつ毛がおちるのを
    見逃さなかったよ
    や「ぼくらは花束みたいに寄り添って」(『燦々』)の
    最近悲しいニュースが多いねと呟く君の横顔
    失礼だけど可愛すぎて
    を具体例として挙げている。
  11. ^ 「愛のままを」(『燦々』)には
    みんなには恥ずかしくて言えはしないけど
    お守りみたいな言葉があって
    という歌詞がある[47]
  12. ^ リスナーからもカネコの歌がお守りになっているという旨の手紙が届くことが多いという[47]
  13. ^ 北沢 (2018:4) も参照。

出典[編集]

参考資料[編集]

SNS
  • カネコ商店(カネコアヤノ スタッフ) [@kanekoayanoinfo] (2018年10月7日). "お知らせ". X(旧Twitter)より2021年9月20日閲覧
インタビュー、対談等
レビュー
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リリース、イベント情報
その他

外部リンク[編集]