利用者:JuthaDDA/ジョン・エリオット・ガーディナー

サー・ジョン・エリオット・ガーディナー（Sir John Eliot Gardiner CBE, 1943年4月20日 - ）は、イギリスの指揮者。ピリオド楽器派の主要な指揮者の一人である[1]。自ら創始したイングリッシュ・バロック・ソロイスツ、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック、モンテヴェルディ合唱団（英語版）とともに1980年代から多くの録音を発表しているほか、2010年代にはロンドン交響楽団との録音も多い。代表的な録音には、バッハのカンタータ全集、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームスの交響曲全集、ベルリオーズの主要管弦楽曲集などがある。バロック、古典派からロマン派や近代音楽まで幅広くレパートリーとする。

経歴[編集]

作曲家のヘンリー・バルフォア・ガーディナーは大叔父にあたる。15歳から指揮を始める。ケンブリッジ大学学部生時代に音楽を学んで、1964年にモンテヴェルディ合唱団を結成。卒業後はロンドンでサーストン・ダートに、パリでナディア・ブーランジェに師事。

1968年にモンテヴェルディ管弦楽団を結成する。それから10年ほどしてモンテヴェルディ管弦楽団を改組し、イングリッシュ・バロック・ソロイスツに発展させ、1977年のインスブルック古楽フェスティバルでヘンデルの『アチスとガラテア』を古楽器で演奏してデビュー公演を果たす。1989年にモンテヴェルディ合唱団設立25周年を記念して、モンテヴェルディの『聖母マリアの夕べの祈り』による世界ツアーを断行した。

1990年には、ロマン派音楽のレパートリー開拓を目指して、オルケストル・レヴォリューショネール・エ・ロマンティークを新たに結成。これまでに、ベートーヴェンとシューマンの交響曲全集やベルリオーズの主要な管弦楽作品、ヴェルディの『レクイエム』と歌劇『ファルスタッフ』を録音し、高い評価を獲得してきた。映像ではモーツァルトの一連のオペラも収録している。

客演指揮者としては、世界中の優れたオーケストラや歌劇場に早くから登場しており、フィルハーモニア管弦楽団、ボストン交響楽団、クリーヴランド管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ダラス交響楽団、イングリッシュ・ナショナル・オペラ、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、モンテカルロ国立歌劇場などで活躍してきた。ガーディナーは古典派以前の音楽だけでなく、サン＝サーンスやビゼー、フォーレ、マスネ、ドビュッシー、ラヴェル、リリ・ブーランジェのようなベルリオーズ以後の近代フランス音楽や、ベンジャミン・ブリテンなどのイギリス音楽も得意としている。

バッハ没後250年の2000年には手兵のモンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツを率い、ヨーロッパ各地の教会を回りながら毎週一回のコンサートを行い、1年かけてバッハの全教会カンタータを演奏するという(無謀ともいえる)計画を実行。その時の録音はアルヒーフからカンタータ全集として発売されるはずだったが半ばにして中断され、やむを得ずガーディナーは新レーベル「ソリ・デオ・グロリア（英語版）」を自ら設立。現在続々と発売され、以前と違う自然な演奏スタイルは高い評価を受けている。

1998年にエリザベス2世よりナイトに叙任される。余暇には、生家のあるドーセット北部で有機農法菜園を営んでいる。

主な録音[編集]

作曲家 楽曲 オーケストラ 録音年 レーベル 備考等
モンテヴェルディ 聖母マリアの夕べの祈り イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1989 アルヒーフ
パーセル 歌劇《アーサー王》（英語版） イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1983 エラート
歌劇《妖精の女王》（英語版） イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1981 アルヒーフ
歌劇《ダイオクリージャン》（英語版） イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1987 エラート
劇音楽《アテネのタイモン》 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1987 エラート
バッハ カンタータ 全集 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 2000 ソリ・デオ・グロリア（英語版）
マタイ受難曲 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1988 アルヒーフ
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 2016 ソリ・デオ・グロリア
ヨハネ受難曲 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1986 アルヒーフ
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 2003 ソリ・デオ・グロリア
ミサ曲 ロ短調 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1985 アルヒーフ
クリスマス・オラトリオ イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1986 アルヒーフ
ブランデンブルク協奏曲 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 2009 ソリ・デオ・グロリア
ヘンデル 水上の音楽 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1980 エラート
1991 フィリップス
オラトリオ《メサイア》 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1982 フィリップス
アレクサンダーの饗宴 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
サウル
グルック 歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》 リヨン歌劇場管弦楽団 1989 EMI
トーリードのイフィジェニー
ハイドン ミサ曲
ハイドン オラトリオ《天地創造》
モーツァルト 交響曲 29, 31 – 36, 38 – 41 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1984 – 89 フィリップス
ピアノ協奏曲 全集 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1983 – 88 アルヒーフ Pf.: マルコム・ビルソン
レクイエム イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1991 フィリップス
歌劇《コシ・ファン・トゥッテ》
ベートーヴェン 交響曲 全集 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1991 – 94 アルヒーフ
ピアノ協奏曲 全集 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1986 アルヒーフ Pf.: ロバート・レヴィン
ヴァイオリン協奏曲 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 2002 フィリップス Vn: ヴィクトリア・ムローヴァ
ミサ・ソレムニス イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1989 アルヒーフ
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 2012 ソリ・デオ・グロリア
ミサ曲 ハ長調 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1989 アルヒーフ
歌劇《レオノール》 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1989 アルヒーフ 《フィデリオ》の初稿。
シューベルト 交響曲 7, 8 リヨン歌劇場管弦楽団 1986 – 87 エラート
5 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 2016 ソリ・デオ・グロリア
ベルリオーズ 幻想交響曲 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1991 フィリップス
交響曲《イタリアのハロルド》 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1994 フィリップス
劇的交響曲《ロメオとジュリエット》 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1995 フィリップス
荘厳ミサ曲 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1993 フィリップス
キリストの幼時 リヨン歌劇場管弦楽団 1987 エラート
劇的物語《ファウストの劫罰》 リヨン歌劇場管弦楽団 1987 フィリップス
メンデルスゾーン 交響曲 全集 ロンドン交響楽団 2014, 16 LSO Live
4, 5 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1996, 98 ドイツ・グラモフォン
シューマン 交響曲 全集 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1997 アルヒーフ 第4番は1841年版と1851年版の両方を録音。ツヴィッカウ交響曲等も含む。
全集 ロンドン交響楽団 2018 – 19 LSO Live
ヴェルディ レクイエム オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1992 フィリップス
ブラームス 交響曲 全集 オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 2007 – 08 ソリ・デオ・グロリア
ドイツ・レクイエム オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1990 フィリップス
ハンガリー舞曲集 北ドイツ放送交響楽団 1992 ドイツ・グラモフォン Arr.: ブラームス（1, 3, 10）、マルティン・シュメリング（5）、ドボルザーク（16, 18 – 21）[2]
ドヴォルザーク 交響的変奏曲 北ドイツ放送交響楽団 1992 ドイツ・グラモフォン
チェコ組曲 北ドイツ放送交響楽団 1992 ドイツ・グラモフォン
フォーレ レクイエム オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック 1992 フィリップス 第2稿[3]
ストラヴィンスキー 歌劇《エディプス王》 ロンドン交響楽団 2013 LSO Live
ミューズを率いるアポロ ロンドン交響楽団 2013 LSO Live
ロドリーゴ アランフェス協奏曲 ヨーロッパ室内管弦楽団 RCA Gt.: ジュリアン・ブリーム

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ da Fonseca-Wollheim, Corinna (2013年4月5日). “John Eliot Gardiner and Period Music”. The New York Times. 2020年12月17日閲覧。
  2. ^ “Brahms: 9 Hungarian Dances; Dvorák / Gardiner, Nd ... - Deutsche Grammophon: DG-437506”. ArkivMusic . 2020年12月18日閲覧。
  3. ^ “フォーレ：レクイエム（オリジナル版）[CD - ジョン・エリオット・ガーディナー]”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2020年12月17日閲覧。

外部リンク[編集]

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