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唐子橋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
埼玉県道41号標識
埼玉県道344号標識

唐子橋(からこばし)は埼玉県東松山市葛袋と同市石橋の間を流れる都幾川に架かる埼玉県道41号東松山越生線、および埼玉県道344号高坂上唐子線の道路である。

概要

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都幾川の終点より5.4 kmの地点に架かる[1]橋長258メートル、幅員9.5メートル[2]、最大支間長50.9メートルの鋼単純合成箱桁橋である。歩道は車道を挟んだ上流側および下流側の両側に設置されている。橋には口径400ミリの水道管も併設されている[3]。すぐ西側には関越自動車道の都幾川橋が近接して架かる。 路線バス等の公共交通機関の経路には使用されていない。最寄りのバス停留所は東松山市内循環バス(唐子コース)の「南中学校」バス停留所となる[4]

都幾川における国土交通省の水位の測定地点(唐子橋水位観測所)のひとつである[5][注釈 1]。また、埼玉県の第二次緊急輸送道路に指定されている[6]

歴史

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木橋の旧唐子橋(1961年)

大正期以前にはこの場所に橋は架けられず、いつから存在していたか定かではないが「天神河原の渡し」と称される渡船場が設けられていた[7]。渡船二艘(人渡し一艘、馬渡し一艘)を有する私設の渡船場(私渡)であった。六人の船頭が渡船場の運営を行ない、船番の小屋が右岸側にあった。 通行料が必要な渡船場で、賃銭は1880年(明治13年)の時点では徒歩、牛馬、人力車、駕籠では何れも金三厘五毛(5歳以上12歳未満の者は賃銭を半額)であった[7]。渡船場の廃止時期は不明、渡し場へ至る道は両岸側とも残されている[7]

1928年(昭和3年)9月に唐子橋が初めて架設され開通した[8]。架橋地点は現行の橋の上流側である[注釈 2]。橋長200メートル、幅員4.5メートルの木橋である[8]。木製でありながら堅牢な造りであり、自動車の通行も可能であった。 橋名は架橋地点である旧唐子村地内に所在したことに因む[9]。 1961年(昭和36年)に下流側に東松山橋が架けられるまでは、東松山の市街地と同市の高坂地区や坂戸方面を結ぶ重要な交通路であった[9]

1968年(昭和43年)5月にやや川下側に新しい唐子橋が工費約29万円で完工され、一般県道越生東松山線の橋として開通した[10]。 橋長200メートル、幅員4.5メートルの木桁橋である[10][11]

現行の橋は関越自動車道の建設の進展に伴い、本橋や取付道路が支障したこと契機となり、関越自動車道の都幾川橋の川下側に永久橋として架け直されたものである[9]。事業主体は埼玉県で、上部工の施工は日本車輌製造が担当した[12]1973年(昭和48年)3月に橋は完工され、旧橋より付け替えられた。なお、関越自動車道の都幾川橋(都幾川橋梁[13])も1973年(昭和48年)に架けられ、1975年(昭和50年)8月8日に川越ICと東松山IC間が開通した。 2008年(平成20年)3月に橋に併設されている水道管が老朽化したため、更新工事が行なわれた[3]

周辺

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この橋の約1.2 km上流側で、稲荷橋とのほぼ中間地点に河川の管轄の境界がある。境界より上流側は埼玉県、下流側は国(国土交通省 荒川上流河川事務所)が河川の管理を行なっている[14]

その他

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  • 唐子橋は埼玉県のぐるっと埼玉サイクルネットワーク構想に基づき策定された「自転車みどころスポットを巡るルート」の「BIG公園巡りルート」の経路に指定されている[15]

隣の橋

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(上流) - 稲荷橋 - 都幾川橋 - 唐子橋 - 都幾川橋梁 - 東松山橋 - (下流)

脚注

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注釈

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  1. ^ 正確には関越自動車道の都幾川橋より50メートル程上流の場所に位置する。
  2. ^ 外部リンク節の『今昔マップ on the web』も参照。

出典

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  1. ^ 荒川上流河川維持管理計画【国土交通大臣管理区間編】”. 荒川上流河川事務所. p. 108 (2017年11月). 2022年6月12日閲覧。
  2. ^ 『橋梁年鑑昭和54年版』 84頁
  3. ^ a b 広報委員会(編)「表紙」『水道広報「みず」』第55号、東松山市水道課、2008年3月、1頁。 
  4. ^ 市内循環バス時刻表”. 東松山市 (2021年4月27日). 2022年6月12日閲覧。
  5. ^ 観測所詳細諸元情報 - 国土交通省 水文水質データベース. 2022年6月12日閲覧。
  6. ^ 埼玉県の緊急輸送道路 - 埼玉県ホームページ(2021年6月23日)、2022年6月12日閲覧。
  7. ^ a b c 『歴史の道調査報告書第九集 入間川の水運』 45-47頁。
  8. ^ a b 唐子橋1928-9 - 土木学会附属土木図書館橋梁史年表。2022年6月12日閲覧。
  9. ^ a b c 『[角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 284頁。
  10. ^ a b 梶 拓二 編『埼玉大百科事典 第1巻』埼玉新聞社、1974年3月1日、434頁。 
  11. ^ 唐子橋1968-5 - 土木学会附属土木図書館橋梁史年表。2022年6月12日閲覧。
  12. ^ 橋梁年鑑 唐子橋 詳細データ - 日本橋梁建設協会. 2022年6月12日閲覧。
  13. ^ 橋梁年鑑 都幾川橋梁 詳細データ - 日本橋梁建設協会. 2022年6月15日閲覧。
  14. ^ 荒川水系 荒川中流右岸ブロック河川整備計画 (県管理区間)付図” (PDF). 埼玉県. pp. 20-22 (2006年2月). 2022年6月12日閲覧。
  15. ^ 自転車みどころスポットを巡るルート100Map(川越・比企地域)”. 埼玉県 (2022年3月18日). 2022年6月12日閲覧。

参考文献

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  • 埼玉県立さきたま資料館『歴史の道調査報告書第九集 入間川の水運』埼玉県政情報資料室、1988年4月。 
  • 日本橋梁建設協会『橋梁年鑑昭和54年版』日本橋梁建設協会、1979年5月15日https://www.jasbc.or.jp/nenkanpdf/files/12_nenkan_S54(1979).pdf 
  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』角川書店、1980年7月8日。ISBN 4040011104 

関連文献

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  • “29日まで通行止め 橋脚修理の唐子橋”. 埼玉新聞 (埼玉新聞社): p. 6. (1960年2月9日) 
  • “唐子橋に追剥出現”. 埼玉新聞 (埼玉新聞社): p. 2. (1946年12月20日) 

外部リンク

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座標: 北緯36度1分10.52秒 東経139度22分58.1秒 / 北緯36.0195889度 東経139.382806度 / 36.0195889; 139.382806