天に続く道
天に続く道 | |
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座標 | 北緯43度54分25秒 東経144度47分55秒 / 北緯43.90684456303742度 東経144.79869948960703度 |
所属国・地域 | 日本 北海道斜里郡 |
天に続く道(てんにつづくみち)は、北海道の観光地の一つ。北海道の国道244号から334号[1]、斜里郡斜里町と小清水町を結ぶ、全長約28キロメートル[注 1]の直線道路の、起点から眺める景観の呼称である[4]。道の先が天に繋がっているように見えることが、この呼称の由来である[5]。2010年代から、TwitterなどSNSの投稿の影響などで、観光地として話題となっており、北海道外、日本国外からも観光客が訪れている[6][7]。
概要
[編集]明治時代初期に政府が北海道の開拓を推進するために、人や物資を効率良く運ぶために造った、多くの道路の一つである[8]。明治後期には、大部分が農道などとして利用されていたといわれている[6]。2000年(平成12年)頃に舗装された[6]。直線道路としては北海道内で2番目の長さである[9][注 2]。
後述のように観光客が増加する一方で、かつての地図やカーナビには撮影ポイントが表示されておらず、斜里町への道順の問合せも増えたことから、2017年(平成29年)に、起点となる峰浜地区の撮影ポイントに、斜里町により案内看板が設置された[7]。看板には、ヒグマをモチーフとした斜里町の観光シンボルキャラクター「知床トコさん」がデザインされている[7]。
レンタカーやバイクで訪れる観光客の増加により、路上駐車が多発していたため[3]、2018年(平成30年)には道の起点周辺に、24時間無料で利用可能な駐車場と、展望デッキが作られた[11][12]。
特徴
[編集]高低差があるため、道の先が空へ向かっているように見える[5]。視線を遮るものが何もないために[13]、その名の通り「天に続く道」のように錯覚される景色が、特徴に挙げられる[4][14]。
初夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節によって景色が異なることも特徴の一つとされる[2]。夕焼けで道が照らされた光景は観光地として評価が高く[15]、特に晴れた日の夕暮れには、夕陽に照らされた大地を遠方まで臨むことができる[4]。9月下旬から10月上旬にかけては、夕陽が道の中央に沈む光景がみられる[13]。
近隣には「名も無き展望台」と名づけられた木製の展望台があり、この道と共に、オホーツク海や周辺の田畑などの景色も合わせて、楽しむことができる[16][17]。
観光地である一方、一般道路でもあるため、子供や動物、他の自動車の通行への注意[18]、周囲の農地に立ち入らないなどの配慮が呼びかけられている[19]。
反響
[編集]2000年(平成12年)に舗装されたばかりの頃は、現地の住民すら見向きもしなかったが[6]、口コミで次第に広がり、観光バスのルートにも組み込まれた[20]。
2010年代から、TwitterなどSNSの投稿の影響などで、話題となり始めた[6][7]。2016年(平成28年)8月には航空会社の機内誌に掲載されたことで、知名度が全国的なものとなり[19][21]、JTBでも「旅のおすすめプラン」として紹介された[21]。東京や大阪など北海道外や[22]、香港など日本外からの観光客も増加した[7][22]。2017年(平成29年)の斜里町の調査では、観光客の数は平日でも1日500人以上であり[3]、2022年(令和4年)には、年間約15万人もの観光客が訪れるようになった[6]。
北海道外からの観光客からは「北海道らしい絶景[23][24]」「本当に『でっかいどう』[25]」「どこまでも延びる道がとても開放的[26]」と感激の声も上がっている。2017年に配置された案内看板も、道外の観光客から「看板のおかげで来ることができた[7]」、2018年新設の駐車場も「駐車場のおかげで景色をじっくりと楽しめた[3]」と、好評の声が聞かれた。
ドライブスポットとしての人気[17][27]、バイカーや自転車ツーリングの旅行者への人気も高い[5][26]。2016年(平成28年)には、台湾の自転車愛好者向け雑誌「単車身活」で、オホーツク管内沿岸のサイクリングコースの一つとして掲載された[28]。
2021年(令和3年)には、写真家がTwitterで、天に続く道が夕陽で照らされている画像を投稿したところ、「いいね」が18万近くにのぼるなど、多くの反響があった[29]。2023年(令和5年)にも、Twitterに投稿された画像が、「見ていて壮観」「これは感動ですね」などと話題を呼んだ[30]。Twitter投稿者は「人が多く、撮影も順番順番で、待ち時間が結構あって大変だった」と、人気スポットならではの苦労を語っていた[30]。
2023年(令和5年)に斜里町の知床博物館で特別展「斜里平野の魅力」でも紹介され、館長である佐々木剛志は「何気なく目にしていた当たり前の景色が、多くの人が足を運ぶ魅力的な景色に変わっていました」と語った[31]。
『羽鳥慎一モーニングショー[21]』(テレビ朝日)、『昼めし旅 〜あなたのご飯見せてください!〜[22]』(テレビ東京)、『ドキュメント20min.[32]』(NHK総合)など、多くのテレビ番組でも取り上げられた。
観光客の増加の一方で、道の起点に整備された8台分の駐車場では数が不足し、路上駐車の車が列をなし、農作業用のトラクターの通行を妨げることもある[6]。交通トラブルの防止と観光振興のため、広場や駐車場の再整備が、課題に挙げられている[6]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “景勝地 天に続く道”. 知床斜里町観光協会 (2023年). 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b “天に続く道|まるで天まで続くかのような、真っすぐ道の絶景スポット!”. 北海道ラボ. オンライントラベル (2021年9月21日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b c d 渡辺拓也「人気の絶景 安全に楽しんで「天に続く道」に駐車場 斜里町 撮影用デッキ、看板も」『北海道新聞』北海道新聞社、2018年7月11日、斜網朝刊、16面。
- ^ a b c “この道を行けば、天に昇るのか? 知床斜里「天に続く道」”. トラベルjp. ベンチャーリパブリック. 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b c “天に続く道 |知床ドライブで一度は走りたい斜里町の絶景ルート”. 北海道ファンマガジン. パム (2017年3月22日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 桐原正道「探訪 夕日につながる光の道」『産経新聞』産業経済新聞社、2022年10月16日、東京朝刊、11面。
- ^ a b c d e f 渡辺拓也「直線18キロ「天に続く道」観光名所に 斜里町 撮影案内板を設置「自慢の景色楽しんで」」『北海道新聞』2017年9月21日、斜網朝刊、16面。
- ^ “アノ朝ドラ俳優とめぐる! 世界遺産「知床」6つの絶景スポット!”. MBSコラム. 毎日放送 (2019年10月3日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ 「風景絶佳 北のビューポイントをゆく 天に続く道 神々しいまでに真っすぐ 北海道」『朝日新聞』朝日新聞社、2017年6月28日、北海道夕刊、8面。
- ^ “道路 : 道の相談室”. 国土交通省. 2023年8月21日閲覧。
- ^ 宮永敏明「「天に続く道」に展望デッキ 斜里町が予算計上、駐車場も」『朝日新聞』2018年3月23日、北海道朝刊、28面。
- ^ “「天に続く道」それは斜里町の絶景ドライブルート。知床を訪れるなら一度は走ろう”. PREZO. アクセスジャパン (2022年12月22日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b 『春ぴあ』(北海道版 2018)ぴあ〈ぴあMOOK〉、2018年3月、23頁。ISBN 978-4-8356-3396-1。
- ^ Cuka (2014年8月27日). “知床には天まで繋がる道路があった!? 斜里町「天に続く道」”. 北海道ファンマガジン. PLUS. 2023年8月21日閲覧。
- ^ 『THE TOURING 日本の絶景108』内外出版社〈MOTOツーリング増刊〉、2022年5月26日、13頁。全国書誌番号:23682085。
- ^ “天に続く道”. HOKKAIDO LOVE!. 北海道観光振興機構. 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b 『感動必至! 北海道絶景ドライブ クルマで安心! ドライブで行く感動の北海道絶景旅』ぴあ〈ぴあMOOK〉、2021年5月30日、48頁。ISBN 978-4-8356-4299-4。
- ^ きよさと観光協会 (2008年7月9日). “天に続く道?”. きよさと観光協会ブログ. 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b 梅村直承「北国百景 28キロ一直線 斜里・天に続く道」『毎日新聞』毎日新聞社、2017年8月12日、北海道版、23面。
- ^ 「ほっかいどう100の道 道番号75 竜宮街道 北見市 オホーツク管内湧別町 原生花園育んだ命の水」『北海道新聞』2012年8月26日、全道朝刊、2面。
- ^ a b c “羽鳥慎一モーニングショー 2017/09/25(月)08:00 の放送内容”. TVでた蔵. p. 1 (2017年9月25日). 2023年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月21日閲覧。
- ^ a b c “昼めし旅 2018/07/06(金)11:40 の放送内容”. TVでた蔵 (2018年7月6日). 2023年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月21日閲覧。
- ^ “「天に続く道」新名所に、北海道 斜里町、28キロ一直線”. 西日本新聞me. 西日本新聞社 (2018年8月31日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ “Hokkaido town's 'Road to Heaven' becomes popular tourist attraction” (英語). The Japan Times (2018年9月4日). 2024年3月31日閲覧。
- ^ 「天まで 何キロ? #斜里 #天に続く道」『読売新聞』読売新聞社、2018年6月27日、東京朝刊、29面。
- ^ a b 大石健登「DO!写 ライダーの聖地 夏満喫」『読売新聞』2023年10月15日、東京朝刊、27面。
- ^ 『日本の絶景 超完全版』JTBパブリッシング、2020年12月1日、56頁。ISBN 978-4-533-14290-1。
- ^ 中橋邦仁「オホーツクのサイクリングコース 台湾の専門雑誌 魅力特集 能取岬など写真付き紹介 総合振興局 観光客誘致に期待」『北海道新聞』2016年2月24日、北B朝刊、25面。
- ^ “北海道「天に続く道」の先にある夕日が幻想的…約6時間待った絶景写真の撮り方を聞いてみた”. FNNプライムオンライン. フジテレビジョン (2021年5月26日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ a b “「こんな場所があるんだ」どこまでも続く一本道…北海道で撮影された“カントリー・ロード”が話題”. ENCOUNT. Creative2 (2023年7月25日). 2023年8月21日閲覧。
- ^ 田子由紀「みずなら 天に続く道」『北海道新聞』2023年10月27日、北B朝刊、17面。
- ^ “ドキュメント20min. 2023/07/03(月)00:00 の放送内容”. TVでた蔵 (2023年7月3日). 2023年8月21日閲覧。
座標: 北緯43度54分24.640秒 東経144度47分55.318秒 / 北緯43.90684444度 東経144.79869944度