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太田和彦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

太田 和彦(おおた かずひこ、1946年3月3日 - )は、日本のグラフィックデザイナー居酒屋探訪家としての活動で知られる。日本グラフィックデザイナー協会東京アートディレクターズクラブ所属。

略歴

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1946年、終戦直後の中華民国(当時)の北平市(現 北京市)で生まれる[1]。生後すぐ佐世保に引き揚げた。教師だった親の転勤に伴い長野県木曽郡松本市で育つ[2]。中学・高校時代に美術に関心を深め、長野県松本深志高等学校を経て東京教育大学(現・筑波大学教育学部芸術学科構成専攻に進学し、グラフィックデザインを学ぶ。

1968年、同大学卒業後、デザイナーとして資生堂に入社する[1]。同社宣伝制作室ではアートディレクターを務めた。写真家の十文字美信と組んで製作した「シフォネット」シリーズなどの広告は前衛的すぎて社内で賛否両論を招いた。1970年代前半、無名時代のRCサクセションのライブに、数少ない観客の一人として参加し、毎回キザクラの一升瓶を楽屋に差し入れしたというエピソードがある[3]

1989年に独立し、「アマゾンデザイン」を設立[1]。1991年、椎名誠が監督した映画『うみ・そら・さんごのいいつたえ』で美術監督を務めた。2000年から2007年まで、東北芸術工科大学教授も務めた[1]

2022年3月26日、陶磁器メーカー・中善(長崎県波佐見町)のオリジナルブランド「zen to」より、監修した『蓬莱盃』『夫婦盃』が発売[4]

居酒屋探訪家として

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資生堂在籍時より居酒屋巡りを趣味としており、30代後半で居酒屋研究会を設立して会報を刊行する[1]。そのエッセンスを集めた『完本・居酒屋大全』で注目される。また、戦後の映画・歌謡曲などにも造詣が深い。

1999年旅チャンネルで「全国居酒屋紀行」がスタート。シリーズ化して、「太田和彦の日本百名居酒屋」まで、11年ものロングランとなり、後発の居酒屋探訪番組への礎となる。2021年現在も、BS11で居酒屋探訪番組「ふらり旅 新・居酒屋百選」を担当している。

受賞歴

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  • 東京アートディレクターズクラブ賞(1973年、1983年、1984年)[1]
  • 朝日広告賞
  • 毎日広告デザイン賞[1]
  • 日本雑誌広告大賞
  • 世界ポスタートリエンナーレトヤマ銀賞
  • 文化庁長官表彰(2019年)[5]

著書

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デザイン関係

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  • 「資生堂のクリエイティブワーク」求龍堂 1985
  • 「異端の資生堂広告/太田和彦の作品」求龍堂 2004.2

居酒屋関係

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  • 「居酒屋大全」講談社 1990.5(のち、角川文庫。のち「完本・居酒屋大全」として小学館文庫)
  • 「精選東京の居酒屋」草思社 1993.4(のち、「新精選東京の居酒屋」)
  • 「ニッポン居酒屋放浪記」新潮社 1997.1(のち、「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」として新潮文庫)
  • 「日本の居酒屋をゆく 疾風篇」新潮社 1998.5(のち、「ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇」として新潮文庫)
  • 「日本の居酒屋をゆく 望郷篇」新潮社 1998.6(のち、「ニッポン居酒屋放浪記 望郷篇」として新潮文庫)
  • 「居酒屋の流儀 The new fifties」講談社 1998.11(のち、「超・居酒屋入門」として新潮文庫)
  • 「居酒屋かもめ唄」小学館 2000.12(のち、小学館文庫)
  • 「太田和彦の全国居酒屋巡礼」(監修)河出書房新社 2000.11
  • 「東海道居酒屋膝栗毛」小学館 2003.11(のち、「東海道居酒屋五十三次」と改題して小学館文庫)
  • 「日本酒ベストセレクション350」(監修) 日本文芸社, 2004.8
  • 「太田和彦の居酒屋味酒覧精選172」新潮社 2004.9(のち、「太田和彦の居酒屋味酒覧精選173」)
  • 「日本酒スペシャル・セレクション488 全国の蔵元が誇る、珠玉の銘酒たち。」(監修) 日本文芸社 2004.11
  • 「東京・居酒屋の四季」新潮社 2005.7
  • 「焼酎居酒屋&バー エクセレント50」(監修) 日本経済新聞社 2005.11
  • 「ひとりで、居酒屋の旅へ」晶文社 2006.2
  • 「居酒屋道楽」新潮社 2006.6(のち、河出文庫)
  • 「Pen(ペン) 2009年 No256 1/1・15 新年合併号 「完全保存版 全国47都道府県をすべて網羅!いちばん美味い、居酒屋はどこだ?」 トータル飲料コーディネーターの友田晶子氏との「分業」選定および執筆。(阪急コミュニケーションズ) 2008.12
  • 「ひとり旅 ひとり酒」京阪神エルマガジン社 2009.11
  • 「みんな酒場で大きくなった」京阪神エルマガジン社 2013.10
  • 「居酒屋を極める」新潮社 新潮新書 2014.11 190ページ
  • 「東京エレジー 居酒屋十二景」集英社 2016.12(のち、「東京居酒屋十二景」と改題して集英社文庫)

その他

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  • 「シネマ大吟醸」角川書店 1994.12(のち、小学館文庫)
  • 「黄金座の物語」小学館 2001.3

出演

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監督

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g ALONE AT NIGHT | 太田和彦の仕事と酒”. nepenthes.co.jp. 2024年11月14日閲覧。
  2. ^ 第2回は太田和彦さん[リンク切れ] - 番組制作会社メディアプルポによる「目利きや!8(=プルポ)」
  3. ^ 波 太田和彦 × 本誌編集部”. 新潮社の電子書籍. 2024年11月14日閲覧。
  4. ^ 肥前の技術を結集!〈zen to〉の新作・太田和彦監修「酒をきれいに飲む盃」で乾杯!.コロカル(2022年3月29日)2023年12月12日閲覧
  5. ^ 平成30年度文化庁長官表彰名簿

外部リンク

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