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女性自衛官教育隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
女性自衛官教育隊
2013年度(平成25年度)一般曹候補生(女子)入隊式における『服務の宣誓』の様子。
創設 1968年(昭和43年)12月20日(婦教隊)
再編成 2003年(平成15年)3月27日(女教隊)
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 陸上自衛隊
部隊編制単位
兵科 諸職種混成
兵種/任務 共通教育
所在地 東京都 練馬区
編成地 朝霞
愛称 女教
上級単位 東部方面混成団
担当地域 日本全国
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女性自衛官教育隊(じょせいじえいかんきょういくたい、JGSDF Female Training Unit)は、朝霞駐屯地に駐屯する東部方面混成団隷下の教育部隊。

概要

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女性自衛官(WAC(ワック):Woman Army Corps)の教育担任部隊。自衛官候補生[1]課程(女子)・一般曹候補生[2]前期課程(女子)・陸曹候補生課程(女子)の教育担任部隊であり、女性の新隊員・陸曹の統合教育部隊として指定されている。自衛官候補生(女子)の入隊で、東部方面隊管内である首都圏信越地方静岡県の自衛官候補生(女子)の採用者が多い。希望に応じて他の道府県の採用者が入隊する場合もある。一般曹候補生(女子)の入隊については、自衛官候補生(女子)よりも採用数が限られ、各都道府県の一般曹候補生(女子)の採用者が入隊する全国で唯一の女性新隊員教育隊である。各部隊・機関等に所属する陸曹候補生たる陸士長の女性自衛官[3]が入校する全国で唯一の女性陸曹教育隊である。更に北部東北中部西部の方面混成団隷下の教育大隊、陸上自衛隊通信学校通信教導隊久里浜駐屯地[4]が自衛官候補生課程(女子)の教育を担任。時期は未定であるが、システム通信団隷下の中央野外通信群が、移駐のため入れ替わる形となる。教育理念は「強く、明るく、麗しく」。

女性自衛官の教育内容

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2013年度(平成25年度)自衛官候補生(女子)入隊式における様子。

新隊員教育

  • 自衛官候補生課程(女子)
  1. 約3か月、陸上自衛官となるために必要な基礎的な知識及び技能を習得するための教育を行う。
  2. 首都圏・信越地方・静岡県・希望に応じて他の道府県の自衛官候補生(女子)の採用者が教育を受ける。
  • 一般曹候補生前期課程(女子)
  1. 約3か月、陸上自衛官として必要な基礎的な知識及び技能を習得するための教育を行う。
  2. 各都道府県の一般曹候補生(女子)の採用者が教育を受ける。

陸曹教育

  • 陸曹候補生課程(女子)
  1. 約3か月、初級陸曹として必要な共通的知識及び技能を修得するための教育を行う。
  2. 各部隊・機関等に所属する陸曹候補生たる陸士長の女性自衛官が教育を受ける。

かつて担任した教育

  • 一般曹候補学生前期課程(女子):2007年度(平成19年度)夏頃に教育を終了する。
  • 曹候補士前期課程(女子):2007年度(平成19年度)夏頃に教育を終了する。
  • 一般2等陸士前期課程(女子):2010年度(平成22年度)夏頃に教育を終了する。

※いずれも約3か月(曹学については4か月)、陸上自衛官として必要な基礎的な知識及び技能を習得するための教育を行う。

沿革

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婦人自衛官学生隊

  • 1968年(昭和43年)
    • 3月25日:婦人自衛官学生隊(現・女性自衛官教育隊)が輸送学校隷下に編成完結[5]
    • 4月1日:公募婦人自衛官(一般)幹部要員(WAC)入校[6]
※ 前田米子1等陸尉[注釈 1]以下11名[9]

婦人自衛官教育隊

  • 1968年(昭和43年)12月20日:婦人自衛官学生隊が第1教育団隷下に隷属替えされ、婦人自衛官教育隊に改称[10]

女性自衛官教育隊

  • 2003年(平成15年)3月27日:女性自衛官教育隊と改称。
  • 2008年(平成20年)4月:一般曹候補生前期課程(女子)の教育を開始。
  • 2011年(平成23年)
  • 2017年(平成29年)
  • 2018年(平成30年)
    • 女性自衛官の採用開始から50年、この半世紀に1万4809人の女性自衛官が卒業する伝統を持つ。
    • シンボルマークを公開。
    • 部隊の英名をWAC (Woman Army Corps) Training Unit から Female Training Unit に改称。
  • (時期未定):システム通信団隷下の中央野外通信群[12]と入れ替わる形で部隊全部が久里浜駐屯地に移駐予定。

部隊編成

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  • 女性自衛官教育隊本部「女自教‐本」[13]
    • 総務科
    • 訓練科
    • 管理科
  • 第1共通教育中隊「女自教‐1」
  • 第2共通教育中隊「女自教‐2」

主要幹部

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職名 階級 氏名 補職発令日 前職
女性自衛官教育隊長 1等陸佐 鳥畑聡子 2024年03月21日 陸上自衛隊教育訓練研究本部
→2024.3.4 女性自衛官教育隊勤務
歴代の隊長(前身を含む・1等陸佐(三))
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
婦人自衛官教育隊長
01 前田米子
(1等陸尉)
1968.12.20 - 1972.7.16 中央大学
昭和29年卒
陸上自衛隊輸送学校勤務[14]
→1971.1.1 3等陸佐昇任
陸上幕僚監部第1部勤務 1986.1.1 退官
最終階級1等陸佐
02 熊谷義明
(2等陸佐)
1972.7.17 - 1974.7.15 陸士59期 第1師団司令部第1部長
→1974.7.1 1等陸佐昇任
東部方面総監部業務室長
03 山下昭夫
(2等陸佐)
1974.7.16 - 1976.8.1 陸士60期 陸上自衛隊人事統計隊勤務
→1976.4.1 1等陸佐昇任
陸上幕僚監部総務課人事班長
04 今泉武伊知
(2等陸佐)
1976.8.2 - 1979.3.15 陸上自衛隊富士学校 小平駐屯地業務隊長
05 大迫一利
(2等陸佐)
1979.3.16 - 1981.3.15 第27普通科連隊第3中隊長
別海駐屯地司令
陸上自衛隊富士学校勤務
06 上杉長一 1981.3.16 - 1982.8.1 日本大学
昭和28年卒
練馬駐とん地業務隊長 東部方面総監部勤務
07 山田隆一 1982.8.2 - 1984.7.31 立命館大学
昭和30年卒
陸上自衛隊富士学校総合研究開発部
第1主任研究開発官
陸上自衛隊業務学校学校教官
08 石橋勉 1984.8.1 - 1987.7.31 中央大学
昭和30年卒
守山駐屯地業務隊長 東部方面総監部勤務
09 田邊龍子 1987.8.1 - 1989.7.31 熊本大学[15] 宇都宮駐屯地業務隊 東部方面総監部勤務
10 兼安正次郎 1989.8.1 - 1990.7.31 防大3期 自衛隊体育学校第1教育課長 退職 2007春叙勲
11 桑原壽之 1990.8.1 - 1992.7.31 防大5期 陸上自衛隊富士学校研究員 東部方面総監部勤務
11 川床剛 1992.8.1 - 1995.7.31 防大7期 陸上自衛隊調査学校総務課長 第8師団司令部付
12 大西徹彦 1995.8.1 - 1998.7.31 防大9期 善通寺駐屯地業務隊長 陸上自衛隊富士学校勤務
13 吉田剛 1998.8.1 - 2001.3.31 防大14期 陸上自衛隊少年工科学校第1教育部長 多賀城駐屯地業務隊長
髙橋秀夫 2001.4.1 - 2003.3.26 防大15期 陸上自衛隊北海道補給処苗穂支処長
苗穂分屯地司令
女性自衛官教育隊長
女性自衛官教育隊長
01 髙橋秀夫 2003.3.27 - 2004.3.22 防大15期 婦人自衛官教育隊長 東部方面総監部勤務
02 熊野敦記 2004.3.23 - 2005.12.4 防大24期 統合幕僚学校学校教官 第4高射特科群
03 前田絹代 2005.12.5 - 2008.3.25 九州大学
昭和53年卒[16]
情報本部勤務 陸上自衛隊幹部学校主任教官
04 渡邉茂和 2008.3.26 - 2009.11.30 防大27期 陸上幕僚監部副監察官 第9師団司令部監察官
05 渋谷幹
(2等陸佐)
2009.12.1 - 2011.7.31 防大29期 北部方面施設隊勤務
→2010.7.1 1等陸佐昇任
西部方面総監部装備部施設課長
06 寺井優子
(2等陸佐)
2011.8.1 - 2014.7.31 福井大学[17] 陸上自衛隊輸送学校主任教官
→2012.7.1 1等陸佐昇任
陸上自衛隊輸送学校研究部長
07 亀井律子 2014.8.1 - 2016.3.22 73期幹侯(I)[18] 陸上自衛隊幹部学校付 東部方面総監部人事部募集課長
08 岩塚寿文 2016.3.23 - 2018.3.26 防大34期 北部方面総監部総務部総務課長 豊川駐屯地業務隊長
09 中川美佐 2018.3.27 - 2020.3.15 獨協大学
平成元年卒[19]
自衛隊体育学校総務課長 防衛研究所理論研究部
社会・経済研究室主任研究官
10 村田美佐紀 2020.3.16 - 2022.7.31 日本大学[20] 情報本部勤務 陸上自衛隊施設学校勤務
11 山﨑麻由 2022.8.1 - 2024.3.20 防大47期 陸上自衛隊教育訓練研究本部 統合幕僚監部総務部人事教育課
人材育成班長
12 鳥畑聡子 2024.3.21 - 防大48期 陸上自衛隊教育訓練研究本部
→2024.3.4 女性自衛官教育隊勤務

他の女性自衛官教育担任部隊

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4個方面混成団教育大隊・1個職種学校が担任。

  • 主に自衛官候補生課程(女子)の教育を対象。
  1. 北部方面混成団第120教育大隊(真駒内駐屯地
  2. 東北方面混成団第119教育大隊(多賀城駐屯地
  3. 中部方面混成団第109教育大隊(大津駐屯地
  4. 西部方面混成団第118教育大隊(久留米駐屯地
  5. 陸上自衛隊通信学校通信教導隊久里浜駐屯地

脚注

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注釈

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  1. ^ 公募WAC第1期最先任の前田米子は中大法学部を卒業し、昭和30年に防衛事務官となり、陸幕法務課で勤務していたが周囲の勧めで試験を受け37歳で自衛官に転身した[7][8]

出典

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  1. ^ 自衛隊採用制度の変更に伴い、2010年度(平成22年度)夏頃、一般2等陸士前期課程(女子)の教育を終了し、2011年度(平成23年度)4月、自衛官候補生(一般2等陸士の後身採用制度に変更)課程(女子)の教育を開始する。
  2. ^ 自衛隊採用制度の変更に伴い、2007年度(平成19年度)夏頃、一般曹候補学生前期課程(女子)・曹候補士前期課程(女子)の教育を終了し、2008年度(平成20年度)4月、一般曹候補生(一般曹候補学生・曹候補士の統合後身採用制度に変更)前期課程(女子)の教育を開始する。
  3. ^ 部隊等で実施される陸曹候補生選抜試験に合格し、陸曹候補生の指定を受けた陸士長の女性自衛官である。
  4. ^ 2017年度(平成29年度)より、一部の教育要員が派遣されている。
  5. ^ 我が母校五十年誌(陸上自衛隊輸送学校)年表
  6. ^ 「自衛隊行事・記録」防衛年鑑1969年版 防衛年鑑刊行会, 1969年
  7. ^ 「WAC誕生25周年」軍事研究 Japan military review 28(12)(333) 1993-12, P156
  8. ^ 婦人生活 30(9) 婦人生活社 1976-08, P103
  9. ^ 陸上自衛隊公報 (1503) 1968年4月27日
  10. ^ 「自衛隊行事・記録」防衛年鑑1970年版 防衛年鑑刊行会, 1970年
  11. ^ 平成29年度より教育隊の一部が久里浜駐屯地に分駐(通信教導隊内に編合)し自衛官候補生(女子のみ)教育を実施していることが確認されている(自衛隊ニュース2017年5月1日”. 防衛ホーム新聞社. 2018年4月14日閲覧。
  12. ^ 先行的処置として第301通信運用中隊が平成29年度末をもって朝霞へ移駐
  13. ^ 陸上自衛隊 武山駐屯地 第1教育団51周年記念行事”. 2020年2月29日閲覧。
  14. ^ 陸上自衛隊公報 (1567) 1969年1月4日
  15. ^ 前田米子と同じく公募WAC第1期
  16. ^ 昭和54年入隊・防大23期相当
  17. ^ 昭和62年入隊、68期幹候・防大31期相当
  18. ^ 自衛隊京都地方協力本部HP本部長の部屋
  19. ^ 平成元年入隊、70期幹候・防大33期相当 中川美佐 - 防衛省防衛研究所
  20. ^ 76期幹候・防大37期相当

関連項目

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