学級会 (サブカルチャー)
学級会(がっきゅうかい)はインターネットスラングの一種で、サブカルチャーコンテンツにて問題が発生した際に、おたく同士の大規模な議論が発生してそれぞれの意見が多数の人間を巻き込み、議論の終結が見えない様子を示す[1][2]。
解説
[編集]推し活メディアnumanによると、ファンのマナーの論評や行動への注意喚起で論議が炎上する現象が「学級会」と揶揄される[3]。見えない同調圧力が背景に存在している[4]。中条亮の漫画『ドージン活動、はじめました!?』によると、pixivやTwitter上で発生しやすいと言われている[5]。
『ねとらぼ』によると、漫画『Axis powers ヘタリア』の人気が出た2008年頃からインターネット上でこの用語が広まった[2]。『ねとらぼ』はメディアミックス作品『刀剣乱舞』のキャラクターの渾名に関する2015年頃の議論をその一例として挙げた[2]。またニュースサイトのサイゾーウーマンが2020年5月21日から29日までに行った、過激なファンの影響で嫌悪感を催すようになった作品についてのアンケートで、『刀剣乱舞』は11票で2位を獲得した[6]。アンケートを実施したサイゾーウーマン編集部は、同作ではトラブルが発生するたびに学級会がファンの間で発生したことに触れている[6]。東京ディズニーリゾート(以下、TDR)に没頭して7冊本を出版したみっこは、インタビューにてソーシャル・ネットワーキング・サービスの発達以後、TDRのおたくの間で学級会が開かれるようになったと述べている[7]。それに加えて、おたくたちがディズニーの世界観を守ることに必死である可能性に触れた他、第三者からディズニーおたくが怖いといわれることに関して同意を示している[7]。みっこは、ルール違反を取り締まる様子を警察に準えている[7]。
漫画家でコラムニストのカレー沢薫は、おたくの学級会は、おたくでない人間が見ると嘔吐してしまうような醜悪で陰湿な争いで[8]、時に個人の想像や二次創作の中で課した制限を他者に強いることが原因となることがあると述べている[9]。ニッセイ基礎研究所生活研究部研究員の廣瀨涼は、おたくのコミュニティでは自身の価値観を他者に強要するおたくが一定数存在することや、消費者層の多様化により今まで守られてきた価値観が通用しなくなったことに触れている[1]。その中で、おたく歴の長いおたくが自身の正当化のために新規参入層にローカルルールなどを強要するマウンティングの一環として、学級会を行うと述べている[1]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 廣瀨涼 (2022年5月10日). "オタクのコミュニティは本当にオタクにとってのサンクチュアリー(保護区)なのか。-利己主義と排他主義が生むオタクのコミュニティの実態". ニッセイ基礎研究所. p. 2. 2022年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
- ^ a b c ねとらぼ「女性向けジャンルによく発生する『学級会』って、いったいどういう意味?」『ねとらぼアンサー』ITmedia、2015年2月19日。2021年7月22日のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月22日閲覧。
- ^ 「学級会」『numan』乙女企画、サイバード、2017年10月26日。2021年2月18日のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月18日閲覧。
- ^ “オタク仲間が辛い? 「推し疲れ」経験者は7割!逃れられない「推し疲れ」の実態とは?【心の血色感を高める、セルフケア】|美容メディアVOCE(ヴォーチェ)”. 美容メディア『VOCE』公式サイト (2023年2月28日). 2023年6月11日閲覧。
- ^ 中条亮『ドージン活動、はじめました!?』 4巻、KADOKAWA、2016年10月、9頁。ASIN 4048924370。ISBN 978-4-04-892437-5。OCLC 964680075。JAN 9784048924375 全国書誌番号:22807217 。
- ^ a b サイゾーウーマン編集部「『鬼滅キッズが本当に迷惑』『嘘松という言葉までできた』“過激ファン”で嫌いになったアニメ&ゲームベスト3【サイゾーウーマン世論調査】」『サイゾーウーマン』2020年6月10日。オリジナルの2021年4月20日時点におけるアーカイブ 。2021年4月20日閲覧。
- ^ a b c ジュウ・ショ (2022年12月18日). "オタク極まりディズニー本を7冊も出版! 幅広すぎる東京ディズニーリゾートの魅力をマニアに聞いてみた". fumufumu news. 主婦と生活社. p. 3. 2023年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月15日閲覧。
- ^ カレー沢薫「推しは違えど、推しを大事に思う気持ちはわかり哲也…『ヲタ夫婦』【カレー沢薫 アクマの辞典 第25回】」『ウーマンエキサイト』エキサイト、2019年1月7日、1頁。2021年2月26日のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月26日閲覧。
- ^ 「ここに書いたって意味がない『夫に言いたいこと』/カレーなる夫婦生活 #003」『AM』メディアーノ、2016年10月27日。2021年2月26日のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月26日閲覧。